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床に埋め込まれた体組成計や顔認証ドアホンなど、スマートホーム新提案
2018年12月14日 13:39
12月12日から14日まで、東京ビッグサイトで開催の「住宅・ビル・施設Week」。大手住設メーカーからベンチャー企業まで、数々の企業が取り組むスマートホーム機器をピックアップして紹介しよう(レポートその1はこちら)。
壁や床とシームレスにつなげるスマートホーム機器
住宅・ビル・施設Weekの開催に合わせて、凸版印刷は2つの新しいIoT建材を発表し、ブース展示していた。1つは市販の体組成計と床を一体化できる「ステルスヘルスメーター」。もう1つは壁をインフォメーションディスプレイ化する「インフォウォール」だ。
「ステルスヘルスメーター」は、家庭の洗面所の床などにヘルスメーターを埋め込めるもの。測定のたびにヘルスメーターを出し入れする必要がなく、違和感のない見た目で気軽に体重などをチェックできるようになる。市販のヘルスメーターを床下に埋め込む収納の仕組みと、ヘルスメーターのディスプレイやセンサー部のみが見える床材を開発した。
埋め込んだ周囲は床下収納のフタのような形になっており、ヘルスメーターの電池交換なども容易に行なえる。将来的にはクラウドなどと連携して外部ディスプレイに体組成の情報をグラフィカルに表示できるようにすることも検討している。価格は6万円から。
「インフォウォール」は、壁にLEDディスプレイを埋め込み、その表面に光を透過する化粧シートを重ねることで、ディスプレイで表示した内容をぼんやりとしたグラフィックで見せることができるもの。見た目は普通の壁だが、必要に応じて天気情報やメッセージなどが浮かび上がるようになっている。
現在のところは、同社が提供しているスマートフォン用の家族向けコミュニケーションアプリ「ふたりの」と連携し、そのアプリ内で登録したカレンダー情報をインフォウォールに表示させる、といった使い方を想定している。宅内の目に止まりやすい場所に設置することで、家族の間で伝えておきたい情報を共有できる。
表示される内容は鮮明さに欠けるため、表示内容はシンプルなものに限定されそうだが、近日中に開始される実証実験を通じて改善方法を検討していきたいとしている。2019年夏頃からの販売を予定。想定価格は100万円から。
さらに類似のIoT建材として、11月に発表済みの「ロケーションフロア」も展示していた。これは、フローリングの床の下層に「位置検出デバイス層」を設け、床を歩いた際の圧力変化を検出して人の位置を把握できるようにするもの。展示ブースではトイレに見立てたスペースの床に設置し、出入りの検知や滞在時間の計測を行なっていた。クラウドサービスなどと連携することで遠隔からの見守りも可能になる。
こうした位置検出や出入りの監視はシンプルなカメラでも可能だが、トイレのようなプライバシー上カメラの設置が難しい場所には向かない。一方、ロケーションフロアは圧力検知のみのためプライバシーの問題をクリアでき、周囲の床材と区別のつかないフローリング処理ができるため、センサーが目に付くこともないという点でメリットがある。また、踏力発電でセンサーへ電力を供給するため、別途電源を用意する必要もないという。想定価格は25万円から。
留守でも宅配などを可能にするスマートドアホン
設備機器の開発・製造を手がける日栄インテックは、一般家庭・共同住宅向けのスマートホーム機器を多数展示している。なかでも同社が2019年に発売予定という「顔認証付きテレビドアホン」や「カメラドアホン」、「スマートロック」などを組み合わせた仕組みでは、顔認証や指紋認証などにより物理的な鍵なしで住宅の出入りが可能なほか、QRコードを使ったゲストの入館、留守宅への宅配も可能にするとしている。
例えば、あらかじめ入館用のQRコードを受け取っている宅配業者が、そのQRコードを「顔認証付きテレビドアホン」に読み取らせることで、集合住宅共有部のエントランスから中へ入ることができる。配達先の部屋の前ではカメラドアホンを通じて、スマートフォンアプリを使っている住人と遠隔で会話し、問題なければ住人側から解錠。玄関内に荷物を置いて退室すれば、自動で施錠する、ということが可能になる。
荷物を置く際には、住人が室内の監視カメラでその様子を見ることもできるため、必要以上の侵入や盗難などの抑止にもなる。最初に宅配業者とどのようにQRコードをやりとりするのか、という問題は残されており、実現には宅配業者との提携も必要になる可能性はあるが、そのエリア担当の配達員が固定されているのであれば、最初の宅配時にQRコードを渡したり、テンポラリーで顔認証登録をしたりする方法も考えられそうだ。
賃貸物件の資産価値向上へ。スマートホーム化ソリューション
玄関のインターホンや鍵をスマート化し、スマートフォンなどと連携して遠隔操作できるサービスは今や多くのメーカーが手がけており、珍しくなくなってきた。そのなかで、賃貸住宅向けにフォーカスしてソリューション展開することで差別化を図っているのがRobot Home。不動産プラットフォーム開発のTATERUの子会社として、スマートホーム機器で不動産の資産形成を促す仕組み作りに取り組んでいる。
同社が提供しているのは、「kit」と呼ぶ賃貸住宅向けのスマートホーム化ソリューション。赤外線で操作する家電を統合できるリモコンユニットや遠隔操作可能な照明、窓の開閉を検知するタグモジュールなどを賃貸物件の1部屋ずつにセットすることで、スマートフォンでそれらの操作や状態確認が可能なスマートホームへとリノベーションする。これにより物件としての価値を高め、入居率の改善などが見込めるとしている。
大がかりな工事は不要で短期間で導入でき、1部屋あたり数万円程度からの初期費用と月額1,000円からのサービス利用料がかかるのみ。Web上の「kit管理ツール」では、デバイスの一括メンテナンスや入居者へのお知らせ配信、入居者とのテキストメッセージによるコミュニケーションなどが可能。ボット機能の開発も進め、入居者からの定型的な質問に対しては自動応答する仕組みを導入することも検討している。