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0円タクシー登場、第1弾は「どん兵衛タクシー」。配車アプリ「MOV」東京上陸
2018年12月5日 19:26
ディー・エヌ・エー(DeNA)は5日、神奈川県内で提供していたタクシー配車アプリ「タクベル」の提供エリアを東京都内に拡大し、新たなブランド「MOV」としてサービスを開始した。同時に、乗客が利用料金無料でタクシーを利用できる「0円タクシー」を提供する。第1弾として、日清食品がスポンサーとなった「どん兵衛タクシー」が5日から12月31日22時までサービスが提供される。
DeNAがMOVとしてタクシー配車本格展開
MOV(モブ)の前身となるタクベルは、神奈川県内でのサービスを今年4月から提供。神奈川県タクシー協会との協業によるサービスで、月間6.5万件の配車を行なうサービスに成長した。他社の配車サービスと比べても5~6倍の実績となっているという。
海外ではタクシー配車アプリ経由の配車が5割を超えている地域もあるが、日本では1%程度だという。ただ、今後増えるとしても、海外と同様なレベルになるとは限らないという認識で、既存の電話配車や流しはなくならないとして、この既存の仕組みにプラスする形で配車アプリが貢献できるとみる。
実際、神奈川県内でのサービスでは、配車数は前年比105%増となり、純粋にタクベル経由の配車が増えたという。MOVでは、こうした実績をベースに競合に対する優位点としてアピールしていく考えだ。
さらにMOVでは、アプリの配車と電話配車などをきちんと連携させる仕組みを構築する。各タクシーに全てスマートフォンを配備し、乗務員用アプリをインストールしてアプリ同士で連携する「アプリ連携方式」を採用。無線機と連携させないので、電話とアプリ配車で競合してしまうといったこともないという。
すべてのメーターメーカーと連携しているとのことで、最終的な決済の際にメーターの情報が自動的に入力できるので、乗務員と乗客双方の手間もかけない。
決済端末は、MOVの利用料金に含む形でレンタル提供する。QRコード決済に対応するタブレット端末を来年2月から提供するほか、クレジットカードや電子マネー対応の決済端末もMOV月額料金に含む形でレンタルするので、初期費用を抑えた形でキャッシュレス対応できる。
また、現在開発中のAI運行支援技術も今後提供に向けて開発を進める。これは、乗客を乗せた場所、時間、目的地、その日の天気、イベントなどの周辺情報などのビッグデータを分析して、AIが乗客を拾いやすいルートを提案する、というもの。
スマートフォンの地図アプリで乗客が拾いやすいルートを表示するため、タクシー乗務員がそれに従ってルートを進むと、「その地域の乗務員の平均的な営業収入」が得られるぐらい、乗客を見つけることができるという。「来年後半」(オートモーティブ事業本部執行役員/事業本部長 中島宏氏)には提供したい考え。
広告収入で乗車料金をまかなう「0円タクシー」
これに加え、新たなビジネスモデルとして「Project MOV」を開始する。これまでのタクシーは、事業者と乗客の2者間をマッチングするビジネスだったが、間に企業や店舗、行政などを加えることで、「多者間マッチング」のビジネスモデルを提供するというのがこのプロジェクトだ。
この第1弾が「0円タクシー」で、広告収入によって乗客の利用料金をまかなう形。タクシーの車内外のラッピングだけでなく、タブレットへの広告表示などを提供することで、商品の認知拡大、購買促進に繋げる。タクシー事業者は広告による安定的な収益が得られるとともに、今までタクシーに乗らなかったような層も取り込める。
まずは日清食品のどん兵衛をスポンサーとして0円タクシーを提供。5日13時から31日22時まで、毎日7~22時の間、渋谷、新宿、港、中央、千代田の各区でMOVアプリからの配車を受け付ける。降車は東京23区内に限り、50台が走行する。
MOVでは、今後さらに京都、大阪、神戸へのサービス拡大を図るとともに、Project MOVの第2弾、第3弾と提供拡大、AI運行支援の提供など、サービスを拡充して日本独自のタクシー配車アプリを提供。「タクシー配車アプリ戦争」(中島氏)を優位に進めていきたい考えだ。