資生堂、肌の加齢変化を解明。花の抽出液に若返りが期待できる働き

資生堂は、国際医療福祉大学医学部 松﨑恭一主任教授と生理学研究所との共同研究により、加齢に伴い肌内部に形成される老化した細胞が、周囲の細胞の機能を低下させ、肌の加齢変化を引き起こすことを解明。アイリスの抽出液に、加齢変化をとめることにつながる可能性がある働きを見出した。

アイリス

皮膚は外側から、表皮層、真皮層、皮下脂肪層で構成される。加齢により発生するシワやたるみなどの顔の形状の変化は、顔の形状の維持に機能する真皮層の状態が加齢で悪化することが大きな要因としているが、その詳細なメカニズムは十分にわかっていなかったという。

今回の共同研究では、電子顕微鏡解析技術を新たに開発。真皮を解析したところ、若齢者の真皮の細胞は多数の突起を伸ばしているのに対し、高齢者の真皮中には、突起を失い、形状の変化した細胞(以下、老化細胞)が観察された。

細胞を用いた実験の結果、老化細胞は因子を分泌することで(以下、老化因子)、周囲の細胞に悪影響を及ぼすことが確認され、こうした “老化の伝播”により、真皮の加齢変化が起きることが明らかになったという。

また、真皮の幹細胞が、老化細胞の老化因子の産生を抑制することを確認。真皮の幹細胞は、加齢に伴い著しく減少するが、高齢者の真皮でも皮脂腺の周囲には、真皮の幹細胞(幹細胞マーカー陽性の細胞)が豊富に存在することがわかった。つまり、皮脂腺は、その周囲に幹細胞を蓄える”リザーバー”として機能することになるという。

この一連の発見から、老化の進んだ真皮中に、リザーバーから幹細胞を誘引することで、老化の伝播をとめ、真皮を良好な状態にすることが可能と考察。さらに幹細胞を用いた研究を進めた結果、アイリスの抽出液に幹細胞を誘引する働きを見出したという。

幹細胞を活用することで、肌の若返りが期待できる本研究成果を、今後の製品開発へ応用していくとしている。