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声でつながるAlexaの世界と、画面でさらに便利になるAmazon Echo
2018年10月12日 07:30
2017年の日本上陸から1年、Amazonがスマートスピーカー「Echo」の新シリーズを発表し、プレス向けの体験会を開催した。小型で手軽に音声操作が行なえる「Echo Dot」(第3世代)と、音質を向上したスマートハブ対応の「Echo Plus」、10.1型液晶を備えた「Echo Show」の3製品がこの秋の新モデルとなる。
新しいEcho DotとEcho Plusが強化したのは「音質」。ディスプレイを備えたEcho Showは、音声+画面による操作性の向上やサービスの拡充を目指している。
出荷開始はEcho Dot/Plusが10月30日、Echo Showは12月12日で、税込価格はEcho Dotが5,980円、Echo Plusが17,980円、Echo Showが27,980円。
新しいEchoは音質強化&ファブリックデザイン
音声アシスタントの「Alexa(アレクサ)」は、2017年の日本発売以来、着実に進化。テニスの大坂なおみ選手の最新の試合結果なども答えてくるようになるなど、日本向けのチューニングを進めているほか、反応速度や内容も日々改善しているという。
新Echo Dotは、丸みを帯びたデザインとファブリック仕上げによる新しい筐体デザインを採用。「進化したのは音質」と語るとおり、1.6インチドライバーの搭載と、出力を70%向上し、Alexaとの対話音声やAmazon Musicなどの音楽サービスのスピーカーとしての音質を向上。第1世代のEcho Dotとの音質比較も行ない、パワフルなサウンドをアピールした。
Bluetoothや有線でのケーブル接続による、外部スピーカー出力対応も特徴。すでにオーディオシステムがある場合は、それらのオーディオにケーブルやBluetoothで接続して、Amazon MusicやEcho対応の音楽配信サービスが楽しめる点も、Echoシリーズならではという。
新しくなった「Echo Plus」もファブリック素材を基調としたデザインはEcho Dotと共通しており、さらなる高音質や家電連携の充実、温度センサーの内蔵などを特徴とする。Bluetoothとケーブル接続による外部スピーカー連携にも対応する。
今回のEchoシリーズのこだわりは「音質」(米Amazon Alexa Devices バイス・プレジデントのミリアム・ダニエル氏)。本体の音質を強化しただけでなく、外部のスピーカーシステム連携を訴求。さらに専用サブウーファー「Echo Sub」も発売する。価格は15,980円(税込)。
100Wのアンプと6.0インチユニットを備えたEchoシリーズ用のサブウーファーで、EchoもしくはEcho Plusと接続すると、パワフルな重低音再生が可能となる。Echo/Echo Plusを2台同時に接続すると、左右2つのスピーカーでステレオ再生も行なえる。利用にはWi-Fi環境が必要で、Alexaアプリで連携するEchoとEcho Plusを設定する。
2台のEcho PlusとEcho Subを組み合わせた音楽再生も実演し、大きな発表会場でも迫力ある低音再生ができることをアピール。複数のEchoシリーズやAlexa対応スピーカーが連携して、家じゅうで同じ音楽を再生する「マルチルーム」機能など、音へのこだわりをアピールした。
見て触れる“スマートスピーカー”10型液晶の「Echo Show」
新Echoシリーズの注目は、10.1型タッチ液晶ディスプレイ搭載の「Echo Show」。Alexaとの対話による声の操作だけでなく、大型ディスプレイを活かし、“目で見て”、“触れて”操作ができることが特徴。
Alexaに話しかけて、声で天気やニュースを教えてくれるほか、週間の天気予報を画面に表示したり、ビデオを見たり、買い物リストを表示などの声と視覚の両方から情報が得られるため、Amazonでのショッピングも、音声だけより簡単に直感的に行なえる。
さらに、Prime Videoなどの映像配信サービスの再生に対応し、「30秒早送り」などの操作を声で指示できる。
大型のスピーカーを本体の左右に配置し、パッシブ・バス・ラジエーター、Dolbyプロセッシングによる、パワフルなスピーカー出力も特徴。Amazon デジタルミュージックストアで購入した楽曲や、Prime Music、dヒッツ、うたパスなどの音楽配信サービスに対応する。
Amazonが「オススメ」というのがカラオケ。「カラオケ JOYSOUND」のスキルを使えば、スクリーンに表示される歌詞を見ながらカラオケができる。また、Amazon Musicも多くの日本語楽曲が歌詞対応しているため、歌詞を見ながら歌えるなど、スマート“スピーカー”だが、画面を活かした機能が拡充されている。
また、料理レシピの「CookPad」や弁当などの宅配サービス「出前館」などのスキル(Alexa用アプリ)が発売に合わせて「Echo Show」に対応予定。現時点では12のスキルが用意されているという。
出前館のアプリでは、「アレクサ、 出前館をひらいて」と話しかけると、出前館の注文画面が表示され、画面タッチや声で出前注文が可能。注文可能店舗は、Amazon Payを導入した出前館加盟店約12,000店舗で、支払いもAmazon Payで行なう。
CookPadのアプリでは、食材や食べたい料理からレシピ検索できるほか、「レシピ動画を見るか」、「レシピを読むか」を選べる。
現在Amazonは、丸形ディスプレイを備えた「Echo Spot」を発売しており、Spot用のスキルを各社が提供している。Echo Showは、より大画面で表示可能な情報が増えるため、スキルによってはSpotとShowのそれぞれにあわせた調整が必要とのこと。
500万画素のカメラも内蔵し、ビデオ通話が可能。Echo Spot、Echo Show、Alexaアプリをインストールしたスマートフォンとのハンズフリー通話に対応。Alexa対応の別売りカメラを設置し、子供部屋の様子や外の様子を確認できる。
EchoからFire TVなど広がるAlexaの世界
声から画面(ビジュアル)へと操作手法を広げたAmazon Echoだが、Alexaによる音声操作はEchoだけでなく、Amazonのテレビデバイス「Fire TV」へと広がっている。
最新モデル「Fire TV Stick 4K」が、Alexaに対応し、リモコンだけでなく音声での操作が可能になる。Echo Showと同日の12月12日に出荷開始予定で、価格は6,980円(税込)。
リモコンのマイクに向かって「アレクサ、Fire TVで◯◯を再生して」と指示すると、その作品の再生までスタートしてくれる。「アレクサ、Fire TVでバラエティを探して」、「アレクサ、アニメを見せて」といった指示も可能。リモコンで細かな選択操作をしなくても、声だけで気軽に利用できるようになっている。
Fire TVのAlexa対応の詳細はAV Wattchで紹介している。
機器だけでなく、Alexa用のスキルも拡張。複数のスキルを連動して使えるようにする「Skill Connections」も開発者向けに提供している。
これまでできなかった、複数のスキルの連携動作を可能とするもので、セイコーエプソンとキヤノンが「Skill Connections」が有効な印刷機能のAlexaスキルを開発。これにより、例えば料理レシピサイトのスキルでは、Alexaから好みのレシピを選んだ際に、「このレシピを印刷して」と話せばレシピの情報をプリンターで印刷される。
また、Alexaと連携するという意味では、米国では電子レンジ「AmazonBasics Microwave」や、Echoと連携する壁掛け時計「Echo Wall Clock」など、Amazonブランドの家電製品も発表されている。
これらのAmazon家電の日本展開は未定だ。
ただし、Alexa対応電子レンジなどは、Amazonが家電向けに開発した「Alexa Connect Kit」というモジュールを組み込んだもので、このモジュールの採用を日本の家電メーカーなどに呼びかけている段階、とのこと。
Echoシリーズは、声から画像・映像に領域を拡大。そして、「声でつながる」Alexaも着々と利用シーンや対応機器を広げている。