停電や災害対応など、電気の安定にもスピードを!

九州電力の「現場力」をささえるタフな法人向けスマートフォン「ARROWS M357」

2018/12/17 | 清水理史

ケータイからスマートフォンへと移行

街中で見かける電柱や電線。電力の供給に欠かせない設備だが、その保守を担当しているのが、九州電力の配電部門だ。電柱に傷がないかなどの点検をする巡視業務や、災害、停電、顧客からの問い合わせ対応など、主に現場での作業を担当している。

2500台も導入されたARROWS M357は現場作業をサポート

これまで、同社の配電部門では、事務所との連絡や対応先の電柱がある場所の確認などのために、旧来のケータイ電話を現場で使っていたが、その保守契約の終了に伴い、2018年4月からARROWS M357を導入。今では、2500台ものARROWS M357が現場での作業のサポートに役立てられている。

電力の安定――。というと、台風や地震などの立て続けに発生した昨今の災害の記憶も新しいが、こうした大規模な災害はもちろんのこと、普段のさまざまな顧客の問い合わせ対応に、実は、現場ではスマートフォンが活躍している。

実際に現場の方が使っているARROWS M357

実際に、現場でどのようにARROWS M357を活用しているのだろうか?

同社が導入したARROWS M357には、業務に活用するためのアプリがいくつかインストール済みとなっており、たとえば顧客から問い合わせがあった場合に、その内容や顧客の情報がアプリで表示されるようになっている。

一方、事務所には、ARROWS M357のGPS機能を使って、社員が今、どこの現場にいるのかを把握できるようになっており、問い合わせがあった顧客の近くにいる社員に対して、素早く問い合わせ対応に向かうように指示することができる。

社員はアプリを確認することで、どのような不具合が発生したのかを把握できるうえ、電柱ナンバーが記載された地図機能を活用して、迷わずに現場へと向かうことができる。

こうした工夫により、より迅速な不具合対応が可能になっているわけだ

九州電力のシステム構造図

ARROWS M357でなければならないワケ

このように、スマートフォンを現場で活用する九州電力だが、前述した活用方法は、極端な話、スマートフォンであれば、どれでも実現可能だ。

では、なぜ、同社は数あるスマートフォンの中から、現場用にARROWS M357を選んだのだろうか?

最大の理由は、防塵・防水性能の高さだ。

前述したように、同社の社員は、巡視や顧客対応の際にARROWS M357を活用しているが、こうした対応は、天候に関係なく必要となるうえ(むしろ台風などの際のほうが顧客は多い)、停電対応で電柱に登って作業することも多い。

つまり、悪天候や過酷な環境での利用が可能で、万が一の端末落下などにも耐えられるタフさが欠かせないわけだ。

現場での過酷な環境では、防塵・防水性能などのタフさが求められる

高い防水性能を誇るARROWS M357

その点、ARROWS M357は、IPX5/IPX8の防水、IP6Xの防塵、米国国防総省の調達基準MIL規格に準拠しているうえ、実際の利用シーンにも耐えうる堅牢性を実現するために、以下のようなテストを実施している。

  • 防水試験
    ・内径6.3mmの注水ノズルを使用し、約3mの距離から12.5L/分の水を最低3分間注水する条件であらゆる方向から噴流を噴射(IPX5相当)。
    ・常温で水道水の水深1.5mのところに沈め、約30分間放置(IPX8相当)。
  • 防塵試験
    ・直径75μm以下の塵埃(じんあい)が入った装置に電話機を8時間入れてかくはん。
  • 製品品質評価試験
    ・落下試験:1.5mより落下
    ・衝撃試験
    ・振動試験
    ・1点加圧試験:前面に20.4kgfで加圧、背面に35.7kgfで加圧

MIL-STD-810Gのテスト内容

加えて、ARROWS M357は、本体表面に特殊な皮膜を作り、耐久性などを高めるハードアルマイト加工が施されている。

九州電力が重視したのは、ARROWS M357のこうした徹底して堅牢性を追求する姿勢だ。過酷な天候でも使え、1.5mからの落下にも耐える性能は、現場で使う端末として欠かせない条件というわけだ。

また、現場での実際の利用シーンに合った利便性の高さも備えている。堅牢性を謳うスマートフォンはほかにもあるが、富士通のARROWS M357は、そんな丈夫なスマートフォンの中でもコンパクトなサイズを実現している。現場で実際に使う社員の視点で考えると、丈夫でもサイズが大きいスマートフォンは使いにくい。「片手で持てる」「ポケットに入る」という現場の声に答えることができるサイズは、実はとても重要なのだ。

実際に端末を使う現場の反応も好評だ。

従来のケータイに比べて、画面が大きく、処理速度が向上したことで、業務効率が格段に向上した。特に、現場に急行する際の地図確認の操作性が高くなり、見たい場所の地図を直感的に表示できる操作性が高く評価されている。手袋をしたままでも操作できる「手袋タッチ」モードや、端末の落下を防ぐためのストラップホールも現場で活用されている。

「手袋タッチ」モード

ただ堅牢性が高いだけでなく、こうした実用性を備えている点も、同社がARROWS M357を積極的に選んだポイントだ。

管理システムとの連携やサポート体制も魅力

法人向けのスマートフォンの場合、スマートフォン単体の性能はもちろんだが、全体の管理やサポート体制も重要な機器選定の基準となる。

冒頭でも少し触れたように、九州電力では配電部門だけで2500台ものARROWS M357を導入している。ここまで規模が大きくなると、端末をいかに管理するかが非常に重要な問題となる。

富士通では、スマートフォン向けのモバイルデバイスマネジメント(MDM)ソリューションとして「FENCE-Mobile RemoteManger」を展開しており、大量のスマートフォンの資産管理(ハードウェアやOSの情報)やアプリ管理(配信、利用制限)、紛失・盗難対策(ロック、ワイプ、位置情報)、不正利用対策(カメラ、無線LAN制御)、ウイルス対策(オプション)などを提供可能となっている。

九州電力は、既存デバイス管理用にFENCE-Mobile RemoteManagerを導入済みとなっており、その対応機種として正式にサポートされている点もARROWS M357を選択した大きな理由となっている。

FENCE-Mobile RemoteManger

先にも少し触れたが、同社は現場で使うARROWS M357に、顧客情報や地図を表示する独自のアプリをインストールしている(このほか3~4個の独自アプリと一般アプリ5~6個)。

社員がこれ以外のアプリを勝手にインストールできないように制限をかけるのはもちろんのこと、アプリを一斉に配信したり、アップデートできるため、管理の手間が大幅に省略できる。他メーカーのコンシューマー向けのスマートフォンでは、アプリやOSのアップデートが頻繁に発生するため、制御が難しいが、ARROWS M357はOSも含めたバージョンの固定がある程度可能となり、管理しやすくなるわけだ。

なお、富士通では、Android OSサポートを提供しており、セキュリティパッチの提供やそれに伴う技術的な問題解決の支援もしているため、アップデートに関する課題の解決も可能だ。

法人での利用を考えると、やはり、こうした各種ソリューションと組み合わせた導入が欠かせないだろう。

ARROWS M357で強い現場を作る

このように、九州電力では、富士通の法人向けスマートフォン「ARROWS M357」を導入することで、現場の作業効率やスピードを向上させることに成功している。

スマートフォンの業務利用は、今や企業が競争力を保つのに欠かせない投資と言えるが、その効果を最大化するには、所謂「目利き」が必要と言える。単純にコストなどで検討するのは避け、真に「現場」のニーズを満たすことができるARROWS M357のような製品やソリューションを選択すべきだろう。

このように現場から企業を変えていくことこそ、今後、企業が競争力を高めるために本当に必要なことと言えそうだ。

法人ARROWS導入事例: 九州電力株式会社様
http://www.fmworld.net/biz/arrows/example/example11.html

ARROWS M357