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スペック増強して登場「arrows M04 PREMIUM」
突如10月26日にUQモバイルから発表された富士通のSIMフリースマホ「arrows M04 PREMIUM」。通常の「arrows M04」からストレージやメモリの容量が大きくなって、パワーアップしたという。ちょうど仕事上必要に迫られてarrows M04に大量のアプリをインストールしているタイミングで、「もっとストレージ容量があればなあ」と思っていた矢先。まさに寝耳に水、渡りに船な出来事だったから、「いいところを突いてきたな!」と思ったものだ。
ところで、そんなパワーアップを果たしたarrows M04 PREMIUMだが、一体何がこれまでと違うのだろうか。そして、どんな人にとって便利なスマートフォンになっているのか。一部気を付けておきたいところにも触れつつ、arrows M04 PREMIUMの使いどころも探ってみよう。
ストレージが増えると何がいいの?
今回のarrow M04 PREMIUM、一番気になるのはパワーアップした性能だ。その1つ、アプリやデータの保存に使われるストレージ容量については、プレミアムではない標準のarrows M04が16GBのところ、今回のarrows M04 PREMIUMは32GBに増量されている。設定画面の「ストレージ」で確認できる実容量は、arrows M04が14.68GB、arrows M04 PREMIUMが29.12GBで、その差は約14.5GB。つまり、単純に倍の容量を使える余裕がある。
arrows M04の約15GBでも、通常使いであれば充分かもしれないが、実際にはこのうちおよそ半分くらいが削除できないプリインストールアプリやシステムデータで占められていることを忘れてはならない。arrows M04は、実質的には残り8GBくらいだ。
対してarrows M04 PREMIUMは、プリインストールアプリやシステムデータが同じように含まれるものの、それを考慮しても21GB以上は使える。キャリアとの契約の都合上2年以上使い続けることの多いスマートフォンにおいて、ストレージ容量の差は大きな意味があるだろう。長く使えば使うほど、インストールするアプリもデータも当然ながら蓄積されていくからだ。
最大256GBまで対応しているmicroSDカードに頼る、という手もある。けれど、microSDカードに保存できるのは写真や動画、文書ファイルなどで、Google Playからダウンロードしたアプリ本体は内部ストレージにしかインストールできない(arrows M04/arrows M04 PREMIUMはSDカードの「内部ストレージ化」に対応していない)。気にせずどんどんアプリをインストールしたくてもストレージ容量に縛られてしまうから、今回の増量はなにげに後々“効いてくる”仕様だといえそうだ。
メモリが増えると何がいいの?
もう1つのパワーアップポイントが、メモリ容量が2GBから3GBになったこと。こちらはストレージのように明確に体感できる機会はそれほど多くないが、主に以下のようなメリットがある。
- メモリを大量に使うアプリの動作が快適になる
- たくさんのアプリを起動していてもスムーズに動作する
- アプリの切り替えがスムーズになる
スマートフォン上で動作するアプリは、すべてメモリ上で動いていると言ってもいい。普段ストレージ(32GB)に保存されているアプリは、アプリ起動時にメモリ(3GB)に読み込まれ、そこで実行される(正確にはチップセット上のより少量で高速な専用メモリ内で命令が実行される)。一方、メモリを大量に消費する処理で残量が少なくなったときは、起動中アプリのうち使っていないと思われるアプリをAndroid OSがバックグラウンドで自動で終了する仕組みになっている。
すなわち、メモリ容量が増えることによって、アプリがより多くのデータを一度に扱えるようになるから、その分快適に使えるようになる(上記1)。また、たくさんアプリを起動しているなかで、どれか1つのアプリを使用中、その動きが緩慢になる確率が下がる(上記2)。
さらにバックグラウンドでアプリが自動終了してしまう頻度が下がるため、起動中の各アプリの使用時の状態(表示画面)をより多く覚えておける。つまり、別のアプリから元のアプリへ操作を切り替えるとき、そのアプリで直前まで使っていた画面に復帰できる可能性が高くなる。
内部的にアプリが終了していても、タスクキーで現れる起動中アプリ一覧には表示される。一見普通に起動しているように見えても、メモリが少ないと、そのアプリに切り替えた際にオープンニング画面から始まったり、画面のリロードが発生したりするわけだ。メモリ容量が大きければそういった処理に遭遇することも少なくなる。
アプリやゲームがもっと快適に使えるようになるの?
ストレージが増え、メモリも増えたarrows M04 PREMIUM。一般的なアプリのほとんどは、より多くのデータをスムーズに扱えるようになり、たくさんのアプリを同時に起動させておくことによる“重さ”も発生しにくくなるだろう。速度として体感できるかどうかは別として、少なくとも余裕をもって動作させられるのは間違いない。
例えばWebブラウザーで10個以上のタブを開いても、タブを切り替えるたびに発生するページリロードはほとんどなくなっている。スマートフォンの総合的な快適さに対して、メモリやストレージ容量増加の影響は決して小さくないのだ。
ただし、アプリの快適さがチップセット(CPU)性能に大きく左右される3Dゲームなどは、メモリ・ストレージ増量の恩恵は少ない。arrows M04 PREMIUMのチップセットはクアッドコアの1.2GHzで、実用アプリには十分なパフォーマンスを発揮してくれるとはいえ、3Dグラフィックがぐりぐり動くゲームとなると、さすがに厳しい。3D以外のシンプルなグラフィックのゲームなら問題なく快適にプレーできる。
どんな人、どんな用途に適しているの?
性能は(3Dゲームを除けば)必要十分。では、実際のところarrows M04 PREMIUMはどんな用途に最適なのか。これには、以下のようにいくつかのパターンが考えられそうだ。
小さな子供、育ち盛りの子供のいる家庭に
arrows M04 PREMIUMは子供のいる家庭にもおすすめの端末だ。例えば生まれたばかりの子供や、まだ抵抗力の低い乳児期・幼児期の子供のいる家庭では、子供が触れる可能性のあるものをできるだけ清潔にしておきたい、と考えるもの。もちろんそれは、子供を世話するお父さん・お母さんの手も例外ではない。
その点arrows M04 PREMIUMは、泡タイプハンドソープでの手洗いにも対応する高度な防水機能をもっている。便座並みとも言われるスマートフォンの見えない汚れも、ハンドソープを使えばきれいに除菌でき、スマートフォンを使っていたその手で子供に触れても不安はない。
中学生くらいの子供が、いよいよ初めてのマイスマートフォンをもつという際にも、arrows M04 PREMIUMが適している。一般的に高額なスマートフォンだが、子供はそれとは無関係にあちこちぶつけたり、落としたりする。しかしarrows M04 PREMIUMは、IPX5/IPX8準拠の防水性能にIP6X準拠の防じん性能もち、さらには今やarrowsシリーズの定番となったMIL規格の23項目にも準拠。ちょっとやそっとの衝撃では画面割れも、故障も発生しない頑丈なスマートフォンだから、子供にも安心して持たせられる。
初めてスマートフォンを使うシニアの両親に
同じ富士通製のスマートフォンには、シニア向けの「らくらくスマートフォン」シリーズもあるが、実はarrows M04 PREMIUMもシニアユーザーにとってうれしい機能がいくつも用意されている。
その1つが「かんたんセット」。これはarrows M04 PREMIUM独自のホームアプリだ。電話、SMS、Webブラウザーといった頻繁に使うアプリを大きなアイコンで配置し、よく電話する相手へのショートカットも画面内のボタンに登録して、すぐに連絡がとれるようにしている。SMSやWebブラウザーはシンプルなインターフェースで使いやすく、文字も通常から二回りほど大きくなっているので、コンパクトな5インチクラスのarrows M04 PREMIUMでも楽に文字を読める。
かんたんセットを使わない場合でも、通知パネルから画面全体の文字サイズ・フォントの太さ、画面の表示サイズを一気に見やすく変えられる「はっきり文字」や、ナビゲーションバー右下のキーから画面を拡大できる「いつでもズーム」があるので、読みにくいと感じたときだけすぐに見やすくすることも可能だ。
さらにはセンサーで記録した日々の歩数を、指定した曜日・時間に特定の相手にメール送信する「歩数お知らせメール」機能もある。両親にarrows M04 PREMIUMを渡して設定してあげれば、無事に暮らしているかどうかを電話せずとも定期的に把握できる。もちろん、時には電話やビデオチャットで声や顔を見せてあげたほうがいいけれど。
普段から気軽にスマホと付き合いたい人に
なんだかんだで、arrows M04 PREMIUMは日常的にスマートフォンを使う多くの人に向いている。見た目のデザインは、自己主張の強くない、おとなしい雰囲気。四隅はなだらかにラウンドしていて、サイドのエッジも角が取れているから握りしめても痛くない。背面のマットな塗装は触り心地がよく、それでいてビビッドなレッドカラーも用意しているという、ちょっとしたおしゃれ感もある。
電話やメール、Webブラウザーをはじめとした実用アプリを過不足なく扱える性能をもっているだけでなく、支払いや会員カードとして使えるおサイフケータイにも対応している。スマートフォンでモバイルSuicaやnanacoなどの電子マネーを使っている人なら、いつでもすぐにチャージでき、残高の確認も手元でできるという、おサイフケータイの手軽さや便利さをいやというほど感じているだろう。
また、メールやSNS投稿などテキスト入力することの多い昨今、PC用ソフトで鍛えられた日本語変換エンジンをもつキーボードアプリ「Super ATOK ULTIAS」の活躍の場面は広い。効率的に文字入力でき、ミスの少ない素早いSNS投稿が可能だ。SNS投稿といえば最も重要なのがカメラ。arrows M04でフォーカス時間が短縮されたカメラは、もちろんarrows M04 PREMIUMでも狙ったものが狙ったように撮れるし、視野角も広めで風景と人物のどちらもフレーム内に収めやすく、アングルをきれいに決められる。
OSはメーカー製スマートフォンとしてはほぼ最新のAndroid 7.1。Android 7.1では、アプリの特定の機能(画面)にすぐにアクセスできる「アプリショートカット」や、音声で対話しながら機能実行や情報収集ができる「Google アシスタント」などが標準で利用可能なのがうれしいところ。
どれくらいの料金で使えるの?
arrows M04 PREMIUMは、今支払っている月々の電話代が気になっている人の乗り換え先としてもぴったりのスマートフォンだ。今のところ取り扱いはUQモバイルのみとなっていて、主に月間データ容量と無料通話時間の違いで「プランS/M/L」の3つのプランから選ぶことができる。月額料金を抑えて使うもよし、コストパフォーマンスを重視しつつも大容量のプランで使うもよし、MVNOならではの料金体系の中から自分にあったプランを選択したい。
ますます長く使い続けられる愛機に
arrows M04の性能を底上げしたarrows M04 PREMIUMは、こうしてみると、単純にメモリとストレージの容量が大きくなっただけであるにもかかわらず、より多くのユーザーニーズを満たすスマートフォンになったのだと感じる。唯一苦手なのが3Dゲームのような処理の重いアプリだけれど、本気でゲームで遊びたい人以外にとっては、十分に魅力の多いモデルのはずだ。
なかでも個人的には、やはりストレージ容量の倍増のインパクトが大きい。スマートフォンを買い替える理由は、落としたりして壊れたからか、ストレージ不足に悩まされてにっちもさっちもいかなくなったから、というどちらかのパターンが多いように思う。もはや落として壊れることのほぼないarrowsシリーズとしては、弱点はストレージ容量のみ。これが増量されたarrows M04 PREMIUMは、ますます長く使い続けられる愛機となるに違いない。