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富士通の新しいSIMフリースマートフォン「arrows M04」は、前モデルのarrows M03から引き続いて、高耐久で必要十分な機能と性能を備える“マチガイナイ”ミドルレンジ端末だ。M03と比べると基本的なスペックに大きな違いはない。が、デザインや耐久性、使い勝手などの面で変化・進化しているところもある。
一番目立つポイントとしては、やはり泡ハンドソープなどを使って「洗える」スマホであること。……いやしかし、筆者は少し疑問に思っているのである。本当にハンドソープで洗わなければならないほどスマートフォンは汚れるものなのだろうか、と。
たしかに、arrows M04を手に入れてからは毎日、移動の時も、食事の時も、トイレの時も肌身離さず使っているし、それなりに手垢が付くこともあるだろう。けれど、毎晩お風呂スマホもしていて自然ときれいに磨かれているはずだから、汚れているわけがないのである。そう、汚れているわけがないのである(大事なことなので2回言った)。
というわけで、そこのところを確かめるべく汚れ測定器を使ってarrows M04のきれいさ・汚さ具合を調べつつ、その他の進化した“マチガイナイ”ところをチェックしてみよう。
23項目に増えたMIL規格準拠。さらに頑丈に、そして清潔に?
外観がNTTドコモのarrows NX F-01Jに似た、スマートな見た目とは裏腹に、arrowsシリーズでは定番とも言えるスペックとしてMIL規格に準拠し、しかもこれまで以上に耐久性が高まっている。M03ではMIL規格14項目への対応だったところ、arrows M04ではarrows史上最も多い23項目へと増えているのだ。
MIL規格23項目準拠でさらに耐久性能を高めたarrows M04
具体的には、衝撃、熱衝撃、雨滴、氷結、温度変化などについて準拠項目が追加され、より幅広いシーンで安心して使えるようになった。このMIL規格とは別に、IPX5/8の防水性能と、IP6Xの防塵性能も備えていて、浴室での使用にも対応する。頑丈さという面では、1.5メートルの高さからコンクリートに落下させても画面が割れない耐久性能を誇る。
ここまでの頑丈さを備えることができた理由は、中身の構造が変わったことが大きい。本体内部にステンレスフレームを追加し、フロントホルダの肉厚を増したことで、端末全体の剛性をアップさせ、曲げにも強い構造になったという。さらに、ディスプレイ面には耐傷性の高いCorning Gorilla Glass 3を、背面には耐摩耗性のあるウルトラタフガードを施しており、全方位で頑丈さを実現している。
そして、arrowsシリーズでは初めて、食器用液体洗剤や泡タイプのハンドソープを使って洗えるようになったのだ。弱め・常温の水流とともに洗剤を使い、汚れを洗い流すことができる。
ただ、冒頭でも述べたように、スマートフォンは本当にハンドソープで洗うほど汚れているものなのだろうか、という疑問が個人的にはある。もともとスマートフォンはそれほど汚くないのではないか、あるいは汚れているとしても水でサッと流すので十分なのではないか。それを確かめるために今回用意したのが、キッコーマンバイオケミファ製の測定器「ルミテスター PD-30」だ。
驚愕の汚れ測定結果。スマホは本当に便座並みだった!?
PD-30は、生物のエネルギー代謝に必須の物質や、その変成物質を採取し、それを特殊な薬品と反応させることで、存在する菌の量を測定するというもの。要するに、調べたい箇所がどれくらい汚れているのかをチェックする機械だ。
まるで汚(けが)れを知らない純白のarrows M04。今朝もトイレで使ったが、汚れているはずがない
最初に、見た目はきれいな、今朝もいつも通りトイレで使ってきたarrows M04を対象に、ディスプレイ、背面、側面の3箇所をそれぞれ別の専用の試薬キット(水を含ませた綿棒)で拭う。まんべんなく拭った後、試薬キットをPD-30にセットし、計測する。
結果は数値に加え、PD-30にあらかじめ設定した基準値を元にした「合格」「不合格」「要注意」の文字で確認できる。とはいえスマートフォンの汚染度の基準値というのは存在しないため、今回はデフォルトで設定された「1500以下で合格、1501〜3000で要注意、3001以上で不合格」をひとまず採用している。
ちなみに、食品を扱う設備、例えばまな板や包丁、冷蔵庫などにおける汚れの管理基準値(ATP法による管理基準値)は、主にガラスなど平滑面で200以下、樹脂などのざらついた凹凸面で500以下が「合格」とされているようだ。
別の試薬でさらに背面や側面を拭う。それぞれまんべんなく、こすりつけるように
終わったら元に戻し、底の方までぐっと押し込む
初回測定結果(ハンドソープ洗浄前)
測定箇所 | 測定値 | 判定 |
---|---|---|
ディスプレイ | 539 | 合格 |
背面 | 14085 | 不合格 |
側面 | 4095 | 不合格 |
絶句である。タッチ操作で触れることの多いディスプレイ面は意外にもそれほど数値は高くなく「合格」となったものの、背面はその26倍に及ぶ1万4000というぶっちぎりの値を示し、汚れが溜まりやすそうな溝のある側面も4000以上で、いずれも「不合格」とされた。何かの間違いではなかろうか。これらの値が相対的にどれくらい“キタナイ”のか、先に確認する必要がありそうだ。
そこで、「スマホはトイレの便座並みにキタナイ」という話を聞くので、その噂通りに便座を拭ったものも合わせて測定してみた。
便座は貫禄の1万6000超え。なるほど、これはたしかにarrows M04の背面の汚れと同等だ。ヤバい。怖い。スマートフォンは普通に使っているだけで便座並みに汚くなるのだ。これを食事どきに使っていたりするんですか。やだー……。
泡ハンドソープで洗ったら、あら不思議!
気を取り直して、次はこのコキタナイarrows M04を泡タイプのハンドソープで洗ってから測定してみることにする。たっぷり泡をつけて一生懸命洗い、とりあえず背面だけ測定してみた。
中間測定結果(ハンドソープ洗浄後)
測定箇所 | 測定値 | 判定 |
---|---|---|
背面 | 5745 | 不合格 |
5桁ということはなくなったが、それでも5000オーバーで洗う前の側面よりまだ汚い。洗い方が全然足りていなかったかと思い、再び泡ハンドソープで念入りに洗うこと数分、最後にしっかり水で流して改めて3箇所を測定した。
なんということでしょう。必死になってハンドソープで洗ったおかげか、これまでにないくらいピカピカなarrows M04に、なった、気がする
最終測定結果(ハンドソープ再洗浄後)
測定箇所 | 測定値 | 判定 |
---|---|---|
ディスプレイ面 | 538 | 合格 |
背面 | 850 | 合格 |
側面 | 997 | 合格 |
時間をかけて洗ったおかげか、ようやく3箇所とも「合格」のお墨付きをもらうことができた。ディスプレイの数値は洗う前後でほとんど変わらなかったので、ガラスのような平滑面はもともと汚れにくい場所なのかもしれない。背面や側面は大幅にきれいにすることができたが、樹脂製のためか、それでも数値は少し高めのようだ。
先述した通り、食品を扱う施設での食器、調理器具の衛生度の基準値は、平滑面で200以下、凹凸面でも500以下とされている。つまり、普段使いのスマートフォンを食器や食品に接触させると、一瞬で「食べたらアカン」レベルになる可能性が高い。
しかし、ハンドソープでしっかり洗うことで、周辺の汚染はかなり抑えられそうなことがわかった。この結果を見ると、食器用液体洗剤や泡タイプのハンドソープで洗えるかどうかは、今後、スマートフォンの必須性能の1つとなっても良さそうなくらいだ。。ハンドソープ対応は、そういう意味でarrows M04の新たな“マチガイナイ”魅力として注目すべき部分ではないだろうか。
シニアにとっても“マチガイナイ”親切設計、サポート充実スマホ
さすが最新のモバイルデバイスの技術とでも言うべき、日常使用における耐久性能の高さを見せつけてくれたarrows M04。海外のSIMも使えるSIMフリースマートフォンということもあって、それなりに新しいモノ好きの若者向け端末かと思いきや、意外や意外、シニア向けにもさまざまな面で配慮されているのが面白いところだ。
例えばarrows M04を購入すると、「M04 かんたん操作ガイド」という小冊子がついてくる。スマートフォンのごく基本となる操作方法や、電話、SMS、マップなどのプリインストールアプリの使い方なんかが、大量のスクリーンショットとともに丁寧に解説されているものだ。文字も大きめで読みやすく、初めて(SIMフリー)スマートフォンを使う人でも、この小冊子を起点にarrows M04の使いこなし方を覚えていけるだろう。
arrows M04を買うとついてくる小冊子「M04 かんたん操作ガイド」
端末のソフトウェア面でも、シニアユーザーの使いやすさに向けた工夫が盛り込まれている。1つはオリジナルのホームアプリ「ホーム - かんたんセット」だ。大きめのボタンがホーム画面に配置され、電話をかける、メールする、インターネットを閲覧する、カメラ撮影する、といった基本的な機能に迷わずアクセスできるようになっている。
いわば“2階層目”以降のメニュー画面もこのホームアプリ独自のレイアウトとなっていて、よく使う機能がわかりやすくボタン配置されている。「インターネット」については独自のWebブラウザーが起動し、こちらも大きめのボタンで操作のしやすさを追求している。単に見せかけの“ガワ”だけ変えているのではなく、きちんと日常の使い勝手を考えてこだわって作り込んでいると感じる。
文字などの見やすさについては、arrowsシリーズ独自の機能として用意されている「いつでもズーム」や「はっきり文字」を活用したい。「いつでもズーム」ではどのアプリを使っていても画面をズームインして大きく表示でき、「はっきり文字」ではシステムやアプリ全体の文字サイズ・太さを素早く変えられる。文字や画像が小さすぎて読みにくいWebサイトも、タップ一発で解決できるはずだ。
いつでもズーム
はっきり文字
SIMフリースマートフォンでここまでシニアに適した機能やサポートサービスをもつ端末は、他にはなかなかないだろう。コストパフォーマンスの高いスマートフォンがほしい若者から、セカンド端末で仕事の効率を高めたいビジネスマン、できるだけ親切設計のスマートフォンがほしいシニアの方まで、あらゆる層に“マチガイなく”フィットする一品だ。
これ以外にも、細かいところを挙げれば“マチガイナイ”ポイントはキリがないほどある。災害時の情報収集にも便利なワンセグが内蔵アンテナで視聴できること、おサイフケータイ(FeliCa)とNFCに対応していること、カメラが広角になって、「ゼロシャッターラグ」で体感的にもシャッターが軽く、スピーディーになったことなどなど……。
arrows M04は純粋な国産端末であり、多数のMVNOからセット端末としても販売されていることから、万が一不具合や故障などのトラブルがあった時でもサポート窓口を利用しやすいのも大きなメリット。修理依頼やトラブルシューティングなど相談事なら年中無休の相談窓口が利用できるし、引き取り修理が必要になったときは、「スピード交換サービス」(有償)で代替機を届けてもらえるのもうれしいところだ。
高い耐久性と充実のサポートに加え、格安SIMを扱うMVNOから購入できる端末ということで月々の利用料金も安く上げられるarrrows M04は、費用を気にするユーザーはもちろん、スマートフォンに慣れていない高齢者も安心して使える端末だろう。
本当はキタナイかもしれない本体を、ハンドソープで洗って清潔に保っていられる設計も、より安心感を高める部分に違いない。自分用のスマートフォンとして、あるいは両親におすすめする端末として、あらゆる面で安心できるarrows M04は改めて“マチガイナイ”1台と言える。
基本のカラバリとなる「White」と「Black」
特定のMVNO限定のカラバリもリリース。左から「Gold」(楽天モバイル限定)、「Denim Blue」(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ、IIJmio限定、2017年8月現在)、「Green」(mineo限定)