久々のarrows Tabは虹彩認証対応

よりタフネス・ハイスペック・薄型に進化した「arrows Tab F-04H」

2016/08/04 | 鈴木友博

NTTドコモの2016年夏モデルとして、富士通コネクテッドテクノロジーズ製のAndroid 6.0搭載タブレット「arrows Tab F-04H」が7月29日に発売された。富士通のドコモ向けAndroidタブレットとしては、2014年11月発売の「arrows Tab F-03G」以来、約1年9カ月ぶりとなる新作の登場だ。

久々の最新タブレットとあって、F-04Hはさまざまな面で進化を遂げている。まず、スマートフォンのarrow NXシリーズではおなじみの虹彩認証に、タブレットとしては世界で初めて対応したほか、よりタフネス、ハイスペック、薄型に進化。現時点で販売されているAndroidタブレットとしては、最高峰といえる仕上がりになっている。

今回は、前機種のF-03Gからの進化点を中心に、F-04Hの魅力を紹介していきたい。

虹彩認証に対応した10.5インチのAndroidタブレット「arrows Tab F-04H」

薄型ながらMILスペックのタフネス性能を備えたタブレット

まず、F-04Hを手にして気づくのが、ボディが側面を含めてフラットな形状に変わったことだ。歴代のarrows Tabは側面が丸みを帯びていたが、F-04Hでは側面もフラットになり、直方体をスライスしたような形状になった。さらに厚さは、F-03Gの約8.5mmから約6.8mmへと約20%薄型化。まさに”1枚の薄い板”という印象だ。

側面から丸みがとれたことで気になるのが持ちやすさだが、背面がマットな質感で手になじむため、持ちにくさは感じられない。また、薄型化で懸念されるのが耐久性だが、タフネス性能は従来機種と比べて、さらに向上している。

arrows Tabといえば、防水対応がひとつの特徴であり、風呂場やキッチンなど水回りでも気軽に使えることが魅力だった。それが、このF-04Hでは、防水(IPX5/8)、防塵(IP6X)対応はもちろん、米国国防総省の規格(MILスペック)のうち耐衝撃、耐振動、高温・低温動作など、14項目に準拠した高耐久設計を採用。キャンプや山登りといったシーンでも安心して使える、薄型ながらタフなタブレットとなっている。

側面も含めてフラットな形状になり、厚さは約6.8mmと薄型化

背面は手になじみ、触り心地のよいマットな質感に仕上げられている

横持ち、縦持ちのどちらも持ちやすく感じる

タブレットでは世界初となる虹彩認証対応

F-04Hで見逃せないのが、タブレットでは世界初となる虹彩認証機能「Iris Passport」の搭載だ。黒目の瞳孔の外側にあり、1人ひとりパターンが異なる”虹彩”を用いた生体認証機能となっていて、同社のフラグシップスマートフォンのarrows NXシリーズでもおなじみ。ロック画面を表示すると赤外線カメラが起動し、両目の位置にカメラを合わせるだけで、瞬時にロックを解除することができる。

実際に使ってみると、認識速度は体感的にはほぼ一瞬で、スマートフォンの指紋認証にも引けをとらず、ストレスを感じることはない。さらに、認証するたびに虹彩情報をアップデートし、精度を向上させる学習機能を搭載しているため、使い続けることでより快適に利用できそうだ。

また、通常ロック画面を表示するには、端末の電源ボタンを押す必要があるが、あらかじめ設定画面の画面表示項目で「タッチでON」を有効にしておけば、消灯している画面をダブルタップするだけでロック画面を表示でき、簡単に虹彩認証によるロック解除ができるのもポイントだ。

なお、F-04Hでは、虹彩認証が搭載された一方で、F-03Gなどの従来機種に搭載されていた指紋センサーは省かれている。虹彩認証と指紋認証のどちらが便利かは、好みによっても分かれるところだが、指紋認証の場合、指先が濡れていたり、汚れているときに、うまく認識されないことがあるのを考えると、日常的に使う上では虹彩認証がやや有利といえそうだ。

ちなみに、虹彩認証はロック解除以外にも、標準パスワードマネージャーと連携して利用することが可能だ。WebサービスやアプリのID、パスワードをあらかじめ登録しておくと、虹彩認証を経て、パスワードマネージャーからワンタッチでIDやパスワードを入力できる。Webブラウザーにはパスワード保存機能を備えているものもあるが、虹彩認証を必要とする標準パスワードマネージャーは、ショッピングサイトなどのWebサービスでもより安全に利用することができるだろう。

虹彩認証機能「Iris Passport」を搭載し、両目の位置にカメラを合わせるだけでロックを解除できる

消灯している画面をダブルタップしてロック画面を表示し、すばやく虹彩認証でロック解除することも可能

標準パスワードマネージャーに登録したIDやパスワードを、虹彩認証を使ってログイン画面でワンタッチで入力できる

滑り止め構造により、壁に立てかけて使える

そのほかの特徴として、F-04Hでは左右の側面および底部に各2カ所、計6カ所に滑り止め構造「grip edge」を採用している。この滑り止め構造により、縦置きでも横置きでも手軽に端末を壁に立てかけることができ、手ぶらで快適に操作することが可能。とりわけ、長時間の読書や動画視聴などに最適だ。

また、角度を4段階で調節できる卓上スタンドも同梱されており、シーンに応じて、壁への立てかけと卓上スタンドを使い分けることも可能。Bluetoothキーボードを接続すれば、文書作成なども捗りそうだ。

左右の側面と底面の各2カ所、計6カ所に滑り止め構造を備えている

端末を壁に立てかけて、手ぶらで読書や動画視聴などができる

あらためて、F-04Hのスペックを確認しておくと、ディスプレイは約10.5インチのWQXGA(2560×1600ドット)の有機EL、OSはAndroid 6.0を採用。チップセットはSnapdragon 808(MSM8992、CPU:1.8GHz×2と1.4GHz×4、ヘキサコア)、メモリは3GB、ストレージは32GB。外部メモリは最大200GBのmicroSDXCカードに対応する。

通信面では、ドコモのPREMIUM 4Gをサポートし、下り最大262.5Mbpsに対応。音声通話には非対応。無線LANはIEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4/5GHz)に対応し、Bluetooth 4.1、NFCをサポートする。

カメラ機能はアウトカメラが約810万画素、インカメラが約240万画素。ワンセグ/フルセグにも対応し、視聴はもちろん録画も可能。バッテリーは6000mAhとなり、連続待受時間はLTEで約970時間、3Gで約1080時間。サイズは約175×266×6.8mm、重量は439g。カラーはBlackとWhiteの2色。

家族みんなで使えるマルチユーザー対応

ところで、タブレットを購入するなら、自分1人だけでなく、家族全員で使いたいと思っている人も多いだろう。前機種のF-03Gでは、ログインしたユーザーごとにホーム画面のインターフェイスを自動的に切り替えるという”マルチユーザー風”の機能が搭載されていたが、F-04Hでは本格的なマルチユーザー機能を搭載している。

最大8人のユーザーを登録でき、メールやWeb履歴、設定やアプリのデータなどを別々のストレージ領域に保管可能。ロック画面に表示されるアイコンをタップしてログインでき、それぞれが虹彩認証を設定することもできる。

また、子どもが使えるアプリや、タブレットを利用する時間帯、1日の利用時間などを保護者が制限できるペアレンタルコントロール機能を備えるほか、子ども向けの「NX!ホーム(キッズ)」、初心者向けの「NX!ホーム(かんたん)」という操作が簡単なホーム画面も標準搭載。子どもからシニアまで、家族みんなで安心して使える1台となっている。

最大8人のユーザーを登録できるマルチユーザー機能を搭載

ユーザー登録時に"制限あり"を選択すると、使えるアプリや利用時間帯、1日の利用時間を保護者が制限できる

初心者でも使いやすいホーム画面「NX!ホーム(かんたん)」が用意されている

グッとくる要素が詰まった最新arrows Tab

満を持して登場したarrows Tab F-04Hは、一歩先を行く虹彩認証に対応したほか、この夏のアウトドアでも活躍しそうなMILスペック準拠のタフネス性能を備え、前機種のF-03Gから充実の進化を遂げている。また、端末を壁に立てかけられる滑り止め構造や、家族みんなで使えるマルチユーザー機能を採用するなど、タブレットならではの魅力も実感できる。

これまでタブレットを欲しいと思いながら躊躇していた人や、タブレットの買い替えを検討していた人にとっては、グッとくる要素が存分に詰まった1台だといえそうだ。ぜひ、店頭などで、その完成度を確かめてみてほしい。

arrows Tab F-04H