法人向けスマホの「違いが出る」ポイントはコレだ! Wi-Fiハンドオーバー性能が高い「ARROWS M357」で現場のストレスを低減

2017/10/02 | 清水理史

オフィス内の内線通話や病院内の電子カルテ連携、倉庫内での業務など、スマートフォンを構内の移動端末として使う事例が増えてきた。

そんな環境で、今、問題視されるようになってきたのが端末の「ハンドオーバー性能」だ。構内を自由に行き来するスマートフォンは、構内に複数配置されたアクセスポイントを次々とつなぎ換えながら通信を維持し続ける。しかし、その「つなぎ換え(ハンドオーバー)」が得意な端末と苦手な端末が存在することは、あまり知られていない。

ハンドオーバー性能がいかに重要かを法人向けAndroidスマートフォン「ARROWS M357」を例に見ていこう。

ビジネス利用の構内スマホでありがちな「Wi-Fi切断」、その原因とは

「移動中に音声が途切れることがある・・・・・・」

「特定の場所で相手の声が聞き取りにくくなる・・・・・・」

スマートフォンを構内の内線システムとして利用する法人が増えてきたが、その現場で増えつつあるのが、このような悩みの声だ。

外出先での利用と異なり、構内でスマートフォンを利用する場合は、そのネットワークとして、構内に張りめぐらされたWi-Fiネットワークを利用する。一般的な家庭や小さなオフィスであれば、1台のアクセスポイントですべてのエリアをカバーできることが多いが、さまざまな部署がデスクを並べる広いオフィス、複数フロアに広がる病院、広大な倉庫などでは、通常、複数台のアクセスポイントを設置することで、広いエリアや複数フロアをカバーする。

こうした環境では、スマートフォンが移動する際、接続先のアクセスポイントを次から次へとつなぎ換えながら通信を維持する。これが「ハンドオーバー」だ

オフィスなど広い範囲をカバーするWi-Fiでは、移動時に接続先のアクセスポイントをつなぎかえ(ハンドオーバー)ながら接続を維持する

ハンドオーバーは、スマートフォンやPCなど、Wi-Fiに対応した機器が広く対応する技術だが、実はその性能にバラツキが多い。

機器によっては、いつまでもつなぎ換えずに遠いアクセスポイントとの通信を維持しようとしたり、タイミングは適切なもののつなぎ換えに時間がかかったりと、いろいろな「クセ」があり、それが「切れる」「途切れる」「聞き取りにくい」「つながらない」などのさまざまなトラブルへと発展する可能性があるわけだ。

内線通話中に急に音声が途切れ、耳から端末を外して画面を確認する、といったシーンをよく見かけるが、こうした現象の多くは、実は「アクセスポイント間のつなぎかえ=ハンドオーバー」がうまくできていないことが原因と考えられる

ハンドオーバー性能が低い端末の場合、つなぎかえのタイミングが悪かったり、つなぎかえ自体に時間がかかり、場所によっては通信が切断されることがある

ハンドオーバーがイマイチだとインフラの不調やバッテリートラブルにも

こうしたハンドオーバーの問題は、実際にスマートフォンを利用するユーザーだけでなく、オフィスや病院、学校などに、自社のソリューションを販売するSIerを悩ませる大きな原因ともなっている。

たとえば病院などでは、従来のPHS内線に代わり、スマートフォンとWi-Fiを利用した内線システムが採用されるケースが増えているが、こうした端末を電子カルテと連動させたり(患者の識別コードを読み取ることで処方内容などを確認できる)、ナースコールと連携させたりと(どの患者が呼んだかが端末に表示される)、新たなソリューションとして提供するSIerも増えてきた。

こうしたケースでは、すでに構内に設置されたWi-Fi環境を利用して、自社のソリューションが適切に動作するようにしなければならないが、端末側のハンドオーバー性能が低いと、リアルタイムに情報を伝達できず、自社ソリューションの品質を維持するのに苦労する場合も少なくない

読者の中にも、こうした業務を請け負っていたり、Wi-Fiの設計やスマートフォンの納品などのインフラの提供に携わっていたりする人も少なくないかもしれないが、自社のシステムや製品がWi-Fiの問題によってうまく動作しないことに悩まされた経験が一度や二度はあることだろう。

問題を解決するためには、Wi-Fiシステムに手を加えたり、端末側のハンドオーバー処理を自社開発でカスタマイズしたりしなければならないが、その労力やコストをすべて請求できるわけではないことも大きな悩みだ。

こうした悩みは、病院だけでなく、オフィスや学校、倉庫など、Wi-Fiインフラを前提としたソリューションに共通するものだ。

また、ハンドオーバー性能は、端末の生命線とも言えるバッテリー性能にも少なからず影響を与える

ハンドオーバーが「上手」な製品は、現在のアクセスポイントと次のアクセスポイントの電波状況を適切に把握し、最適なタイミングで、素早く接続先を切り替える。

一方、「下手」な製品は、電波状況が悪くなった遠くのアクセスポイントをいつまでもつかみ続けるおかげでデータの再送が頻繁に発生したり、次につなぐアクセスポイントを探すのに時間がかかったり、ほんのわずかな差なのにせっかく掴んだアクセスポイントをムダにつなぎ換えようとしたりと、とにかく「つなぎかえ」にムダが多い。

こうした処理は、当然、バッテリーのムダな消費につながるうえ、CPUにも余計な処理を強いることになる。「アプリの導入によってバッテリー性能が落ちた」というクレームをよくよく調べてみたら、実は端末のハンドオーバー性能の低さが原因だったというのも、意外によくある話だ。

端末のハンドオーバー性能が低いと、各種ソリューションにアプリがつながらない、バッテリー消費が速い、処理が遅いといった影響が出ることもある

ハンドオーバーの重要性にいち早く目を付けた「ARROWS M357」

では、こうした問題をどう改善すればいいのだろうか?

答えは単純だ。ハンドオーバー性能の高い端末を利用すればいい。

たとえば、富士通が発売している法人向けスマートフォン「ARROWS M357」は、一般的なオフィスでの利用だけでなく、病院や倉庫などでの導入事例も多い端末だが、こうした豊富な導入実績から得られたフィードバックから、早い段階からハンドオーバー性能の重要性に着目し、独自の技術でその性能を磨き上げてきた1台となっている

富士通の法人向けスマートフォン「ARROWS M357」

まず、大前提として高速ハンドオーバー規格の「IEEE802.11r(事前にネゴシエーションを実施し高速なつなぎ替えなどを可能にする規格)」に対応している。内線電話などに利用するためには、必須の規格と言えるが、家庭向けのスマートフォンや法人向けでも古い端末などは対応していない場合もある。せっかくアクセスポイント側がIEEE802.11rに対応していても、端末側が対応していなければその環境を活かすことができないが、ARROWS M357なら、そんな心配は不要だ。

ARROWS M357ではそれに加え、ハンドオーバー性能を徹底的にチューニング。通常、OSの機能をそのまま利用されがちなハンドオーバー機能を富士通独自の技術によって大幅にカスタマイズし、設定を細かく調整可能としている。

ハンドオーバーの特性を変更することで最適なタイミングでつなぎかえが可能になっている

ユーザー自らが選択できる簡易な3段階のハンドオーバー設定も「設定」画面に用意されているが、さらに開発者向けに特別な設定画面も用意されており、これを利用することで(別途契約が必要)、別のアクセスポイントを探すタイミングや周期、切り替えタイミングなど、Wi-Fiハンドオーバーに関する細かな値が変更可能になっている。

建物の種類や広さ、用途など、敷設されるWi-Fiネットワークは環境によって異なるため、従来のOSまかせのハンドオーバーでは、どうしても対応しきれない環境が出てきてしまうが、ARROWS M357なら環境に合わせて端末側の設定を調整可能ということになる。

先にも触れたように、既設のWi-Fiネットワークを前提に、スマートフォン向けのソリューションを提供するSIerなどでは、自社ソリューションが適切に動作しない原因がWi-Fiにあったとしても、そこに手を入れることは難しかったが(アクセスポイント増設などをお願いする必要があった)、ARROWS M357を端末として一緒に提案すれば、こうした既設のWi-Fiの課題に悩まされる可能性も低くなるわけだ。

さらに、使い続けるほどに環境に適応する「賢さ」も備えている。環境を学習して動作するように設計されているため、接続先のアクセスポイントを選択するアルゴリズムが使い続けるほどに賢くなり、高速かつ確実なハンドオーバーを実現することが可能となっている

最初の設計だけでなく、運用開始後も安定したハンドオーバー性能が期待できるのは、他の端末にはないARROWS M357ならではの特長と言えるだろう。

端末の「設定」でユーザー自らが簡単にハンドオーバータイミングを変更できる

これからの法人スマホは「ハンドオーバー」性能が決め手に

このように、「ハンドオーバー」性能は、今後、スマートフォンの構内利用がますます増えることを考えると、これからの法人向けスマートフォン選びの重要なポイントとなりそうだ。

現状、Wi-Fiが「きれる」、「つながりにくい」といった問題で悩んでいる場合は、アクセスポイントの増設などだけでなく、ARROWS M357のようなWi-Fi性能の高い端末への入れ替えを検討してみるといいだろう。

また、Wi-Fi環境での各種ソリューションを提供しているSIerにとっても、ARROWS M357は魅力的な端末だ。自社のソリューションと組み合わせて提案することで、さまざまなWi-Fi環境に柔軟に対応できるうえ、より安定したWi-Fi環境で自社ソリューションを稼働させることができる。環境に合わせて自社ソリューションを個別にカスタマイズする場合と比べても、遙かに低コストなうえ、スピードもアップするため、メリットは大きいだろう。

Wi-Fi環境での利用がメインだからと、低価格な端末や型落ちの家庭向けスマートフォンを使うのは避け、むしろWi-Fi環境にこそ強いARROWS M357を選ぶべきだろう。