従来型のフィーチャーフォンは、スマートフォンが主流の現在でも安定した人気を誇るジャンルの端末だ。物理テンキーによるなじみやすい文字入力やバッテリーもちの良さ、シンプルな使い勝手が支持され、今なお新製品が投入されている。
そんなフィーチャーフォンの中でも、主にシニア層が安心・安全かつ快適に使えるように独自の機能を盛り込んだ製品が、富士通の「らくらくホン」シリーズだ。NTTドコモが12月14日に発売した同シリーズ最新モデル「らくらくホン F-02J」(以下、F-02J)では、さらに使いやすさや性能に磨きがかかり、子どもや孫と密に、スムーズに交流したいシニア層は特に満足できる仕上がりとなっている。
「らくらくホン F-02J」
手になじむデザインと頑丈なボディ
近年のスマートフォンは5~5.5インチサイズの画面が多い。大きなディスプレイは見やすいが、その分ボディも大型化しているため、片手での操作が難しい。一方、F-02Jの大きさは約111×52×16.7mmと、片手で余裕で持てるサイズ感だ。
重さも約129gで、軽量化の進むスマートフォンと比べても遜色ない。フィット感の良さも相まって、不意に落とす心配もないだろう。また、近年の富士通製端末で採用されている14項目のMIL規格に準拠し、IPX5/8相当の防水、IP5X相当の防塵性能も備えているので、あらゆるシーンで使えるのも特長となっている。
幅は約52mmとコンパクト。折りたたみ時、展開時、どちらでもしっかりホールドしやすい
5インチクラスのスマートフォンと比較してもコンパクトさが際だつ
背面には約1.2インチのモノクロSTN液晶。現在時刻やカウントした歩数を表示してくれる
側面にはデータのやりとりや充電用のMicro USBポートを備える
従来通りのらくらくな使い勝手
今回のらくらくホンは、機能やスペックをアップさせつつも、ユーザーインターフェースなどは従来通り、らくらくホン使いやすいポイントを踏襲している。3インチのディスプレイは今時のスマートフォンと比べると小さく感じるかもしれないが、文字サイズは大きめで、メニュー構成もシンプルでわかりやすい。初めて携帯電話に触れる人、小さな文字の判読が難しい人でも、迷うことなく使いたい機能を呼び出せるはず。アプリストアには非対応でありながら、電卓や辞書、拡大鏡、歩数計など実用的なツールが多数揃っているので、日常使用で困ることはないだろう。
視認性に配慮した高輝度なディスプレイを採用しており、屋外のように明るい場所でも文字や画像が見やすいのもポイントだ。また、トグル入力で文章や電話番号を入力したり、カメラ機能や通話の発着信履歴をボタン1つで呼び出したりといった、フィーチャーフォンらしい手軽さも健在。スマートフォンでは手こずりがちな操作も、F-02Jならすんなりとマスターできるだろう。
画面に表示される文字サイズは大きめ。フォントは文字の判別がしやすい「UD新丸ゴシック」を使っている
本体の[決定]キーを押すと、目覚ましやボイスレコーダーなど便利なツールを集めたメニューが表示
物理キーは適度な出っ張りがあって押しやすい
こだわり抜いた音声通話機能で、お互いの声が聞き取りやすく
F-02Jは、携帯電話におけるコミュニケーションの基本である、音声通話機能にも力を入れている。NTTドコモの高音質音声通話サービス「VoLTE」に対応しているだけでなく、富士通独自の技術を盛り込んでおり、より快適に通話しやすくなっている。
具体的には、周囲の騒音を検知すると相手の声を強調・補正する「スーパーはっきりボイス4」、同じく周囲の騒音を抑え、自分の声をクリアにする「スーパーダブルマイク」、相手の話す速度が遅く聞こえるように変換してくれる「ゆっくりボイス」といった機能を採用している。
通話中に本体に配置された専用のボタンを押すと、「ゆっくりボイス」の有効・無効の切り替えを行える
「ゆっくりボイス」のボタンは本体側面に装備
さらに、ディスプレイ下部には3つの「ワンタッチダイヤルボタン」を備え、あらかじめ各ボタンに1件ずつ連絡先情報を登録可能。各ボタンを押すだけですぐに電話の発信やメールの作成に取りかかることができる。家族や友人、かかりつけの病院など、よく連絡する相手の情報を登録しておくと、より有効に使える機能だ。
ディスプレイ下部には「ワンタッチダイヤルボタン」が設けられている
「ワンタッチダイヤルボタン」を押すと登録した連絡先情報が表示され、電話の発信、メールの作成がすぐに行なえる
スマホに近い機能が使える「LINE」アプリがプリインストール
従来のフィーチャーフォンを利用するうえで不便に感じる点と言えば、今やコミュニケーションツールとしておなじみの「LINE」が提供されていなかったり、されていても使いにくいことだろう。しかしF-02Jには、スマートフォン版に限りなく近い機能をもつ専用の「LINE」アプリがプリインストールされている。
トーク画面ではテキスト、スタンプなどを使った交流を楽しめる
スマホ版アプリと同様、QRコードや「ふるふる」機能などで友だちを追加できる
画面操作は物理キーでカーソルを動かし、決定キーでクリックするという違いはあるものの、見た目はスマートフォン版とほとんど同じ。テキストやスタンプ、音声通話でコミュニケーションを取れたり、タイムラインに投稿できたりと、機能面での違いはほとんどない。テンキーによる文字入力時には日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS for らくらく」が使え、効率的に日本語変換。テキスト入力が苦手な人もがっちりアシストしてくれるので、ストレスなく、会話に集中しやすい。
登録単語数が豊富な「Super ATOK ULTIAS for らくらく」
ただし、F-02JのLINEアプリではスタンプショップは利用できず、初期状態で用意された4種類(2016年12月時点)のもの以外は無料・有料関わらず購入できない点には注意したい。公式アカウントを友だちに追加するともらえる無料スタンプのURLを相手から送ってもらうか、プレゼントとして受け取る形であれば追加できるので、シニアの親を持つ人は積極的に協力して、スタンプでトークをにぎやかに盛り上げれば、親子の絆がもっと深まるかもしれない。
初期状態で利用できるスタンプは4種類
スタンプのダウンロード自体は可能なので、プレゼントやURL共有でスタンプを増やそう
ガイドに従うだけで簡単にメール送信
フィーチャーフォンとしては基本のメール機能も、らくらくホンならではの親切設計となっている。メールを作成・返信する際はテキスト、写真、動画、位置情報など、どんなコンテンツを相手に送りたいのかを選んでいく手順で、ユーザーが操作に迷わない工夫が施されている。先述のSuper ATOK ULTIAS for らくらくによる文字入力のサポートもあり、従来型のフィーチャーフォンよりも気軽にメールを送れるだろう。
メニューから自分のしたいことを選んでいくだけでメールが作れる
メールに添付する写真や動画を選ぶ際は、端末内に保存しているファイルを選べるだけでなく、その場でカメラ撮影することも可能だ。F-02Jはらくらくホンシリーズ最新作ということもあり、有効画素数は810万画素とカメラ性能も進化。被写体へのピント合わせや、人物や風景などシーンに応じた色合い調整もF-02Jが自動で行なってくれるため、単純にシャッターを切るだけでキレイな写真を撮れる。
撮影はカメラを被写体に向け、決定キーを押すだけ。周囲の光量などを気にする必要は一切ない
最大約6倍のズームも可能
スマートフォンで撮ったキレイな写真・動画もスムーズに閲覧
古いフィーチャーフォンだと、スマートフォンで撮影した高画質な動画や写真を受け取っても正しく再生できないことがあった。しかし、フルワイドVGAディスプレイ(480×854ドット)を採用したF-02Jなら、子どもや孫がスマートフォンで時々送ってくる写真も、元の画像の美しさを維持したまま受信・閲覧できる。
通信速度は下り最大112.5Mbps。そこそこ容量の大きな動画でも時間をかけずにダウンロード可能だ。内蔵ストレージは8GBと少なめながらも、最大32GBまでのmicroSDHCカードが利用できるので、撮影したり受信したりした写真・動画が増えても、気にせず使い続けられるだろう。
メールに添付された写真・動画ファイルを選択すると、その場で動画の再生や写真の表示を行う
添付された動画は、一時停止や音量を変更するといった操作をしながら視聴できる
LINE経由で届いた写真・動画もキレイな状態で閲覧可能
振り込め詐欺対策もOK。緊急時には警報も鳴らせる
シニア層の親を持つ子としては、両親が振り込め詐欺などの電話にきちんと対処できるかどうか、心配になる時があるだろう。そんな時でも、「迷惑電話対策機能」を備えたF-02Jなら安心だ。同機能を有効化すると、電話帳に登録されていない電話番号から着信があった際、相手に迷惑電話防止のために通話内容を録音する旨を知らせ、けん制してくれる。そのまま振り込め詐欺の通話が続いたとしても、録音内容を周囲の人に聞かせて相談できるため、被害に遭う前に対処することもできる。
「迷惑電話対策機能」を有効化し、電話帳未登録の電話番号から着信があると相手側にガイダンスが流れる
内容を録音しつつ通話できる
通話終了後は、内容を録音したことや相談を促す文言を大きく表示
電話帳に記録していない電話番号に発信しようとしても注意してくれる
らくらくホンに搭載していた警報機能「ワンタッチブザー」ももちろん備えている。本体底部に配置されたスイッチを右側にスライドさせると、大音量の警報を鳴らし、周囲に異常を知らせる機能だ。あらかじめ連絡先を指定しておけば、警報が鳴ると同時にその相手に自動で電話を発信、緊急事態であることを知らせることができる。急病になった時やトラブルに遭遇した時に備え、ぜひ設定しておきたい機能だ。
「ワンタッチブザー」のスイッチは本体底部にある
新料金プランでおトクな運用。帰省時に両親におすすめしたい
F-02Jのドコモオンラインショップでの本体価格は4万824円(税込)。通信料金から24カ月間割引される月々サポートを適用した場合の実質負担額は、新規契約・機種変更で2万8512円(税込)、MNP(携帯電話番号持ち運び制度)で転入すれば実質負担額は0円となる。今や10万円に届くほどになった高価なスマートフォンと比較すればF-02Jの本体価格は控えめで、料金プランも安価なものが用意されているので、導入のハードルはそれほど高くなさそうだ。
毎月の利用料金は、10月から新たに提供されている基本プラン「カケホーダイライトプラン(ケータイ)」とパケット定額サービス「ケータイパック」、そしてspモードの使用料である月額300円(税別、以下同)を合算したものになる。「カケホーダイライトプラン(ケータイ)」は月額1200円で、1回あたり5分以内なら通話し放題。「ケータイパック」は使用したデータ通信量により月額が300円~4200円の間で変動する。
データ通信量を月間約10MBまでに抑えられれば、「ケータイパック」が最安の月額300円になるので、それらの合計で月額1800円で運用するのも可能。月間10MBというと、数分の動画を1つダウンロードするだけでも到達してしまいそうだが、IEEE 802.11b/g/nに対応するWi-Fi接続をうまく活用すれば、通信量はセーブできるだろう。
※料金や本体価格は2016年12月現在のものです。
誰でも安心かつ手軽に使えるよう、隅々まで配慮が行き届いた作りが特長のF-02Jは、まさに“らくらく”を体現した製品。維持費も工夫すれば低く抑えられるので、従来型のフィーチャーフォンを買い替えたい、もしくは携帯電話を使ってみたいと思っているシニアを親に持つ読者の皆さんは、互いの安心感を高めるためにも、年末年始の帰省時にF-02Jを買い替え候補の1つとしておすすめしてみてはいかがだろうか。