今年ももうすっかり秋の空気。秋といえば食欲、食欲といえば北海道ってことで、突然だけれど、
うまいものを食べに北海道へ行きたくなった。
でも、ただ行って・食べて・帰るだけなんてつまらないなあ......と思って手元を見れば、ARROWS NX F-06E(以下ARROWS NX)があるではないか。じゃあ、これだけを持って北海道に行ったら、どんなに満喫できるんだろうと、ふと思った。
折しも2013年6月には、JR北海道の交通系ICカードサービスであるKitacaと、JR東日本のSuica(モバイルSuica)などが相互利用を開始したばかり。ARROWS NXはおサイフケータイ機能があるから移動や買い物に困ることはないだろうし、要所の写真撮影も1630万画素のカメラできれいに撮れる。お店探しはWeb、道案内はナビ機能を使えばいい。バッテリー容量が3020mAhもあれば、旅行中も電池切れを気にせず使えそうだ。
ARROWS NXだったら余裕で北海道丸ごと楽しめちゃうんじゃないの?
なんて軽い考えで、1泊2日の北海道うまいもの旅を、ARROWS NXだけで思う存分堪能しつつ完遂してしまおうというプランをぶち上げたのである。
※記事中の写真は(*)マークの付いたものがデジタルカメラで、それ以外はすべてARROWS NXを使って撮影しています。必要最低限のマスク処理、トリミング、リサイズ処理を行っていますが、画質調整は行っていません
旅の準備をしよう
妻から「そうは言っても一応現金は持って行くんでしょ?」なんて訊かれた日には、ARROWS NXだけでやると決めた手前、現金もクレジットカードも持って行かない! と意地を張りたくなるというもの。大容量バッテリーのARROWS NXだから、モバイルバッテリーも充電用USBケーブルも必要はない、はず。
しかし、社会人の最低限のモラルとして、身分証明書となる運転免許証と万が一の際の健康保険証、クサくなった時の替えのポロシャツ1枚とトランクス1枚、汗拭き用のハンドタオルは持って行くことにした。あと、旅行中の写真はすべてARROWS NXで撮影するつもりだけれど、こういう記事にする以上ARROWS NX自体も撮影する必要が出てくるので、コンパクト一眼カメラも携帯する。これらを小さめのショルダーバッグに入れて持ち運び、あくまでも"極限まで身軽に"というコンセプトを貫きたい。
で、東京の羽田空港と北海道の新千歳空港との往復航空券は、さすがにおサイフケータイでは買えないので、あらかじめANAのスマートフォンアプリ上でクレジットカードを使って購入しておいた。ANAの場合は「SKiP登録」しておくことで、空港でのチェックインが必要なくなり、ARROWS NXをかざすだけでゲートを通過できるようになるのだ。
電子マネーはプリペイド型の「モバイルSuica」、「楽天Edy」、「nanaco」の3種類を使うことにする。それぞれにクレジットカードをひもづけているので、残額が不足してきたらARROWS NX上で電子マネーに"チャージ"すればいいだけだ。
旅の1日目、宿泊先は確保できていない
【1日目 午前】
9月7日土曜日午前7時ちょうどに、ARROWS NXを充電器から外して自宅を出発。あまりの身軽さにさっそく不安を覚える。現金もカードも持たずに遠出するなんて生まれて初めてじゃないだろうか。もし電子マネーが使えなかったら......もしバッテリーが切れたら......なんて考え始めると、なんだかお腹のあたりがむずむずしてくる。自宅からはバスに乗り、京王線、山手線、京浜急行と乗り継いで羽田空港へ向かう。当然ながら、すべてモバイルSuicaでOKだ。
さて、準備万端のつもりの北海道旅だけれども、実は懸念していることが1つだけある。それは宿泊先。飛行機は予約できたものの、ホテルの予約がいまだに取れていないのである。電子マネーを使えるホテルが極端に少ないのも理由の一つだが、他のホテルにしても空室がほとんどなく、もしあったとしてもかなり高額。札幌市内だけでなく、小樽まで範囲を広げてみてもまず空室が見つからない。
夏休みでもないのにどうなっているのか、北海道。
このままでは最悪野宿になりかねない。
空港に到着したら、ANAの「SKiP」サービスを利用して、荷物を預けずに、直接保安検査場へ向かってARROWS NXをかざしゲート通過。待合室まで来るともう引き返せないと覚悟も決まり、飛行機を眺めながらモバイルSuicaで買った飲み物で喉をうるおす余裕まで出てきた。しかし頭の中は宿泊先をどうするかでいっぱいだ。
【1日目 午後】
新千歳空港に着き、JRに乗って札幌方面へと向かう。Suicaなどとの相互利用を開始したKitacaで、新千歳空港から小樽、もしくは岩見沢や苫小牧まで行くことができるようだ。宿泊先が心配ではあるけれど、まずは"うまいもの"で腹ごしらえ。電車の中で電子マネーを使えるお店を検索し、JR白石駅の近くにスープカレー屋を発見。駅を降りて「マップ」のナビ機能を使い、徒歩でお店を目指す。
再びナビ機能を使って歩き、地下鉄東西線で大通り公園へと移動する。札幌市の地下鉄は「SAPICA」という交通系ICカードサービスを導入しており、こちらもKitacaその他と相互利用が可能になっているのだ。
ホテル全滅の理由がついに明らかに! そしてまさかの車中泊......
さて、改めてアプリでホテルを探してみるも、1泊2~4万円の高価なところばかりがヒットする。電子マネー対応のホテルは、「JRタワーホテル日航札幌」、「アパホテル」、「コンフォートホテル札幌南3西9」あたり。「JRタワーホテル日航札幌」は値段が合わず、他2種類のホテル(アパホテルは数軒ある)は電話で問い合わせても空室なしとのつれないお返事。
なぜこの季節にこんなに混んでいるのだろうか。その理由は真駒内にあった。
ちょうどこの北海道旅と重なる9月6日から8日まで、今や全国区となったテレビ番組「水曜どうでしょう」のお祭り、「水曜どうでしょう祭り UNITE 2013」というイベントが真駒内で開催されていたのだ。全国から水曜どうでしょうのファンらがうなるほど詰めかけているせいで、
札幌周辺のホテルが揃って全滅という状況らしい。
ホテルは諦め、「JRタワーホテル日航札幌」と同じビルの22階にあるスカイリゾートスパ「プラウブラン(月の島)」で1日の汗を洗い流す。JR札幌駅に隣接しているだけあって、Kitaca(モバイルSuica)を使用可能だ。
お風呂の後は本来の旅の目的である"うまいもの"を探すことにする。検索して見つかった駅近くの海鮮居酒屋は、WebではEdyが使えるとあったにもかかわらず、実際に行ってみると使えないことが判明。2軒目はすすきのにあるジンギスカン屋だが、こちらは満席で入ることができなかった。ショックのあまり喉が乾いたので、いったんマクドナルドで作戦の練り直し。再度検索して、近くにある海鮮居酒屋を1軒だけ見つけることができた。
【1日目 夜】
時刻は夜7時。ここで、ホテルの代わりにレンタカーで車中泊することを思いついた。ニッポンレンタカーはEdyでの決済に対応しているのだ。ただし注意点がいくつかあって、まず借りる時にクレジットカードか、運転免許証以外の身分証明書の提示が必要となる。今回クレジットカードは携帯していないけれど健康保険証はあるので、これを身分証明書として利用した。
また通常、現金やクレジットカードで支払う時は前払いとなるが、Edyだけは車両返却時の後払いとなる。乗り捨てする営業所によってはガソリンスタンド備え付けのところもあるので、返却時に消費した分のガソリン代も合わせて支払うことが可能。電子マネーを使えるガソリンスタンドもいくつか存在するけれど、調べたところではレンタカーの営業所からはやや遠そう。今回はガソリンスタンド併設の新千歳空港の営業所に返却することにし、Edyによる一括後払いとした。
札幌市中心部を抜け、閑散とした駐車場を発見。
寂しさを紛らすべく、クルマの中でARROWS NXのフルセグ機能を使ってテレビを見る。札幌近辺の地デジの受信感度は良好で、ハイクオリティなフルHDの映像を途切れることなく堪能できた。電池は残り少ないが、充電する場所も機器もないので電池切れまで使い続けることにする。翌朝一番で充電できるよう、とりあえず近場のドコモショップを検索して位置を把握しておくことにした。
22時53分、ARROWS NXがついにシャットダウンしたので、ぼくも寝ることに。気温は寒くもなく、暑くもなく、ちょうどいい感じなのが幸いだった。
電池持続時間 | 約14時間18分(機内の電源オフ時間は除く) |
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写真撮影枚数 | 112枚(うちHDR撮影4回、パノラマ撮影3回) |
スクリーンショット枚数 | 68枚 |
おサイフケータイ使用 | 25回 |
電子マネーチャージ | 3回 |
通話時間 | 計約19分30秒 |
フルセグ、ムービー再生 | 計約30分程度 |
その他の使用機能 | Webブラウザーなど |
2日目、不十分な充電のせいで最大の危機に
【2日目 午前】
電池切れのまま迎えた2日目の朝。午前中はドコモショップで端末の充電をお願いし、13時半過ぎには再度、うまいもの探しに出発。フル充電とはいかず、バッテリーは50%ちょっとという感じだったが、まあARROWS NXのバッテリーなら50%でも午後いっぱいはギリギリ持つか!?という判断だ。ややのんびりしてしまったので、"うまいもの"がたくさんありそうな小樽へと急ぐ。
【2日目 午後】
クルマにはカーナビが備え付けられているけれど、ここはあえて「マップ」アプリのカーナビ機能を使う。ARROWS NXを固定するホルダーはもちろんないので助手席などに無造作に置く感じになるが、いずれにしても運転中は画面を注視できないので固定してもしなくてもあまり関係ない。でも電池の減りは気になるので、画面はオフにし、音声だけで小樽までナビしてもらうことにする。
小樽に着いたのは15時半前。無料の公共駐車場に停め、調べておいたお店へ歩いて向かう。ちなみに帰りの飛行機の出発時刻は20時30分だ。小樽から新千歳空港までは下道でだいたい2時間半くらいかかり、レンタカー屋には飛行機の出発時刻の1時間半前までに車両を返却してほしいと言われている。とすると、出発の4時間前、つまり16時30分までには小樽を出ないと間に合わないことになる。
食事を終え、16時半に無事クルマに戻れたものの、ナビを使ったり写真を撮りまくったりしているせいで、電池の残りは30%を切った。自宅に帰れるのは夜中になるだろうが、そこまでもつか心配になってくる。しかしスタミナに定評のあるARROWS NXであれば、こんな状況でもなんとかなると信じたい。思い切ってナビをオンにし、再び音声案内だけで新千歳空港へと向かう。
ところが札幌市内に入ったところで無情にも渋滞につかまってしまう。徐々に減っていく電池残量。帰りのことを考えて何度も電源をオフにしたい衝動に駆られるが、ARROWS NXを信じて電源ボタンに指を伸ばすのをぐっとこらえる。しかし願いむなしく、18時45分、新千歳空港まで残り15km付近の地点で無情にもシャットダウン。
このままではレンタカーを返却しても料金を支払えないどころか、東京にも帰れないことに......。
【2日目 夜】
19時過ぎ、ほぼ予定時刻通りにレンタカー屋に到着。沈黙するARROWS NXを手に、支払いできないかもしれない不安におびえながら精算の時を待つが、
リーダーにかざすと無事支払いができた!
そう、おサイフケータイのチップは、端末の電源がオフだったり、電池残量がごくわずかであってもしっかり機能してくれるのだ。電源切れさえものともしないARROWS NXは、タフネスを超えたタフネスさを備えていると言っても過言ではないかもしれない。
その後は新千歳空港でお土産と飲み物の購入、飛行機の搭乗も電源が切れたまま難なくこなす。雷雨の影響で到着が1時間以上遅れ、危うく終電を逃しそうになるトラブルに遭いながらも、東京の自宅最寄り駅で最後に改札をタッチした夜12時45分頃まで、問題なく稼働してくれた。残量50%からでも実質11時間以上ARROWS NXを使い続けることができたわけだ。
電池持続時間 | 約5時間10分(電池残量50%から) |
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写真撮影枚数 | 25枚(うちHDR撮影7回 |
スクリーンショット枚数 | 25枚 |
おサイフケータイ使用 | 12回(うち電源切れ後11回) |
電子マネーチャージ | 3回 |
通話時間 | 約13分15秒 |
ナビ機能 | 約4時間10分 |
その他の使用機能 | Webブラウザーなど |
ARROWS NXだけで北海道旅行はできる!
そんなわけで、1泊2日の北海道うまいもの旅は、ARROWS NX 1台だけでこなせることがわかった。1日目はかなりヘビーな使い方でも朝から晩までたっぷり活躍し、2日目は電池残量50%からナビをほぼ常用しているような状態で半日もつのだから、ARROWS NXの電池持ちの良さはバツグンだ。
頻繁に使ったカメラ機能についても、ご覧のようにかなりきれいな画質で撮影できていると思う。デジカメみたいにかさばらず、さっと取り出してサクサク気持ちよく撮れる手軽さは、突然シャッターチャンスが訪れることがある旅行中はとってもありがたい。パノラマやHDR撮影のようにシチュエーションに合わせて使える機能も、ぜひここぞという場面で活用したいところだ。
さらに、歩数計アプリが標準で用意されていて、旅行中の運動量まで把握しておけるのが意外にうれしかったりする。けっこうカロリーを消費してるなあということがわかれば、安心してうまいものを食べまくれるんじゃないだろうか。フルセグやワンセグのテレビ機能もあるから、旅行中だからといってリアルタイム放送の視聴を諦める必要はもうない。
ARROWS NXは、普段使いはもちろん、旅行先でもあらゆることを万能にこなせる、使い勝手も性能も高いスマートフォンだと改めて思った今回の旅行だった。
(日沼諭史)