法林岳之レビュー

世界最軽量のボディに7インチIGZO液晶を搭載
多彩なコンテンツを快適に楽しめる

スマートフォンに続く端末として、着実に拡がりを見せているタブレット。コンテンツサービスなどをより大きな画面で利用できるうえ、スマートフォンやケータイと組み合わせることで、ビジネスからプライベートまで、幅広いシーンにおいて、効率的な活用が可能だ。NTTドコモから発売されたシャープ製タブレット「AQUOS PAD SH-05G」は、約7.0インチのIGZO液晶を搭載しながら、約216gの世界最軽量ボディに仕上げることで、片手でも持ちやすいタブレットとして仕上げられている。発売前の実機を試すことができたので、その仕上がりをチェックしてみよう。

タブレットが持つポテンシャル

今や誰もが当たり前のように使うようになったスマートフォン。ではユーザーは、スマートフォンをどんなことに使うようになってきたのだろうか。

通話やメールといった基本的な機能は別にすると、Webページの閲覧やゲームなどのアプリ、動画や音楽などのエンターテインメント、TwitterやFacebookといったSNS、LINEなどのメッセージコミュニケーションなどが利用されるようになり、電子書籍も着実に利用者が増えつつあるようだ。なかでも動画コンテンツは、NTTドコモの「dTV」のように、ドラマや映画などを数多く提供する映像配信サービスが増え、人気を集めている。電子書籍サービスも「dマガジン」のような読み放題サービス、シャープの「GALAPAGOS STORE」のような定期配信が受けられるサービスが注目されている。

ただ、こうしたスマートフォンならではの楽しみが拡がるにつれ、ユーザーはより快適にコンテンツを楽しめる環境を求めるようになる。AQUOSスマートフォンをはじめとした各社スマートフォンのディスプレイ大型化の波も、こうしたニーズを反映したものと言えるが、マルチデバイス利用がしやすくなってきたこともあり、より大きなディスプレイでコンテンツが快適に楽しめるタブレットにも注目が集まっている。

今回NTTドコモから発売されたシャープ製タブレット「AQUOS PAD SH-05G」は、タブレットとしてのポテンシャルを活かしながら、スマートフォンの手軽さもあわせ持つモデルだ。昨年発売され、各方面で高い評価を得た「AQUOS PAD SH-06F」の後継モデルに位置付けられ、スマートフォンよりもひと回り大きな7インチのディスプレイを搭載しながら、約216gの軽量ボディに仕上げることで、いつでもどこでも手軽に持ち歩け、好きなときに多彩なコンテンツを快適に楽しめるタブレットとなっている。映像コンテンツや電子書籍など、大画面を活かしたコンテンツはもちろん、ロングライフを活かした音楽再生なども楽しむことができるうえ、NTTドコモのPREMIUM 4GとWi-Fiの同時接続による高速ダウンロード、VoLTEによる高音質通話など、実際の利用シーンでも快適さが実感できる機能が搭載されている。スマートフォンやフィーチャーフォンとの連携機能もサポートされており、1台持ちだけでなく、2台持ちでも快適に使うことが可能な注目のモデルだ。

AQUOS PAD SH-05G

毎日持ち歩ける世界最軽量ボディ

スマートフォンやフィーチャーフォーンユーザーがタブレットに手を出しにくい要因のひとつに、携帯性が挙げられる。タブレットといってもディスプレイサイズは様々でそれぞれに特長があるが、毎日持ち歩くことを考えると、やはり、軽量かつコンパクトであることが望ましい。

昨年、NTTドコモから発売されたSH-06Fは、こうしたユーザーのニーズに応え、スマートフォンやフィーチャーフォンを持つユーザーが「もう一台」の端末として、常に持ち歩けるサイズ感を実現していた。ボディは新書判の書籍と変わらないサイズに仕上げ、重量も当時の世界最軽量である約233gにシェイプされていた。

今回発売されるSH-05Gは、SH-06Fをベースにさらなる薄型軽量化を実現しており、一段と持ち歩きやすい端末に仕上げられている。

三辺狭額縁で非常にコンパクトに見えるボディ 背面はフラット&黒一色でシックな印象

ボディの前面から見た面積は従来モデルとほとんど変わらないが、薄さは従来モデルの約8.4mmに対し、約8.0mmまで薄型化を実現している。ボディを薄型化すると、持ち歩いているときに手から滑り落ちやすくなることもあるが、SH-05Gは 「ヘキサグリップシェイプ」により、ボディの側面や天面、底面を手にフィットする形状に仕上げている。側面やコーナーの仕上げも美しく、全体的にグッと質感が向上した印象だ。

ヘキサグリップシェイプ 上質感ある仕上げ

約216gまで絞り込まれた重量は、7インチ以上のディスプレイを搭載するLTE対応タブレットとしては、世界最軽量を達成している。ボディ幅もこのクラスのタブレットとしては、かなりスリムな約105mmに抑えられており、片手でも持ちやすく、ジャケットの外ポケットや内ポケットに入れることも十分可能なサイズだ。

わしづかみも可能なサイズ感と重量が魅力

約7.0インチのディスプレイはシャープ製スマートフォンなどでもおなじみのIGZO液晶ディスプレイを採用する。解像度はフルHDよりも高精細な1200×1920ドット表示に対応し、映像コンテンツなどだけでなく、電子書籍やWebページ、メールなども非常に読みやすく、視認性に優れている。従来モデルに引き続き、自然な色合いを再現するバックライトLED「PureLED(ピュアレッド)」を採用しており、映像や写真を美しく表示することが可能だ。

IGZO液晶ディスプレイは、高精細で明るい表示や低消費電力を実現する。特に、タブレットはスマートフォンよりも画面サイズが大きく、バックライトの光量も増える傾向にあるため、液晶パネルそのものの省電力性能は実使用時間に大きく影響する。これに加え、シャープ製スマートフォン及びタブレットでおなじみの省電力機能「エコ技」も搭載されており、さまざまなコンテンツを楽しみながらもロングライフの利用を可能にしている。ちなみに、SH-05Gは3900mAhのバッテリーを搭載しており、NTTドコモが計測した実使用時間では89.3時間を達成している。

地デジフルセグも色鮮やかな大画面で愉しめる

快適に使えるハイパフォーマンス

タブレットはスマートフォンに比べ、大画面でバッテリー容量も大きいため、映像コンテンツや電子書籍などを楽しみやすい。しかし、当然のことながら、一般的なメールやスマートフォン向けWebページの閲覧に比べ、タブレット向けコンテンツは容量が大きくなるため、いかに快適なデータ通信ができるかも重要なポイントになってくる。

SH-05GはNTTドコモが今年3月サービスの提供を開始したLTE-Advancedによる「PREMIUM 4G」に対応しており、受信時最大225Mbpsのデータ通信が可能だ。LTE-Advancedはこれまで提供されてきたLTEを高度化したもので、複数の周波数帯域を束ねて伝送することで、通信速度を大きく向上させる「キャリアアグリゲーション」などの技術から構成されている。通信技術としては新しい技術だが、NTTドコモがこれまでに展開してきた800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHzという4つの周波数帯を組み合わせて利用するため、すでに全国主要都市に受信時最大225Mbpsのエリアが拡大しており、いち早くその恩恵を受けられる状況にあるわけだ。ちなみに、SH-05Gはデータ通信だけでなく、音声通話にも対応しているため、NTTドコモが提供する「VoLTE」による高音質通話やビデオコールなども利用できる。

こうした高速ネットワークを最大限に活かすため、SH-05Gには最新の64bitオクタコアCPU「SnapDragon 810 MSM8994」が搭載されている。パソコンなどでも同じことが言えるが、ネットワークの伝送速度を引き出すには、端末側にある程度の処理能力が必要であり、スマートフォンでも高いパフォーマンスを発揮できるCPUがなければ、大容量のコンテンツを快適に扱うことができない。だからこそ、最新のオクタコアCPUが求められるわけだ。

ただ、処理能力が高ければ、当然、消費電力が増えたり、場合によっては熱なども気になるところ。SH-05Gはシャープ独自の制御技術により、動画の再生など、パフォーマンスが必要なときは高い処理能力を発揮し、待機時は消費電力を抑えた動作を可能にしている。実機で動画なども再生してみたが、本体が極端に熱くなるようなこともなく、常に安定した動作を見せていた。

また、こうしたさまざまなコンテンツの伝送は、必ずしもモバイルネットワークだけに頼るわけではなく、自宅や外出先のWi-Fi環境も利用することになる。SH-05GにはLTEとWi-Fiを切り替えて利用するだけでなく、Wi-FiとLTEを同時に接続して、動画や音楽、電子書籍などの大容量コンテンツをより高速にダウンロードできる「デュアルスピードモード」が搭載されている。

Wi-FiとLTEの同時通信でダウンロードを高速化

ただ、モバイルアクセスポイントなど、Wi-Fiの品質が低く十分な速度が得られないといったことも起きうる。そんなときはシームレスにWi-Fi接続からLTE接続に切り替える「スムーズチェンジモード」も利用できる。いずれの機能も出荷時設定はオフだが、ぜひオンに切り替えて利用したい機能だ。

Wi-Fiの通信状態が悪いときは通信をLTEに自動切り替え

Wi-Fiについては、複数のアンテナで同時に通信をすることで、通信速度を2倍に向上させる「MIMO(Multi-Input Multi-Output)」に対応するが、これに加え、複数のユーザーが無線LANアクセスポイントに接続してもスループットの低下を抑えることができる「MU-MIMO(Multi User MIMO)」にも対応する。たとえば、自宅などで家族のスマートフォンやゲーム機、パソコンなどが同じ無線LANアクセスポイントに接続すると、スループットが低下してしまうが、MU-MIMO対応の無線LANアクセスポイントであれば、SH-05Gはスループットが他の機器よりもスループットが低下しないというものだ。今のところ、MU-MIMOに対応する無線LANアクセスポイントは限られているが、今後、主流になると言われており、SH-05Gはいち早く対応したことになる。

MU-MIMOにいち早く対応

また、通信以外の部分のスペックも充実している。カメラはアウトカメラが800万画素、インカメラが210万画素のいずれもの裏面照射型CMOSイメージセンサーを採用する。インカメラについては広角レンズを採用したことにより、自撮りはもちろん、グループ撮影でも背景を活かした形で撮影することができる。ワンタッチセルフタイマーも便利な機能で、インカメラを構え、画面上のシャッターボタンにタッチした後、2秒、もしくは5秒後に撮影できるように設定できる。

アウトカメラは800万画素、裏面照射型CMOSイメージセンサー採用 インカメラは210万画素、広角レンズを装備

撮影機能としては、顔検出機能による人物の自動露出補正や、構図をアドバイスしてくれるフレーミングアドバイザー、うす暗いところでもキレイに撮影できるNightCatch II、明暗差の大きいシーンでの白飛び/黒つぶれを抑えるHDR撮影機能などが搭載されている。カメラ操作時のユーザーインターフェイスは従来モデルよりもシンプルになり、ファインダー画面で[AUTO]をタップして、すぐに切り替えられるようにしたり、写真とビデオを切り替えずに撮影できるようにしている。長時間の動きを1〜10秒間隔で撮影し、動画として楽しむことができるタイプラプス撮影にも対応する。旅先などで動きのある風景を定点で撮影できれば、今までと違ったテイストのシーンを楽しむことができそうだ。

実用性を考えたユーザビリティ

世界最軽量のボディに、充実のスペックを凝縮したSH-05Gだが、タブレットがはじめてのユーザー、スマートフォンに慣れているユーザー、他の端末を併用するユーザーの誰もが快適かつ便利に使えるように、実用性を考えた機能が数多く搭載されている。

タブレットの場合、Webページ閲覧や電子書籍の利用が多いが、文章中にわからない言葉などを見つけたとき、通常はその言葉を範囲指定しコピーしたうえで、Webブラウザーで別のタブを開いて検索する、といった操作が必要だった。SH-05Gには「さわって検索」という機能が搭載されており、わからない言葉をなぞるだけで、すぐに検索ができる。

また、電子書籍やWebページによっては、表示される文字が小さく、読みにくいこともあり得るが、そんなときは「拡大鏡」を使い、表示される画面のレイアウトはそのままに、特定の部分を拡大して、表示することができる。拡大縮小のたびに、細かくピンチ操作をする必要がなく、拡大部分を自由に動かすことができるので、操作しやすい。この「さわって検索」と「拡大鏡」は、画面最下段のナビゲーションバーの右端に表示される[+]をタップすると、切り替えることができる。

従来モデルから搭載されてきた「書(かく)」メモも継承されている。地図などを表示して、アプリ使用履歴キーをタップすると、クイックランチャーが表示されるので、お気に入りタブ内に表示されている「書」メモをタップすると、起動できる。必要な情報を手書きで入力したり、写真などにちょっと落書きを加えて、メールなどで送信するといった使い方ができる。

ところで、SH-05Gは軽量コンパクトであるため、これまでスマートフォンやフィーチャーフォンを利用してきたユーザーが「もう一台」として、持ち歩くことにも適している。しかも、SH-05Gとフィーチャーフォンを連携しながら使える「PASSNOW」という機能が搭載されている。たとえばSH-05Gに、今夏発売された「AQUOSケータイ SH-06G」を組み合わせて利用する場合、SH-06Gで閲覧中のWebページをSH-05Gに転送して、大きく表示したり、SH-06Gで撮影した写真をSH-05Gに転送して、より大きな画面で表示するといった使い方ができる。

また、2台持ちをしているときは、片方の端末を手に持ち、もう片方の端末をカバンや上着のポケットなどに入れていることが多いが、たとえば、SH-05Gに届いたメールやアプリの通知をSH-06Gに表示したり、逆にSH-06Gへの着信をSH-05Gに表示するといった使い方ができる。

通話やSMSも相互に連携できる

連携という点では、SH-05Gに保存された写真やPDFファイルをコンビニエンスストアに設置されているシャープ製のマルチコピー機にWi-Fiで接続して、プリントできる「PrintSmash」という機能も搭載されている。外出先などで旧に取引先に渡す書類などが必要になったとき、この機能を使えば、すぐに対応できるわけだ。

多彩な機能を自由に活用できるタブレット「AQUOS PAD SH-05G」は買い!

スマートフォンが普及し、対応するさまざまなサービスが増えてきたことで、今まで以上にスマートフォンを活用できるシーンが拡大してきた。しかし、それらのサービスは必ずしもスマートフォンだけでしか利用できないわけではなく、映像コンテンツや電子書籍であれば、もっと大きな画面で楽しんだ方が快適だ。その意味において、タブレットは非常に便利な存在であり、一度使いはじめると、なかなか手放せなくなる。携帯電話各社では2台持ちがしやすいプランや割引サービスも提供しており、今がまさに旬のタイミングとも言えそうだ。SH-05Gは世界最軽量のボディに、スマートフォンのハイエンドモデルに匹敵するスペックを凝縮しながら、2台持ちだからこそ活かせる機能も搭載するなど、インターネット上で提供されるさまざまなサービスを多彩な機能で自由に活用できるタブレットとして仕上げられている。この夏、タブレットデビューを狙っているユーザーなら、ぜひとも手に取って試して欲しいモデルだ。

関連情報

関連記事

執筆: 法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 8.1」をはじめ、「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-01F 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるゼロからはじめるタブレット超入門 Android 4対応」「できるポケット au Androidスマートフォン 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるWindowsタブレット Windows 8.1 Update対応」など、数多く執筆。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら