各社の発表会を見ても、そのほとんどがスマートフォンであり、新しいフィーチャーフォンの発表はごくわずかに限られてきました。世間がどんどんスマートフォンにシフトしており、すでに1回目の買い換えを迎えて先に進むユーザーも非常に増えています。まだフィーチャーフォンを使っている方にとってみれば、取り残されるのではないかという焦りばかりが大きくなっているのではないでしょうか。

 長らくフィーチャーフォンを愛用していた方にとって、突然テンキーのないスマートフォンに変わるというのは不安がつきまとうものですね。しかも、慣れたメニューとは全く違う。フィーチャーフォンなら、キーを見ればメールもカメラもメニューも全部わかったのに、スマートフォンは画面やアイコンがたくさんあって、どこを触ったらどうなるのか全く想像ができないんですから、不安になります。

 2012年夏モデルとしてKDDIから発表された「AQUOS PHONE SL IS15SH」は、高精細3.7インチQHD液晶に、Android 4.0を搭載した、防水(IPX5/IPX7)・防塵(IP5X)スマートフォンですが、なんといっても最大の特徴は、スライド型のテンキーを搭載していること。ちなみに、「AQUOS PHONE SL IS15SH」につけられたサブネーム「SL」とは、「SLIDER」の頭文字からとられています。

 このスライド式のテンキーのおかげで、スマートフォンへの敷居がぐんと下がっているのです。さらに、従来のスマートフォンの使いにくさを軒並みカバーしてくれているのです。

  • AQUOS PHONE SL IS15SH
  • AQUOS PHONE SL IS15SH
AQUOS PHONE SL IS15SH

 

テンキーを見ればわかる! おなじみのメニュー画面が操作をナビゲート

 近年のスマートフォンは、薄く、液晶は大型化する傾向にありますが、「IS15SH」の液晶は3.7インチ、本体サイズは、横幅が約58mm、高さが約121mm、厚さが約14.9mm。角が丸く落とされたやわらかなフォルムで手のひらにフィットしやすく、包み込むような自然なグリップが可能です。この握り心地は、テンキーをスライドさせたときにさらに威力を発揮。安定したホールドへとつながるので、通話頻度の高い方には大きな安心感をもたらします。また、スライドを閉じた状態でも開いた状態でも片手で操作できるので、荷物の多い日など、両手で操作できないときにも楽に操作できます。特に防水・防塵対応なので、雨の日、傘を差しながらの操作も安心です。

 テンキーには、押しやすさを考えた、独自形状の「クリートラインキー」が採用されています。横から見ていただくと、指の腹があたる部分が緩やかに隆起し、しかもキーが独立しているのがわかります。キーの大きさも、昨年12月に発売されたテンキー搭載モデル「IS14SH」の約1.2倍。これにより、少ない指の移動で、押したいキーを確実にとらえることができる仕組みなのです。

  • 角が丸く落とされたやわらかなフォルム
    角が丸く落とされたやわらかなフォルム
  • IS15SHのテンキー
    IS15SHのテンキー
  • 指の腹の部分がわずかに隆起し、押しやすさが考えられている
    指の腹の部分がわずかに隆起して、押しやすさが考えられています

 キーは、中央に「決定キー」と「4方向キー」があり、「4方向キー」の左は「着信履歴」、右は「電話帳」です。中央の決定キーは「アプリトップメニュー画面」を表示します。その周辺に、「メール」「ブラウザ」「ホーム」「メニュー」という4つのキーが用意されています。その下には、「発話」キー、「BACK/DEL」キー、「終話/電源」キーが配置され、一番下の*キーは、長押しするとカラーベールビューが起動し、右端の#キーは長押しすると一発でマナーモードに切り替えられます。

 これまでのフィーチャーフォン同様に、もっとも使用頻度の高い、電話、メール、メニューの起動がキー操作でできます。しかも、「オープン通話」「クローズ終話」に対応しているので、スライド操作だけで電話の応答や終話が可能です。また、これまでのテンキー付きモデルには「CLEARキーがない」「BACK/DELETEキーとの使い分けがむずかしい」という意見が寄せられていたため、BACKキーとDELETEキーを統合したとのこと。さらに、フィーチャーフォンでの「CLEAR」キーと動作を同じにすることで、これまでと変わらぬ操作感を実現しています。また、ホーム画面で「BACK/DEL」キーを押すと、「キー設定画面」を表示できます。どのキーで何ができるかのヘルプの役割を果たすとともに、全部で20通りのショートカットを設定することもできます。

key

 「決定キー」を押すと、3×4配列の「アプリトップメニュー画面」というランチャーが登場します。このケータイ感覚の画面の採用も、「IS15SH」の大きな特長の1つです。メニューは、左上から「電話・メール」「カメラ」「Internet」「ツール」「エンタメ」「コミュニケーション」「交通・地図」「ゲーム」「ショッピング」「設定」「お気に入り」「ダウンロード」となっており、あらかじめ用意されているアプリや機能が、グループごとに分類されているため、どこを選択したらよいかすぐわかります。使い始めの頃よくお世話になる「設定」も、「アプリトップメニュー画面」を開き、「設定」を選ぶと左上にアイコンを見つけられます。「アプリトップメニュー画面」は、4つのテーマを切り替えられますし、グループ内のアプリも、3×4、4×4、4×5配列、リスト表示の切り替えができます。

 これまでフィーチャーフォンをご利用の方は、今使っている端末と、操作にさほど違いがないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。スマートフォンにしたとたん、基本的な電話すら、かけ方を教わらなくてはならないという事態に、多くのユーザーが戸惑いました。テンキーのよさは文字入力のしやすさですが、実は、使いたい機能へのナビゲーターでもあるのですね。「IS15SH」なら、使いたい機能やアプリを探すためにさまよわなくてもいいのです。

  • アプリやブックマークなどのショートカットを各キーに設定できる
  • アプリやブックマークなどのショートカットを各キーに設定できる
アプリやブックマークなどのショートカットを各キーに設定できます
  • ケータイ感覚のアプリトップメニュー
    ケータイ感覚のアプリトップメニュー
  • 各グループを選択すると、アプリ一覧が表示される
    各グループを選択すると、アプリ一覧が表示されます

 

独自の文字入力機能「文辞技」で快適入力をサポート

「いきなり予測変換」により、時間帯に応じた変換候補を表示
「いきなり予測変換」により、時間帯に応じた変換候補を表示

 「IS15SH」の特長はテンキーですが、入力を快適にするのは、テンキーだけではありません。たとえばメールの新規作成画面を開くと、「いきなり予測変換」により、昼間なら「こんにちは」、夜なら「こんばんは」といった具合に、時間帯に応じた変換候補を表示します。予測変換といえば、入力に応じて候補が表示されるものですが、「いきなり予測変換」なら書き出しすら予測してくれるので、入力がスピーディ。おまけに変換辞書は定期的にアップデートされるので、トレンドワードなどの新語を、意識せずとも常に利用できるところも工夫されています。

 英数字入力のときだけQWERTYキーボードを使いたいということもありますね。そんなときはテンキーを閉じれば、すぐソフトウェアキーボードに切り替わります。ソフトウェアキーボード上で画面を左右にスライドさせると、12キーとQWERTYキーをスムーズに切り替えられます。また、上から下にスライドさせると、音声入力との切り替えも簡単に行えます。このあたりは、いかにもスマートフォンという操作性をしっかり導入。入力の慣れにも一役買ってくれます。

 

動作はキビキビ。画面スクロールはとてもなめらか

 メインディスプレイは約3.7インチ、960×540ドット(QHD)のNewモバイルASV液晶が採用されています。「リフレクトバリアパネル」と「アウトドアビュー」に対応しているので、陽差しの強い屋外でも、クッキリと見やすく、なめらかかつ鮮やかな映像を楽しめます。キーのご紹介でも触れましたが、シャープのケータイでは定番機能である、覗き見防止の「カラーベールビュー」もしっかりサポートしているので、プライバシーを守りながら快適に利用できます。

画面端を指でフリックすると現れる「クイックツールボックス」
画面端を指でフリックすると現れる「クイックツールボックス」

 スピードの要となるCPUには、最大クロック数1.4GHzのQualcomm MSM8655 Snapdragonという高性能チップセットを採用。加えて、シャープ独自のタッチ操作チューニング「ダイレクトトラッキング」技術により、心地よいタッチ操作となめらかな画面スクロールを体感できます。しかも、Wi-Fiは「IEEE 802.11 a/b/g/n」をサポートしているので、素早いアクセスと高速表示により、自宅やオフィスでも快適なインターネットが楽しめます。

 インターネットで欠かせないのがブラウザ。このブラウザで利用できる「クイックツールボックス」も必見です。これは、コンテンツを閲覧中に、画面の端で指を軽くフリックすると、「タブ一覧」「新規タブ」「ブックマーク」「戻る」「再読込み」「進む」の6メニューがツールボックスとして現れるというもの。

 通常は、ブラウザ表示中に画面下のメニューキーをタップすれば、メニューが現れるのですが、実は、スマートフォンが苦手という方は、このメニューキーの操作に慣れないことが一因ではないかと思うのです。次の操作が分かるものが表示されていないので、リンクをタップして進んでみたものの、戻れないし、保存の仕方も分からないし……というジレンマに陥っているのではないでしょうか。「クイックツールボックス」なら、今、指のある場所で操作できます。右端、左端どちらでもフリックした場所に表示されるので、すばやい操作が可能です。


パワーアップしたバッテリーと、「エコ技」機能

 今、スマートフォンの生命線ともいえるのがバッテリーです。画面消灯時でも裏で様々なアプリケーションが動作し、いつの間にかバッテリーを消費してしまうということがよくあります。しかし、フィーチャーフォンから乗り換えたばかりの利用者に、その理由など分かるはずもありません。そういうものだと説明されても、納得できるわけがありません。

 そこで、「IS15SH」では、バッテリー容量のアップと、省エネ機能の強化で対応しています。「IS15SH」のバッテリーは1430mAhと、1030mAhだったIS14SHと比べ、大幅にパワーアップしました。それだけでなく、省エネをサポートする「エコ技」機能で、とことん無駄を省いています。

「エコ技」機能は、電池の減り具合がわかるグラフが搭載された
「エコ技」機能は、電池の減り具合がわかるグラフが搭載されました

 今回の「エコ技」機能は、2011年冬モデルから強化されています。従来の「エコ技」機能は、「通常」「技あり」「お助け」の3つのモードが用意されており、普段サクサク使うなら「通常」、しばらく充電しにくい環境にいくときは無駄な通信を控え、消費電力を押さえる「技あり」、非常時は最低限の機能以外すべて無効になる「お助け」を1タップで切り替えられる仕組みでした。これだけでもかなりの効果を実感できましたが、新しい「エコ技」はさらに進化したのです。

 新しい「エコ技」機能では、「標準」「技あり」「お助け」の3モード、画面消灯時にバックグラウンド通信を制御し、かしこく省エネしてくれる従来の「省エネ待受」機能はそのままに、新たに電池の減り具合がひと目でわかるグラフを搭載し、Wi-Fiを低消費電力モードで動作させる「省エネWi-Fi」と、アプリの制御が必要なときや、モード切替が効果的なときに通知してくれる「省エネおすすめ」が追加されました。

 このほか、バックライト輝度を自動制御し、暗いシーンでは輝度を下げて省エネを実現する「エコバックライトコントロール」、LPA(Low Power Audio)エンジンにより、楽曲データを数十秒分まとめて効率よく処理する「省エネ音楽再生」も搭載しています。

 スマートフォンに慣れてくると、気になるアプリをどんどんインストールするようになります。特に友達とのコミュニケーションを促進するソーシャル関連のアプリが増えるでしょう。その結果通信が増え、バッテリー消費も増えます。そんなときでも新しい「エコ技」機能がしっかりサポートしてくれます。

 

自分撮り可能なインカメラ搭載! みんなにうれしい定番機能も充実

 女性なら気になるのがカメラですね。メインカメラは有効画素数約804万画素、オートフォーカス対応のCMOSカメラを搭載しているので、高精細な写真を撮影できます。約0.5秒で起動するON速起動にも対応しているので、大事な瞬間を逃すことなく、素早く撮影できます。スマートフォンでの写真撮影では、画面に表示されたシャッターボタンをタップするスタイルがほとんどですが、「IS15SH」はサイドに専用の「シャッターキー」を搭載しているため、横向きなら、デジタルカメラのような撮影スタイルが可能です。縦向きで撮影するときも、「決定」キーで撮影できます。爪が長いと指の腹でシャッターボタンをタップするのは大変なので、これはうれしい配慮です。おまけに、ロック画面でも「シャッターキー」の長押しでカメラを起動できるので、シャッターチャンスを逃しにくくなります。

 一方で、画面タッチのシャッターボタンに違和感がない方には、「ワンタッチシャッター」機能がおすすめです。ピントを合わせたい箇所にタッチしたら、合焦後に自動的に撮影されるので、撮影がスピーディになります。手ぶれ軽減機能もついているので、ぜひ合わせて活用したいところです。

  • メインカメラは有効画素数804万画素のCMOSカメラを搭載
    メインカメラは有効画素数約804万画素のCMOSカメラを搭載
  • 本体側面に専用の「シャッターキー」を搭載
    本体側面に専用の「シャッターキー」を搭載

 撮影サイズは「8M(2448×3264)」「FULL HD(1080×1920)」「2M(1200×1600)」「QHD(540×960)」「VGA(480×640)」の5サイズ。撮影モードは、自動的に最適なモードを検出してくれる「シーン自動検出」に対応しているほか、「標準」「人物」「夜景+人物」「風景(自然)」「夜景」「料理」「テキスト」「セピア」「モノクロ」の9つの設定が用意されています。

 撮影後の写真は、従来の「画像編集」に加えて、新たに追加された「フォトスタジオ」アプリでの画像編集が楽しめます。「フォトスタジオ」では明るさの自動調整のほか、ハイライト調整、シャドウ調整、クロスプロセスやLOMO風、周りをぼんやり暗くできる周辺光量の調整、フィルムグレイン、魚眼レンズなどの加工処理、色調や彩度の調整、落書き、トリミング、赤目処理、傾き調整、肌色調整といった多彩な機能が使えます。また、SNSに投稿したり、友達にメールしたりといった操作も簡単に行えます。

 動画は、ハイビジョン動画の撮影が可能ですが、今回新たに「微速度撮影機能」が搭載されました。これは、一定間隔でコマ撮りすることにより、景色の変化などをドラマチックに演出できる機能です。撮影感覚は1秒、2秒、5秒、10秒から選択できます。

  • 新たに追加された「フォトスタジオ」アプリでは、明るさ調整やハイライト調整などのほかに、クロスプロセスやLOMO風など、多彩な画像編集機能が使える
    新たに追加された「フォトスタジオ」アプリでは、明るさ調整やハイライト調整などのほかに、クロスプロセスやLOMO風など、多彩な画像編集機能が使えます
  • 本体画面上部にインカメラを搭載
    本体画面上部にインカメラを搭載

 インカメラが搭載されたことも見逃せません。約31万画素(VGAサイズ)と画質は抑え気味なものの、自分撮りに、友達との楽しい思い出の保存に、ビデオ通話にと活躍してくれます。インカメラがあると、自分の顔やヘアスタイルを確認できるというメリットもあります。スマートフォンは常に携帯しているので、鏡を取り出すよりさりげなく身だしなみをチェックできますね。


フィーチャーフォンからの乗り換えだけでなく、しっかり通話派、メール派にもおすすめ!

液晶画面下部に、7色に光るお知らせランプを搭載
液晶画面下部に、7色に光るお知らせランプを搭載

 「IS15SH」は、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信、「災害用伝言板」や「緊急速報メール」などが1つにまとまった「災害対策アプリ」、非通知電話や特定の番号からの着信を拒否できる「着信拒否機能」、着信時に「IS15SH」本体に伝言を録音できる簡易留守録(伝言メモ)といった定番機能もしっかり搭載しています。しかも、最新のAndroid 4.0搭載なので、顔認証によるロック画面解除というユニークな先端機能も使えます。撮影した映像を液晶テレビのAQUOSで見たり、AQUOSブルーレイで録画したTV番組を「IS15SH」で見られる「スマートファミリンク」もサポートしています。電話の着信やメールの受信時には、大型のお知らせランプが7色に光って知らせてくれます。電話の着信時には、「IS15SH」を裏返すだけで着信音やバイブを一時停止できる「クイックサイレント」も用意するなど、細かい配慮に余念がありません。

 使いやすさや印象を左右する要素として、実は欠かせないのがフォントです。頻繁に目にする画面ですから、気に入らないフォントのまま使い続けるのはストレスそのもの。「IS15SH」では「モリサワ キャピーNR」など女性向けのかわいいフォントを含め、全7種類のフォントがプリインストールされているので、違和感を感じることなく、落ち着いて使えます。さらにダウンロードも可能なので、好みに合わせて変更することで、新鮮な気持ちで使い続けられます。

 スマートフォン界を牽引するシャープは、これまでもテンキーと、スマートフォンを融合させたハイブリッドタイプの端末を世に送り出してきました。その後も、常にユーザーの声に耳を傾けながらブラッシュアップを続け、登場したのが今回の「IS15SH」。直感的なスマートフォンの「タッチ」操作と、確実な文字入力、そして機能の使いこなしに便利なテンキー操作を合わせて活用できるというオイシイとこ取りなモデルです。一緒に過ごす時間が長くなるほど、新しさと親しみやすさのエッセンスが、ギュッと詰め込まれた1台に仕上がっていることが分かります。今回は、ワンセグ視聴や充電に便利な卓上ホルダも同梱されますので、充電時のキャップの開閉からも解放され、防水性能も満喫できるに違いありません。

 「IS15SH」は、これから乗り換える方だけでなく、すでに乗り換えた方にも体験していただきたいと思います。

すずまり■すずまり
プログラマからISPの営業企画、Webデザイナーを経て、現在はIT系から家電関連まで、全身を駆使してレポートするフリーライターに。カメラを中心にガジェットを好む。趣味は写真と料理。著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4S 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)、「Facebook Perfect Guide Book」(ソーテック社)など。