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1960年生まれ。幼少期を名古屋、金沢、鹿児島で送る。鉄道好きの友人に誘われてハーフサイズカメラでSLを撮ったのが写真との出会い。19歳で広告写真スタジオに入社し、撮影の基礎を学ぶ。その後、出版社に社員カメラマン兼編集者として勤務。'87年に独立。雑誌、広告とジャンルは問わないが、“ためにならない仕事”は受けない主義。個展、賞、団体とはいっさい無縁。市井の写真職人として現場主義に徹することが信条。 |
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東芝のデジタルカメラにとって実に8代目となるのが本機、アレグレットM70。初代のPDR-2(97年8月)に始まり、35万画素時代から現在に至るまで数多くをラインナップしてきた。カメラ専業メーカーではない同社が、ひとつひとつを積み上げてきたその道程がすなわち、それぞれのカメラに凝縮されているといっていいだろう。 アレグレットというネーミングは音楽用語などにも使われる「軽快に」を意味する。ルーツはラテン語。このコンセプトが一気に開花し、アレグレット=東芝というイメージを完全に定着させたのがM4(99年4月)。いよいよ画素数もオーバー200万画素となってきた頃のことだ。その処理データ量の多さからレスポンスが鈍化していく傾向のなかにあって、アレグレットは実に軽快だった。バッファメモリにも助けられてはいたが、基本の回路設計がよほど優れていたのだろう、撮っても撮ってもすぐについてくる感覚は新鮮ですらあった。以後M4には改修が加えられ、3倍ズームの搭載、動画機能の追加、高感度モードへの対応と進化を遂げ、M5(99年10月)、続く翌月にM40が発売されたのは記憶に新しい。 以上がざっとではあるがアレグレットの歴史だ。その延長線上にM70がある。スタイリングも金属筺体を使用し、従前のM5に比べ印象も一新した。フロントビューも大口径レンズの搭載によりグッとカメラらしく好ましい。キヤノン製の光学3倍ズームは開放F値2.0で絞り羽根は6枚。美しいボケが期待できそうだ。社外品のレンズ搭載についてはいろいろな意見もあろう。が、餅は餅屋という例えもあるように、専業メーカーに依頼するのは銀塩カメラ業界では珍しい話ではない。4×5などの大型カメラは100%その形態であるし、中型でもツァイス、シュナイダーなどのレンズが群雄している。より高い光学性能が要求されだしたデジタルカメラなら、むしろ当然の選択といえるのではないだろうか。 |
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1.8分の1型CCDを積み総画素数は337万画素。サイズで例えるならA4サイズのプリント出力に耐え得る性能を保持する。また、新搭載のCCDに合わせ、新規に信号処理IC回路も搭載した。これは多画素化に伴うノイズの増加も抑止する機能を持つ回路で、測光精度の向上とともに重要なキーファクターを構成している。もしこの機能が未搭載ならば、まちがいなく200万画素クラスの方が画質がいいと感じるはずだ。緻密になっていけばいくほど、エッジ補正や色のチューニングだけではごまかし切れない要素が増えてくる。この問題を根本から解決していくには大型のCCDを載せてしまうなど選択肢が限られてくる。価格を“買える”範囲で抑え込むには各社各様の工夫がある。 操作系はこれまでと同様にMシリーズの伝統を継承する。撮影、再生、接続といった目的を回転ダイヤルで選択し、それぞれについての設定をメニューから呼び出すシンプルな設計だ。また、使用頻度の高い機能には独立したキーが割り振られ、撮影のリズムを壊さないよう配慮がなされている。ストロボ、消去、マクロ、連写などがこれに当たり、とっさでの環境変化にすかさず反応が可能だ。どの機能を外に出すのかはそれぞれのメーカーごとに思想の違いがあるが、この選択を誤るとおよそ使えないカメラとなってしまう。この点においてアレグレットの選択は正しいと思う。約3秒の起動時間とあいまってクイックなレスポンスはなによりもありがたい。 撮影モードはオートをはじめ絞り優先AE、シャッター優先AEの他、ポートレート、風景、夜景など多彩だ。また露出をばらして撮影するオートブランケット機能=AEBも搭載されている。ポートレート撮影など表情と露出の双方が譲れない時に有効な機能だ。また絞り優先、シャッター優先、各オート時においてホワイトバランスのマニュアル選択、AF合焦位置変更が可能になるほか、ヒストグラムが表示される。上級者はぜひとも使いこなしてほしい機能だ。 |
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実写撮影は使用感、電池の持ちなどを総合的に捕えるために1日フルで行なった。移動しては撮影の繰り返しである。また、ほぼ1カット毎に画像のズーム検索も実施。失敗画像の消去も頻繁に行なった。撮影はすべて液晶モニターをつけっ放しという苛酷な条件をあえて強いた。画像それぞれについてはキャプションで述べるので、ここでは全体としての印象・傾向について列記していきたい。 起動・書き込み時間はM4、M5よりわずかに遅めにはなったものの恐ろしく速い。起動3秒、書き込み1秒でクラストップの性能。さらに機能優先で配置された各種ボタン、撮影モードからでも前画像が消去できる機能などにより、極めてスムーズに行なえた。機能とモード選択に複雑なクロスがない設計思想は、なにより現場で実力を発揮する。M4、M5の特徴を継承し、さらに磨きがかかった感すらある。露出、ホワイトバランスともに良好でオートのままでもなんら不都合はない。ただ、黒っぽい被写体の場合に気持ちではあるが明るめにAEが認識する傾向があるようで、黒の締まりが足りなく感じる局面もあった。気になる場合はマイナス補正で対応してほしい。 電池消費に関してはオーバー300万画素のスペックを考えると及第点をあげていい。1日使用で3本、半日で2本が私の実感だ。専用クィックチャージャー(別売り)ならば70分でフル充電できるが、ロケの多い方は予備電池の購入をぜひおすすめする。 |
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画像全体の印象は派手な部類ではなく落ち着いた色合い。被写体を選ばない。ビビッド系の表現を好むのなら撮影メニューのカラー設定を“あざやか”を選ぶ方法もある。気持ち彩度が上がるようだ。懸念されていたノイズもほとんど目立たない部類。新型ICによるところと、オートでも勝手にゲインアップしない特性を巧みにマッチさせているようだ。ただISO感度をマニュアル設定で400に上げていくと(標準100)、ややざらつき感が目立ってくる。長時間露光よりもこちらのノイズの方が現れやすい傾向があったのであえて付記した。一般的な使い方では全く問題はないので心配はない。 また撮影データの詳細が呼び出せるinfo機能は出色だ。ファィルサイズなどのデータのほかシャッター速度、絞り値、ISO感度、露出補正値といった情報をもたらしてくれ、確認や撮影技術の向上に多大なるヒントを与えてくれる。オート時のAEの傾向も読み取れる。初心者から上級者まで使える機能と評したい。この他、静止画に加え動画モードでは最大300秒の音声付き録画も可能で、音声のみの録音ならば最長4時間のボイスレコーディング機能となかなかの芸達者ぶり。また付属でUSBケーブルキットも同梱されているので初期投資が抑えられることもうれしい点だ。ただ、スマートメディアは別売りなので別途用意する必要がある。画素数を考慮すると32MBクラスがオススメなのだが……。予算と相談して欲しい。 カメラメーカーブランドのデジタルカメラではないものの、出来はそれを上回る。比類なき使い勝手の良さ、ユーザーを選ばない真摯なつくり。こういった点が私が本機をイチ押しする理由だ。デジタルカメラも、もうそろそろこういった評価軸で選んでいってもいい時代だと思う。
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●Allegretto
M70製品情報 http://www2.toshiba.co.jp/d_came/home.htm ●モバイルオーディオプレーヤー ニュースリリース http://www.toshiba.co.jp/about/press/2000_02/pr_j0901.htm |
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