WiMAX 2+は、UQコミュニケーションズと、auとのコラボレーションによって、モバイルネットワークの世界に新たな市場を創生する試みでもある。今回は、UQコミュニケーションズの廣井功一氏と西山暢一氏にその背景を聞く。
WiMAX 2+の料金はどのように決まったか
―廣井さんは、今回のWiMAX 2+のサービス内容や料金などを決める立場にいらっしゃるのですね。今回の提供サービス・価格体系には、どのような工夫がありますか。
廣井氏はい、今回のWiMAX 2+の料金設定についてはかなり悩ましく、最終的に決定するまで相当時間がかかりました。今回提供を開始するWiMAX 2+の速度やトータルのサービス特性はWiMAXを上回りますので、本音としてはWiMAXよりも多少料金を高くできないものかといったものがありました。とはいえ、WiMAXの「3,880円」という価格は、UQの看板だったような面があり、お客様にとって広く受け入れられてきたのも事実です。やはりそこは最終的には守りたいと考えました。そのため、2年契約をお約束いただいた上で、最大25ヶ月間525円を割引し、実質的には3,880円/月での料金とさせていただくことで、WiMAXサービス料金からの継続を実現しました。
情報感度の高いお客様は、きっと2年後にもう一度提供サービスの内容を検討し、再選択されることになるでしょう。2年後の動向を睨みつつ、機種変更も含めたところで総合的に考えていきたいと思っています。
auスマートバリューmineによって一人暮らしのお客様を中心にauスマートフォンとWiMAXルーターをお得に提供
―今回はauとUQのコラボ連携によるauスマートバリューmineがありますね。こちらについて詳しく教えてください。
廣井氏auスマートバリューmineは、auスマホと組み合わせて「Wi-Fi WALKER WiMAX2+(HWD14)」(以下、HWD14)を持っていただくことで、2年間、または4年間、auスマホの料金から最大月額980円の値引きするサービスとなります。auやUQが販売するHWD14にとどまらず、MVNOパートナー会社が販売するHWD14でも組み合わせることができる、大変お得で魅力的なサービスです。
たとえば、auスマホでは、LTEフラットで5,985円、それに基本使用料やインターネット接続サービスで、合計7,280円(*1)を支払っておられます。さらに、音声通話をすればその分の料金もかかりますが、auスマートバリューmineを利用すれば、そこから980円安くなるんです。(*2)
そして、これはあまり知られていないのですが、現時点で「2年間は速度制限なし」というかたちのWiMAX 2+が、auスマートバリューmineをご利用の方に限り、「“ずっと”速度制限なし」になる、という特典もあります。
*1 その他の割引サービス・端末代金を除く。
*2 auスマートバリューとの併用は不可。
通信最高速度下り最大110Mbpsの超高速が使えるWiMAX 2+で、auスマートバリューmineを使えばauスマホの料金は安くなり、さらに速度制限なしで使える。auのスマホユーザーは、入らなければソンというくらいのサービスかといえます。
―主にどのようなユーザー層を想定されているのでしょう。
廣井氏やはり単身者、かつ、自宅に固定のインターネット接続のない方たちが中心になります。
賃貸住宅などに居住していると固定回線を引くことが難しい場合がありますし、そもそも手続き自体が煩雑になりがちで、時間もかかります。また、スマホだけでインターネットをしているという方は、自宅でパソコンやタブレットを使う際にやむを得ずスマホでテザリング、といったことをされていたわけです。ただし、スマホだと7GBの制限がありますので、どうしても月間の使用量は限られます。
自宅でインターネットをご利用されるお客様は、高速大容量のインターネット回線を気兼ねなく使いたいはずです。だからこそ高速で、しかも速度制限がないWiMAX 2+を、自宅の固定回線として使っていただき、さらにauスマホとセットでお得に使っていただきたいというのが狙いです。
これから春になるにつれ、都市部にどんどん若い人たちがやってきて、一人暮らしを始めます。そこでWiMAX 2+の魅力を知っていただきたいですね。
―auスマートバリューmineは、auのスマホを使っていて自宅に別の回線を確保したいなら最適のサービスですね。他社からMNPしてでも利用したいという人も多いでしょうし、au側にもメリットは大きそうです。
西山氏auとUQの協業関係のひとつとして、今回、量販店頭売場やプロモーションも積極的に連携しています。たとえば剛力彩芽さんとブルーガチャムクという、auとUQの互いのキャラクターをシンボルにして、コラボレーションしながらお客様に商品訴求を始めました。
昨今、通信費にかける家計費の割合が大きくなってきており、多くのお客様は気にされている傾向にあります。auスマートバリューmineのサービスなら、コストを抑えつつ、ご自宅のインターネット回線の代わりとしても使えます。他社にはない魅力である「速度制限なし」のWiMAXルーターだからこそです。他社のスマホやルーターを使っているお客様も、auスマホやWiMAXルーターに乗り換えていただければと思います。お互いのお客様が流動しあうという点で、量販店様も注目頂いているサービスです。クリスマス、年末、そして新生活シーズンにむけて、ますます魅力的なサービスになっていくでしょう。単なるルーターとスマホに留まらず、お客様のご利用スタイルに応じて総合的な通信サービスをご提案できるよう丁寧な接客で店頭スタッフがお待ちしております。
「スマホのテザリング」からWiMAXへの「回帰現象」の流れ
―今、WiMAXの認知度はどのような感じなのでしょう。
西山氏東京、名古屋、大阪といった大都市圏では、WiMAXを知っているユーザーは9割近くになります。スマホやタブレットの普及が後押ししている面もありますね。そうした状況の中でWiMAX 2+がサービスインしたわけで、今こそ、「WiMAX 2+になって何がどうよくなるのか」をしっかりと伝えていく必要があります。来春には東名阪、来年度中には札幌、仙台などの地方都市でサービスが始まりますし、地域ごとの状況に応じたタイミングにあわせて、ご紹介していきたいと思います。
おかげさまでWiMAXは、今年度お客様満足度No.1の3冠を受賞しました。またタブレット端末の爆発的な普及により、WiMAXを指名買いしてくださるお客様が増えました。たとえば、引っ越しされて、自宅のインターネットをどうしようかと検討されているお客様が量販店にいらっしゃいます。そこで、固定インターネット回線の価格や工事期間を聞いて、ほかの手段を検討すると、固定インターネット回線と同様に使えて価格はお手頃なWiMAXが選択肢にあがります。昨春のとあるマーケティング市場調査では、高額で回線工事が必要な固定インターネット回線をわざわざ引くよりも、WiMAXのほうが手軽で、魅力的で良いという結果が出ていました。固定インターネット回線よりも家でも外でも使えるモバイル回線の方が評価されたという象徴的な結果が顕著に表れていました。
スマホによるテザリングの認知が広がり、昨年はたしかにモバイルルーターからテザリングに流れる傾向が一部見て取れました。しかし、非常に興味深いことに、今年に入って、WiMAXへの「回帰現象」が再び現れ始めたのです。テザリングはいくら手軽といっても、月間7GB使用で速度制限がかかってしまいますし、ましてスマホのバッテリーも莫大に消費します。その結果、お客様はモバイルルーター、それも速度制限のないWiMAXが便利だということを再認識され、再びご指名いただくお客様が増えています。当初、我々としてはテザリングは脅威だと考えていたのですが、どうやらそういうわけではなく、テザリングの認知拡大でモバイルネットの便利さが世の中に伝わり、その中でWiMAXが最も便利だと気付いていただける流れとなり、うれしい意味で誤算でした。
―自宅でのインターネット利用というと、やはり7GBはアッというまですよね。
西山氏ネット動画を観るにしてもいちいちバッファリングされることや、いつ上限値に達するかを気にしなければいけないことが嫌だという声を大変多くお聞きします。でも、WiMAXだったら安心してお使いいただくことができます。
廣井氏速度制限なしというのは、スマホのネット利用とルーターのデータ通信、その両方の通信トラフィックのことを考えなければならないケータイキャリアだと、なかなか難しいようですね。でも、WiMAXは、データ通信に特化して設計されたネットワークです。だから、今回のUQとauのコラボは、両社にとってとてもいい関係が築けたのではないかと思います。
いずれにしても、UQのメッセージとしてはWiMAX 2+をご自宅のインターネット回線としてもどんどん使ってほしいということがあり、そのためのauスマートバリューmineです。WiMAXサービスは、WiMAX 2+の登場で高速化もしましたし、ネットワーク側も増強していますから、そうした用途を受け入れられるだけの準備は整っています。是非、どんどんお使い頂きたいですね。
UQとauのコラボを積極的に売る販売の現場を訪ねる
では、auスマートバリューmineやWiMAX 2+に関して、実際の販売現場ではどのような声があり、そしてどのような顧客からの反応があるのだろうか。
山手線の品川駅から京浜東北線で一駅、約3分間でJR大井町に到着する。その駅前の好立地で営業するヤマダ電機LABI大井町店。横浜や湘南沿線在住の方にとっては、仕事帰りに下車して、ちょっと立ち寄って買い物ができるという点では絶好のロケーションだ。
UQからの依頼を受け、このLABI大井町店でWiMAXのスーパーバイザーとして販売に携わる久保田悠也氏に話をきいてみた。
「LABI大井町店は、この近隣では最大のヤマダ電機店舗なのですが、お客様に対して個別に、丁寧にご案内ができる店舗として有名です。混み合う他の店舗では、じっくりお話しして納得の上で買い物をしていただくということが難しいのですが、ここではそれがありません。
WiMAX 2+のサービスは、料金的にもシステム的にもきちんとした説明が必要です。しかも、auとUQの双方、実際にはMVNOとしてのYAMADA Air Mobileとしてのサービスも販売していますから、私どもから詳しく説明をさしあげて、納得して選んでいただこうとしています。説明さしあげると、「3つの通信モードを自由に切り替え」、「auスマートバリューmineでさらに値引き」というあたりを気に入ってくださいます。au 4G LTEにも対応して、日本全国で使えるというのも大きなポイントとなっていますね。」(久保田氏)
同店舗では、UQとauのコラボともいえるauスマートバリューmineがうまく浸透しているようだ。その理由について、久保田氏はこう語る。
「スタッフ同士のつながりが特に強く、auのスタッフとUQのスタッフが緊密に連携できています。店頭の目立つ位置で、auとUQの売場を併設し、大々的に展開したこともあります。auスマートバリューでauスマホと組み合わせられるパターンとして「FTTH」、「CATV」、そして「WiMAX 2+」とありますから、お客様の状況に応じて、auサイドとUQサイドでフォローしあいながら、最適なものを選んで差し上げます。
お客様の立場に立ったご提案こそが大事だと思います。最初にきちんと説明するのでご納得・ご満足のうえご加入いただいています。WiMAX 2+は、まだエリアが限定されているので、そこをきちんと説明しています。とはいえエリアが拡がるスピードは早いので、毎朝、インターネットでエリア拡充情報を確認して、それをお客様に伝えるようにしています。」(久保田氏)。
店舗ではUQとauが連携して売り場展開
久保田氏の話のとおり、ヤマダ電機のみならず、ヨドバシカメラやビックカメラといった大手量販店では、UQとauが連携して売り場展開している店舗も少なくない。固定回線、モバイル回線の垣根があいまいになり、選択肢が多様化する中で、「auスマホとの組み合わせ」を通してWiMAX 2+のメリットをアピールしていく。そんなauスマートバリューmineの狙いが、店頭販促にも反映されていると言えるだろう。
(Reported by 山田祥平)