UQコミュニケーションズから、最新型のモバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W01」が登場した。2015年3月末から順次提供が予定されている、下り最大220MbpsのWiMAX 2+（CA方式）に対応できるファーウェイ製の端末だ。IEEE802.11ac対応や対応アプリの提供など、220Mbps対応以外にも注目点の多い端末を実際に使ってみた。
スピードと容量で覇権を狙うWiMAX 2+
現状、下り最大110Mbps対応のWiMAX 2+が、下り最大220Mbpsへと大幅にスピードアップされる。
2015年1月15日、WiMAX 2+のサービスを手がけるUQコミュニケーションズは、2月20日から提供する新料金プラン「UQ Flatツープラス ギガ放題（月間データ通信量上限ナシ、割引適用で最大25ヶ月間月額4380円。最初の3カ月間はお試し期間で月額3696円）」、および「ヤ倍速」と命名された前述の220Mbpsサービスの開始を発表した。
料金、速度、使い勝手と、細分化されたニーズに併せて多極化する各社のサービスが混戦を繰り広げる中、UQコミュニケーションズが放ったのが、通信サービスの王道とも言える「スピード」と「容量の充実」という2本の矢というわけだ。
このような状況の中、同社からリリースされたのが、今回紹介する新型のモバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W01（以下W01）」だ。2月12日の栃木県真岡市でのパイロットモニターサービス開始を皮切りに、全国に順次展開が予定されているCA(キャリアアグリゲーション)による220Mbpsに、ファームウェアのアップデートで対応可能となる最新のモバイルWi-Fiルーターだ。
CAによる220Mbpsサービスに対応可能なモバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W01」
クレードルがセットになったモデルも用意される。クレードルはLANポートを搭載し、自宅回線としても利用可能
新サービスの開始を進める一方、同社は、従来のWiMAXユーザーのWiMAX 2+への移行を促進しているが、そのキャンペーンとして提供される「史上最大のタダ替え大作戦」の対象にもなっている注目の端末となる。
従来機種からの変更点をチェック
それでは、実際の製品を詳しく見ていくことにしよう。
同じファーウェイ製となる従来機種のモバイルWi-Fiルーター（HWD15）からの主な変更点は、220Mbps対応のほかにも、スリム＆軽量化、IEEE802.11ac対応、スマホアプリ対応、IPv6標準対応、などとなっている。
| W01 | ||
|---|---|---|
| サイズ | 高さ59×幅120×奥行き10mm | |
| ディスプレイ | 2.4インチカラー（320×240） | |
| 質量 | 113g | |
| 連続通信 | WiMAX 2+ | 約8時間（480分） |
| LTE | 約7時間20分（440分） | |
| 連続待受け | 休止状態 | 730時間（標準設定時） |
| バッテリー容量 | 2300mAh | |
| 無線LAN | IEEE802.11ac/n/a/g/b | |
| 対応ネットワーク | WiMAX 2+(CA）/au 4G LTE | |
| クレードル対応 | ○ | |
まずはデザインだが、従来の縦型から横型に切り替えられたうえ、厚さ（上の表では奥行き）が5mmほど縮小され、よりスリムになった。厚さ15mm前後だった従来製品は、カバンや服に入れるとポケットがポッコリと膨らんでしまうことがあったが、今回のW01はスリムなデザインのおかげで、スッキリと収まるサイズになった。
重量も約30gほど軽量化され、服のポケットに入れておいても気にならないので、持ち運びが一層楽になった印象だ。
正面。タッチパネルのカラー液晶ディスプレイを装備
電源ボタンとSIMカードスロットがある上面
底面には充電用のmicroUSB端子
重量も軽く、持ち運びが便利
小型化された一方で、バッテリー容量が前機種の3000mAhから2300mAhとなり、連続通信時間は約8時間となった。スペック上の連続通信時間としては、従来機種からやや短くなっているのは事実だが、数値だけで単純に考えない方がいい。詳しくは後述するが、今回のW01では、新たにスマートフォン用のアプリが提供されており、このアプリを使って休止中のW01をウェイクアップさせることが可能になっている。
従来のHWDシリーズは、どちらかというと、豊富なスタミナを活かして電源オンのまま一日を乗り切るという使い方が適していたが、今回のW01は、非通信時にしっかりと休止させつつ、必要なときだけリモートから電源を入れて使うメリハリの効いたスタイルへと変貌を遂げている。
このため、実際にスマートフォンやタブレットなどのアプリから接続と切断を繰り返すような使い方をすると、むしろ使える時間が長くなったように感じさせられる。この進化は、実は今回のW01の最大の特徴ともいっていいポイントだ。
CA方式の220Mbpsサービスに対応可能
通信系の変更点では、220Mbps対応と無線LANのIEEE802.11ac対応がポイントとなる。
まずは、注目の220Mbps対応だが、W01はCA（キャリアアグリゲーション）方式での対応となる。CA方式とは、既存の110Mbpsで利用している20MHzの帯域を2波束ねることで、40MHz幅の周波数を利用して通信する方式だ。実際に220Mbpsで通信するには今後リリース予定のファームウェアアップデートだけ行なえば、220Mbpsサービスを利用できるようになる。
W01が対応する通信方式としては、WiMAX 2+(CA対応)とau 4G LTE。WiMAXには非対応なものの、エリアが広くつながりやすいau 4G LTEは、3月末までの加入で5月まで無料となるので、手軽に使用できる（それ以降は月額1,005円）。また、WiMAX 2+のエリアも今年4月にはほぼWiMAXのエリアとイコールになるため、WiMAX非対応でも問題ないだろう。
対応するネットワークは、WiMAX2+（ハイスピードモード）とau 4G LTE/WiMAX 2+（ハイスピードプラスエリアモード）
一方、無線LANは、従来のIEEE802.11nなどに加えIEEE802.11ac対応となり、最大866Mbps（2x2 MIMO）での接続が可能となっている。従来機種は5GHzの屋外利用は不可だったが、W01では屋外利用にも対応(※)。最新PCはもちろん、iPad Air 2やGALAXY S5など、867Mbpsに対応したスマートフォンやタブレットなども増えている。220MbpsのWiMAX 2+を利用することを考えると、電波干渉が少なく、886Mbpsの高速通信が可能な5GHz帯のIEEE802.11acを屋外でも利用できるのはメリットだ。
(※)5GHz帯の一部のチャネル（W52/W53）は屋外での利用が禁止されている。W01では、W52/53のチャネルが選択されると、液晶画面に「家」のマークが表示されるので、この表示が出ている場合は屋外に持ち出さないように注意
標準のWi-Fi周波数帯は2.4GHz
5GHzに切り替えるとIEEE802.11acで通信可能。W52/W53のチャネル以外なら屋外での利用も可能だ
IEEE802.11acの最大速度は866Mbps
このほか、細かな点だが、W01ではIPv6が標準で有効になっている。従来のHWDシリーズでも手動設定でIPv4とIPv6の両方を有効化できたが、今回は設定の必要なく自動でIPv6が割り当てられるため、そのままIPv6のサイトも閲覧可能だ。
アプリを使ってリモートウェイクアップ
W01の特徴として、個人的に最も気に入ったのは、専用アプリとなる「Huawei HiLink」の存在だ。Google Play、App Storeから無償でダウンロード可能となっており、以下のような機能を利用することができる。
- 接続端末数確認
- 電波状況確認
- 通信容量確認
- バッテリー状態確認
- リモートウェイクアップ
- QRコードのスキャンによる接続自動設定（Android版のみ）
- 各種設定（通信モード変更、再起動、電源オフ）
- 共有
「リモートウェイクアップ」は、冒頭でも触れた「休止状態から復帰させる機能」だ。W01では、「クイックアクセスモード」というWi-Fiを自動切断せずに常時接続を維持するモードが搭載されているが、これが標準ではオフになっており、標準では無通信状態が10分続くと自動的にWi-Fiが停止する設定になっている。
この状態になった場合でも、「Huawei HiLink」を利用すれば、スマートフォンの画面上で「リモートウェイクアップ」ボタンをタップするだけで、自動的にW01の無線LANを復帰させることができる。W01をカバンやポケットの中に入れたまま、リモートから状態を制御できるので、混雑している電車の中などで重宝するだろう。
スマートフォン向けのアプリ「Huawei HiLink」
リモートウェイクアップで手元からW01の休止状態を解除可能
今すぐ乗り換えを検討したいモバイルWi-Fiルーター
以上、従来機種との違いや新たに対応する予定の220Mbpsサービスを中心に「Speed Wi-Fi NEXT W01」を紹介した。アプリを用いたリモートウェイクアップなど、実際の利用シーンでユーザーが困ることがないように、先行製品がしっかりと研究されており、完成度の高い製品となっている。
220Mbpsを待ちきれないというユーザーはもちろんだが、今のサービスに満足しているユーザーでも、本製品に交換することで、日々の使い勝手がかなり改善されるはずだ。特にWiMAXを利用しているユーザーは、無料で手に入れるチャンスなので、この機会に「史上最大のタダ替え大作戦」を利用して、WiMAX 2+へと乗り換えることをおすすめしたいところだ。
(Reported by 清水理史)
関連リンク
- UQ WiMAX ホーム - 超高速モバイルインターネットWiMAX2+
- http://www.uqwimax.jp/
- Speeed Wi-Fi NEXT W01 製品情報
- http://www.uqwimax.jp/lp/wimax2plus_product_w01/
- Speeed Wi-Fi NEXT W01をオンラインショップで購入
- http://www.uqwimax.jp/shop/detail/90/
- Speeed Wi-Fi NEXT W01(クレードルセット)をオンラインショップで購入
- http://www.uqwimax.jp/shop/detail/91/