西川善司、今日からスマートグラスライフ始めます!
エプソン「MOVERIO BT-200AV」で
モバイル大画面/多画面を実現!
人生を大画面と多画面に捧げる男、西川善司(筆者)。自宅のデスクワークでは7画面マルチディスプレイを駆使して仕事をこなしているため、モバイル環境などで「画面ひとつだけ」になる事に不満を覚えていた。
愛用中の大画面6.4インチスマホ(ファブレット)には満足しているが、それでも、「複数の画面を常に見ていたい」自分としては、何か手立てはないものかと日々模索していたのであった。この欲望に対するもっともシンプルな解決策は「スマホを複数持つ」ことなのだが、片手に二つのスマホを持つことは現実的でないし、かといって両手にスマホを持つと手がふさがってしまい不便だ。
そこで、白羽の矢が立てられたのが、俗に「ARグラス」とか「スマートグラス」などと呼ばれる製品である。
今回試用したのは、スマートグラス製品ブームの先駆者的存在である、エプソンの「MOVERIO」(BT-200AV)。スマートグラス基本セットの「BT-200」と、レコーダーなどのHDMI®接続対応機器からWi-Fi®で映像を送信するアダプターが付属する「BT-200AV」の2つの製品ラインがあるが、今回試用したのは後者の「BT-200AV」の方になる。
BT-200AV/BT-200ってどんなデバイス?
~実は単体で使えるAndroid™情報端末
BT-200AV/BT-200は、一見「メガネ型のディスプレイ機器」に思えるかもしれないが、実は、ちょっと違う。
BT-200AV/BT-200には、ちょうど3.5インチスマホ程度のコントローラーが付属し、これがAndroid™端末に相当する装置となっている。コントローラーにはWi-Fi®やBluetooth®、GPS機能なども装備するほか、メガネ側(ヘッドセット)にもカメラや地磁気センサー/ジャイロ/加速度センサーを搭載。あえていうならば、BT-200AV/BT-200は、メガネ型ディスプレイ機器を採用したAndroid™ベースの情報機器製品なのである。対応するアプリも専用の「MOVERIO Apps Market」にて提供されており、MOVERIOの各インターフェースを活用したゲームや実用アプリを利用できる。なお、Android™ OSバージョンは4.0.4(Ice Cream Sandwich)であった。
起動直後のBT-200AV/BT-200のヘッドセットを装着すると眼前には16:9ワイドの美しい画面が広がる。スマホやタブレットならば、画面を触ってのタッチ操作となるのだが、ディスプレイ部がメガネ型のBT-200AV/BT-200ではそうもいかないので、コントローラーをタッチして操作することになる。
コントローラーの表面は、画面こそないものの対角約94mmの長方形タッチパッドになっており、ここを指で触れて操作することでマウスカーソルを操作することになる。操作感覚としてはノートPCのタッチパッドみたいな感じで、指をタッチパッド上で動かせばその軌跡の通りにマウスカーソルが動き、タップすれば選択。二本指タッチを駆使したピンチイン/アウト操作で拡大縮小も行える。
眼前に広がる画面の解像度は960×540ピクセル。ちょうどフルHD(1920×1080ピクセル)の縦横半分ずつの解像度だ。画面の大きさは、ユーザーごとの個人感覚にも依存するとのことだが公称値としては最大で「20メートル先に320インチ相当」という表記になっている。
筆者が室内や屋外で実際に使って見た感じでは、「表示映像がくっきり見える」という条件では「2.5m先に40インチ」~「5m先に80インチ」という感覚がしっくりきた。映像は視界の中央に表示され、その表示映像にも現実世界の視界が透けて見えている(透け具合は後述のシェードで調整可能)。そして、映像表示領域以外の視界外郭領域は現実世界の情景がそのまま透けて見える。この「現実世界の情景がそのまま透けて見える」部分こそが、現実世界情景完全シャットアウトの映像鑑賞用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)とは大きく異なる部分である。
BT-200AV/BT-200のようなスマートグラスは、映像表示よりは情報表示に重きを置いた製品が多いため、映像表示品質にあまり大きな期待を持っていない人もいるかもしれない。しかし、BT-200AV/BT-200の映像表示の発色はかなり良好である。色味にクセもなく、それこそエプソンのホームシアタープロジェクター製品の発色の傾向によく似ている。コントラスト感は明部の伸びで稼ぐ液晶らしい画作りで、階調表現力もなめらか。立体感のある明暗グラデーションが表現できていた。
これならば、お世辞抜きで映像鑑賞にも十分、堪えうると思う。現実世界の透過表示を強く遮るためのシェードも付属するので、映像への没入度を高める向きにはこれを活用するのもいいかもしれない。
さて、960×540ピクセルの解像感は実際にどのように見えるのか気になる人もいることだろう。実際問題として、720p以上のHD映像は圧縮表示となっているはずなのだが、映像や画像を見る分には間引かれた感じのあまりしない自然な表示となっていた。文字に関してもほぼ同様の印象。WebブラウザのWebサイト記事を実際に読んでみたが、静止した状態で見れば全く問題ない。
他人からどう見える?
BT-200AV/BT-200のメガネディスプレイ部を実際に掛けた時は他人からどう見えるのか。
まず「BT-200AV/BT-200で見ている映像が他人から見られたりしないのだろうか」という点については心配無用だ。まず相対する正面からだとメガネ部に映像が映っていることすら気が付かれない。斜め横から掠め見られるとメガネ部がなにやら光っていることくらいはわかるのだが、映像の内容までは全く分からない。BT-200AV/BT-200では、まさに「人目をはばからず」に自分の好きな映像を見ることができるのだ。直視型のスマホなんかだと、プライバシーフィルタを貼り付けて、電車・バスなどで隣に座った人に見られないように工夫している人も多いが、BT-200AV/BT-200ならそんなせせこましいことをしなくてもOK。表示映像を堂々と見ていても他人に関知される心配はないのだ。
では、BT-200AV/BT-200のメガネディスプレイを掛けた状態の「人間としての見映え」はどうか。
これは意外に目立たない。「やや厚手のレンズを装着したメガネを掛けているな」と認識されるかもしれないが、「メガネの柄」左右部分に装着されたプロジェクタユニットもかなり小型かつ黒色なので、髪に隠れ気味になるので目立たない(髪型にも寄るが)。正面から見られた場合は映像を表示するハーフミラー部が瞳(黒目)を覆い隠してくれるので視線の位置もバレにくい。
ちなみに、BT-200AV/BT-200には、外界を遮断するシェードが二つ付属するが、もっとも外界遮断度の高いダークシェードを装着すると、端から見るとサングラスのように見える。このダークシェード装着状態だとハーフミラー部の存在をも隠すことができるし、「普通のメガネと比較すればやや厚手感のあるデザイン」も「ああ、こういう尖った雰囲気のサングラスなのかも」と思ってもらえるはずだ。もっとも、メガネ部横に銀文字刻印された「EPSON」のロゴは結構目立つので、これに気づかれるとバレバレという気はするが(笑)。
今回、実際に埼京線の各駅停車の電車内で新宿-大宮間を、BT-200AV/BT-200を付けっぱなしで過ごしてみたが、特にギョッとされることもなかった。電車の中の乗客は、基本、自分の世界に入り込んでいる人が多いので、大人しく黙っている限りは他人から気にされることはないのだろう。なので、BT-200AV/BT-200は電車やバスの中では普通に使えると思う。
さて、筆者は裸眼生活の人間なので、BT-200AV/BT-200のメガネディスプレイだけを装着するだけで事が済むわけなのだが、メガネを普段掛けている人はBT-200AV/BT-200をどうすればいいのか。BT-200AV/BT-200は、メガネの種類(サイズ)にもよるが、メガネをかけた状態でも装着できるようになっている。が、さすがにやや装着時の仰々しさが増す。なので、そうしたユーザーにも快適に装着してもらえるようにと、BT-200AV/BT-200には、自分の視力にあった矯正レンズをメガネディスプレイ内側に装着できるフレームが付属している。BT-200AV/BT-200を屋外でも日常的に積極活用するという人はこのアイテムを活用するといいだろう。
どう活用する?①
スマホと併用するモバイル多画面環境のススメ
現実世界が透けて見えるメガネ型ディスプレイを有するBT-200AV/BT-200。どう活用すればいいのかちょっとピンと来ていない人も多いかもしれない。筆者が「わかりやすい便利さ」を感じたのは、やはり、乗り物に乗っているとき。
例えば飛行機で。機内上映されている映画に興味があればいいが、そうでないときはスマホやノートPCなどの自分手持ちの機器でコンテンツを楽しんでいることが多いと思う。だが鑑賞中、機内食が提供されてしまうと、その機器の置き場所に困る。機内のテーブルは狭いので機内食のトレイとスマホやタブレット、ノートPCの両置きはほぼ不可能だ。そんなとき、BT-200AV/BT-200ならば画面を眼前に置いているので邪魔にならない。サイズ感はメガネと変わらないので、飲食も装着したままで行える。しかも、外界が透けて見えているので、ドリンクの提供などでキャビンアテンダントがやってきて問いかけてきたときにも即座にレスポンスできる。
また、メガネ型ディスプレイで映像を楽しみながら、その再生を中断せずにその状態のまま、右手にもったスマホで、メールやTwitter、Facebookのチェックをすることができるのも便利であった。
そう、BT-200AV/BT-200は、冒頭でふれた「片手スマホ環境を維持したままもう1画面追加する」ための理想的なソリューションなのである。
こうしたスマートグラスの「外界が透けて見える特性」をあえて「もう1画面見ることに活用する」というトンデモ活用方針に共感を覚えてもらえないかもしれないが(笑)、筆者のような多画面好きにとって、これは素晴らしくも、そして唯一のソリューションなのであった。
実際にこのモバイル多画面環境を日常で実践して思ったのだが、こうした使い方の時はBT-200AV/BT-200のメガネ型ディスプレイ側に組み込むシェードはない方がいいようだ。というのも、外界はよく見えるし、BT-200AV/BT-200で表示している映像越しにもスマホ画面は見えるため。
BT-200AV/BT-200のコントローラー側のタッチパッドは、見ている画面を直接触れて操作するスマホのリアルタイムインタラクティブ性にはどうしても及ばない。文字を打ったり、細かいボタン操作をするような操作はスマホで行ったほうが効率はいい。なので、筆者の場合は、BT-200AV/BT-200の方では、流しっぱなしで楽しむ映像や、送り読み操作だけで見られるニュースWebサイトを表示させておくようにして、スマホとの役割を明確に切り分ける使い方がしっくりきた。
どう活用する?②
スマホの画面をミラーリングしてみる
スマホ側のコンテンツをBT-200AV/BT-200側で見たいということもあるだろう。そんな時はBT-200AV/BT-200の「MOVERIO Mirror」を活用すればいい。
MOVERIO MirrorはBT-200AV/BT-200のMiracast®機能を活用するシステムアプリで、スマホ側がMiracast®に対応していれば、スマホの画面のコピーをBT-200AV/BT-200に映し出すことができるのだ。なお、Miracast®は、無線LANのWi-Fi®機能を活用した映像伝送システムになる。
筆者のスマホもMiracast®対応機種だった。「スクリーンミラーリング」という機能がMiracast®に相当するのでこれを試してみたところ、あっけないほどにBT-200AV/BT-200にスマホの画面を映し出すことが出来た。
スマホが縦画面の時は、BT-200AV/BT-200のメガネ上にも縦画面として表示されるため、画面の左右は未表示領域となって外界視界の割合が広くなる。一方で、スマホを横にした時の横画面では、BT-200AV/BT-200のメガネ上に最大表示となる。映像鑑賞に没入したいときは横画面フル表示だろうが、外界を意識したいときは前者縦画面表示にすると、視界が確保できてちょうどいい。
なお、いうまでもないことだが、MOVERIO Mirror/Miracast®活用中は、出力元のスマホを操作することになる。文字入力やその他の細かい操作はスマホ画面を直視しながらやらざるをえないが、スワイプによる画面スクロール操作などはスマホ画面を見る必要がなく、これはこれで便利であった。BT-200AV/BT-200のタッチパッド操作に慣れていないときは、こういう使い方主体でもいいかもしれない。
Twonky Beam for MOVERIOでブルーレイ/HDDレコーダー内の録画映像や受信放送映像をストリーミング視聴しちゃおう
外界が透けて見えるARタイプのメガネディスプレイを採用するBT-200AV/BT-200ではあるが、メーカーのエプソンとしては、装着したままの状態で屋外を歩き回ったりすることは避けるように勧告している。乗り物に乗っているときなどは問題ないが、ウォーキングやランニング、散歩時に使うことは奨励していないのだ。
となると、乗り物に乗っているとき以外にどう使えるかを考えてみたところ、1つ楽しげな使い方があった。それは、比較的、危険度の低い家庭内の家事を「ながら」でやること。
さすがに包丁を使っての料理は危険度が高いので無理だろうが、洗濯機に洗濯物を放り込んだり、あるいはそれらを干したり、拭き掃除、掃き掃除、掃除機掛け、洗い物なんかはBT-200AV/BT-200を装着しながら行っても、他人に迷惑は掛かりにくいし、自分に降り掛かる危険度もかなり低い。床が散らかっていたり、家族が床に寝転んでいたりすると危なそうだが、そうでないことが確信できるとき(家族が留守、あるいは一人住まい)ならば問題ないだろう。実際、テレビをつけっぱなしにしながらそれをちらちらと見ながら家事をするなんていうことはあるかと思うが、むしろ、作業対象物から目を離す頻度の高いチラ見の方が注意散漫になって危ないくらいと感じる。
実際にBT-200AV/BT-200を使ってそうした家事をやってみたが、画面と家事、意識する対象を切り替えるときも「視線移動ほぼなし」なので、慣れれば楽しく普通にこなすことができる。外界の様子の方をしっかり見たいときには、コントローラーを操作して映像輝度を下げてやれば、映像表示は薄くなり、外界の視界をより強くすることもできる。また、右レンズ外側のフチを2度、軽く叩くことで一時的に映像を消すこともできるので、映像が邪魔になったときもいちいちBT-200を外す必要はない。「ながら家事」で1つ注意すべきがあるとすれば、洗い物や風呂掃除などの水を扱う家事で、水をBT-200AV/BT-200に掛けないように気を使うことくらい。逆に言うと、今後、こうしたスマートグラス製品にはそのうち生活防水機能が求められるようになるかもしれないと思った。
さて、「ながら見」するとなると、映画のようながっつり見る長時間タイプのコンテンツではなく、その時、地デジ放送でやっているワイドショー/ニュース番組、あるいは録り溜めた30分のアニメ、1時間足らずの連ドラなどがおあつらえ向きとなる。
BT-200AV/BT-200にはテレビチューナーは搭載されていないので、単体でテレビ番組や録画番組を見ることはできない。しかし、公開されたばかりのDLNAクライアントアプリの「Twonky Beam for MOVERIO」(無料)を「MOVERIO Apps Market」からインストールすることで、DLNA/DTCP-IP対応のブルーレイ/HDDレコーダーが家庭内に設置してあれば、そのチューナー映像や録画映像をストリーミング視聴することが可能となるのである。
BT-200AV/BT-200との接続確認済みのブルーレイ/HDDレコーダー製品は、エプソンのサイトでチェックできる。
セットアップはシンプルだ。BT-200AV/BT-200のWi-Fi®機能をオンにして、対応ビデオレコーダー機器を接続してあるホームネットワークに無線LANで接続。「Twonky Beam for MOVERIO」を起動すればすぐに使えてしまう。
Twonky Beam for MOVERIOが提供する機能はいくつかあるが、家庭内での「ながら家事」に向いているのは「ホームネットワーク上のコンテンツを再生」機能。
この機能を選択すると家庭内ネットワークに接続されたビデオレコーダーの機種名選択になるので、該当する機器を選択。すると映像ソースの項目名が出てくる。たとえば今回筆者が試したレコーダーの場合、「HDD」や「チューナー」といった項目が表示された。「HDD」はそのレコーダー機器内に収録された録画コンテンツをストリーミング再生するための機能だ。ストリーミング再生なので録画番組を選択したほぼ直後から再生が始まる。「チューナー」はそのレコーダー機器がいままさに受信している放送をストリーミング再生する機能になる。レコーダー機器側が対応していれば地デジ、BS、CS…いずれの放送もチャネル選択して視聴することができる。
家庭内の無線LANを利用しているものなので帯域は極めて安定している。なのでインターネット経由の動画視聴よりも数段階高画質な映像をカクツキなしで楽しめる。イヤホン(BT-200AV/BT-200に付属)を使えば、掃除機の騒音に掻き消されずにコンテンツの音声も楽しめるし、快適だ。家事が終われば、そのままソファやベッドに寝転んで、続きを見てもいいだろう。
そうそう、BT-200AV/BT-200は「寝ながら」の活用にもうってつけであった。
台置きの固定設置テレビだと、反対に寝返りを打ったら見えなくなってしまうし、でかいHMDだと寝返りうつこと自体が難しい。BT-200AV/BT-200の場合は、ちょっと大きめのメガネ程度のサイズ感だし、重さも88g程度なので、見ながらの寝返りは普通に行える。夜、眠くなるまでBT-200AV/BT-200で映像コンテンツを見ると…というのもありかもしれない。映像輝度を最も暗い設定にすれば、眩しくない。HMDなどよりも脱着は簡単なので眠くなったら、横になったままさっと外してそのまま眠ってしまうことだってできる。
ところで、手持ちのレコーダー機器が、DLNA未対応だったり、あるいはBT-200AV/BT-200との連携動作認証が取れていない機器のユーザーはどうしたらいいのだろうか。そういう場合は、任意の映像機器のHDMI®と接続してデータをMiracast®で飛ばすことができる「ワイヤレスミラーリングアダプター」が付属するBT-200AVの方を選択すればいい。映像の再生制御などは、BT-200AVではなく、その映像機器側のリモコンで行う必要はあるが、少なくとも相性問題を回避して確実に映像を飛ばす事はできる。
ビデオレコーダーで録画したコンテンツをBT-200AV/BT-200で持ち出して見よう
BT-200AV/BT-200を屋外で使う場合、それも見たい映像が決まっている場合には、その映像コンテンツをBT-200AV/BT-200内に「持ち出し」してしまうといい。
ということで、Twonky Beam for MOVERIOには、家庭内ネットワーク内に接続されたレコーダー機器内の録画映像をBT-200AV/BT-200に「持ち出し」する機能「外部機器コンテンツを持ち出し」が備わっている。一度転送が完了してしまえば、以降はネットワークが使えない環境でもBT-200AV/BT-200でそのコンテンツを楽しむことができる。
再生時は、Twonky Beam for MOVERIOの「MOVERIO内のコンテンツを再生」から再生を行う事になる。一つ留意しておきたいのは、このTwonky Beam for MOVERIOの「外部機器コンテンツを持ち出し」による「持ち出し」は、デフォルトではBT-200AV/BT-200の内蔵8GBストレージに設定されているという点。BT-200AV/BT-200はmicroSDカードスロットを有するが、こちらに挿入されたmicroSDカードにも「持ち出し」が行えるよう設定できるので、この「持ち出し」機能をヘビーユースしたい人は、是非とも大容量のmicroSDカードを用意し、そちらにコピーするように設定を変更したい。ちなみに、公称スペックとしてBT-200AV/BT-200は32GBのmicroSDHCカードにまで対応しているとのことだ。なお、microSDカードには、PCから直接コピーした著作権フリーの動画なども入れておいて再生することもできた。
おわりに~320インチを持ち歩く時代…くる!!
今回の記事は、大前提として屋内での活用やTwonky Beam for MOVERIOでのメインに……という編集部側からのリクエストだったので、記事的にはそうした内容が主体となったが、実際のところ、貸出期間中は、積極的に屋外でも使ってみたりした。
屋外の日差しの強いところでは、もっとも暗いダークシェードでも、外界は結構見える。遮光具合の強いサングラスという感じだ。曇り空や日陰ならば、ノーマルのシェードがよかった。意外に万能性が高いと感じたのはシェードなしの状態で、映像の輝度調整をすることで、映像と外界の見え具合バランスを幅広く調整できる。現在は、表示映像が視界の中央に来ているが、これを上下左右に随時移動できるようなメカニズムが実現できたら、屋外で歩きながら使うこともできるようになるかもしれない。
それと、BT-200AV/BT-200を使っていて強く感じたのは、操作系の進化こそが、この手のデバイスの普及の鍵を握っているのではないか…という点。
現在のBT-200AV/BT-200では、コントローラーのタッチパッド上で操作するのが基本UI(ユーザーインターフェース)となっているが、これがもし、眼前に映っているアイコンなどをジェスチャーでタッチできたらとても便利なんじゃないだろうか、と想像してしまった。今回の記事では大きく取り上げていないが、BT-200AV/BT-200の右目側レンズフレームには30万画素のビルトインカメラが搭載されているが、これを発展させてジェスチャーUIが実現されたら便利度がかなり向上するのではないだろうか。
そうそう、BT-200AV/BT-200を使い、FacebookのタイムラインやWebサイトを見ていたときに、画面のスクロールや書き込み(文字入力)をキーボードで行いたいと思うことがあったのだが、これは、手持ちのBluetooth®キーボードを利用することで解決した。
自分が使用したのはマッドキャッツの小型キーボード「S.T.R.I.K.E.M」だ。実際に、BT-200AV/BT-200とペアリングさせてみたところ、普通に使えてしまった。しかも、「S.T.R.I.K.E.M」上にある光学式トラックポイント(OFN:Optical Finger Navigation)も、ちゃんとBT-200AV/BT-200のマウスカーソル操作にも対応しているのを確認。キーボードなので、言うまでもなく文字入力は完璧。「S.T.R.I.K.E.M」にある音量調整ホイールでBT-200AV/BT-200の音量調整も行えていた。BT-200AV/BT-200でWebサイトを見ているときに、BT-200AV/BT-200のコントローラー上のタッチパッドではやや操作が難しいスクロール操作も、「S.T.R.I.K.E.M」のカーソルキーでラクラク操作が行えた。BT-200AV/BT-200を一段上の情報端末として活用する場合にはこうしたモバイルキーボードを組み合わせるのも悪くないと思う。
「S.T.R.I.K.E.M」はサイズ・重さ共にコンパクトなのでカバンに忍ばせておくにも邪魔にならないし、1台の「S.T.R.I.K.E.M」で最大4台までのBluetooth®機器とペアリングできるので、BT-200AV/BT-200の他に、Miracast®出力元のスマホのキーボードとしても兼用可能。BT-200AV/BT-200をメディアプレイヤー的にというよりは、本格的な情報機器端末として活用したいユーザーにはお奨めである。
今回は、1週間程度の試用期間ではあったが、情報機器端末の未来をめいっぱい感じたひとときであった。
筆者は、BT-200AV/BT-200に接するまで「最強のスマホは、現在愛用中の6.4インチの大画面スマホ(ファブレット)だ」と思っていたが、本当の理想的な大画面スマホは、メガネスタイルの「2.5m先に40インチ」いや「20m先に320インチ」なのかもしれないと思い始めている。
エプソンさん、BT-200AV/BT-200タイプの「スマホ」、早く出して下さい。お願いします。
(Reporetd by 西川善司)