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PCご意見番 大原雄介の即買いコラム
大原雄介 第6回 2004.07.09掲載
洗練されたデザインに高性能スペックを詰め込んだ意欲作!最新型DTRノート
EDiCube Fシリーズ
 EDiCube Fシリーズは、エプソンダイレクト初のMobile Athlon64搭載ノートである。従来とはちょっと志向が異なるデザインを持つこの製品、なかなか興味深いものがある。


■ 白と黒のシックなデザイン


 最初に目に付くのが、ボディを白、キーボードを黒としたデザイン。液晶パネル裏もつや消しの上品な黒になっており、PCばなれしたシックなデザインになっている。また、角を丸く落としているあたりも、従来のノートPCとは異なったデザイン処理で、この結果、カラーリングだけ見ていればちょっとクールなイメージにも関わらず、全体として温かみを感じさせることに成功している。堅牢で実直なイメージが強かったエプソンダイレクトの筐体の中では意欲作といっても良く、この洗練されたな筐体なら女性にもあうデザインともいえるかもしれない。

▲ EDiCube Fシリーズ 前面には音楽CD再生キーを装備
 見栄えだけでない。持ち歩きをする場合にも引っかかりにくく、ケースなどに収めやすいという点でも、この丸みを帯びたデザインは優秀であると思う。また、フロントのタッチバッドの下あたりに、音楽CDの再生キーが用意されており、蓋を開けずに再生ができるあたりも使い勝手の良さに貢献しており、外部スピーカーをつけてやれば薄型コンポの様に使うこともできそうだ。


■ Mobile Athlon 64の利点

 さて、エプソンダイレクトとしては初のMobile Athlon 64を搭載した本製品だが、これにより単に高性能というだけでなく、新機能を利用することも可能になっている。その新機能とは言うまでもなくNX(Non-Execution)機能。バッファオーバーランなどを利用して悪意を持ったプログラムを実行されることがないようにするこのNX機能、まもなく登場するWindows XP Service Pack 2で利用できる。試しに現状公開されているRC2(Release Candidate 2)を導入してみた。RC2ということでまだ製品クオリティには達していないものではあるが、Edicube F530では問題なくインストールできた(Photo01)。目玉となるNX(MicrosoftではDEP:Data Execution Protectionと呼ぶ)機能は、コントロールパネル→システム→詳細設定→パフォーマンス→データ実行防止から設定できるようになる(Photo02)。


▲ (Photo01) システムの項目の最後に注目。現状はまだRC2ということで、v.2149というバージョンが表示されている。 ▲ (Photo02) NXをサポートしていないCPUの場合、この「データ実行防止」のタブ自体が出てこない。このタブがあることが即ちNXをサポートしていることの証でもある


 このNX機能を利用するためには、CPUにそのための機能が必要になる。Intelは次期x86プロセッサでこれをサポートするほか、VIAのC3やTransmetaのEfficeonなどもこれをサポートすることを表明はしているが、現時点でこれを利用できるのはIntelのItanium 2シリーズとAMDのAthlon 64/Mobile Athlon 64/Opteronのみ。Itanium 2やOpteronは個人で利用するプロセッサとは言いがたいから、事実上Athlon 64/Mobile Athlon 64が唯一の選択肢となるわけだ。そしてEDiCube Fシリーズはこの恩恵をフルに受けることができるわけである。


▲ Service Pack 2をインストールすると、例えば自動更新はこんな表示に変わる。
 ちなみにWindows XP Service Pack 2のメリットはNX機能だけではない。数々のバグフィックスや、ファイアウォール機能の強化など、セキュリティ面での拡張が著しい。MicrosoftではこのService Pack 2の正式名称を「Microsoft(R) Windows(R) XP Service Pack 2セキュリティ強化機能搭載」と名づけているあたりからも、これはうかがい知ることができる(Photo03)。NX機能以外は従来のx86プロセッサを使ったマシンでも利用することが可能だが、どうせ使うのであれば、フル機能を利用できた方が良いのは明白だろう。

もしこれからPCを購入しようと考えているのなら、以上の理由から、先を見据えた機能に対応したEDiCube Fを購入対象として検討してみるとよいだろう。


■ 数々の装備

 EDiCube Fシリーズの特徴はMobile Athlon 64だけではない。同社のノートでは初のスーパーマルチドライブ(CD/CD-R/RW・DVD/DVD±R/RW・DVD-RAM対応)を搭載可能で、メディアを選ばない点も便利だ(当然DVD±Rは8倍速である)。ビデオカードにはATIのMOBILITY RADEON 9200と9700を選ぶことができ、このハイエンドビデオカードを搭載可能ということで、FF XI 動作認定モデルにもなっている。そして、無線LANはもちろんトリプルバンド対応だし、内蔵Ethernetはギガビット対応。さらに液晶モニタはXGA(1024×768ピクセル)とSXGA+(1400×1050ピクセル)から選択可能になっているという具合だ。CPU性能に負けないだけの重装備である。
▲ EDiCube Fシリーズは同社のノートでは初のスーパーマルチドライブを搭載可能


 さすがにこれだけの機能を満載すると、サイズはちょっと大きめである。外形寸法は328mm×270mm×27~42mmで、いわゆるデスクノートサイズ。重量は標準バッテリ(リチウムイオンバッテリ2200)搭載時で3.3Kgとなっている。もっとも、ギガビットEthernetやMOBILITY RADEON 9700などを搭載するあたりを見れば、EDiCube FシリーズがターゲットとしているのはDTR(DeskTop Replacement)向けであることは明白。実際、そこらのデスクトップよりもよほどの高性能で、しかもコンパクトにまとまっているし、同種のDTR向けノートと比較しても、角をおとした洗練されたデザインのおかげでスマートに見える。自宅内で持ち運んで、自分の好きな所での使用などにはまったく問題はないだろう。

 加えて言えば、ノートに高性能CPUを搭載した場合、ファンの音や温度上昇が問題になりやすいが、消費電力の少ないMobile Athlon 64を搭載しているおかげで発熱もほとんど気にならないし、全力稼動時でもファンの騒音はごくわずか。よほど静かな環境に持ち込まないと気が付かない程度だ(おまけに普段は省電力モードで動いているから、ますますファンの音は静かである)。

 他にも外部ビデオ出力やUSBポート×5、FAX/Modem端子、IEEE1394ポート、3in1(SDカード、MMC、メモリースティック)スロットなど、おおよそ必要と思われる装備は十二分に装着されている。これだけあれば、できないことを探すのがむしろ難しいほど。例えばTVキャプチャはUSBやIEEE1394経由でできるし、HDDの増設はUSBあるいはEthernet経由で可能になるといった具合で、どんな用途でもまず困ることはないと思われる。


▲ 左側面にはPCカードスロット、IEEE1394、ヘッドフォン入力端子など。 ▲ 背面にはUSB2.0×2、LAN、VGA出力、パラレル、Sビデオ出力など。 ▲ 右側面には光学ドライブとUSB2.0×3、3 in 1メモリスロットなど。


■ BTOも充実

 BTOメニューも相変わらず充実している。OSはWindows XP Home EditionとProfessionalから選べるし、CPUも4種類、メモリは256MB~2GBまで、HDDは30GB~80GBまでとバラエティに富んでいる。

筆者が選ぶとしたら、居間向けに

・EDiCube F550P(1400×1050ピクセル ・Windows XP Professional)
・Mobile Athlon 64 3000+
・RADEON MOBILITY 9700
・1024MB メモリ(512MB×2)
・40GB HDD
・スリムスーパーマルチドライブ
・無線LAN
・リチウムイオンバッテリ2200

といった構成になるだろう。ここまでのスペックを搭載しながら価格は合計\214,540(税込)。これを高いと思うか安いと思うか?筆者からすれば、十分に安く価格以上の魅力を感じるのだが、いかがだろうか?

EDiCube Fシリーズの詳細はこちら

大原雄介 専門分野を聞かれると困ってしまう何でも屋。カバー範囲はCPUやメモリ、チップセットから通信関係、OS、データベース、医療関係まで多岐にわたり過ぎ。今は愛猫と戯れることを心の慰めにする毎日。
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