とにかく機能が豊富なネットギア製品。使いこなせば便利だろうけど、やり方がよくわからない……。この連載では、そんな機能を、毎回わかりやすく解説します。

ReadyNAS経由でWindows XPからWindows 8.1にデータ引越し

2014.4.7 清水理史

ついにWindows XPのサポート期限が終了しました。発売から10年以上にわたって現役で使われてきたOSの事実上の終了は、何だか少し寂しいところです。

とは言え、サポートが終了したからといって、Windows XPが無くなったのかというとそうではないようです。企業はもちろんのこと、家庭などでも古いWindows XPが残っているケースはまだあり、その移行に悩んでいる人も少なくないことでしょう。

そこで、今回はNETGEARのReadyNASを使って、Windows XPからWindows 8.1への環境移行を実際にやってみたいと思います。マイクロソフトが6月30日(使用は7月31日)までの期間限定で無償配布しているツール「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」を使って、環境を移行する方法を解説していきましょう。

NASを使用すると、Windows XP搭載PCから最新PCへのデータ移行がスムーズ

「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」は、新旧2台のPCをネットワークで接続してデータを転送することができますが、間にNASを挟んでデータを移行することもできます。

ネットワーク接続の場合、2台のパソコンを並べて同時に移行作業をするのは、物理的なスペースの問題があって難しいというケースも少なくありません。そんなとき、間にNASを経由させれば、新旧それぞれのPCを交互に操作しながら、データを移行できます。

そもそも、写真データや文書ドキュメントといったユーザーが作成したデータに関しては、PCからPCに移行するよりも、NASに移行してしまった方が、今後のデータ利用のことを考えると効率的です。特に、最新のPCはストレージが小容量のSSDの場合も多く、容量の問題でデータをまるごと移行することが難しいこともあります。

このため、ここでは、ユーザー作成データはNASに移行しつつ、PCの設定やアドレス帳といった環境を「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」で移行する方法を解説します。

STEP1 ホームフォルダの確認

まずは、準備です。個人用のデータをNAS上に保存するために、ユーザーごとにホームフォルダを準備します。

と言っても、ReadyNASでは、標準でホームフォルダが作成される設定になっているので、特別な設定は不要です。念のため、[システム]の[設定]画面で[Homeフォルダー]がオンになっていることを確認しましょう。

ホームフォルダの設定を確認

STEP2 データのコピー

続いて、Windows XPのユーザー作成データをReadyNASのホームフォルダに移行します。Windows XPからReadyNASのホームフォルダにアクセスし、「マイドキュメント」やデスクトップ上のデータをコピーします。

以後、新しいパソコンからは、ReadyNAS上のデータを直接利用すればいいので、ホームフォルダをネットワークドライブに割り当てるなどしておけば、データの移行は完了となります。

「\\ReadyNASの名前\ユーザー名」を指定してユーザーのホームフォルダにアクセスする
ホームフォルダはユーザーごとの個別の領域となり、他のユーザーはアクセスできない。アクセスするにはユーザーIDとパスワードを指定して認証する
ホームフォルダが表示されたら、「マイドキュメント」やデスクトップ上のファイルをコピーする。コピー元のファイルはここで削除しておくと、あとあと時間が節約できる
新しいパソコンからは、ReadyNAS上のデータを直接参照できるようにしておこう。ネットワークドライブを割り当てたり、お気に入りに登録しておくと使いやすい

STEP3 環境移行の準備

メールのデータやアドレス帳、ブラウザのお気に入り、Windowsの各種設定などは、「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」を利用するのが簡単です。

ReadyNAS経由で移行する場合、まずは新しいパソコンで「スナップショット」と呼ばれる移行準備用データを作成します。これにより、新しいパソコンにインストールされているソフトウェアなどが自動的に検出され、古いパソコンから、どのデータを移行すればいいのかという引越しの手順書のようなものを作成します。

スナップショットを作成せずに移行することも可能ですが、メールにOutlookを利用する場合、Outlook 2003からOutlook 2013への移行にはスナップショットの作成が必須です。スナップショットがないとデータや設定をうまく引き継げないので注意しましょう。

[1]マイクロソフトのWebサイトから、「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」をダウンロード
[2]まずは、新しいパソコン(ここではWindows 8.1)で操作する。ダウンロードした引越しソフトをインストールする
[3]ウィザード形式で引越し作業を進めていく。まずは、「新しいパソコンへの引越し」を選んで「次へ」をクリック
[4]「新しいパソコン(移行先)」を選択して「次へ」をクリック
[5]古いパソコンにインストールときのために「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」をUSBメモリに保存可能。とはいえWindows XPでWebからダウンロードしさえすれば済むので、ここではスキップ
[6]引越し方法を選択。ReadyNAS経由で移行するので、「外部媒体を利用する」を選択して「次へ」をクリック
[7]PCにインストールされているソフトウェアなどが自動的に検出される。このスナップショット情報をベースに古いパソコンからデータや設定を集める
[8]「スナップショットを使って移行する」を選択し、新しいパソコンからスナップショットファイルを参照できるようにReadyNAS上にファイルを保存。スナップショットを使わないとOutlookのデータが移行できない場合があるので要注意
[9]新しいパソコンの準備は完了。続いて、古いWindows XPで作業する

STEP4 Windows XPからのデータ収集

続いて、古いパソコンで移行するデータを収集する。新しいパソコンで作成したスナップショットファイルを使ってデータを集めるのがポイントです。

[1]Windows XPにも「ファイナルパソコンデータ引越し eXPress」をダウンロードしてインストール。起動したら、「次へ」で移行作業を進める
[2]引越すデータを選択。「おまかせで引越しする」を選択するのが簡単。データはすでにReadyNAS上に移行しているので、時間を短縮したい場合は詳細設定でデータを省いてもかまわない
[3]移行方法を選択。ReadyNAS経由で移行するので、「外部媒体を利用する」を選択して「次へ」をクリック
[4]「新しいパソコンのスナップショットを使って移行する」を選択し、古いパソコンからReadyNAS上に保存したスナップショットファイルを選択
[5]スナップショットの情報をベースに、古いパソコンのデータやソフトウェアが自動的に解析される
[6]引越すデータの容量が表示されるので、確認して、「次へ」をクリック
[7]移行に時間がかかる場合は、メールでの通知も可能。ここでは通知しないので、そのまま「次へ」をクリック
[8]古いパソコンのデータや設定をまとめた引越ファイルの保存先を指定。ReadyNASのホームフォルダを指定して「次へ」をクリック
[9]USBメモリなどを使うときはファイルを分割可能。ここでは分割せずに、「次へ」で進める
[10]データの収集が開始され、引越し用のファイルとして、ReadyNAS上に保存される
[11]古いパソコンでの作業はこれで完了

STEP5 新しいパソコンで作業再開

古いパソコンでの作業が完了したら、再び新しいパソコンで作業を開始します。古いパソコンで集めた引越し用のデータを読み込めば、データや設定が適用されます。これで、引越し作業はすべて完了です。

[1]移行に時間がかかりそうなときはメールでの通知を利用可能。ここでは利用せずに「次へ」をクリック
[2]古いパソコンで収集した引越し用ファイルを指定する。ReadyNASにアクセスして、保存したファイルを選択する
[3]データが読み込まれ、新しいパソコンへの適用が開始される
[4]データの移行完了。再起動すれば、Windows XPの設定が新しいパソコンに適用される

(Reported by 清水理史)

関連リンク

ReadyNAS 製品情報
http://www.netgear.jp/solutions/homesolutions/readynas/