自宅警備24時!ネットワークカメラ「Arlo」でマイホームの防犯
年末年始などの長期休暇で離れる家を、リモートから監視しよう

2016.12.27 日沼諭史

3台のネットワークカメラで自宅を守る

2016年があっという間に終わり、そして2017年が始まる。この年末年始、長い休みを取って里帰りしたり、旅行へ出かけたり、引きこもったりと、有意義な過ごし方を計画している人も多いはずだ。……だが待ってほしい。自宅に引きこもる人は別として、しばらくの間家を留守にしていると、何かしらのトラブルが心配になったりしないだろうか。

例えば留守中に空き巣被害に遭わないとも限らないし、落書きや不法投棄など、家主の知らないところでさまざまな迷惑行為を受ける可能性もゼロではない。楽しい休暇でリフレッシュしたはずなのに、自宅がボロボロに荒らされていたら最悪の気分に逆戻り。犯人を探そうにも、気付いた時にはもう手遅れ、ということもありえるだろう。

ちなみに警察庁の発表によると、平成27年は空き巣の認知件数が3万1430件、自動車盗難が1万3821件、オートバイ盗難が3万5486件起きているのだ。犯罪件数は年々減ってはいるものの、いつ自分が被害に遭うかもわからない。

そういう万が一の事態に対処できるよう、世の中には24時間365日監視のホームセキュリティサービスも存在するわけだけれど、初期の工事費用だけでなく月々の料金も少なからずかかることから、導入に踏み切れない人も少なくないはずだ。もっと安価に、しかも手軽な感じで、この年末年始や今後の長期休暇に安心して家を空けられるようにする自衛手段はないものか……。

そんな時に使えるのが、ネットギアのネットワークカメラ「Arlo」シリーズだ。リモートから自宅を監視して防犯に役立てられるこのアイテム、実際のところどんな風に活用できるのか、筆者の自宅に設置して空き巣に狙われた場合をシミュレーションしつつ紹介しよう。

設置場所、用途に合わせた3つのモデル

ネットギアの「Arlo」シリーズは、小型ながらもセキュリティカメラとして活躍してくれるネットワークカメラシステム。カメラを自宅やオフィス内などの監視したいエリアが見える場所に置き、専用ベースステーションと組み合わせてWi-Fi通信することで、宅内はもちろん外出先からもスマートフォンアプリやPCを使ってカメラの映像を確認できる。ベースステーションは既存のルーターと有線LANで接続する形で、インターネット固定回線があれば誰でも利用可能だ。

Arloシリーズには3つのモデルがある。1つは完全ワイヤレスで使える電池駆動の「Arlo」。カメラの解像度はHD(1280×720ドット)ながら、IP65相当の防水性能を備えているため、屋内だけでなく屋外にも設置しやすいのが特徴だ。底面に設けられたねじ穴を使ってカメラ用三脚などに固定できるほか、背面にはマグネットが内蔵されていて、同梱のカメラマウントを用いることで自由な角度で壁などにも固定できる。

コンパクトなArlo

卵形のかわいらしいフォルム。背面の丸い部分周辺はマグネットになっている

底面にはカメラ用三脚などが取り付けられるねじ穴が設けられている

外部電源で駆動するタイプの「Arlo Q」と「Arlo Q Plus」もある。どちらも高画質なフルHD解像度(1920×1080ドット)で、首振り可能なスタンドで立たせて使用する。どちらも屋内専用で防水性能を備えていないため室内での使用が前提となるが、Arloも含め標準機能として備える映像の録画機能に加えて、24時間映像を録画し、いつでも過去を振り返ることができる「クラウド連続録画機能」も利用可能となっている。なお、Arlo Q Plusの方は有線LAN接続と同時に給電もできるPoE(Power over Ethernet)と、SDカードへの録画に対応した高機能版だ。

外部電源で駆動するArlo Q

電源の入力端子はMicro USBなので、モバイルバッテリーで動作させることも可能だ

Arloはベースステーションが必要だが、Arlo Qの場合は無線LANルーターに接続できる

2台のArloと1台のArlo Qを、自宅の防犯重点エリアに配置

今回使用したのは、完全ワイヤレスなArloを2台と、外部電源駆動のArlo Qを1台。自宅のルーターとベースステーションをLAN接続し、Arloは1台を屋外の駐輪場に、もう1台を屋内の玄関入口付近が見える場所に設置した。最後のArlo Qはキッチンとリビングを見渡せるようにし、この3台構成で自宅の外から入口、室内まで、怪しい人物の侵入を監視する。

Arloをセキュリティカメラとして活用する場合、できるだけ目立たないように取り付けたいところではあるけれど、もともとArloはサイズがコンパクトなこともあり、無造作に設置してもあからさまな「監視している感」はそれほど出ない。なので、目立たなさをさらに追求するよりは、監視したい範囲(重要なものを置いてある場所)を余さずカバーしているか、万が一侵入者があった時に視認しやすいか、といった点を重視した方がよさそうだ。

というわけで、屋外の駐輪場に設置したArloは、駐輪場の壁材がガルバリウム鋼板ということもあり、Arloの内蔵マグネットを活かして壁の隅に貼り付け。玄関のArloは三脚穴にGoProのマウント用アームを組み合わせ、窓開閉用チェーンのアームにぶら下げる形で取り付けた。Arlo Qはガス台上のレンジフードにそのまま乗せている。

屋外の駐輪場の壁にマグネットで貼り付けたArlo。屋根付きなので雨がかかったりすることはほぼないが、防水なのはやはり安心

もう1台のArloは玄関が見える高い場所に取り付けた。アクションカメラのGoPro用マウントアームを活用。こうした設置はちょっとハードルが高いという人は、専用スタンドウォールマウントなどが用意されているので、こちらの専用アクセサリーのラインナップをチェックしてみてほしい。

Arlo Qはレンジフードの上に置いた。キッチンの電源をうまく取ることができた

と、その設置前に実はやっておくべきことが1つある。それは初期の接続設定だ。ベースステーションの1メートル以内にカメラを置いて電源を入れた状態で、PCのWebブラウザーからアクセスできる管理サイトか、専用のスマートフォンアプリを利用して設定を行う。いずれの方法でも画面に表示される指示に従って操作すれば、簡単かつ短時間で設定は完了するだろう。

カメラをベースステーションと接続するための設定。アプリの説明に従っていけば簡単に終えられるはずだ

ちなみに、年末年始の休暇などで家を空ける、ということであれば、携帯するのはスマートフォンのみの場合が多いと思われる。なので、今回は主にスマートフォンアプリを使う形で解説したい。

監視トリガーを巧みに設定して効果的な防犯を

Arloの専用スマートフォンアプリは、初期の接続設定のほかに、カメラの映像視聴、映像の録画、映像などに変化が現れた時に指定した機能を実行する動作モードの設定、といった機能を備える。カメラを設置する際には、カメラ映像の視聴機能を使いながらアングルを細かく調整し、ベストな監視ポジションを探ろう。

3カ所に設置したカメラの映像を、スマートフォンアプリ上から一度に確認できる

設置時に限らず、カメラ映像の視聴は、もし状況に大きな変化がなくても見ているだけで楽しかったりする。ただ、外出中は頻繁に映像を確認するわけにもいかないし、場合によってはモバイルネットワークの電波が弱い地域を通過することもあるだろう。なので、お出かけする前に(後でもよいが)必ず設定しておきたいのが、映像などに変化があった際に通知などを行う動作モード設定。Arloは、映像をずっと目で直接監視していなくても、なんらかの怪しい動きがあった時はすかさず教えてくれるのだ。

動作モードを「警戒」にすると、映像の変化などを検知した際に録画や通知などを実行。一切反応しないようにするなら「待機」を選ぶ

設定できる動作モードの内容は、ArloとArlo Qで少し異なる。Arloのほうは、映像に変化があった時にスマートフォンへのプッシュ通知かメールで知らせるとともに、録画を開始できる。すべてを実行することもできれば、どれか1つだけ実行するように設定することも可能。プッシュ通知を受け取った時は、そこからすぐにアプリを起動して、監視映像を確認できるようにもなっている。

いわゆるトリガーとなる映像の動作検知については、閾値を設定して、ごく小さな映像変化でも反応するようにしたり、逆にかなり大きな変化がないと反応しないようにもできる。この閾値設定の感覚は、実際に自分がカメラの前で動いたりしないとつかめないので、やはりカメラ設置時に入念にチェックしておくべきだろう。

Arloでは動作検知と、検知した際の録画が可能。閾値を調整してちょうどよい感度を探ろう

設定例としては、一般の通行人やクルマがカメラの遠くを横切る可能性がある場合は、大きな変化がないと反応しないように設定し、反対に通常は変化が起こりえないような場所であれば、わずかでも何かが動いたら即反応する、というように設定するとよい。

もう一方のArlo Qは、映像の動作検知に加え、カメラが内蔵しているマイクで捉えた音声レベルによって反応するようにも設定できる。映像の死角になっている場所であっても、何かしら物音があれば異常事態として通知などができるわけだ。また、Arlo Qはスピーカーも内蔵していて、スマートフォンのマイクに吹き込んだ声をArlo Qから流すこともできる。侵入者を警告するのに役立てられる、と言いたいところだが、緊急時はすみやかに警察なりセキュリティ会社なりに通報する方が得策の場合もあるため、慎重に使いたい。

Arlo Qのほうは動作検知のほかに音声検知も可能。スマートフォンから吹き込んだ声をArlo Qのスピーカーから出力することもできる

どちらのモデルも、明るい昼間は鮮やかなカラー映像で、暗い夜間は赤外線による精細なモノクロ映像で、その場の様子を映し出す。解像度が高いことから、よほど遠くにいるのでない限り、侵入者があった時はその人物が何をやっているのかまではっきり視認可能だ。夜間のモノクロ映像は、一部の暗いところまで見ようとして全体を明るめに調整すると、逆に人の顔のようなそこそこ明るい箇所が白飛びしやすくなってしまうので、ちょうどいいポイントを探ってあえて暗めに調整するのもアリだ。

手動の録画操作、または映像や音声の変化などをきっかけにクラウドに自動録画されたデータは、後から再生したり、スマートフォンにダウンロードすることもできる。また、Arlo Qではクラウド連続録画機能により、無料のBasicプランで最大7日間、月額1190円のPremierプランで最大30日間、月額1790円のEliteプランで最大60日間、それぞれさかのぼって映像閲覧できる。もし侵入者があり、警察から捜査のため映像提出を求められた時は、これらの映像を提示するとよいだろう。

動作検知後、自動録画された映像。ダウンロードしておくことも可能だ

泥棒が現れた!その時、Arloでどんな風に見える!?

昼間、屋外の駐輪場に現れた唐草模様の手ぬぐいで顔を隠す不審者

何かを物色している様子が丸分かりだ

次に玄関に侵入した不審者

明らかに怪しいその挙動は、しっかり映像で捉えられている

夜間、闇夜に紛れてまたも怪しい人物が出現した

真っ暗闇の屋外でも赤外線カメラによりはっきりとその姿を確認できる

ただ、あまり明るく画質調整すると、このように顔などが白飛びすることがある

明るさを抑えた映像。不気味な表情を映し出した

さらに暗い玄関に侵入してきた不審者

肉眼では見えないような暗闇でも、行動はすべて筒抜けである

海外からはSIMフリーモバイルルーターで自宅の様子をチェック

ネットワーク品質の高い日本国内であれば、だいたいどこからでも気軽にインターネット経由でArloの映像をチェックできるだろう。けれど、通信環境が必ずしも整っているとは限らない海外旅行先からとなるとそうもいかない。ホテルのWi-Fiではある程度高速にアクセスできたとしても、いったん外出すると利用料金が高額になりがちなデータローミング頼りになってしまう。

そこでオススメなのが、ネットギアのSIMフリーWi-Fiルーター「AirCard AC785」だ。下り最大150Mbpsの4G LTEはBand 1/3/5/6/9/19/21、3GはBand 1/5/6/9/19をカバーし、この周波数帯のキャリアが存在する地域であれば、現地で販売されているSIMをそのまま差し込んで、APN設定を行うだけで使い始められる(プリペイド型のSIMはチャージも必要)。Google PlayApp Storeなどから専用アプリをダウンロードすれば、スマートフォンでも簡単に設定して使うことができる。しかもアジアやヨーロッパをはじめ、海外93ヵ国に対応しているので、海外旅行や出張の時にはかなり便利な存在だ。

SIMフリーWi-Fiルーター「AirCard AC785」があれば、海外からも家の様子をチェックしやすい

海外ではたいていの場合、日本のスマートフォンをデータローミングで使うより、現地でSIMを購入して使う方が通信料金は安く上げられる。Arloによる防犯は、カメラ映像というデータ通信の多いコンテンツを扱うこともあり、わずかな通信量で上限に達する可能性があるデータローミングとはなじみにくい。しかし、このSIMフリーモバイルルーターのAirCard AC785と、海外の安価な通信プランのSIMカードを上手に組み合わせれば、そんな心配は無用。海外にいながら海の向こうの自宅の様子も、気になったら即アクセスして、手に取るように分かるのだ。

少し話は逸れてしまうが、AirCard AC785の本体は約1万円とリーズナブルな価格で購入できる。最近では、PCやタブレットなど複数端末を持ち歩くのが当たり前になってきたが、持ち歩く端末が増えることで、モバイル通信環境を見直したいと考えている人も少なくないだろう。AirCard AC785は最大15台までの端末が同時接続可能で、ゲスト用に毎回違う暗号キーを自動生成できたり、価格以上の使い勝手も備えている。ビジネスシーンでも注目しておきたいアイテムだ。

カンタンに使えるとっつきやすさ。将来性も抜群?

キッチン、玄関、屋外駐輪場という3箇所に設置して監視してみた今回、カメラの初期設定や固定、監視のための動作モード設定も含め、特に難しいところはなく、簡単にセッティングできた。ネットワークカメラやセキュリティカメラというと、なんとなく難しそうとか設定が面倒そうなイメージがあるが、Arloシリーズはネットワークについて詳しい知識がない人でも、容易に導入できるとっつきやすさがある。

これから年末年始まであまり時間はないけれど、少し急いでセッティングすればまだ間に合うタイミングだ。一度設置してしまえば、年末年始に限らず、その先の長期休暇で家を長く空ける時、出張時、あるいは平日の仕事に出ている間など、Arloが活躍する機会はたびたびあるに違いない。安心感が常に得られるという精神的な意味でも、投資対効果は非常に高いのではないだろうか。

Arloは、ネット上のサービスやIoT機器などを連携させられるスマートフォンアプリ「IFTTT」にも対応している。これからはスマートホームの一部としてArloを活用していくことも考えられ、自宅の監視や防犯以外の思いがけない使い方が生まれてくる可能性もありそう。Arloがあれば、安心できる暮らしと楽しい未来の両方を手に入れられるのだ。

関連リンク

ネットワークカメラ Arlo
https://www.arlo.com/jp/
モバイルルーター AirCard AC785
http://www.netgear.jp/products/details/AC785.html
ネットギア Arlo Q Amazonセール情報
https://www.amazon.co.jp/dp/B01DKDKJPO/impresswatch-11-22/
ネットギア Arlo2台+ベースステーションセット Amazonセール情報
https://www.amazon.co.jp/dp/B0110SAJGA/impresswatch-11-22/

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