Fire TVを思う存分楽しみたいならWi-Fi環境も改善を!
無線LAN中継機「EX6120」がセットになったバンドルモデルを試す
2016.11.08 清水理史
Amazon.co.jpが提供する家庭用テレビ向けのSTB「Amazon Fire TV」に、ネットギアの無線LANルーター/中継機がセットになったバンドルモデルが登場した。高品質な4K動画などを楽しむために欠かせない快適な通信環境を実現するお買い得な製品だ。ここでは、バンドルされるEX6120とFire TVの組み合わせを実際に試してみた。
届く場所まで移動できないテレビに
スマートフォンやタブレットなら、最悪、電波が届く部屋、もしくは快適に通信できるポイントまで移動すればいい。
しかし、これがテレビとなると、そうはいかない。
リビングや個人の部屋など、設置されている部屋が決まっているうえ、部屋内での設置位置も、家具の配置や見やすさを考えると、簡単に変更するわけにもいかない――。
せっかく、「Amazon Fire TV」という、新しいメディアへの入り口を手に入れたとしても、そのインフラであるWi-Fi環境に問題があると、そもそもつながらなかったり、つながったとしても映像が途中で途切れたりするとなれば、宝の持ち腐れになってしまう可能性もありそうだ。
Amazon.co.jpが提供するFire TV
プライム会員向けと思われがちなFire TVだが、じつは豊富なアプリに対応しているのも特徴の1つで、「Youtube」や「dTV」、「DMM.com」、「Hulu」などの定番サービスはもちろんのこと、「AbemaTV」や「NETFLIX」、「DAZN」、「Spotify」など、いま、話題の配信サービスに対応しており、現状のテレビ向けSTBとしては非常に汎用性の高い製品となっている。
その中でも、AbemaTVは、まさにネット時代の新しいテレビという印象で、Fire TVと組み合わせて利用すると、リモコンの左右ボタンでパッパッと現在放送中の番組を次々に切り替えることが可能で、一気にテレビのチャンネルが増えたかのような感覚になる。
Amazonビデオで、映画やドラマを楽しめるのもFire TVの魅力だが、ひと昔前、CATVで実現していたテレビの多チャンネル化と同じような環境を、インターネット環境とリーズナブルなSTBのみで実現できるというのも、Fire TVならではのメリットと言えるだろう。
しかしながら、そのメリットをフルに享受できるかどうかは、冒頭で触れたように、通信環境に依存する部分が大きい。
つながらなければ使えないし、つながったとしても十分な通信速度が実現できなければ、4Kビデオが見られないのはもちろんのこと(15Mbps以上の帯域が必須)、「パッパッ」という感覚も得られないというわけだ。
非常に重要な中継機選び
このような状況の中、注目を集めているのが無線LAN中継機だ。
廊下や階段などのコンセントにつなぐことで、無線LANアクセスポイント(親機)と端末(子機)の間でやり取りされる電波を中継し、より遠くへ、より高い品質で、電波を届けることができる。
「おーい」と叫んでも、遠くにいて声が届かない相手に、その近くにいる別の人が代わりに「おーい」と声をかけてくれるようなイメージだ。
Amazon Fire TVと無線LAN中継機の「EX6120」
無線LAN中継機のメリットは、既存の無線LANアクセスポイントを買い替えたり、設定を変更する必要がないうえ、コンセントに直結で使えるという手軽さにあるが、「手軽さ」だけで製品を選ぶと、かえって無線LANの通信環境が悪化してしまうことにもなりかねない。
たとえば、親機が866MbpsのIEEE802.11acに対応しているのに、中継機が同じIEEE802.11ac対応でも最大速度が433Mbpsだったりすると、かえって中継機がボトルネックになってしまう可能性がある。
親機がIEEE802.11n対応だからと、中継機もIEEE802.11n/g/b(2.4GHz)にしか対応していない中継機を選ぶのもオススメできない。この場合、親機も、子機も、中継機も、すべて同じ2.4GHzの同じ電波を使うことになる。同じ周波数帯で通信できるのは1つの端末のみになるので、時間当たりの速度が半減し、仮に電波環境が改善されたとしても、実際の通信速度が思ったほど上がらない可能性がある。
例えるなら、3人のバケツリレーでバケツを1つしか使わないようなものだ。これに対して、2.4GHzと5GHzの両方を使えれば、親機と中継機、中継機と子機で2.4GHzと5GHzを使い分けることで同時通信が可能になるというわけだ(バケツを2つ使える)。
このため、中継機を選ぶ際は、2.4GHzと5GHzの両方に対応し、IEEE802.11acの866Mbps以上である製品を選ぶことが重要になる。
とはいえ、このようなスペックを確認するのは、面倒だし、難しいと感じる人も少なくないことだろう。そこで登場したのが、Fire TVと中継機をセットにしたバンドル製品だ。
Fire TVでの利用を想定し、2.4GHzと5GHzのデュアルバンド対応で、最大866MbpsのIEEE802.11acに対応したネットギアのワイヤレスエクステンダー「EX6120」をセットで購入することが可能になった。
設置は簡単
EX6120の使い方はとても簡単だ。中継機というと、難しいイメージを持つかもしれないが、最近の無線LAN機器はボタン設定で簡単に接続することができるため、設置に苦労することはない。
具体的には、壁のコンセントに接続し、本体のWPSボタンを長押し。一定時間内に、親機となる無線LANアクセスポイント側のWPSボタンも押すだけでいい。
コンセントに直結し、側面のWPSボタンで簡単に親機に接続可能
親機と中継機の間が接続されると、子機から「親機のSSID_5GEXT」「親機のSSID_2GEXT」という中継機の接続先が見えるようになる。Amazon Fire TVの接続先として、このどちらかを選べば設置は完了だ。
なお、親機と中継機の間の接続が2.4GHzなのか、5GHzなのかはEX6120に設定されたSSIDで判断できる。親機のSSIDとして自動設定された部分が2.4GHzのものか、5GHzのものかで判断するといいだろう。
そして、親機と中継機の間が2.4GHzなら、子機は「_5GXT」の接続先を選択して5GHzで接続。親機と中継機が5GHzなら子機は2.4GHzと、前述したように帯域を使い分けると速度を確保しやすい。
もちろん、EX6120側で利用する帯域を指定することも可能だ。EX6120の設定画面で「FastLane」モードを選択し、接続先を手動で設定すればいい。親機がIEEE802.11acに対応しているのであれば親機と中継機を5GHzで、親機が11n対応なら中継機との接続は2.4Hzにして子機との間に5GHzを使うといいだろう。
SSIDの設定情報はEX6120の設定画面からも確認できる
親機との接続には5GHz、子機とは2.4GHzと帯域を明確に使い分けるFastLaneモード
無線LANがつながらなかった場所でもFireTVを利用可能に
中継機の設置場所だが、理想は、親機との見通しがいい場所だ。
たとえば、自分の部屋のテレビ付近の通信環境を改善したいからと言って、テレビの近くに設置しても効果はあまり期待できない。この場合、テレビと中継機の間の電波環境は良好だが、中継機と親機の間の通信環境は以前とほとんど変わらないからだ。
このため、たとえば自分の部屋の扉の外、廊下などのコンセントに接続するのがオススメとなる。廊下や階段は、中間に壁やドアなどの遮蔽物も少なく、親機との間の通信環境も改善しやすいことになる。
あまり厳密にテストを繰り返す必要はないが、2から3の候補を考えて、それぞれのポイントに中継機を設置して、Fire TVで動画を再生し、どのポイントが快適かを判断するといいだろう。
廊下や階段など、親機との見通しがいい場所に設置すると効果的
実際、木造3階建ての戸建て住宅の1階に、低価格なIEEE802.11ac準拠(866Mbps対応)の無線LANルーターを設置し、3階のもっとも遠い場所に設置したテレビにFire TVを設定してみたところ、そのままでは範囲外となり接続できなかった。
無線LANルーターに直接接続しようとしても「範囲外」で接続できない
この環境で、3階の階段の踊り場にEX6120を設定したところ、以下の画面のようにAmazon Fire TVからは「最強」という表示で無線LAN環境に接続でき、動画の再生やアプリの利用が問題なくできた。
テレビの設置してある場所に無線LANの電波が届かない、もしくは届くものの十分な速度が出ないという場合は、効果が期待できるだろう。
EX6120をFastLaneモードで設定。FireTVとEX6120の間は2.4GHz、EX6120と親機の間は866Mbpsの5GHzで接続しところ、快適に使えるようになった
スマートフォンやPCも快適に
もちろん、EX6120はFire TVのためだけの機器ではない。スマートフォンやタブレット、PCなど、無線LANを利用する機器であれば、改善された電波状況と高速な通信のメリットを享受することができる。
EX6120は、セットアップ時に親機に設定されている無線LAN接続用のパスワードをそのまま引き継ぐことができるので、接続先のSSIDを変更するだけで中継器経由での接続に切り替えることが可能だ。
また、EX6120には10/100Mbpsに対応した有線LANのポートも搭載されている。このポートを利用すれば、テレビやレコーダーなど、有線LANにしか対応していない機器を無線LANで接続することが可能になる。
Amazon Fire TVだけでなく、家庭内のさまざまな機器の無線LAN環境を改善することにも役立つので、バンドルモデルはもちろんのこと、EX6120単体での購入も検討する価値があると言えそうだ。
関連リンク
- EX6120 製品情報
- http://www.netgear.jp/products/details/EX6120.html
- キャンペーンページ
- https://www.amazon.co.jp/b?node=4752575051&tag=impresswatch-6-22
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