ついに国内投入されたネットギアの11acルーターを試す。
高いパフォーマンスを実現したDraft11ac対応機
ネットギア「NETGEAR R6300(R6300-100JPS)」
2013.11.1 清水理史
国内投入された「v2」
ネットギアから、Draft11acに対応した無線LANルーター「NETGEAR R6300」が登場した。
同名の製品は、昨年(2012年)5月という非常に早い段階で米国で販売され話題になったが、今回、日本に投入されたのは、米国では「R6300v2」として販売されている最新モデル。
もしかすると、型番やデザインを目にして、「ん?」と思った人もいるかもしれないが、国内版のR6300は、「v2」と明記されてはいないものの、ハードウェアの刷新でパフォーマンスアップが図られた最新モデルとなっている。
なお、旧R6300v1は国内投入されなかったため、参考情報となるが、今回のR6300(v2)での変更点は以下の通り。
- 600MHzシングルコアCPUから800MHzデュアルコアCPU(Broadcom)に変更
- メモリサイズを128MBから256MBに倍増
- HDDなどのストレージ共有用に新たにUSB3.0ポートを搭載
- アンテナ技術の改良でより幅広い範囲への通信に対応
現状、国内でもDraft11ac対応無線LANルーターが各メーカーから発売されているが、これらの製品と比較しても遜色のないスペックの製品として、国内投入されたことになる。
スタイリッシュなデザイン
それでは、製品をチェックしていこう。まずは外観だが、デザインとしては非常にスッキリとした仕上がりになっている。
正面から見るとほぼ正方形で、光沢のあるピアノブラックに仕上げられたデザインはいわゆる通信機器とは少し違った印象で、中央で光るNETGEARのロゴと底面のゴールドのラインが高級感をうまく演出している。
サイズ的には、191×198.5×65mmと、決してコンパクトではないものの、壁際に設置した場合、正面から見る限り、あたかも薄いパネルのように見え、大きさをあまり感じさせない。アンテナ内蔵ということもあり、海外製品らしい独特の雰囲気を持った製品と言えるだろう。
インターフェイスは右側面と背面に集中しており、右側面はUSB2.0×1と、Wi-FiのON/OFFボタン、WPSボタンを配置。背面には、USB3.0×1、すべてGigabit対応のLANポート×4、WANポート×1、電源ボタンおよびACアダプタ用の接続口が用意される。本体は、側面から見ると、少し後ろ側に傾くように斜めに設置されるようになっているが、インターフェイスが下方に集中しているおかげで、ケーブルの重みなどで不安定になることもない。デザインを重視しながら、うまく実用性のバランスも取っている印象だ。
多機能なのに使いやすい
機能的には、USB3.0ポートが搭載されていることからも分かる通り、なかなか豊富だ。
無線LAN部分は、前述した通りDraft11acに対応しており、5GHz帯で最大1300Mbpsの通信を可能にしている。もちろん、2.4GHzの同時通信にも対応したデュアルバンド製品となっており、2.4GHz帯のIEEE802.11nでは最大450Mbpsでの通信を可能にしている。このほか、QoSやBroadcomチップならではのビームフォーミングにも対応している。
USBポート関連では、2つのポートに接続したUSBメモリやHDDを利用してファイルを共有したり、DLNA対応のテレビやゲーム機にメディアを配信することが可能になっているほか、USBプリンターの共有にも対応している。
セキュリティ機能も充実しており、ゲスト用のアクセス環境を個別に用意したり、OpenDNSを利用した無料のWebフィルタリング(ペアレンタルコントロール)も利用可能となっている。
現状、Draft11ac製品は、機能よりもスピードを重視した製品が多く、付加的な機能が省かれている製品も少なくない。これに対して、R6300は、同社が従来からルーター製品に搭載してきたいろいろな機能が、そのまま搭載されている。これなら、従来モデルのユーザーも躊躇なくリプレイスすることができるだろう。
また、多機能なだけでなく、これらの機能を手軽に使えるように工夫されているのも本製品の特長の1つだ。NETGEAR Genieと呼ばれるグラフィカルなユーザーインターフェイスが搭載されており、設定画面にアクセスすることで、初期設定や各種機能を簡単に設定することができる。
実際、初期設定については、ほぼ自動的に実行されるようになっており、WAN回線に接続後、クライアントから設定ページにアクセスすることで、回線環境などを自動的に判別してセットアップを完了させることができる。
無線LANの設定に関しても、WPSでの自動設定が可能なのはもちろんだが、標準設定の暗号キーが覚えやすいのもNETGEARならではの特長だ。「GREATCHIR000」や「BREEZYTRUMPET000」など、一般的な単語と数字を組み合わせたものが設定されているため、本体底面に記載されている暗号キーを一度目にすれば、簡単に覚えることができる。
WPSに対応していない機器を接続する場合でも、呪文のような文字の羅列をにらみながら一文字一文字入力する必要はないだろう。
また、NETGEAR Genieに関しては、PC向けのデスクトップアプリやスマートフォン向けのアプリも用意されており、これらを使って手軽に設定を変更することもできる。前述したゲストネットワークを必要に応じてオン/オフしたい場合でも、手元のスマートフォンから簡単に設定できるのは便利だ。
パフォーマンスはトップレベル
最後にパフォーマンスについて検証してみた。木造3階建ての筆者宅の1階にR6300を設置し、1~3階の各フロアからiPerfによる速度を計測したのが以下のグラフだ。クライアントには、最大867Mbpsの通信に対応したMacBook Air 11と、NECアクセステクニカのDraft11ac対応機「AtermWG1800HP(コンバーターモードで動作)」を利用した。
結果を見ると、1300Mbpsでの通信時に、1階で600Mbpsオーバー、3階でも200Mbpsで通信できており、これまでのIEEE802.11nからワンランク上の実効速度が得られていることがわかる。これなら、高品質のストリーミングなども、ストレスなく、離れた部屋に伝送することができるだろう。MacBook Air 11を利用した場合でも、遜色のない値が計測できているので、最新のPCの接続にも最適だ。
続いて、Draft11acに対応したスマートフォン(GALAXY S4)でも値を計測してみた。こちらは、アプリをダウンロードする場合などを想定し、インターネット接続も含めた速度をSpeedtest.netで計測してある。
GALAXY S4はシングルストリーム対応で、最大速度は433Mbpsとなるため、先の結果よりも遅くはなるものの、1階で200Mbpsオーバー、3階でも100Mbps弱で通信することができた。スマートフォンでここまでスピードが出れば、アプリのダウンロードや更新などでストレスを感じることなく利用できるだろう。
以上、NETGEAR R6300を実際にテストしてみたが、最新のハードウェアに刷新されているだけあり、パフォーマンスは非常に高く、機能面、使いやすさを考えても、かなり優秀な製品と言ってよさそうだ。無線LAN環境のリプレイスを考えている場合は、ぜひ検討機種に含めるべき製品と言えるだろう。
(Reported by 清水理史)
関連リンク
- ネットギア ワイヤレス製品 ラインアップ
- http://www.netgear.jp/products/home/wirelesslan_ap