300+450Mbps対応でスマホからのアクセスもOK
デュアルバンドギガビットルーター「WNDR4300」
2013.3.11
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お手頃価格なのに多機能
2.4GHz帯は、スマートフォンやゲーム機でしか使わないし、そもそも混雑しているから300Mbpsで十分。速度が必要なPCは5GHz帯で使う。
そう割り切ることができるなら、ネットギアから新たに登場したWNDR4300は、なかなか良い選択肢だ。
ビックカメラでの専売というかたちになる本製品は、店頭予想価格で8,980円、おそらくポイント還元も含めると実質8,000円近くというリーズナブルな価格でありながら、IEEE802.11n/a/b/gに準拠した無線LANルーターで、最大300Mbpsの2.4GHz帯と最大450Mbpsの5GHz帯の同時利用に対応したデュアルバンド対応製品となっている。
同社製の無線LANルーターには、2.4GHz/5GHz帯ともに450Mbpsに対応した上位モデルのWNDR4500が存在するが、今回のWNDR4300は、WNDR4500とほぼ同等の機能を備えながら、2.4GHz帯のみを300Mbpsに抑え、リーズナブルな価格を実現した製品となっており、上位モデルと同等の機能や使い勝手を実現しているのが特徴だ。
スマートフォンやタブレット対応の機能も充実しており、設定用アプリである「NETGEAR Genie」を利用して無線LANルーターの設定を変更したり、本体のUSBポートに接続したストレージ機器にスマートフォンからアクセスすることなどが簡単にできるようになっている。
スマートフォンやタブレットを2.4GHz帯でカバーしつつ、PCで高速な5GHz帯を活用し、さらにUSBストレージをNASやクラウド的にも使えるという非常にコストパフォーマンスの高い一台と言えそうだ。
扱いやすさも合格点
それでは、実際の製品を見ていこう。まずは外観だが、上位モデルのWNDR4500に比べると若干小さくなったものの、サイズとしては高さ218×幅160×奥行き35mmと無線LANルーターとしては、若干大きめのサイズとなる。
デザインとしては、マットブラックのフレームにピアノブラックの本体が貼り付けられたようなイメージで、シンプルながら質感は高い印象だ。
インターフェイス類は、前面にWPS設定用のボタンと無線LANをON/OFFするボタンが搭載されており、背面にはUSB2.0ポート×1、すべて1000BASE-Tに対応したWAN×1とLAN×4のギガビットポートを搭載。電源をオン/オフするためのスイッチも搭載されている。無線LANや本体電源のON/OFFスイッチが搭載されているあたりが、他の製品との違いと言えそうだ。
扱いやすさに関しても特に問題のない印象だ。クライアントの接続に関しては、特別な設定方法は用意されていないものの、WPSを利用できるため、特に困ることはない。iOS搭載機は手動で接続設定するしかないが、Androidに関しては、最近ではWPSに対応した製品が一般的になってきているので、接続自体で困ることはないだろう。
■WPSでAndroid端末を接続する際の一例
余談だが、ネットギアの無線LANルーターでは、暗号化キーに「Calmmint000」や「Blacknest999」などのように、意味のある単語の組み合わせが採用されている。このため、本体に記載された暗号キーを覚えるのに、さほど苦労しない。細かな点だが、こういった工夫はなかなか面白い。
本体の設定に関しては、同社ならではの「NETGEAR Genie」と呼ばれる設定UIが採用されている。大きくシンプルなアイコンで表現された非常にわかりやすい設定画面で、ヘルプなども充実している。また、デスクトップ用アプリの「デスクトップ NETGEAR Genie」からも各種設定が可能だ。
なお、同様の機能はスマートフォンからも利用可能で、iOSやAndroid向けの「NETGEAR Genie」アプリを利用することで、SSIDや暗号キーの変更といった無線LANの基本設定を実行したり、ネットワーク上の機器をグラフィカルに表示するネットワークマップなどの機能を利用することができる。
また、ゲストネットワークの設定もスマートフォンから可能となっており、NETGEAR Genie アプリからの設定で、1時間だけゲスト用のSSIDを有効にするといった設定も簡単にできる。家庭での利用も便利だが、小規模なオフィスなどでは、こういった機能があると、来客用に重宝することだろう。
パフォーマンスも十分
気になるパフォーマンスだが、やはり450Mbps対応の5GHz帯を使えるメリットは大きい。以下は、木造3階建ての筆者宅にて、1階にアクセスポイントを設置し、各階からFTPの速度を測定した結果だ。クライアントに、同社製となる2.4/5GHzともに450Mbpsに対応したWNDA4100を利用した場合と、300Mbps対応のPC内蔵無線LANを利用した場合のそれぞれの結果を掲載してある。
USB接続のWNDA4100を利用した場合、アンテナの配置が最適化されたPC内蔵に比べると、長距離でのパフォーマンスが落ちるが、同一フロアの5GHzではPUTで最大195Mbpsを実現できている。PC内蔵では、最大速度が300Mbpsに抑えられてしまうものの、3Fでも50Mbps近い通信ができているので、かなり安定している印象だ。
なお、2.4GHz帯については、本体の設定で、最大速度が標準で20MHz幅の130Mbpsに固定されている。40MHz幅の300Mbpsに変更することもできるが、周囲の状況によっては自動的に20MHz幅に変更される仕様となっている。
最近では、スマートフォン向けの無線LANアクセスポイントが普及している影響で、2.4GHz帯の混雑が非常に激しくなっている。実際、テストしてみた限りでも、40MHz幅を有効にしても、300Mbpsでリンクされることがほぼなかったため、標準の20MHzのままで運用するのが無難だろう。
USBストレージをスマートフォンから活用可能
このように、無線LAN環境として十分な実力を備えたWNDR4300だが、このほか特徴的な機能としては、背面のUSBポートを利用することで、簡易NASやクラウドストレージ的な使い方も可能となっている。
FAT32でフォーマットしたUSBストレージを装着すると、「\\readyshare」というUNCでネットワーク上のPCからアクセスすることが可能となり、ネットワーク上でファイルを共有したり、データのバックアップ先として活用することができる。OSXのTime Machineにも対応しているので、オマケと言うにはもったいほどの多機能さだ。
Crystal Disk Mark 3.0.1cの結果もシーケンシャルで12MB/s前後と無線LANルーターの付加機能として十分なレベルだ。安くなった120GBクラスのSSDなどをUSBで接続しておくと、ファイルのやり取りや家族で共有したい写真の保存などに役立つだろう。
また、メディアサーバーとしての機能も同時に有効になるため、DLNA対応の家庭用テレビなどはもちろんのこと、スマートフォンやタブレットのDLANクライアント(NETGEAR Genie アプリでも可)から写真や音楽などを再生することができる。
さらに、リモートからのアクセスにも対応しており、同社が提供する「ReadySHARE」サービスのアカウントを取得してから、設定を有効にすると、インターネット経由でもUSBストレージのデータにアクセスすることが可能となる。
Windows向けのクライアントだけでなく、iOS(無料)やAndroid(236円)も提供されており、外出先から手軽にUSBストレージに保存したデータを表示、ダウンロードしたり、逆にスマートフォンで撮影した写真などをUSBストレージにリモートから保存することなどができる。
この機能は、2014年9月までは無料で利用できるサービスとなっているので、今のうちに、ぜひ活用しておきたいところだ。
多機能でお買い得な製品
以上、ネットギアから新たに登場したWNDR4300を実際に使ってみたが、スマートフォンやタブレットで2.4GHz帯、PCで5GHz帯と、最適な帯域を使い分けることができるうえ、LAN上でのファイル共有やプライベートなクラウドストレージとしても使える。
ネットギアの無線LANルーターは、国内ではまだ馴染みが薄いが、さすがに世界でもまれてきた製品だけあって、機能的にはかなり充実している。もはや、とっくに限界を迎えている2.4GHzから、せめてPCを逃がすという目的だけでも、十分に購入を検討すべきだが、それ以上の付加価値を得られる点を考えても、お買い得な製品と言えそうだ。
(Reported by 清水理史)
関連リンク
- ネットギア WNDR4300 製品情報
- http://www.netgear.jp/products/details/WNDR4300.html
- WNDR4300 販売ページ
- http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/catalog/detail.jsp?JAN_CODE=0606449091489