外出先からのアクセスや音楽/動画のストリーミングもOK
スマホやタブレットからReadyNASを活用
2013.1.28
マルチデバイス時代のデータハブとなるNAS
今や私たちの生活にもっとも身近なデバイスとなってきたスマートフォンやタブレット。メールやSNSなどの利用はもちろんのこと、ちょっとした調べ物に使ったり、ゲームや電子書籍を楽しんだりと、いろいろな用途に、しかも手軽に使えることから、広く普及している。場合によっては、PCよりも、使う機会が多くなってきたという人も少なくないだろう。
しかし、このような便利なデバイスが登場したおかげで、ある問題点もクローズアップされるようになってきた。マルチデバイス環境ならではのデータ分散の問題だ。これまでPCに保存してきた写真や文書、スマートフォンやタブレットで新たに撮影した写真など、さまざまなデバイスに個別にデータが保存されるようになったことで、データを整理したり、使いたいときに欲しいデータをすばやく探し出すことが難しくなってきた。「あの写真どこに保存したっけ?」などと迷う機会が、確実に以前より増えていると感じている人も少なくないことだろう。
もちろん、スマートフォンやタブレットでは、データをクラウドに保管することが一般的になっているため、すべてのデータをクラウドに集約するのも1つの手だ。しかし、PCに保存されている大量の写真や音楽、大容量のビデオまで、すべてクラウドに集約するとなると、時間もかかるうえ、容量制限の問題もあり、まだまだ現実的とは言えない。
そこで利用を検討したいのが「NAS」だ。高速なLANや無線LANでアクセスできる数TBのストレージとなるNASを家庭内に設置し、ここにPC、スマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスのデータを集約しておけば、データを一カ所で効率的に管理できる。
これまでNASはPC向けのストレージと考えられてきたが、NETGEARのReadyNASシリーズに搭載されている「ReadyNAS Remote」や「ReadyDLNA」などのように、スマートフォンやタブレットからNASのデータにアクセスできる機能も一般的になってきたことで、単純なデータの倉庫としてだけでなく、マルチデバイス向けのデータハブとして進化しつつある。
最近では、社員が所有するスマートフォンやタブレットを業務に活用する「BYOD(Bring Your Own Device)」の考え方が広がりつつあるが、NASを利用すれば、簡易的ではあるものの、このような環境を小規模なオフィスなどでも手軽に構築することができる。その具体的な活用方法をNETGEAR ReadyNAS Duo v2(以下ReadyNASと省略)を例に見ていこう。
LAN/WANも区別せずに利用できる「ReadyNAS Remote」
スマートフォンやタブレットから、ReadyNASにアクセスする方法はFTPやWebDAVなどいくつかあるが、もっともカンタンなのは「ReadyNAS Remote」を使う方法だろう。
「Remote」という名前の通り、基本的には外出先の端末から自宅や社内のReadyNASにリモートアクセスするための機能だが、自宅や社内の無線LANに接続した状態で利用すれば、WANを経由せず、直接、スマートフォンやタブレットからReadyNASにアクセスすることができる。
つまり、利用場所や回線環境を意識せずに、スマートフォンやタブレットからReadyNASのデータにアクセスできる汎用的な方法として使えるわけだ。
ReadyNAS Remoteは、ReadyNAS Ultraなどの上位モデルではアドオンとして提供されており、自分で機能を追加する必要があったが、今回利用したReadyNAS Duo v2では標準の機能として組み込まれており、より手軽に使えるように工夫されている。
実際に利用するには、あらかじめ「https://remote.readynas.com/」でメールアドレスなどの情報を入力してユーザー登録する必要があるが、アカウントさえあれば、設定画面からReadyNAS Remoteを有効化し、アカウントのメールアドレスでサービスにログインし、アクセスを許可するユーザーを指定するだけでいい。ルーターのポートフォワードやDynamicDNSの設定など一切必要なく、わずか3ステップで設定は完了だ。
スマートフォンやタブレットからのアクセスには、専用のアプリを利用する。Android、iOSともに、「ReadyNAS」などのキーワードで検索すれば、すぐに「ReadyNAS Remote」アプリを探し出すことができるので、ダウンロードしてインストールしておこう。
スマートフォンやタブレットからのアクセス方法も、ReadyNAS側の設定と同じくとてもカンタンだ。アプリを起動後、ReadyNAS側でアクセスを許可したユーザーアカウントとパスワードを指定してログインすれば、一覧にReadyNASが表示され、そこからReadyNAS上のCIFSのアカウントを指定すると(初回のみ)、実際に共有フォルダにアクセスできる。
アプリでできる操作は、基本的にファイルのダウンロードとアップロードとなっており、iOS版ではファイルのプレビューとカメラで撮影した写真の直接アップロードにも対応している。
自動アップロードや同期の機能は搭載しておらず、複数枚の写真をまとめてアップロードできないなど、機能的には基本的なアプリとなっているが、多機能ではないがゆえに、かえって運用がシンプルでわかりやすい。利用ユーザーのスキルレベルがまちまちな小規模オフィスなどで利用する場合は、使い方の教育に時間がかからないため、むしろ導入しやすいだろう。
このようなReadyNAS Remoteの利用により、ReadyNASは、PCだけでなく、スマートフォンやタブレットのためのデータ保存先として使えるようになり、本体ストレージの制約にしばられることなく、たくさんのデータを扱うことができるようになる。また、PCとスマートフォン、タブレットの間で、データを自由にやり取りできるようになる。PCで作成した今までのデータ資産をスマートフォンやタブレットでも有効に活用できるだろう。
ReadyDLNAで外出先でもメディアを再生
もしも、ReadyNASに保存されているデータの中に、写真や音楽、映像といったメディアが大量に含まれているのであれば、ReadyDLNAを利用することで、これらのメディアをスマートフォンやタブレットからより活用することが可能だ。
ReadyDLNAは、音楽、画像、映像などのメディアをネットワーク上のDLNA対応機器に配信するための機能だ。ReadyNAS Duo v2では、標準で機能が有効になっており、ReadyNAS上に作成済みとなっている「media」フォルダにデータを保存することで、自動的に配信できるようになっている。
Windows 7/8のWindows Media PlayerやDLNA対応のテレビなど、DLNA対応機器でデジタルカメラの写真を見るといった使い方に適しているが、スマートフォンやタブレットでも、「Twonky Beam」などのDLNA対応アプリを利用することで、同様にReadyNAS上のメディアを再生することができる。
映像に関しては、スマートフォンやタブレットが対応している形式のファイルしか再生できないので、汎用的なMPEG4などに変換しておくなどの工夫が必要な場合もあるが、映像や音楽であれば、何の苦もなくファイルを再生可能だ。
ここまでは他のNASでも使える一般的な機能だが、ReadyNASシリーズのReadyDLNAの特筆すべき点は、この機能を外出先でも使える点だ。前述したReadyNAS Remoteを有効にし、かつスマートフォンやタブレットに「ReadyDLNA」アプリをインスト−ルすると、ReadyNAS Remoteのアカウントを利用して、外出先からインターネット経由でReadyNAS上の写真や音楽、映像メディアを再生することができる。
WAN回線でも映像データをキャッシュしながらストリーミング再生するので、短時間で再生が開始されるうえ、スムーズな再生が可能だ。もちろん、ReadyNAS Remote同様、自宅やオフィスの無線LANに接続すれば、WANを経由せずに直接アクセスできるため、より高速な再生が可能だ。
NASによっては、LAN上からのアクセスとWAN経由でのアクセスで、アプリそのものを使い分けたり、2つの接続先を登録して意識しながらつなぎ分ける必要があるが、ReadyNASでは、ReadyNAS Remoteのしくみを利用して、LANもWANもシームレスに扱えるのが特徴となる。こういった使いやすさは、NETGEAR製品ならではの特徴と言えるだろう。
スマートフォンやタブレットにこそNASを
以上、NETGEARのReayNASシリーズに搭載されているReadyNAS RemoteやReadyDLNAをスマートフォンやタブレット向けに使う方法を紹介したが、実際に使ってみると、PC、スマートフォン、タブレットのどの端末を使っているときでも同じデータを扱えるうえ、どこからでもデータにアクセスできるメリットは大きいと感じた。
ReadyNAS Duo v2の場合、これらの機能が標準のファームウェアにビルトインとなっているため、設定も非常に簡単だ。スマートフォンやタブレットで使うことを前提にNASを選ぶのであれば、この機種を選ぶといいだろう。
もしかすると、もっとアプリが多機能であることを望む声もありそうだが、前述したように、企業で使う場合などは、むしろシンプルであるメリットがあるうえ、実際に使っていると現状の機能でも十分とも言える。もちろん、今後、機能が強化されることも十分に考えられるので、期待したいところだ。
今後、ReadyNAS RemoteやReadyDLNAなどの機能を中心として、スマートフォン・タブレット時代のストレージとして、ReadyNASがどのように進化していくのかを楽しみにしたいところだ。
(Reported by 清水理史)
関連リンク
- ネットギア ホーム向けNAS 製品情報
- http://www.netgear.jp/products/home/storage
- レビュー】新ファームで機能は上位モデルと同等に。価格もお買い得になった「Ready NAS NV+ v2/DUO v2」
- http://www.watch.impress.co.jp/netgear/review22/