NETGEAR Space

Review
ボックススイッチやNAS、さらにはシャーシスイッチまで

コストパフォーマンスに優れたネットギアの10Gソリューションに迫る

 

中小規模でも求められる高速化、大容量化

10G環境への移行を検討している場合は、徐々にネットワーク規模をステップアップできるような構成にすることが望ましい

増え続けるデータ、集中するアクセス、その一方で要求が厳しくなる安定性や信頼性、そしてコストダウンのニーズ……。

データの大容量化やリアルタイム化、サーバーの仮想化、クラウドの活用といった現在のIT環境のトレンドは、すでに大企業だけではなく、中小規模の現場にも広がりつつあり、それに伴ってネットワーク環境の見直しがさかんに行なわれるようになりつつある。

中でも、今後、より一層広がりを見せそうなのが10G環境の活用だ。これまで、10Gbpsのネットワークというと、主に通信事業者やデータセンター、基幹ネットワークの一部などで利用されるイメージが強かったかもしれないが、中小規模環境向けのボックススイッチやNASなどの対応が進んできたうえ、低価格なシャーシスイッチの登場などによって、中小規模の企業のコア、サーバーやNASの接続向けとしても、利用できる環境が整いつつある。

ネットギアは、このような中小規模の10Gソリューションに積極的に取り組んでいる代表的なメーカーの1つだ。もともと、中小規模のネットワークをターゲットとしたコストパフォーマンスの高い製品を展開してきた同社だが、現状の製品ラインナップには10G対応製品が数多く取りそろえられており、スイッチやNASなどの10G環境をリーズナブルに構築可能となっている。

前述したように、今や中小の現場でも、大容量のデータをリアルタイムに扱う機会が増えつつあるうえ、仮想化によるサーバー統合などによって、もはやギガビット環境にでは限界が訪れつつあり、どのように10G環境へと移行すれば良いのかを検討しなければならないタイミングに来ている。具体的に、ネットギアの10G製品を見ながら、規模ごとの構築例を見ていこう。

ケース1:小規模環境にGS752TXSを導入しサーバーとNASを10Gで接続する

まずは、小規模な環境、もしくは中規模のネットワークのサーバー回りのネットワーク環境について考えていこう。

数十規模のクライアントとNAS、仮想化されたサーバーなどで構成されるケースで考えたいのは、やはりサーバーやNASの10G化だろう。NAS上のiSCSIのターゲットをストレージとして、仮想化によって統合された複数のサーバーを運用する場合、サーバーとNASの間のパフォーマンスを確保する必要があるうえ、サーバーへのアクセス集中にも備える必要がある。

10G対応48ポートギガビットスタッカブルスマートスイッチ「GS752TXS」

このような場合に適しているのが、ネットギアの10G対応48ポートギガビットスタッカブルスマートスイッチ「GS752TXS」だ。449,400円というリーズナブルな価格設定ながら、48ポートのギガビットポートに加え、4つの10G対応SFP+スロットを搭載したスマートスイッチとなっており、サーバーやNASを手軽に10Gで接続することが可能となっている。

4つのSFP+スロットのうち外側の2ポートは、サーバーなどの接続だけでなく、スタック用のアップリンクポートとしても使用可能になっており、別売りのダイレクトアタッチケーブルを使って接続することでポートを拡張したり、自動フェイルオーバーによる冗長性確保できるようになっている。

WebベースのUIによって、VLANの構成なども手軽にできるうえ、PC用のユーティリティによって複数台のGS752TXSを管理することも可能になっているため、導入設定や管理も簡単だ。ライフタイム保証によって、長期間安心して使えるのも大きなメリットだろう。

10Gと聞くと、コストが心配になるが、サーバーとNASなどの最低限の機器のみを10Gで接続するのであれば、GS752TXSとサーバーやNASの10Gカード、ケーブル類など、数十万円規模の投資のみで済むだろう。

ケース2:XSM7224Sで中規模環境の中心をフル10G化

複数のフロアにオフィスが広がる中規模の環境の場合であれば、フル10Gの24ポートL2+スタッカブルフルマネージスイッチ「XSM7224S」の利用を検討したいところだ。

10G対応のSFP+×24ポート(うち4ポートはRJ45の10Gポートとのコンボ)を搭載し、1.59マイクロ秒のレイテンシを実現したフルマネージスイッチだ。すべてのポートを10Gで利用できるため、このスイッチを中心にサーバーやNASなどを接続し、さらに各フロアのエッジに前述したGS752TXSを接続することで、より大きな規模の10Gのネットワークを構築することができる。

価格は1,953,000円となるが、スタック機能によってボトルネックのない80Gbpsのネットワーク環境を構築することができたり(最大4台接続)、L3アップグレードライセンスの追加購入でIPv6ダイナミックルーティングなどの機能を利用可能にできたり、データセンター向けの筐体設計でサーバーと同じエアフローを実現するなど、高い完成度を備えた製品となっているのが特徴だ。

また、シリアルケーブルを利用したコンソールコマンドによる設定とWebUIの2種類の設定方法に対応しており、コマンドによる高度な設定とWebUIによるわかりやすい設定のどちらでも使えるようになっている。

前述したGS752TXSを使った小規模構成から、10Gネットワークを拡張したい場合にも最適な製品と言えるだろう。

10G 対応 24ポートL2+スタッカブルフルマネージスイッチ「XSM7224S」24のポート全てで10G対応するほか、最大4台までのスタックが可能。スタックの設定等も含めWebブラウザから設定できる
ケース3:XCM8800シリーズをコアに据えた大規模環境も構築可能

最後に、さらに規模の大きな環境について見ていこう。この場合、やはりさまざまなモジュールを組み合わせて利用できるうえ、電源などの拡張性や冗長性に優れたシャーシスイッチの「XCM8800シリーズ」と組み合わせるのが適している。ケース2のように、XSM7224SとGS752TXSを組み合わせた環境をXCM8800シリーズに収容することで、より高度な10Gネットワークを構築することができる。

実際、XCM8800シリーズの6スロットモデル「XCM8806」を中心として、以下のようなネットワークの構成方法をネットギアジャパン合同会社 プリセールスエンジニア 渡部敏雄氏の協力のもとに見せてもらったが、簡単な構成であれば意外に簡単に構築できることに感心した(デモ用の構成のため意図的に2つのVLANでルーティングを構成。実際の企業などでの構成例とは異なる点に注意)。

今回の例では、最初に「GS752TXS」の10Gポート×2を利用し、2台のGS752TXSをスタック接続した。これにより、片方のGS752TXSがマスターとなり、2台のGS752TXSを片方からシームレスに扱えるようにする。前述したようにGS752TXSは、10Gの2ポートがスタック用となっているため、つなぐだけで手軽にスタックできるのが特長だ。

GS752TXSをスタック。10G×2で接続、冗長性を確保しケーブルの障害などにも配慮

続いて、Windows Server 2008R2をインストールしたサーバーを接続した。PCI Expressスロットにインテル製の10Gボードが搭載されており、これをオプションのダイレクトアタッチケーブルでGS752TXSに接続。この段階で、GS752TXSにPCからアクセスし、設定画面からVLANを設定した。

サーバーをGS752TXSに接続。仮想環境などを構築したサーバーも10Gで繋げば快適

その後はNASを構成だ。NASには、今回、10Gに対応した12ベイのReadyNAS 4200を利用した。本体のカバーを開け、PCI Expressスロットにオプションの10Gカードを装着すれば、自動的に10Gを利用できるようになる。今回は、これをXSM7224Sに接続し、コマンドやWebUIを利用してIPアドレスやVLANを構成した。

オプションのカードで10Gに対応可能なReadyNAS 4200。iSCSIなどで仮想環境のディスクとして使うのに最適
NASはフル10GのスイッチXSM7224Sに接続
最後にGS752TXSとXSM7224SをXCM8806に収容。設定はコンソール経由となる

最後に、GS752TXSとXSM7224Sの両方をシャーシスイッチのXCM8806に接続。XCM8806はコンソール経由でコマンド設定が必要になるものの、ヘルプなどを見ながら「create vlan……」などのようにコマンドを入力していくことで、VLANの構成やルーティングを有効化した。

コマンドや書式などに慣れは必要だが、今回のような単純なネットワークであれば、ケーブルの接続などを含めても数十分程度で設定が可能と言える。この手軽さもネットギアの10G対応製品の魅力と言えそうだ。

段階的な導入を検討しよう

以上、ネットギアの10G対応製品のケース別の構成例や実際の構築方法を紹介した。機器の組み合わせや設定については、実際の企業の規模や状況によって異なるかもしれないが、サーバーやNASなどの一部の機器の10G化といったニーズから、段階的な拡張を経て、比較的大きな規模のネットワークにもリーズナブルな価格の製品で対応できるのは、ネットギアならではの特長だ。

今回は詳しく取り上げなかったが、パフォーマンスやサポート面でのアドバンテージもあることを考えると、とりあえずサーバーやNASなどの基幹部分から10G化にチャレンジしてみるメリットはある。その上で、段階的に規模を拡大していくといいだろう。

ネットワークの帯域についてはモバイル環境の話が話題になりがちだが、社内のネットワークについても、そろそろ対応をはじめる時期にさしかかっている。ネットギアのネットワーク機器で、10Gへの移行に挑戦してみてはいかがだろうか。

(Reported by 清水 理史)

製品情報

■XCM8800シリーズ 10スロットシャーシスイッチ
http://www.netgear.jp/products/details/XCM8810.html
■XCM8800シリーズ 6スロットシャーシスイッチ
http://www.netgear.jp/products/details/XCM8806.html
■NETGEAR スイッチ製品一覧
http://www.netgear.jp/products/business/switch