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使いやすく、確かな品質のネットワーク機器を、中小企業やホームユーザー向けにリーズナブルな価格で提供してきたネットギア。そんなネットギアから、同社初となるシャーシ型スイッチ「XCM8800シリーズ」が登場した。
これまでSMB市場向けの製品が多かった同社だが、本製品の登場によって、より大規模なネットワークにも対応できるラインナップが整ったことになる。ネットギアジャパンのプリセールスエンジニア 渡部敏雄氏に話を伺ったところ、「XCM8800シリーズには、これまでのSMB市場で培ってきたノウハウが詰め込まれた製品になっています」とのことで、単純なハイエンド製品ではなく、同社ならではの特徴を持った製品に仕上がっているようだ。
そもそも、シャーシ型スイッチとは、文字通り、大型のシャーシにさまざまなモジュールを搭載することができる製品だ。単純に多くのネットワークを収容できるだけでなく、コアモジュールや電源モジュールなど、各モジュールを2個以上搭載することで、ハードウェアを冗長化し、障害発生時の切替などを行なうことができる。
今回、同社から登場したXCM8800シリーズは、6スロットモデルの「XCM8806」と10スロットの「XCM8810」がラインナップしているうえ、後述するさまざまなモジュールが用意されており、中堅のコアネットワークでの利用やデータセンターなど、さまざまなシーンでの利用が可能となっている。
では、なぜ今回このような製品を投入したのだろうか? 渡部氏によると、「今回のXCM8800シリーズは、わかりやすく言えば、『機能的にはSMB、でも大容量』といった製品と考えていただけると良いと思います」という。
「弊社は、これまでのボックス型スイッチなどでも、比較的コストパフォーマンスに優れた製品を販売してきました。これは、現場が必要とする機能を見極め、絞り込むことで、コストを押さえてきた結果と言えます。この発想をシャシー型スイッチにも当てはめたのが、今回のXCM8800シリーズです(渡部氏)」とのことだ。
確かに、同社のネットワーク機器やNASのラインナップを見ると、価格の割りに多機能な製品が目立つ。たとえば、以前に取り上げたProSafe Plusスイッチなどは、通常のギガハブに数千円追加する程度の価格でVLANなどの管理が可能になっている。プロ向けの製品をSMBやコンシューマー市場に落とし込む、という点では、確かに高い実績がある企業というわけだ。
渡部氏によると、「たとえば、今回のXCM8800シリーズでは、MPLS(ラベルスイッチング)などの機能が省かれています」という。シャーシ型スイッチは、キャリアのバックボーンや広域イーサの構築などに利用されることがあるが、こういった用途のシャーシ型スイッチと真っ向から競合する製品ではないというわけだ。
同社は、ボックス型のスイッチで、すでに多くの企業ユーザーを抱えているが、これらの企業が成長する上でのネットワーク上の課題などを分析した結果、必要な機能を絞り込んだ今回のXCM8800シリーズが誕生したのだろう。
では、もう少し、具体的にどのような用途を想定しているのだろうか? 渡部氏によると、「たとえばフロアをまたがって構築するような大規模なネットワークの中核として利用したり、データセンターの各ラックのネットワークを収容するといった用途を想定しています」という。
確かに、単純に規模が大きいネットワークを構築するのであれば、高度なネットワーク機能は必ずしも必要ない。必要な機能に絞り込んだうえで、コストを下げられる方がメリットは大きいわけだ。
「また、弊社の10G対応NASなど、高速なストレージ機器の接続にも適しています(渡辺氏)」という。同社製のReadyNASシリーズには、「ReadyNAS 4200」などのように10G対応の製品がラインナップしている。こういった製品を複数接続したり、既存のサーバーと組み合わせたり、仮想環境を構築するといった場合に適していると言えそうだ。
「このほかPoEモジュールを組み合わせてIPフォンの環境を構築するのにも適しています(渡部氏)」とのことだ。このように、今回のXM8800シリーズには、以下のようなモジュールが提供されており、これらを組み合わせて利用することができる。
以上、新たに登場したネットギアの「XCM8800シリーズ」の概要を紹介したが、中堅企業のコアスイッチとして利用したり、IPフォンなどを含めたエンタープライズ向けの高密度アクセスレイヤとして利用するのに適した製品と言える。
コスト的にも、シャーシ本体が6スロットのXCM8806で92万4000円、10スロットのXCM8810が138万6000円となっており、スーパーバイザーモジュールが187万3500円、48ポートの10/100/1000BASE-Tモジュールが187万3500円、電源装置が71万4000円(いずれも税込)となっており、一般的なシャーシスイッチと比べてリーズナブルな価格設定となっている。
しかも、これらの製品には、3年間の無償製品保証が標準で添付されている。このあたりも、1年の無償保証+有償の延長保証という形態が多い他社製品に比べて、コスト的に有利なポイントと言えるだろう。
同社の渡部氏は、「弊社の製品よりも、多機能で高価な製品は存在しますが、機能を使いこなせない場合、結果的に使わない機能に対して投資することになります。利用する機能や用途が明確であれば、必要な機能に絞り込んだ弊社のXCM8800シリーズに投資した方が結果的にコストを押さえることが可能となります」と語る。
ネットワーク機器は、投資に対する効果が見えにくい製品となるため、導入の決済が得にくい場合があるが、XCM8800シリーズであれば、このようなコスト面から購入決済を有利に進めることができそうだ。既存のネットワークの再構築や機器のリプレースなどでも、コスト減に繋がるケースがあるので、導入を検討してみてはいかがだろうか。
(Reported by 清水理史)