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数年前に導入したまま、その後、特に何もメンテナンスしていない……。
PCやサーバー、プリンターなどの環境と異なり、意外と放置されがちな有線LAN環境。中小企業の現場などでは、光ファイバーなどのブロードバンド環境の導入時のまま何年もメンテナンスされずに使い続けている場合も珍しくないだろう。
しなしながら、その一方で、ネットワークへの依存度は数年前に比べて飛躍的に高まっている。NASを利用してファイルを共有したり、メールやカレンダー、グループウェアなどのサービスを利用したり、さらにはSFAや会計など、企業の基幹業務にクラウドサービスを利用するなどというのは、もはや企業にとって当たり前の光景だ。
このように、上位層のサービスへの依存度が高まる中、これまで放置されがちだったネットワーク環境を見直す動きが高まりつつある。NASやクラウドサービスを快適に、そして安定して利用するには、その基盤となるネットワークのパフォーマンスや安定性が重要になる。そのために、古くなった有線LAN環境を最新のスイッチなどを利用してリプレースしようというわけだ。
実際、古くなった有線LAN環境は、以下のような目には見えないさまざまな課題を抱えている可能性が高い。
このような課題を改善し、クラウド時代にふさわしいネットワーク環境を整えることが、これからの時代に求められているというわけだ。
それでは、それぞれの課題についてもう少し詳しく見ていこう。まずは、パフォーマンスの問題だ。
現状、PCやNAS、サーバーなど、ほとんどの機器は1000Mbpsの通信が可能な1000BASE-T(ギガビットイーサネット)に対応している。しかしながら、環境によってはハブが古く、100BASE-TXまでしか対応していないケースがあったり、ルーターなどの通信機器に内蔵されている100BASE-TXのハブを使っているケースなどがある。
このような環境では、せっかくPCやNASが1000BASE-Tに対応していても、遅いハブによって100Mbpsにまで速度が制限されてしまうことになる。具体的に、どれくらいパフォーマンスに差が出るのかをテストしたのが以下のグラフだ。
PCとサーバーを1000BASE-Tのスイッチ(NETGEAR ProSafe plus GS108E)と古い100BASE-TXのハブにそれぞれ接続し、FTPによる速度を比較したものだが、やはり圧倒的に1000BASE-T環境の方が速い。
実際、NASに大きなファイルの読み書きを行なった場合でも、1000BASE-T環境では待ち時間が数分の一程度で済む。社内のデータをNASに保存してネットワーク経由で共有するといったケースでは、作業効率に大きな違いが出るのは明らかだ。最近では100Mbps以上の通信速度を持つ光ファイバーサービスも一般的なので、インターネット上のクラウドサービスを利用する場合も、1000BASE-T環境の方が快適だ。
もちろん、すでに1000BASE-T環境を導入済みという場合もあるかもしれないが、複数台あるハブのうちの何台かがが100BASE-TXのまま残っているケースも少なくない。このようなハブがボトルネックになっている可能性もあるので、この機会にオールギガビットの環境への移行も検討すべきだろう。
続いて、消費電力の問題について見ていこう。ハブやルーターなどのネットワーク機器は、基本的に24時間365日、常に稼働した状態で利用する。このため、単体ではわずかな消費電力の違いでも、トータルで見ると大きな違いになる。
実際、NETGEARの「ProSafe Plusスイッチ」のような最新のスイッチでは、環境に配慮した設計がなされており、ポートの使用状態や接続されているLANケーブルの長さを検知して自動的に電力を調節することが可能となっている。これにより、数年前の製品と比べると大幅に消費電力が削減されている。
実際に、同じNETGEARの旧製品「GS108」(販売終了。現行品は消費電力5WのGS108v3)と消費電力を比較したのが以下のグラフだ。最大消費電力はGS108の17.5Wから、GS108Eではわずか4Wと大幅に削減されていることがわかる。
5年以上前に発売された古いハブの場合、メーカーや機種によって消費電力は異なるものの、おおむね10W以上の消費電力となる。これに対してGS108Eのような最新のスイッチは、半分以下の消費電力で済むというわけだ。
環境によっては複数台のハブを利用している場合もあるが、こういったケースでは、1台のスイッチへと統合することで、さらなる節電効果も期待できる。特に、数年前、1000BASE-Tが登場した当初は、ポート数の多いハブが高価だったこともあり、4ポートのハブを複数組み合わせてネットワークを構築していた例も少なくない。こういった環境であれば、8ポートのGS108E、もしくは16ポートのGS116E(最大消費電力10.24W)、さらには24ポートのJGS524E(16.6W)を利用し、低消費電力なスイッチ1台の環境に移行することで、より大きな省電力効果が期待できるだろう。
なお、NETGEARのスイッチは、省スペースなことでも有名で、8ポートのGS108Eのサイズは幅158mm×奥行き105mm×高さ27mmと、一昔前の4ポートハブよりもコンパクトなサイズになっている。リプレースによって、消費電力だけでなく、通信機器の設置スペースも大幅に節約できることになりそうだ。
古いハブから最新のスイッチへのリプレイスは、ネットワークの安定性にも大きく貢献する。
ハブは比較的単純な装置となるため、長期間利用できる機器だが、それでも故障と無縁ではない。実際、数年間利用すると、特定のポートが使えなくなったり、全体的に通信が不安定になるといったトラブルに見舞われることも珍しくない。
しかも、やっかいなことに、このようなトラブルは切り分けが難しく、非常に発見しづらい。たとえば、PCからインターネットへの接続が不安定であるといった場合、PCの不調、回線のメンテナンス、ルーターのトラブルなどは一般的にチェックするが、ハブの故障を疑う人はほとんどいない。このため、さんざん調べた結果、古いハブが原因だったという例も少なくないのだ。
特にコンシューマー向けの製品を利用している場合、このようなトラブルに見舞われる傾向も高くなる。たとえば、NETGEARの「ProSafe Plus」シリーズのように、企業向けに設計された製品の場合、ファンレス設計でありながら、動作保証温度が50度までと高くなっているが、コンシューマー向けの多く製品は40度までにしか対応していないため、環境によってはトラブルが発生しやすい場合がある。
しかも、「ProSafe Plus」の保証は、ユーザーが製品を利用している間は期間を定めずにハードウェアの故障に対応する「ライフタイム保証」となっている(ACアダプタは2年保証)。このため、長期間の利用に対しても、しっかりとした安心が提供される。
実際にトラブルに見舞われると痛感するが、ネットワークのトラブルというのは、解決にも原因の調査にも、相当のスキルと労力、時間が必要になる。古いハブを使い続けるということは、このようなリスクが高くなることに他ならないため、企業向けに設計された信頼性の高いスイッチへの交換を検討したいところだ。
このように、普段、あまり気にかけないネットワーク環境だが、実際には業務に直結する重要なライフラインであり、その環境を改善することが、今後のクラウド時代を乗り切るために重要であることは、もはや明らかだ。
安心・効率的なネットワーク環境を構築するために、「ProSafe Plus」シリーズのような高性能なスイッチの導入を検討すべきだろう。
しかも、これまでの単純なハブから、高性能な管理機能を備えたスイッチにリプレイスすることで、VLANやQoSなどを利用した高度な管理機能を利用することも可能になる。このあたりの効果や具体的なネットワークの設計については、またあらためて、詳しく紹介することにしよう。
(Reported by 清水理史)