PCは毎日使う。それも高解像度で使いたい。ゲームも結構好き。PCゲームもやる方だ。
テレビはリビングにある。自分の部屋でパーソナルにゲームやハイビジョンを楽しみたい。当然PCも繋ぎたい。
こんなふうに、1台の映像機器にあれもこれも繋ぎたいと思っている人は大勢いるはずだ。
こうした要求を満たすディスプレイ製品が「AVマルチモニター」というジャンルの製品であり、最近では各社からいくつか発売されるようになってきた。
ちなみに、この製品ジャンルを切り開いたのは、実は昨年発売されたナナオのFlexScan HD2451W。そして、今年5月に発表されたばかりの新モデルFlexScan HD2452Wは、この元祖モデルFlexScan HD2451Wの後継モデルであり、AVマルチモニターの第二世代製品ともいうべきものであるため、今、とても熱い視線が注がれているのだ。
この新モデル、FlexScan HD2452Wは、特にゲームモニターとしての性能向上が図られたことが強調されている。
では、ゲームモニターとしての高い性能とはなにか。
それは「動画表示品質」、「表示遅延の少なさ」、「情報量の多い画質」の三点になる…とどうやらナナオは考えたようだ。
ゲームの場合、特に最近主流の3Dゲームの場合はプレイヤーを動かすと捉えている視界全体が動くことになり、つまりは常に全画面が動く動画像となる。単純にキャラクタを画面奥方向に前進させただけでも、奥から手前へ情景全体が移動する。ここで残像がひどいと画面全体がぶれて情報量が激減してしまう。
FlexScan HD2452Wは、中間階調での液晶素子の動きが鈍るのを、過電圧駆動するオーバードライブ回路を搭載しているため、残像は一般的なPCモニターと比較してだいぶ抑えられている。ナナオの公表データによれば黒(0)→白(255)→黒(0)で16ms、階調レベル31-63-95-127-159-191-223での各応答速度の平均値は6msとのこと。毎秒60コマの映像の1フレームあたりの表示時間は1/60秒=16.66msだから、FlexScan HD2452Wの表示応答速度は60fpsの要求性能を満たしているのだ。
コマンド選択式RPGやシミュレーションゲームならばいいが、リアルタイムにシビアなコントロールを要求されるリアルタイムゲームの場合、遊びにくくて仕方がない。
実際に、市販されているテレビ製品の中には、高画質化ロジックの処理に時間を割く機種もあり、そうした機種では、この表示遅延問題が深刻となる。
FlexScan HD2452Wではこの表示遅延問題の低減に取り組み、表示遅延を従来機と比較して最大約2フレーム分(60分の2秒)短縮しており、結果、約1フレームにまで抑えることができたとしている。
この表示遅延低減モードともいえるのがFlexScan HD2452Wに搭載された「スルーモード」だ。スルーモードをオンにすると、FlexScan HD2452W内の高画質化ロジックを可能な限りスキップするようになり、高速表示が可能となるのだ。
モードの切り替えはFlexScan HD2452Wの付属リモコン上の[スルー]ボタンを押すだけでワンタッチで行える。[スルー]ボタンを再び押せばFlexScan HD2452Wの高画質化ロジックを再びシームレスに有効化できる。ゲームプレイ時にはスルーモード:オン、映像鑑賞時にはスルーモード:オフをユーザー本意に簡単に行えるので、使い勝手もいい。
ゲーム映像の場合、敵が奥に暗がりで潜んでいることもあり、暗部階調表現の描写力が十分でないと敵を見落としたり、あるいは的確なゲーム状況判断をし損ねてしまう可能性が出てくる。
そこで、FlexScan HD2452Wでは、階調特性を映像表示情報量の多い方向に調整した「ゲーム」画調モードを用意している。
画調モード「ゲーム」…というと、画質に対して懐疑的な印象を持つ人もいるかもしれないが、どうして、どうして。単に暗部階調を持ち上げただけではなく、最暗部の沈み込みはそれなりに維持した状態で、中暗部階調から上に向かって輝度パワーをリニアに活用しているようで、実にエネルギッシュなコントラスト感と暗部情報量の多さが絶妙なバランスで調整されているのだ。それこそ、ゲーム以外の視聴にも使えそうなほど完成度が高い。
PC入力 | AV入力 | |
カラーモード | テキスト ピクチャー ムービー sRGB ゲーム(PC) |
スタンダード シネマ ダイナミック ゲーム カスタム |
今回はゲームモニターに求められる「動画表示品質」、「表示遅延の少なさ」、「情報量の多い画質」の三つの要素をトータルに評価するのに最適なゲームとして、レーシングゲームをチョイス。ゲームタイトルは2008年1月に発売された「ニード・フォー・スピード プロストリート」を選択した。
「ニード・フォー・スピード プロストリート」(NFSP)はEAの誇る人気レーシングゲーム・シリーズだ。毎回手を変え品を変えで新しいゲーム要素やストーリー性をレーシングゲームに与え新作をリリースしてきている。今作では実在する町やサーキットをモチーフにしたレースコースで走ることになるのが特徴。ドライビングの味付けは従来作のスリッピーなアーケードタッチから、ややリアル・シミュレーション系に振った感じになっている。
最新作のNFSPでは、リアル志向の草レースマニア達を描いており、雰囲気は人気カーアクション映画「ワイルドスピード」そのものといった感じ。もともと「ニード・フォー・スピード」が映画「ワイルドスピード」に影響を与えたと言われているが、今作NFSPはゲーム側の方が映画に歩み寄ったような雰囲気がある。 |
今回はプレイステーション3(PS3)を用意し、これとFlexScan HD2452WをHDMIで接続。さらに没入感を増強するためにロジクールの最新ステアリングコントローラ「Driving Force GT」を入手して接続した。PS3+FlexScan HD2452W+Driving Force GTという、ある意味最強レベルのレースゲーム環境でのプレイと相成ったのだ。
実際にキャリアモードをプレイしてみたが、奥から手前への高速3Dスクロールの描写力はかなり高い。もちろんゲームグラフィックス側でわざとブラー効果をかけている部分もあるため、視点に近い位置の情景はスピードに比例してブレがでているが、これはこれで正常。プレイ中はブラーの少ない最遠方の情景を見るわけだが、これが指数関数的に速度を上げて迫ってくる表現がしっかりと描けており、緊張感を高めてくれる。応答速度の遅いモニターでは左に右にと、コーナーが連続するときには糸を引くような残像が見えるが、FlexScan HD2452Wではそれが全くない。
表示遅延に関しては、レースゲームという、操作レスポンスに比較的猶予があるゲーム性の関係上、表示遅延低減モードである「スルーモード」のオン/オフの体感上の違いはあまりなし。まぁ、「オン」にしておけばプレイには有利なので「オン」でいいとは思う。
画質に関しては一通りチェックしてみたが画調モードは「ゲーム」が、やはりしっくり来る。「スタンダード」はやや青すぎる印象があるし、「シネマ」は色味はいいがゲームプレイにはやや暗め、「ダイナミック」はコントラスト感重視なので暗部が沈み込み気味。「ゲーム」は明るさとコントラスト感と階調感がちょうどよく、ゲーム映像が見やすいだけでなく、情報量が多く「見応えがある」映像になる。
そして、最後に、余談だが、ステアリングコントローラとFlexScan HD2452Wを適度に寄せてプレイすると、24インチという画面の大きさが、視界一杯ぎりぎりに映像を捉えられるのでちょうどいい。これより大きいとステアリングコントローラに寄せてプレイするにはでかすぎるし、かといってこれより小さいと迫力が物足りない。24インチというFlexScan HD2452Wの画面の大きさは、パーソナルなゲームプレイにはおあつらえ向きな大画面感と臨場感を届けてくれるのだ。
FlexScan HD2452Wを購入した人で、ステアリングコントローラを持っている人は、是非とも、今回の筆者のようなプレイスタイルでプレイしてみて欲しい。
(トライゼット西川善司)
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