EIZOはFlexScan HDシリーズを真剣に育てていくつもりのようだ。操作系改良についてのユーザーからの要望はリモコンという形で応え、ゲームモニターとしての完成度は「スルーモード」という表示遅延低減モードの搭載で高めたことは前回までに述べたとおり。
実はさらに、もう一つ、ゲームモニターとしての価値を高める、ユニークなモードが搭載されているのだ。それがソニーの携帯ゲーム機PSPの映像に最適化した映像の拡大表示を行ってくる「ポータブル」モードだ。
今回はこの機能にスポットライトを当ててみたいと思う。
昨年、FlexScan HD2451Wのブログを連載していたときにFlexScan HD2451WにPSPを接続する実験を行った。その際、メニュー画面、メモリースティックに記録された動画などはFlexScan HD2451Wにてほぼフル画面表示(上下に黒帯が出るが、これはアスペクト比の違いのため)となるのだが、ゲームプレイ中の映像は若干小さく映ってしまったのだ。これはFlexScan HD2451Wの責任ではなく、PSP側の問題で、PSPはゲーム画面を若干小さく出力してしまう仕様になっているのだ。
それにしても、言ってみるもんだ…と思う。
そのブログ記事はここにあるが、この時の結びで筆者は
「できたら、次期モデルか、あるいはFlexScan HD2451Wのファームウェアアップデートとかで、PSPの全画面表示用の画面サイズモードを追加してくれないですかね。」
と発言していたのだが、なんと、その機能が次期モデルであるFlexScan HD2452Wに本当に搭載されてしまったのだ。
2007年に新発売となった新型PSPことPSP-2000にはPSP側の映像を外部出力する機能が搭載された。ただし、標準PSPパッケージには接続ケーブルが含まれていないので、この機能を利用するには別売りのケーブルが必要になる。
FlexScan HD2452Wとの接続の場合、最も高画質に接続できるD端子接続がお勧めだ。その場合は別売りの「D端子ケーブル」(型番PSP-S170、税込み希望小売価格 2,800円)を入手して欲しい。
このD端子ケーブルの一端をPSP左手前の映像出力端子に接続、もう一端をFlexScan HD2452WのD端子へと接続。D端子ケーブルに付属する音声端子は、FlexScan HD2452Wにスピーカーシステムを接続している場合にはFlexScan HD2452Wに、別のオーディオシステムがある場合はそちらへと接続する。
FlexScan HD2452Wの入力切換をD端子のVIDEO2へと切り替え、続いてPSPの電源を入れるわけだが、このままではPSPの本体液晶画面に映像が表示されるだけ。FlexScan HD2452WにPSP映像を表示するためにはPSP側のモニターボタン([♪]ボタンの左にある[□]ボタン)を長押しする必要がある。
長押しは二段階操作になっていて最初はPSP側の液晶画面が消えるだけで、さらに押しっぱなしにすることで外部映像出力が始まる。まぁ、FlexScan HD2452WにPSP映像が映るまで[□]ボタンを押し続ければいいということだ。
ここでFlexScan HD2452Wのリモコンのゲーム[サイズ]ボタンを押して「ポータブル」へと切り換えよう。
これでめでたくPSPの映像が、アスペクト比を維持した状態でFlexScan HD2452Wに最大表示される。
上下に若干の黒帯が横断するが、これはPSPの画面解像度が480×272ドットで16:9なのに対し、FlexScan HD2452Wの画面解像度が1920×1200ドットで16:10のため。黒帯が表示されるのが正しいので余計な心配は無用だ。
FlexScan HD2452Wの画面一杯にPSPの映像が表示されるのはかなり感動的。FlexScan HD2452Wの映像を見つつ、PSP本体をゲームコントローラ的に扱うことになるので、なんだかFlexScan HD2452Wそのものがゲーム機になってしまった錯覚すら覚える。
前述したようにPSP-2000の外部映像出力はとてもユニークなのだが、PSP-2000側の都合でPSPのゲーム画面は、なぜか小さく表示されてしまう問題があった。
これについて、冒頭でも触れたように、EIZOは独自に対策。前述のFlexScan HD2452Wのリモコンのゲーム[サイズ]ボタンを押して切り換えられる「ポータブル」モードでは、PSPゲーム画面を認識すると自動的にFlexScan HD2452Wの画面一杯に拡大表示してくれちゃうのである。これはPSPオーナーにとっては超便利。ちなみに、こんな機能を搭載したPCモニター、マルチAVモニターは現状、世界でFlexScan HD2452Wが唯一だ。
実際、FlexScan HD2452Wのフル画面表示でPSP-2000のゲームをプレイしたらどんな感覚なのか、「モンスターハンターポータブル 2nd G」(以下、MHP2ndG)を入手して試してみることに。このMHP2ndGはPSP用ソフトとしては異例ともいえるほどの大ヒット作品で、すでに累計出荷200万本を突破したという。PSPをMHP2ndG専用機として活用しているコアゲーマーも多いというくらいの人気作だということで選択してみた。
MHP2ndGはオープンフィールド型の三人称視点の3Dアクションゲームに分類されるもので、このタイプのゲームはやはりパノラマビュー的な大画面でプレイすると楽しさが増すものだ。
実際にキャラクタを作り、長いチュートリアルをクリアして実戦クエストに挑戦。
PSP本体だけでプレイしているときと、FlexScan HD2452Wに接続して大画面でプレイしているときとを比べると、ゲームは全く同じはずなのに、視覚される情報量が多いためか、そのプレイ感覚はとても新鮮なものになる。
たとえば、MHP2ndGはフィールドでの植物の採集、魚釣り、虫の採取といった要素もあるのだが、PSP本体では結構目をこらさないと植物の生えている地帯、魚のいる水場、飛来する虫がわかりにくい。これに対してFlexScan HD2452Wでプレイしているときには、シーンを見ているだけで自然と目に入ってくる。
さらには、FlexScan HD2452Wだと、キャラクタの衣服のテクスチャやモンスター達のディテール表現なども見やすい。PSPのグラフィックス表現能力をあますことなく堪能できている実感があるのだ。
また、遠くにいるモンスターの識別もPSP本体よりも早く行え、メニュー文字やマップといった図形情報の読解や認識も素早くなり、ゲームプレイの側面から見ても遊びやすいようだ。
そしてなんといっても狩猟シーンが大迫力となるのがいい。最大の醍醐味といってもいいかもしれない。巨大な大型モンスターがちゃんと大きく表示されることで緊張感は高まるし、没入感も否応なしに深くなる。
MHP2ndGはPSP本体でプレイしてても楽しいが、FlexScan HD2452WでのMHP2ndGプレイは、このゲーム本来のおもしろさをさらに加速、拡張させる効果がある。
あらためていうまでもなくPSPは携帯ゲーム機だ。
ただし、それはPSP本体でプレイしているとき。
FlexScan HD2452Wがあれば、PSPが据え置き型ゲーム機にも遜色ない本格ゲーム機になってしまうからだ。
PSPゲームを複数人でわいわい楽しむときにもこの機能は役に立つだろうし、メモリスティックDUOに記録した写真や動画の再生もFlexScan HD2452Wの大画面で表示する活用を極めれば、PSPをプレゼンテーションツールとして活用する可能性も見いだせるだろう。
機能としては地味なのだが、実用性はとても高く、PSPの価値を高めてくれるものといってもいいかもしれない。
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