パソコンを購入するとき、モニターにどのくらい気を配っているだろうか。ノートパソコンだから、気にしようがないという人もいるかもしれない。デスクトップでも、本体とセットのもので十分という人もいるだろう。しかし、考えてほしい。我々は、パソコンでの作業経過や成果を、モニターを通じて視覚で認識している。パソコンからのアウトプットは、現状では視覚と聴覚であり、こと操作については視覚なしでは不可能だ。モニターがなければパソコンは基本的に操作できない。
パソコンモニターは、現在でほとんどが液晶を使用したものになっている。価格もかなりこなれてきており、事務用途だけなら安価なモデルも数多くでている。ワープロや表計算ソフトを多用し、あとはWebブラウザーとメールソフトぐらいというなら、「そこそこ」のモデルでも足りる。しかし、パソコンの性能はどんどん向上しており、実はあなたの使っているモニターでは、もっているパソコンのポテンシャルをぜんぜん活かせていないかもしれないのだ。
液晶モニターの性能もどんどん上がっており、色表現や階調、コントラストなどは、ひと昔前に比べて改善されてきている。カタログスペックで比較しても、細かい数値の差では、いまひとつピンとこないものだ。どれも大差ないなら、わりと安いものでいい!
というのは大きな間違いである。パソコンにおけるモニターというものは、クルマにおけるタイヤだと思ってほしい。高性能エンジンを備え、操縦性にも優れたクルマに、予算が少ないからといって、安いタイヤを装着するだろうか。それではそのクルマの性能がまったく活きないだろう。高トルクに耐え、シャープなステアリングコントロールに応えるタイヤを装着すべきだろう。
パソコンで、ビジュアル要素が非常に重要なもの、たとえばデジカメ写真やムービー、ゲームを扱う場合は、モニターの性能によって見えかたが顕著に異なるのだ。デジタル一眼レフで撮影した写真を、ノートパソコンでレタッチしようとしていないだろうか。いま見ているノートパソコンの液晶モニターで、暗部の階調はきちんとでているだろうか。ハイライト部分はべたっと白飛びしていないだろうか。花びらの色は、まるで色紙を貼ったように単調になっていないだろうか。
下記のチャートをお使いのモニターで見てほしい。これが3段階にしか分かれて見えないとしたら、あなたのモニターは写真のレタッチにはまったく向いていない。事務用としては使えるが、あなたのモニターで見た状態では、写真の色や階調を語れる状態ではないのだ。
これをナナオの液晶モニターで見ると、6段階に分かれているのが識別できるはずだ。そう、これは、3刻みで作成した、「モニターいじめ」のテストチャートなのだ。5刻みのチャートが識別できるモニターは山のようにある。それでも黒側で3段階ぐらいつぶれてしまったり、逆に白側で3~4段階は飛んでしまうものが多い。しかしナナオの液晶モニターは、黒から白まで5刻みのチャートを完全に識別できる。さらに3刻みでも、印刷ではつぶれてしまうレベルまで表示できている。
しかも、このチャートを作成するのに使用したナナオのモニターは、プロ向けの製品ではない。パーソナル向けの、フルハイビジョン対応モデルなのだ。静止画での表示性能はもちろんのこと、動画再生での画質は、まさに予想だにできないレベルである。
さっそくBlu-rayディスクを再生してみた。すると、女優の肌の質感どころか、産毛の一本一本まで見事に表示されるではないか。自分の視力がよくなったと錯覚したほどだ。フルハイビジョン、しかもドットバイドット表示の凄さをすぐに実感できた。なにしろドット・バイ・ドットでは、補間や間引きのない、1080pのフルハイビジョン表示を実現できるのだ。Blu-rayディスクはリビングの大画面テレビで、という先入観は払拭された。精細な動画を心ゆくまで楽しむには、24.1型というのはベストなサイズではないだろうか。まさにデスクトップ・ハイビジョンである。
続いてPlayStation3でレーシングゲームをプレイした。クルマや道路などが実写と見まごうクオリティで表示できるところまでは想像できたが、臨場感がすごい。それは、遠近感の強調によるところだろう。とくに遠景の感じがとても自然なのだ。高精細表示であるにもかかわらず、すべてをハッキリくっきり表示するのではなく、自然に見せる工夫がこらされているのだ。
ところで、モニターというものは、パソコンやゲーム機器からの映像信号をたれ流していると思っている人はいないだろうか。とんでもない。モニター内部で、これから表示しようとしている映像を高度に演算し、最適化してから表示しているのだ。刻一刻と変化する映像をリアルタイムで解析し、それをフルハイビジョン解像度の液晶パネルに送り出している。これはナナオの液晶テレビ「FORIS.TV」で培った映像エンジン技術が惜しみなく投入されていることで実現できている。モニターは、もはや単なる映像表示装置ではないのだ。
さて、表示される映像は最高だが、使い勝手はどうだろう。接続端子が少なかったりすると、その都度ケーブルを差し替えなくてはならないので、かなり不便なものだ。だが、そんな心配は無用。HDMI入力を2系統も装備し、D端子入力、S/コンポジット入力はもちろん備える。PC入力はDVI-D24ピンとD-Sub15ピンがあり、計2系統。さらにUSBもあり、PCのサウンド入力はUSBで可能。これだけあれば、いろいろな機器を「繋ぎっぱなし」にできるわけだ。
そして最近のモニターの多くが備えるPinP機能も、フルハイビジョンモニターでは妥協のない表示だ。パソコンでの作業中に映画をながら見するときも、ナナオでは「おまけ」映像のレベルではない。どんどん見入ってしまうほどのクオリティで表示されるため、仕事がおろそかになってしまうほど。
これだけの充実機能の操作は、スライドバーを採用することで、簡単に直感的にできるようになっている。メニュー移動やパラメーター変更で、ボタンを何度も押したり押し続けたりする必要はない。スライドバーをすーっとなぞり、ちょっと押したりするだけだ。もちろん「繋ぎっぱなし」の機器類を表示切り替えも、スライドバーで簡単にできる。モニター側でいろいろコントロールできるので、まさに「AVセンター」といえるだろう。
映像がすばらしければ、それにつり合うサウンドがほしくなることだろう。そこでナナオでは、オンラインショップの「EIZOダイレクト」にてBOSEのプレミアムスピーカー「M3(Micro Music Monitor)」が用意されている。モニター脇にスペースを用意する必要がないほど小さいが、そこから出てくるサウンドは、フルハイビジョン表示を引き立てる豊かなものだ。
ここまで読んで、液晶モニターについて考えれば、自分で得られる視覚情報を格段に増大できることがわかってもらえたと思う。仕事で使う人なら、作業効率と質を確実に向上できるはずだ。またエンターテイメント用途なら、コンテンツのもつクオリティを余すところなく享受できるのだ。そろそろ、これを読んでいるモニターを疑いはじめたころだろう。これから写真やゲーム、オーディオビジュアルなどのプロフェッショナルが、より広く、より深く語ってくれるので、視覚のインターフェイスであるモニターについて再考してみよう。