『ムーラン・ルージュ』

【ラブストーリー】 2001年　オーストラリア、アメリカ　128分 11月17日より日劇プラザほか全国東宝洋画系にて公開 監督：バズ・ラーマン 出演：ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモほか 配給：20世紀フォックス

　作家を目指すクリスチャンと高級娼婦サティーンは恋に落ち、人目を偲んで愛し合うが、彼女のパトロンである侯爵に、2人の関係を気づかれてしまう。
　ジェットコースター的にズームするカメラ、作り込まれた架空のムーラン・ルージュ、そのボール・ルームで歌い踊る無数のカンカンガールとタキシード連中…、冒頭の怒涛のごとき大袈裟ぶりに、観客は否応なくバズ・ラーマンの劇的世界に引きずり込まれてしまう。その圧倒的なパワーの前には、リアリティなど何の意味もない。なかでもその奔放な飛躍は、音楽に如実に表れている。ありとあらゆるミュージカルの名曲から、マドンナやU2、T-REXに至るまでのラインナップと、それを歌う役者達のサービス精神旺盛なパフォーマンスには、いわゆるミュージカルのワザとらしさなど皆無だ。
　あらゆる制約や常識を敢然と無視して突っ走る映画のなんと楽しいことか。ミュージカルやラブ・ストーリーというカテゴリーには収まらない、極上のエンターテインメントなのである。

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