2000/02/02 17:20
カシオの時計製品展示会「Press Gallery 2000」レポート 注目の腕時計型デジカメとMP3プレイヤー
レポート:広野忠敏
カシオが開催するプレス向け展示会「Press Gallery 2000」が2月29日と3月1日の両日開催された。この「Press Gallery 2000」では新製品を中心としたカシオの腕時計製品を一同に展示。すでに発売されている腕時計型のGPSレシーバー、かねてより話題の腕時計型のデジタルカメラとMP3プレイヤー、そして米国で出荷が開始されたパソコンと赤外線でリンクするデータバンク「PC-UNITE」、アウトドア志向のヘビーデューティーモデルのProTrek、ダイバー向けのSeaPathFinder、標準電波を受信して時刻を自動調整するWAVE CEPTER、デザイン志向の薄型腕時計PELA、そしておなじみのG-ShockやBaby-Gなど、新製品やすでに発売されている製品が多数展示されていた。
今回の展示会の中でも人目を引いていたのが腕時計型のデジタルカメラ「リストカメラ WQV-1」と腕時計型のMP3プレイヤー「リストオーディオプレイヤー WMP-1V」の2つの腕時計。もちろん、この2つの製品はカシオが最も得意とするハイブリッドな製品だ。つまり、基本的な腕時計の機能を持ちつつ、デジカメやMP3プレイヤーの機能を持つわけだ。
■ リストカメラ WQV-1
WQV-1は120×120ドットの白黒16階調のSTN液晶モニターを採用した腕時計型のデジタルカメラ。腕時計のフェイス部分全面に液晶モニターを配置した製品は過去にもあったが、デジタルカメラを搭載した時計は世界で初めて。
120×120ドット16階調で最大100毎までの記録が可能だ(時計本体に1MBのメモリを搭載)。なお、WQV-1は赤外線インターフェイスを搭載し、WQV-1同士で撮影した画像を転送することや、別売りのPC接続キット(赤外線通信アダプターとリンクソフトのセット)を利用して、パソコンに撮影データを転送することや、逆にパソコンからWQV-1にデータを転送することができる。実際にリンクソフトのデモを見せていただいたが、WQV-1独自のデータフォーマット以外に、BMP形式、JPEG形式での保存が可能だ。
面白いのは、カシオお得意のデータバンク機能が内蔵されていること。撮影画像には最大24文字までのデータを記録することができるようになっている。データとして利用できる文字はアルファベット、数字、記号のみなのだが、たとえば携帯電話の番号を撮影データに登録しておけば、顔写真付きの電話帳なんてのを作ることも可能。
また、自分の写真を撮影して、データを登録、それを他の人が持っているWQV-1に名刺交換さながらにデータを渡すなんて面白い使い方も可能だ。WQV-1同士のデータ交換の楽しさは、WQV-1の普及度合いによって変わってくるとは思うが、爆発的に普及すれば、街角で撮影データを交換している人々の姿を見ることができるのかもしれない。
WQGV-1はその他にも、2枚の撮影データを1枚に合成するツーショット合成など、遊びの要素もふんだんに取りいれた楽しいアイテムになっているのが特徴だ。
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リストカメラ。各画像に24文字(半角英数、記号の一部)を入れられる。画像付き電話帳のような使い方もできる。画像は120×120ドット16階調 |
展示全体。PCとの接続は、シリアル接続の赤外線インターフェイスアダプタを介して。いまのところUSB接続の赤外線ユニットが高いため、時計のオプションとしては高くなりすぎるという。パソコン接続キットは、赤外線ユニットとソフトをセットで、標準価格7000円くらいを予定 |
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接続ソフトの画面。日付・時刻のほか、リストカメラで入力した24文字までのテキストも転送可。画像をリンクソフトで読み込んで、リンクソフトの側でテキストを入力し、またリストカメラに戻すこともできる。 |
パソコン側に転送してから、画像の明るさなどを調整できる |
■リストオーディオプレイヤー WMP-1V
リストオーディオプレイヤーは試作品ではあるが、実際に製品が展示され視聴することができた。筆者が最も気になったのは駆動方式と駆動時間、容量、データ転送方式など。MP3プレイヤーとして考えた場合、この3つの要素が水準を満足していなければ、どんなに素晴らしく先進的な製品でも使いものにならないからだ。
まずは、駆動方式と駆動時間。腕時計本体に充電式のリチウムイオン電池を内蔵、時計付属のクレイドルに乗せて充電を行なう。ちなみに4時間でフル充電が可能、フル充電で連続4時間の再生が可能。連続再生時間はやや短いかなという印象も受けるが、片道2時間の通勤にも十分使えることなどを考えると、実用になるだろう。ただし、家に帰ったらマメに充電するクセをつけなければならないハズだ。
データ容量は32MBのMMCを内蔵。メモリの増設をすることはできない。容量についてはちょっと少ないかなとも思える。「さらに大容量のモデルの発売予定はないのか?」と質問してみたところ、「とりあえずはないが、将来的には検討したい」との回答を頂いた。
データの転送にはUSBが採用されている。これはポイントが高い。シリアル接続やパラレル接続より高速なデータ転送が期待できるからだ。このあたりはツボを押さえた作りだと言える。実際のMP3データの転送は、USBケーブルでクレイドルとパソコンを接続、WMP-V1をクレイドルにセットしてパソコンからMP3データをアップロードできる。
さて、WMP-V1だが、もちろん遊び心をシゲキするちょっとした演出もあるのが面白い。MP3再生時には、時計の液晶ディスプレイに曲に合わせて動くドットアニメーションが表示される。これは、まあ、ありがちな機能なのだが、このドットアニメーション、付属の編集ソフトを使って編集することができるのだ。こうした遊び心たっぷりの演出を搭載してくるあたり、さすがカシオだ。
でも、ちょっと気になったのが、これって腕じゃなくてもイイんじゃないのか? ってこと。もちろん腕時計としての意味は大きいが、長めのアームバンドやエクステンションバンドがあればスキーウェアの上から二の腕にまくことだってできるハズ。耳に近い位置に装着できればヘッドフォンケーブルを気にせずに激しい運動をしながら音楽を聞くってことも可能だろう。ネックバンドなんてのもイイかもしれない。これはオプションとしてぜひ発売を検討して欲しいところだ。
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リストオーディオプレイヤー |
充電台。パソコンとのUSB接続もこの充電台を介して。 |
■PC UNITE
腕時計のデータバンクとパソコンのデータバンクとのデータ共有。従来製品にはTIMEXのDATALINKなどがある。参考出品されていた「PC UNITE」は腕時計に赤外線ユニットを内蔵、赤外線を使って、腕時計に登録されたデータとパソコンのデータとのリンクが可能な腕時計で、米国では出荷が開始されている。
Outlookなどの住所録データやスケジュールデータを赤外線インターフェイス経由で相互にやりとりできるのが売りだ。さらに、Palm-size PCやPalmシリーズとのデータ連携が可能。国内向けの製品の発売も予定されており、その際は同社のデータバンクと同様に漢字かなまじりの入力や表示が可能になるということだ。製品化されれば、パソコンで管理されているスケジュールデータを、ワンタッチで腕時計に転送、文字どおりスケジュールを持って歩けるようになる。期待の製品だ。
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Outlook、カシオのPalm-size PC、Palmシリーズと赤外線で接続できるのがウリ。米国価格99ドル99セント。画面を見るとわかるとおり、日本語版のOutlookでも時計にデータを送ることができる。時計側からのアップロードはできない。 |
PC UNITEに付属のソフトをインストールすると、Outlookに「PC-Unite」というメニュー項目ができる。OutlookからPC-Uniteへのデータ転送はこのメニューを使って行なう。 |
■時計の赤外線通信規格 IrWW
個人的に目を引いたのがIrWWに関するパネル。聞きなれない名前だが、これは赤外線を利用して腕時計、電話、PDAなど異なるメーカーの異なる小型電子機器間でデータ通信を行なうためのプロトコルの名称だ。スケジュール・電話番号・時刻データなどの相互通信を行なうための規格で、2000年1月に規格化された。
たとえば腕時計型のデータバンクにデータを登録して利用しているとしよう。当然のことながら新しいモデルを購入したら、データは全て入力し直しとなる。IrWWに対応した製品ならば、赤外線を利用してデータを転送することができるようになるというわけだ。また、時計間の時刻の同期、アラームやストップウォッチデータの交換、ダイバーズウォッチに保存されている計測データの交換など、さまざまなシーンで活用することができるだろう。
■その他の腕時計
展示されていた腕時計すべてを紹介するのはあまりにも数が多すぎてできないが、特徴的な製品や面白い製品をざっと紹介していこう。
SEA-PATHFINDER
陸のPROTEK、海のSEA-PATHFINDER。センサ搭載のダイバーズウォッチ。SPF-10Jは水面温度センサ、ムーンフェイズを搭載、腕を傾けるだけでバックライトが点灯するのはダイバーにはありがたい機能。SPF-50Jはさらに気圧センサを内蔵。最上位モデルSPF-100J(写真)は、潜水時間、水深変化などのデータをリアルタイムに記録する機能を持つ。
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SEA-PATHFINDER (左)SPF-10J-1JF (右)SPF-51J-1AJF |
SEA-PATHFINDER SPF-100J |
PELA
ペラって実は10年以上前に商品化されたモデルだったりする。当時はデジタル表示のみだったが、5月に発売される現行PELAのニューモデルはアナログ表示とデジタル表示の両方があるコンビネーションモデル、デザイン志向のファッショナブルな腕時計だ。でも、現行PELAって初代ペラよりも厚みが増しているような気がするんだけど、気のせいだろうか。
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PELA ニューコンビネーションモデル。女性向けでは珍しいダブルフェイス |
PELA 2月からお目見えした、金属を中に通したベルトを採用したタイプ |
G-SHOCK MT-G松坂大輔シグネチャモデル
カシオではG-SHOCKの新モデル「MT-G」のTV-CFに西部ライオンズの松坂大輔を起用。このモデルはTV-CF放映開始の記念モデルで限定発売される。ちなみに、裏蓋には松坂大輔選手のサインが刻印されている。
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G-SHOCK MT-G MTG-500 |
G-SHOCK MT-G GC-2000M 松坂大輔シグネチャ―モデル |
G-SHOCK G-RAVEN
G-SHOCKのニューモデル。ブラックメタリック塗装に液晶部分もブラックバックにホワイト表示、ストリート志向の若者向けモデルだ。ちなみに、初代G-SHOCKのデザインそのままでバンド部分にワタリガラスの刻印があるモデルもある。
G-SHOCK MEN IN WHITE GRAY
ボディカラーにホワイトグレイを採用したG-SHOCKの新しいモデル。FROGMAN(2モデル)、GULFMAN、MUDMAN、GAUSSMANの5モデルをラインナップ。それぞれ耐衝撃性能に加え、FROGMANは200m防水、GULFMANは防錆、MUDMANは防錆、防泥、GAUSSMANは耐磁、防錆、防泥性能を持つ。
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G-SHOCK R-RAVEN |
G-SHOCK MEN IN WHITTE GRAY |
その他にも、センサ付きのフィールド志向の腕時計Protrekや女性向のBaby-Gなど多数の腕時計が展示されていたことを付け加えておく。
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G-sis STG-100 |
Baby-G G-Faddy BG-31 |
■ 未来の腕時計
腕時計本体の展示とは別に、未来の腕時計と題して10年後の腕時計を予測するパネルもあった。パネルで紹介されていた腕時計は、カメラを搭載し多人数でコミュニケーションできる腕時計、GPSなどの衛星と双方向に通信を行なうアウトドア志向の腕時計、指紋センサを搭載し個人情報の管理や決済システムを搭載した腕時計、サウンドやビデオなどのデジタルデータを受信し再生するプレイヤーなど4種類。10年後という想定の展示だったのだが、どの腕時計も技術的には現行の技術で実現できるものばかりなので、5年程度で実現するかもしれない。
◎関連URL
カシオの時計新製品情報ページ
http://www.casio.co.jp/flash/
(広野忠敏)
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