[COMDEX/Fall'99]石井英男のモバイルレポートLVCC編その2
Rise Technologyブースで見かけたユニークなノートPC
Rise Technology社は、元Amdahl社の開発スタッフが中心になって創立された新顔のx86互換CPUベンダーである。同社の初の製品であるmP6は、昨年のCOMDEX/Fallで正式に発表された。それからちょうど1年が過ぎたが、残念ながらPC市場で広く受け入れられたとは言いがたい状況だ。
そこで、Rise Technology社では、方針を多少転換し、セットトップボックスなどの情報家電向けや特殊なPC向けとしてmP6を推進していくことにしたようだ。mP6は、他のx86系CPUに比べて消費電力が低いという利点があるため、ノートPCなどのバッテリーで動作する機器には向いている。
今年のCOMDEX/Fallでは、LVCCの2Fの小部屋にRise Technology社のブースが設けられていたが、そこでユニークなノートPCを見かけたのでご紹介したい。そのノートPCとは、NetSchool社のStudyProである。NetSchool社は、ノートPCを利用した教育用システムを開発している会社で、その生徒用の端末がStudyProである。もちろん、Rise Techology社のブースに展示されているのだから、CPUにはmP6が採用されている。
mP6は消費電力が低いため、冷却ファンを必要とせず、生徒が学校の授業で使う1日分くらいはバッテリーで動作するという。また、StudyProは、子供達が乱暴に扱っても壊れないように、非常に堅牢にできていることも特徴だ。液晶パネル部分をしめた状態で、大人が上に乗っても問題ないという。さらに、防水性も高く、動作中にキーボードに水などをこぼしても問題なく動作し、傾ければ水が出てくる。
また、液晶パネル部分の上面に、赤外線ポート(かなり大きい)が用意されており、赤外線経由で教師のマシンなどとの間でデータをやりとりできるようになっている。持ち運びに便利なように取っ手がついているなど、なかなかユニークなマシンである。
StudyProは、あくまで学校・教育機関向けの製品であり、一般ユーザーに小売りはしていないようだが(サーバなどを含めたトータルのシステムとして提供する)、1台あたり(つまり生徒一人分)の価格は、800ドル程度だという。
また、同社のブースでは、通常のノートPCにmP6を載せたデモも行なっていた。説明員によると、CPUをK6からmP6に交換することで、冷却ファンが不要になり、バッテリー駆動時間も1時間延びるという(1時間延びて何時間になるのかと聞いたところ、よく知らないと言われたのには、思わず苦笑してしまったが)。
ブース内には、他にもセットトップボックスなども展示されており、そうした特定用途向けのCPUとして、生き残る道を模索しているようだ。
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mP6を搭載した教育用ノートPC「StudyPro」。持ち運びに便利なようにキーボードの手前にラバー製の取っ手が用意されている |
大きな大人が上に乗っても問題はない |
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動作中に水をこぼしても全く平気だ |
こちらは通常のノートPCにmp6を載せたもの。本来はK6が搭載されていたマシンだという |
◎関連URL
COMDEX/Fall'99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
Rise Technologyのホームページ(英文)
http://www.rise.com/
(石井英男)
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