■ ああっ!! ザウルスのデータが!!
いつものように俺の最強に強まったThinkPad 770Xと俺の最高にナイスなパワーザウルスMI-C1をシンクロナイズしたその時、パソコンのディスプレイが一瞬チラついたと思ったら、MI-C1上の住所録データがグジャグジャに!! データの半分が文字化けした状態でほとんど利用価値無しの情報と化した!! ヤバっ!! と思ってThinkPad上の元データ(Outlook2000の連絡先だヨ!!)を見たが、これも同じく文字化け状態。例えば、“スタパ齋藤(スタパサイトウ)”というデータが“ス彊レpパ齋.u(スタt泝ヌ)”とかになっているという状態。
データが飛んだ時、多くの人は何故か意味もなく上を見上げるというが、俺もやはり力無く天井を見上げていた。はずなのだが、なぜか、つけっぱなしのテレビの砂嵐が見えており、同時に既に氷が溶けて薄まったウィスキーが入ったグラスもあり、バーボンが一瓶空になっていて、オマケに頭痛までしている。あービックリした!! マジで悪い夢を見ちゃったゼ!! ていうかホントにデータ飛んでたらヤだなぁと思ってC1のアドレスを見てみたらバッチグーで問題なし状態。
というわけで案の定&毎度おなじみ“夢オチ”な感じだが、ともあれ、C1を使い始めてから約4カ月。特に大きな問題のないまま、非常に快適なザウルス生活を送っている俺なのであった。
やっぱりMI-C1に乗り替えてよかった。前に使っていたMI-610も超ナイスだったが、C1を携帯し慣れてしまうともうあのサイズには戻れない。それにC1って速いし、メニューなんかもかなり洗練されている。見た目は単純っぽい本体・メニュー等の外見だが、使ってみると「なるほど納得」という使い勝手の良さがある。コンパクトで扱いやすい上に、操作系が単純明快であると同時に比較的容易に深い部分の機能にもアクセスできる。というわけでC1にかなり満足している俺であった。
■ かなり満足≠完全に満足
ところでこの連載、今回で最終回なので、俺的にも読者様的にもスッキリ感を追求して終了していこう!! てなわけで、これまでC1を使ってきて気になった点や問題っぽい点を大紹介していきたい!! つーかこれまで一連の機能紹介では、おおよそだいたいC1のナイスな面を紹介してきたので、ここはひとつ、C1の非ナイスな点というのも書いておこうと思ったわけだ。前述のように、俺はC1にはかなり満足しているのだが、カンペキに満足しているわけではない。イマイチな側面も感じているわけだ。まあ、重箱の隅をつつくような些細なコトでもあるのだが、よりナイスなパワーザウルスの出現を祈り、敢えて細かい点をつついてみたい。
まず、多くのC1ユーザーなら既に気になりまくりではあると思うが、ハードウェアの表面的な不都合。ひとつは、本連載でも触れたが、タッチペンの使いにくさだ。結論から言って短すぎるし細すぎる。俺の手がデカいってのもあるが、せめてMI-610くらいのペンを内蔵できるようにして欲しかった。まあ、使えることには使えるのだが、MI-610のタッチペンやシャープ謹製のポールペン内蔵型タッチペンを使うと、やっぱりC1のタッチペンは疲れるなぁ、と。
それから、C1のフタ問題。液晶カバーになるフタ部分だが、このフタが不意に開かないようにする押さえ具(ラッチ)部分が日に日に弱まっていくのであった。俺のC1だけなのかな~と思ったら、他のC1ユーザーもそうらしい。中にはこの押さえ具部分が早々にブッ壊れちゃったユーザーもいるらしい。使うたびに開閉する部分なので、もう少々タフな作りにして欲しかった。
それと、たぶんこれは俺だけのケースだと思うが、俺は結局C1を2台買った。自分でとことん使い込むための1台と、記事用にいろいろ実験したりするための1台だ。で、その一方の液晶部分にゴミが付いていた。液晶面と液晶を保護しているガラス部分の間に、小さなゴミが。ホントは買ったら速攻でクレーム言えば良かったのだが、買ってから速攻で記事書いたりしなきゃならなかった(&ビシビシ使い込みたかった)ので、「ま~いーや」と思って使っているのだ。俺の場合は「ま~いーや」と強引に納得した感じだ。が、考えに考え抜いてさあC1を買ったゼ!! という消費者にとっては、こういう品質不良(?)は超がっかりモンの悲しさだと思う。
ペンの件にしろフタの件にしろ、一般の消費者は(俺のようにハードウェアをネタに稼いでいるわけじゃないので)すげー悲しむコトだと思うのだ。これはシャープのC1に限ったことではなく、他社の他のハードウェアの多くにも言えることで、やはりメーカーさんはもうちょっとデリケートに品質管理やハードウェア設計をして欲しい。ユーザーは、同系統の多種のハードウェアの中から、意を決してひとつだけ選んで、それを購入しているのだから。
■ 細か~い部分だが、残念箇所わりとアリ
C1を使えば使うほど目立ってくるような、わりと細かい部分の不都合(というか残念な仕様)もある。
ハードウェア的な面では、例えばマイク/イヤホン端子のサイズ。3.5φなので、一般に売られている携帯電話用のイヤホンマイクが使えなくて残念。MI-610とかの時は使えたのに~、みたいな。
それから、画面を拭く時に電池蓋のスイッチを[解除]側にしないと、画面を拭いた瞬間起動したりなんかして残念。使えば使うほど汚れるんだし、本体前面に電源ボタンもあるんだし、画面タッチでの起動を不許可にする設定もあって欲しかった。電池蓋のスイッチを操作するとイチイチ時刻設定画面が出てまたされてゲンナリ~、みたいな。
あと、やっぱりなんつーか電源は電池にして欲しかった。C1には比較的大容量のリチウムイオン電池が使われていて、PDAとしてはかなり電池がもつ方だと思うが、通信するとけっこう電池の消費が激しいのだ。単4形のニッケル水素電池とアルカリ電池の両対応とかだったら、モバイル時に安心して使い倒せるのに~、みたいな。まあ、電池にしたら厚みが増しちゃうかもしれないのだが……。
ついでに、これはソフトウェア的な部分になるが、DDIポケットのエッジの64kbpsデータ通信やαDATA32の無線インターネット接続にも対応して欲しい感じ。32kbpsでつながるから、まあそーんなに不便はないのだが、せっかくのエッジやαDATA32のメリットを活かさないのは、日本製ナイスPDAとしてのC1がもったいなさ過ぎる~、みたいな。ま、ドコモのPHSとかを使えってコトなのだろうが、ザウルスのウリは「日本の通信網に超幅広く対応しまくり」ってコトでもあるので、ドコモびいきは残念だな~とか思ったりして。
以上の残念点(文句!?)については、(画面拭き問題を除いては)C1の汎用性に関わってくることだと思う。まあ、他の方法がいろいろ用意されているから実用上そんなに大きな問題ではない。マイク/イヤホンの件は、シャープから専用のものが出ているんだから使えばいい。あるいはプラグのサイズの変換アダプタを使えば携帯電話用のものが使える。電源については、予備バッテリーを買うなりACアダプタを持ち歩いたりすればいい。エッジ等については、そんなにこだわるんならドコモのPHS使うとかすればいい。
しかし、元々、実に汎用性の高い優れた和製PDA(ていうか情報携帯端末)のザウルスシリーズ。細かな部分での汎用性にケチがつくのはスゲェもったいないと思うのだ。ザウルス買っときゃ安心、という信頼感が揺らぐ。外国製の比較的オープンな規格のPDAに負けちゃうとまでは言わないが、やはり基本的に汎用的に利用できるザウルスには、細かな部分まで“他機種の追従を許さないほど汎用的”であって欲しいのである。
■ ソフトウェア的な面も多少……
俺の場合、C1は日々の使用において基本的にほとんど文句ナシではある。求める機能はほぼ全部と言っていいほど提供されているし、MOREソフトなんかを使えばたいてーのコトができまくりだしゲーム機としてもすげぇ面白い。全体的に文句なし。非常に快適なのだ。
が、この“文句無し状態”が続くと、C1が快適ってのが当たり前のコトになってしまう。快適さに対して感謝する心を忘れる、みたいな感じになってくる。で、たまに見え隠れする些細なイマイチ点が、どーにも気になってしまうのである。
例えば、パソコンとシンクロナイズするなど、メモリの一斉書き換え系の操作(?)をすると、アドレス帳の設定がデフォルトに戻ったりする。俺の場合、シンクロナイズ後、アドレス帳の表示がどーしても[写真入り表示]になってしまうのが気になりまくり。単に表示設定を変えれば済むことであり、この動作がC1の快適さをチョコッと減らすだけなのだが、でも正直なところ「あーどーしていつも表示設定が変わりやがる!!」とムカつく。
あと、本連載中にも触れたが、デジカメカード使用時の画像データの保管場所の違和感。俺としては、画像データは全部スッキリとフォトメモリに入ってくれれば気持ちよいのだ。が、撮影をドキュメントモードで行なうと、その画像データがパーソナルデータベース2のほうで保存されてしまう。フツーの写真(JPEG形式)はフォトメモリに入り、ドキュメントモードで撮った写真(PNG形式)はパーソナルデータベース2に入る、という仕様だからしょーがない。また、JPEG画像とPNG画像は使用目的も異なる。
でもなーんかやっぱり違和感があるしファイル操作が面倒臭い。結局俺は、写真=フォトメモリ、とかいうふうに感覚的に扱いたいのだ。俺にとってザウルスは、マニュアルなんかほとんど読まなくても使えちゃう“感覚的に使えるPDA”。だからC1使用時の俺の脳内は感覚優先モード。なのに写真が別のトコロに入る!! という違和感がありまくり、みたいな。
フォトメモリとパーソナルデータベース2に関しての率直な感想を言えば、妙なちぐはぐさを感じる。表計算機能がなくなっちゃったからパーソナルデータベース2が役立つ、という考え方もある。が、どっちかと言えば俺は、パーソナルデータベース2の写真アルバムの機能をフォトメモリに(追加するカタチで)持たせて、写真データはフォトメモリ機能で一元管理。表に関するデータはパーソナルデータベース2(+表計算機能)という感じで、とスッキリさせて欲しい。
結局、手前勝手に考えれば、いろんな画像ファイル(+コメント等)が扱えるフォトメモリ機能と、エクセル等の表が汎用的に扱えるパーソナルデータベース機能があれば、それがいちばん嬉しい。
もっともっと小さな違和感は、挙げればいっぱい出てくるのだが、全体的に個々の機能がブラッシュアップされていない(というか洗練されきれていない)という感じがしなくもない。黒筐体のザウルスの時代とは、ユーザーのデータ利用スタイルが変わってきたわけだし、パソコン上での各種ファイルをもっと単純なカタチでブラウズできてもいいような気がする。また「もう要らないかも!?」というような細かな機能が依然として残っていたりもする。
意地悪な言い方をすれば「筐体が変わっていくつか機能が変わったけど、そのまんま昔のを持ち越してる機能もあるよね~」という印象がある。これだ!! という機能のカナメの部分だけを残し、どんどん単純化し、汎用性を高める方向で洗練されていって欲しい。
■ でもやはり、C1はベストバイ
とまあ、じっくり使い込まなきゃわかんないような、ホントーに細かい違和感・不都合をつついてみたが、フツーにC1を使う分には「まーいいじゃん、やりたいコトできてるし」という一言で片づくコトと言えばそうだ。クルマ野郎が新車のスピードメーターの針の端に微細なバリを発見して文句タレてるよーなモンだと思ってもらっていい。逆に、本連載のこの回だけを読んで「なんかあのヒゲオヤジがザウルスの文句言ってるらしいぜ。C1ってダメらしいぜ」などとは絶対に思わないでいただきたい。
C1は非常に実用的だし便利だしイカシたPDAなのだ。これから何か便利なPDAとかでモバイルとかをしたりような気分とか~、というふうにフツーに考えている人にとってはまさにベストバイだと思う。非常に良くできているのだ、C1は。
でも、人間っつーのは強欲なわけで、この超ナイスなPDAを使い続けていると、その秀逸さの上にあぐらをかくようになり、いつかは「もっと良くしろ、もっと快適にしろ」と言うようになる。あるいは、美食家が茶漬け食って喜んだりするように、C1の甘美さから離れてみたくな(ってわざと文句タレ)ることもある。しかしザウルスはこれまでずーっと、そんな言いたい放題なユーザーに歩み寄るカタチで進化してきたのだ。そして現在、その進化の頂点とも言えるのが、最新にして正統派のパワーザウルスMI-C1だと思う。だからとりあえず現在選ぶならC1がいい。現段階ではC1はベストバイだと思うわけだ。
まあ、これからもシャープはC1ユーザーを始めとする多くのザウルスユーザーに文句言われたり感謝されたりすると思う。そしてまた新しいザウルスを出すのだ。んで、それを買ったユーザーは満足したり文句言ったり感動したりする。それを聞くシャープ。また出る新ザウルス。また買うユーザー。
すなわち我々ザウルスユーザーとシャープの戦いは無限ループなのであるが、この、他にはちょっとないイケてるPDAが辿る過程を間近で感じられることは、やっぱり実に愉快だと思うのだ。そんなわけで、今後もザウルスをおもしろおかしく使い、たまに細かいトコロをつついたりして、シャープとの戦いを続けたいと思う俺なのであった。
◎関連URL
ザウルスMI-C1製品情報
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/mic1/text/index.html
MI-C1周辺機器情報
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/mic1/text/p6.html
シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
(スタパ齋藤)
2000/03/31
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