Mobile Central click Here
 

モバイルIndex
【2000/04/05】
第7回:内蔵ソフト解説5 Jotter、Contact
【2000/04/06】
第8回(最終回):PSIONで電子メール
【2000/04/04】
第6回:内蔵ソフト解説4 Data
【2000/04/03】
第5回:内蔵ソフト解説3 Agenda
【2000/03/31】
第4回:内蔵ソフト解説2 Sheet・Record・Sketch
【2000/03/30】
第3回:日本語化ソフトUniFEPの導入
【2000/03/29】
第2回:日本語化ソフトUniFEPの導入
【2000/03/28】
第1回:PSIONの特徴


検索
5






第1回:PSIONの特徴


彩音さん
彩音五郎
PSIONに限らず、数多くのPDAを所有。ホームページ「彩音五郎の物書き部屋」中のPsionの部屋コーナーでは、情報の少ないPSIONを使うユーザーのために、多くの実用情報を提供している。

■ はじめに

PSION Series 5mx
PSION Series 5mx
 オープンプライス(日本語入力用ソフトUniFEP for 5mx同梱で8万円台で販売されている)。Series 5と比べ、メモリが倍の16MBになり、処理速度も約2倍に向上。液晶も5よりも見やすいものが採用された

 「PSION」という文字を見たことはあるが、どんなものかはわからないと言う人が多いのではないだろうか。PSIONの国内代理店であるエヌフォー社から日本語化するためのソフトが販売されたり、PSIONのOS「EPOC OS」ベンダーのSymbian社がNTTドコモなど携帯電話大手数社と提携したことによって、何度か名前を目にしたことはある……というくらいが一般的な印象ではないかと思う。

 PSIONは、英PSION Computing社の発売するハンドヘルド・コンピューターだ。スタイリッシュなデザインと、筐体のわりには大きなキーボードがまず目を引く。OSにはSymbian社のEPOC OSを採用している。少ないマシンパワーでGUIをきびきびと動かすことのできるOSで、非常に安定している 。

 PSIONシリーズは、Series 3、Series 5、Revo、Series 7(Netbookを含む)など複数の機種がある。その他にも、Series 3と5の間にSiennaと言うモデルも販売されたが、現在は市場から消えている。また、Series 3とSeries 5はいくつかのモデルが発売されており、最新のモデルはそれぞれSeries 3mx、Series 5mxとなっている。

PSION  左から順に、PSION Series 5(黒)、PSION Series 5 Special Edition(緑)、PSION Series 5mx(シルバー)。

 PSION Series 5(黒)は外装の塗装が弱いため、長く使っているとこのように剥げてくる。PSION Series 5 Special Edition(緑)、PSION Series 5mx(シルバー)では塗装の仕様が変更されこのように剥げる心配はなくなった

 本連載では、エヌフォーの発売している日本語化ソフトが対応しているPSION Series 5とSeries 5mxについて、日本語化の手順、内蔵ソフトの使いこなしなどをご紹介していきたい。このほか、日本語化ソフト「UniFEP」をバンドルしたPSION Revoも販売されているが、内蔵ソフトの利用方法は同じなので、Revoを新規購入された方にも本連載をご一読いただければと思う。



■ PSION Series 5のハードウェア

 PSION Series 5を語る上で欠かせないのは、そのキーボードだろう。

 スタパ齋藤氏が「週刊スタパトロニクスMobile」で九州松下電器 POCKET・Eを取り上げた際に、「なんかこう、PSIONみたいな雰囲気のキーボードがあって、けっこう打ちやすそうで、ちょっと欲しいような触ってみたいような、そんな気がしていた」と書かれているので、PSIONとはどんな物か気になっていた人もいるのではないだろうか。

 PSIONでは、QWERTY式の53キーを採用することにより、本体幅170mmの中に14.5mmという広いキーピッチを実現している。14.5mmのピッチといえばA5サイズのミニノート相当のものであり、比較的無理なくタッチタイプ可能なサイズだ。

PSION PSION
代表的なミニノートであるLibretto SS1010との比較 PSION Series 5mxのパネルを開いた時の外観

 非常に印象的なのがそのキーボードのギミックで、液晶パネルを開けると同時にキーボードが前にせりだしてくる。
 そのため、パネルを閉めた時にはコンパクトな外観なのだが、パネルを開いてみるとどっしりとした外観となる。このギミックに関しては、言葉で説明するのは難しいので、PSION社の提供するデモページを見ていただきたい。

 上述のページでは、最初の動画が終了したあと、左上のほうにPSIONが閉じたグラフィックが表示されるのだが、そこにマウスカーソルを合わせるとパネルが開き、カーソルを外すとパネルが閉じる。そのグラフィックをクリックするとさらに楽しいQuickTimeムービーがあるので、QuickTimeを見ることのできる環境の人はぜひ見てほしい。

 キーピッチは十分なものの、キータッチは固めであり、薄型ノートなどに良く見られる柔らかめのキータッチに慣れている人は使いにくく感じるだろう。特にSeries 5 はキーとキーの間に隙間があまりないこともあって多少の引っ掛かりがある。そのため、高速にタイプすると入力の取りこぼしをしてしまうことが多い。

 Series 5mxにおいては、固さは従来モデルと同じくらいであるが、引っ掛かりがなくなっているため、ずいぶんと入力しやすくなった。筆者もSeries 5ではキーボードの引っ掛かり対策のために改造を加えていたが、Series 5mxは改造を加えずにそのまま使っている。

PSION Series 5mx(左)、Series 5(右)のキーボードの比較。Series 5mxではキーとキーの隙間がわずかながら広がっていることがわかる。このわずかの差が大きい

 全体デザインは、曲線を多用した流れるような美しいフォルムで、細部まで非常にこだわってデザインされており、中でも機器背面の曲線と前面にあるボイスレコーダーの操作部のデザインは群を抜いている。

 通常、機器の背面にある電池ケースは角ばった味気のないものが多いのだが、Series 5のそれは内蔵する電池のRにあわせて緩やかな曲線を描いている。電池ケースを開けるときは、その曲線のカバーがするりと本体の中に入っていき、すっきりと電池を取り出すことができる。電池ケースの横にあるRS232Cポートも同様の構造をしており、よくある取り外し式のカバーのように紛失してしまう心配もない。

PSION 背面にある電池ケースを閉じたところ(上)、開いたところ(下)
PSION

 ボイスレコーダー用の操作部は、普通はロック用のスイッチが1つあって、その横に録音や再生のボタンがあるというのが一般的なのだが、PSIONのものはロック用のスイッチを付けるかわりに、録音や再生のボタンにカバーがついており、そのカバーをずらすことにより操作ボタンが使用できるようになるという、なかなか凝ったものだ。これも他のハンドヘルドマシンでは、なかなか見ることができないものだろう。

PSION PSION 録音ボタン用のカバーを閉じたところ(左)、開けたところ(右)

 さて、ハードの紹介の最後になってしまったが、PSION Series 5mxの主な仕様を以下に挙げておく。詳しい仕様については、PSIONの国内販売元であるエヌフォーのページを参照してほしい。エヌフォーのページにはカタログのPDFファイルや画像などが掲載されているので、合わせてご覧いただくとよいだろう。

PSION Series 5mxのおもな仕様
CPUARM710T(36MHz)
OSEPOC OS(ER5)
メモリRAM 16MB
液晶タッチパネル付き白黒16階調、640×240ドット、バックライト付き
入力キーボード(53キー)、ペン入力
インターフェイスシリアル(最大115.2kbps)、コンパクトフラッシュスロット×1(メモリカードのみ対応)、赤外線インターフェイス(IrDA)
電源単3アルカリ乾電池×2または別売のACアダプター、バックアップ用電池(CR2032×1)
サイズ、重量170×90×23mm(幅×奥行×高)、約354g(電池込み重量)



■ PSION Series 5の内蔵ソフトウェア

 ワープロ、表計算、データーベース、予定表、住所録、メモ帳、グラフィックソフト、ボイスレコーダー、電卓、電子メール、ブラウザー、プログラム作成、ゲーム……こうやって内蔵ソフトの名前をあげていくだけで、非常に多彩な機能を持っていることがわかる。

 内蔵ソフトは互いに連携し使用することが容易になっている。例えば、ワープロに表計算の表やグラフを貼り付けたり、グラフィックソフトで作成した図を貼り付けたりといったことが簡単にできる。これらのソフトウエアに関する詳細は、後の回に譲るが、内蔵ソフトの組合せでかなりの作業をすることが可能となっている。PalmやWindows CEなどが、パソコンとシンクロさせることにより真価を発揮するのに対して、PSIONはシンクロも可能ではあるが、単独でも実力を発揮するのだ。



■ 日本語環境で使用する時の問題点

 PSIONを使用する上での一番の問題点は日本語化がまだ完全ではないと言うことだろう。ワープロ、表計算、データーベース、予定表などの主な内蔵ソフトでは日本語の使用が可能なのだが、ブラウザや電子メールソフトでは日本語が通らない!
 電子メールはフリーソフトウェアを使用することによって、送受信が可能なのだが、ウェブブラウズはかなり特殊な方法をとらない限り実現できない。

 また、最近のPDAはモデムを内蔵していたり、携帯やPHSをダイレクトにケーブル接続できたり、カードスロット装備で、カード型モデムを利用して通信が可能だったり、本体(+かさばらないオプション)で通信が可能であるのが普通だ。しかし、PSIONはこうした装備を持たないのが弱点となっている。PSIONを使って日本で通信をするには以下のいずれかが必要となる。

1)専用の外付けモデム
2)PCカードアダプタ(TYPE2のモデムカードが接続可能になる)
3)汎用のモデム
4)NTTドコモの赤外線通信対応の携帯電話、ノキアNM207またはNM502i
5)IC公衆電話(赤外線通信対応の公衆電話)

 3)以後は設定が少々面倒だが、ノキア製携帯電話との組み合わせがもっとも荷物にならずスマートに通信できるため、PSIONユーザーに人気がある。
 ちなみに、“日本で通信するには”とまわりくどい書き方をしたのは、海外では赤外線対応の携帯がノキア製のほかにも何種類かあるほか、PSIONとケーブルで直接接続できる携帯電話も多く出回っているからだ。NM207/NM502iのような携帯端末が日本でも数多くなれば、もっと便利になるのだが……。



■次回予告

 今回は、PSIONの特徴を(良い点も弱い部分も)ご紹介した。次回は、PSION Series 5/5mx に、日本語入力ソフト「UniFEP for EPOC」を導入する手順をご紹介する。
(明日につづく)

◎関連URL
■PSIONの国内販売元、エヌフォーのホームページ
http://www.enfour.co.jp/inc.html
■PSIONのホームページ(英文)
http://www.psion.com/
■EPOC OSのベンダー、Symbianのホームページ(英文)
http://www.symbian.com/

(彩音五郎)
2000/03/28


お問い合わせ Mobile Central ホームページへ戻る