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国内販売も開始されたTRGProをチェック!

 今回は、国内でも販売が開始されたTRGのTRGProについてのレポートをお届けする。CFスロットを持つTRGProは、バックアップなどにCFメモリカードが利用できるほか、CFサイズのモデムカードなどの接続が可能で、拡張性が高いマシンである。


■ Palm III匡体にCFカードスロット

TRGPro
店頭価格は4万円前後

 TRGPro最大の特徴は、CFカードスロットを持っていること。これは、本体上部(背面)に設置されており、その分、僅かに背面部分が盛り上がっている。このスロット部分は、従来のPalm IIIx(WorkPad 30J)などで、拡張用のスロットになっていた部分。この部分の空きにCFスロットを入れたわけである。

 また、WorkPad30Jなどでは、スピーカーとして圧電スピーカーが使われていたが、TRGProでは、少し良いものに変更されていて、背面には、そのための穴が空いている。これは、メモリスロットの代わりにCFスロットに変更したが、CFスロットが、メモリスロットよりも短いために空いた領域があり、そこに多少厚みのあるスピーカーを入れたものと思われる。

TRGProは、デザイン的には、WorkPadとほぼ同じ。色は、オリジナルのPalmIIIに近いグレー。液晶などもほぼ同じ感じで、正面からみたところでは、WorkPadやPalmとまったく同じ 背面は、CFスロットの部分が僅かに膨らんでおり、上部には、スロットのフタがある

 メインメモリは、現状最大の8MBを搭載しており、フラッシュメモリは、2MB。PalmOS 3.3が使われている。現在国内で販売されているのは、英語版のままのものであり、TRG社では、日本語版を開発中とのことである(夏ぐらいまでには発売される予定だと聞くが……)。

 現状、日本語対応しているPalmOSは、PalmOS 3.1(Workpad 30J、c3などに採用)、PalmOS 3.5(パーム コンピューティングが春に出荷予定のPalm IIIcおよびVxが採用予定)で、PalmOS 3.3は日本語版がないためだと思われる。すでに日本語化したPalmOS 3.5があるため、日本語版登場時には、おそらく、このPalmOS 3.5が採用されることになるのではないだろうか。ちなみにPalmOS 3.5日本語版は、2MBのフラッシュメモリには入らないようなので(日本語版Palm IIIc/Vxなどでは、4MBにして、余った部分に英和辞書などを入れてあるようだ)、TRGPro日本語版は、このあたりが違ってくるはずである。また、こうしたハードウェア変更があるために、日本語版発売までに時間がかかっているのだと思われる。

 CFカードスロットは、本体上面(裏側)にあるフタ(Irポートのカバーを兼ねている)を外して利用する(下の写真参照)。基本的には、CFメモリカードなどをさして、フタをして使うものである。フタを外すと時点で、基板など内部が見えてしまう状態なので、フタを開けっ放しにしておくと、ゴミなどが入る可能性がある。

 ここにフォーマット済み(MS-DOS互換のFATフォーマット)のCFメモリカードを装着すると、Palm側からは、専用のアプリケーションを介して、CFメモリカードの読み書きが可能になる。また、アプリケーションから、CFスロットを直接アクセスするようなAPIも用意されているらしい。

 なお、製品パッケージには、本体、クレイドル(Palm IIIのものと同じようなもの)、Palm Desktop用CD、マニュアルなどが入っている。

CFスロットのフタを外したところ。本体の基板がそのまま見えている CFスロットに、CFメモリーカードをさしたところ。この状態では、ちゃんとフタを閉めることができる CFスロットを挿入方向から見る。基板上部にIRの受発光部が見えている。フタは、赤外線を通すような素材でできているようである



■ 内蔵ソフトウェア

 TRGProには、標準的なPalmのアプリケーション(DateBook、Address、ToDO、MemoPadなど)に加え、TRG独自のアプリケーションが内蔵されている。組み込まれているのは、以下の3つである。

CFBackup
CFPro
FlashPro

 CFBackup(写真6)は、CFメモリカードに対して、TRGProのメインメモリを独自形式でバックアップするもので、これを使うことで、現在のTRGProの状態をそのまま保存することができる。また、CFメモリカード中には、いくつものバックアップを置くことができるため、たとえば、複数の環境を切り替える場合などにも利用可能だ(デフォルトでは、バックアップのファイル名に日付と時刻が使われる)。

 CFPro(写真7)は、CFメモリカードとメインメモリの間で、プログラムやデータベースファイルをコピー、移動させるためのもの。現状のPalmOSでは、アプリケーションやデータベースををCFメモリカード側において実行させることはできないため、このツールを使って、これらをメインメモリとCFメモリカードの間で動かして利用する。なお、TRGProでは、CFスロット側のデバイスをアクセスするためのAPIを用意しているので、これに対応したアプリケーションであれば、CFメモリカード上のデータを直接アクセス可能にはなる。

 
画面1:付属のCFBackupの画面。CFメモリカード側にあるバックアップファイルが一覧表示される   画面2:CFProの画面。画面左下の「RAM」と「CF」で対象となるメモリを切り替える。ここで、ファイル(データベースやアプリケーション)を選択して、コピーや移動などを行なう

 このCFProには、もう1つおもしろい機能がある。それは、CFカード上にあるWAVファイル(Windowsの標準サウンドファイル)の再生機能である(画面3)。カタログなどにも「Enchanced Audio」と書いてあったりするので、そのために付けられた機能なのだろうか。32kHz以下の8bitモノラル、PCM形式(つまり圧縮なし)のWAVファイルの再生が可能なようである。無理をすれば、半導体音楽プレーヤーとして使えなくもないが、電池がどれだけ持つか? ちょっと疑問。しかも、ヘッドホン端子があるわけでなし、こういう使い方は無理か。他の機種で入力した音声メモなどをCFカードに入れておいて、ちょっと再生するって使い方になるのでしょうか。

 FlashPro(画面4)は、TRG社の製品にもなっているソフトウェアで、本体内部のフラッシュメモリの空き領域にプログラムなどを「焼き込む」もの。標準状態では、TRGProは、526KBの空き領域があり、FlashPro自体のバックアップが入っているのみ。ここにユーザーがプログラムやデータベースなどをコピーしておけば、ハードリセットしてRAMの内容がすっかり消えても、フラッシュメモリにあるコピーから回復が可能になるわけである。

 
画面3:CF側のファイルを表示させている場合、WAVEファイルの再生機能がメニューに現れる。メニューを実行すると、ファイルを音として聞くことができる   画面4:付属のFlashProの画面。CFPro同様、RAMとフラッシュを切り替え、ファイルのコピーなどを行なう

 また、TRGProは、CF側に接続されるシリアルポートが最初から考慮されており、HotSyncやネットワーク接続などのシリアルデバイスとして、本体下部のシリアルポート、IRポートとCF側シリアルポートが切り替えで利用できる(画面5)。

 もう1つの特徴は、標準のランチャー(グラフィティ領域のアプリケーションアイコンで起動するもの)に、ボリューム設定が付いていることである。通常は、画面上部には、電池の状態を表示するアイコンがあるが、そのとなりにスピーカーのアイコンがあり、これをタップすることで、ボリューム調整用のダイアログが表示される(画面6)。カタログなどによると、アンプを内蔵しているということである。

 
画面5:HotSyncでは、シリアルデバイスとして、本体のシリアルポートやIRポートの他にCFスロット側のシリアルデバイスを利用することもできる   画面6:スピーカーアイコンをタップすると、ボリューム調整のダイアログが表示される。また、PreferenceのVolumeでも調整が可能



■ CFカードで簡単バックアップ

 PalmのHotSyncも簡単でいいのだが、大量のデータを扱うと時間がかかるのが欠点。とくに最近は、最大で8MB程になってきたので、扱うデータも以前に比べると大きくなってきた。TRGProでCFメモリーカードを使うと、大量のデータも簡単にPCに移せるし、逆にインストールしたいプログラムやデータベースをCFメモリカードに書き込んでおいて、差し込んでコピーするだけで、簡単にインストールが行える。数MB程度になるなら、HotSyncさせるよりもこっちのほうが手早く行えるような感じである。

 また、バックアップが簡単というのもメリットの1つ。いつでも手軽にバックアップ、リストアができるのは便利だし、たとえば、出張中など、PCにアクセスできない環境でも利用でき、メモリが飛んでしまう事態を恐れる必要もない。実際Palmは、そんなに飛ぶことはないのだが、β版など不安定なアプリケーションをつい入れたまま、使い続けて、一番起こって欲しくないときに、一番起こって欲しくないエラーが出るなんてこともある。そうした場合の保険と考えると、本体のみでバックアップ、リストアが行えるというのは非常に安心できる。この点では、VISORのBackupモジュールと似ているのだが、TRGProの場合には、CFの容量が許す限り、いくつでもバックアップを作れるところが違う。

 CFタイプのインターフェイスを持つ、NTTドコモのS611などをつなげれば、通信機能付きのPalmにもなるし、ドライバさえあれば、他のデバイスなんかも利用可能だろう。どちらかというと、企業向けに企画された製品のようだが、一般ユーザーもCFメモリカードだけで十分活用できると思う。

◎関連URL
TRGPro製品情報(アスク)
http://www.ask-corp.co.jp/news22f.htm
アスクのホームページ
http://www.ask-corp.co.jp/

WorkPad製品情報(日本IBM)
http://www.ibm.co.jp/pc/workpad/index.html
パーム コンピュータのホームページ
http://www.palm-japan.com/home.html

(塩田紳ニ)
2000/03/24


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