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ThinkPad 600へCorelLinux 1.0を入れてみました!!


■ CorelLinuxって!?

西川和久
西川和久
「DOS/Vの第一人者」として知られ、パソコン誌やデジカメ専門誌などに多数の連載を持つ。現在は写真家としても活躍中。

 世間は雑誌の付録となったWindows 2000 RC2で盛り上がっている。しかし、そればかりでは面白くない。「Windows以外のOSを!!」と考えると今年はLinuxが大いに注目された年。従って6GBの容量を持つHDDへ“4.5GBはWindows2000”、“残り1.5GBへLinux”を入れることにした。マシンにThinkPad 600を使ったのは、もともとWindows 2000β3が入っていた関係と、ここMobile Centralで記事を掲載するという理由が主な目的。つまりアリバイ工作である(笑)。

 さて今回インストールしたディストリビューションは、RedHatでもTurboLinuxでもLASER5でもVineLinuxでもOpenLinuxでもなく、まだ日本に上陸していないCorelLinuxだ。「そんな日本でマイナーなLinuxを紹介されても……。」と文句続出かも知れないが、これについてはわけがある。筆者が今年インストールして遊んだLinuxの中では英語版日本語版に関わらず、一番インパクトが強かったディストリビューションだからだ。ベースはDebian 2.1/Kernel 2.2.12/glibc-2.0/KDE-1.1.2であるが、何が凄いかというと……。

1)インストールが超簡単。
 ライセンス承諾、ユーザーID、パッケージタイプの選択、HDDのパーティション、とたった4ステップ。当然フルGUI。これなら相性の悪いハードウェアを持っていない限り、誰でもインストールすることが可能だ。時間もわずか10分程度。巷にLinuxインストール本が氾濫しているのが嘘のよう。

2)起動直後にネットワークを含む全ての環境が整っている。
 X-Windowの環境はもちろん、既存ネットワークのDHCP自動ディテクト、Windowsネットワーク接続、Windowsなど他OSのパーティション自動マウント、PCMCIAインターフェイス自動認識など、対応している環境内であればサウンド以外全て自動認識し(※1)、起動直後からユーザーは何も設定しないで使えるようになっている。Windowsのセットアップに迫る勢いだ。

※1  FTP版にOSS(Open Sound System)が入っていないからであり、パッケージ版では自動認識可能だと思われる。

3)デスクトップのカスタマイズ度が半端ではない。
 ベースはKDE-1.1.2であるものの、Corel独自のカスタマイズが施され、Windowsユーザーが違和感なく扱える。流石Windowsアプリケーションの老舗、Corel。加えてオフィス・アプリケーションさえあれば、デスクトップとしてWindowsの代替となる可能性を秘めている。

 と、こんな感じである。最近他のディストリビューションもかなりデスクトップ環境を意識しているものの、このCorelLinuxは一般的なWindowsユーザーから見た場合、群を抜く完成度だ。(逆にバリバリのLinuxユーザーは物足らないらしいが……。^^;)



■ ThinkPad 600にインストール!!

Corel Linuxのデスクトップ
通常のKDE-1.1.2(http://www.kde.org/)との違いがわかるだろうか!? よりWindowsに近いものとなっている。真中に見えるのはControlCenter。Windowsでのコントロールパネルに相当する。
Corel File Manager
このファイルマネージャは完全にCorelカスタム。どうみてもWindowsのExplorerだ。Windows Networkに注目。sambaの設定は何もしていないのに、既に社内のネットワークが見えている。また /disks/ntfs はWindows 2000のファイルシステム。ただし、rootでしかアクセスできず、Read Only。
Corel Update
Debian固有のパッケージ管理ソフトdpkgをコントロールするGUI。ローカルデバイスだけではなく、FTPサイトを指定することにより、インターネット経由で自動的に関連するパッケージを更新できる。Windows Updateみたいなもの。

 CorelLinux 1.0本体はCorelのWebから通常の手順を踏むとcorellinux-oc_1_0.isoというISO9660のイメージがそのままダウンロードされる。312MBとけっこう巨大であるが、WindowsマシンからCD-Rを焼くことを考えるとこの方が楽だ。CD-ROMブートできるイメージなので、ThinkPad600のBIOSファンクションを触りFDD→CD-ROM→HDD1へ起動ディスクを変更し、早速セットアップにとりかかった。しかしブート直後に暴走。(^^; 他のマシンでは平気だったので、単にThinkPad600との相性と思われる。WindowsマシンへこのCD-ROMを入れるとセットアップ・プログラムが自動起動し、起動ディスク1枚を作るのでこれを使いフロッピーブートした。

 ネットワークカードは動くかどうか半信半疑で3COM EtherLink III(3C589C)のPCカードを差し込んだ状態でセットアップ開始。後は冒頭で書いたようにたった4ステップで終了。この時、パッケージタイプは“Desktop Plus”(開発環境込み)とし、既にファースト・パーティション4.5GBにはWindows 2000が入っていたので、「残りエリア全てをCorelLinuxにするか!?」と聞かれ「Yes」としただけ。待つこと約10分で再起動がかかり、独自のLILO(ブートマネージャ)が起動、NTFSとしてWindows 2000のパーティションも加えられている。CorelLinuxを選択するとしばらく最終的な環境設定をしている様子。完了後kdmを使ったグラフィカル・ログイン画面、しかもThinkPad 600の最高解像度・色数である1024×768・HiColor(65,536色)となっている。ネットワーク環境も完璧に作り込まれ驚くほどの完成度だ。

 なお、セットアップ中の画面をどうやってキャプチャするのか筆者はわからないので、興味のある人はここを参考にして欲しい。具体的なレビュー記事も載っている。



■ 半日本語化に挑戦

日本語化したNetscape Communicator 4.08
テキストフィールドやメールもバッチリ漢字がOKだ。ここのシステムリソースは少し触って12ドットへ変更している。メーラーのタイトルバーで文字化けしているのはKDEが英語版のため。
現在βテスト中のVJE-Delta3.0β
今回のバージョンはよりWindows版に近い形になっている。出荷版が楽しみだ。もちろんVJE-Penもこのとおり動く。現在開発中のエディタ、XZ for Linuxにも期待している。こちらも作動は一応OK。
AcrobatReader4.0
Netscape Communicator、IME、エディタ、加えてAcrobatが動けば、少なくとも筆者が原稿を書ける環境は整った。ただし、ここでは表示していないが、AcrobatReaderのブックマークにある日本語は表示できない。

 さて、無事英語としての環境を作り込んだ後、「せめてNetscape Communicatorだけでも日本語を!!」と思うのは人情。早速Webを駆け巡りその可能性を研究した。結論は「glibc-2.0なのでlibwcsmbsを組み合せば何とかなりそう!?」ということだ。まずDebianのサイトへ行き、該当するパッケージをゲット。次にこのglibc-2.0 + libwcsmbsのコンビネーションで筆者が一番気に入っているディストリビューションはVineLinux。そこから日本語フォントとNetscape Communicatorをお借りした。特にこのVineLinux版Netscape Communicatorは4.08と少しバージョンは古いものの、筆者が色々試したところ一番安定しており、日本語フォントパッケージには10ドットから32ドットまでのビットマップフォントが全て含まれる。Netscapeの日本語化で面倒なfonts.aliasなども既に設定済み。非常に扱い易い。ただrpm形式だったのでこれらの展開にはrpm_2.5.1-6.debを使用した。

 漢字TrueTypeフォントが扱えるx-ttに関してはNetscapeなどで小さい文字を表示すると逆に汚くなるため、実験し作動の確認までは行なったが今回は見送り。CorelLinuxのベースに使われているKDE-1.1.2は現在日本語化(http://www.kde.gr.jp/)が進められている。やる気になれば組み込める可能性もあるのだが、さすがに年末進行の真っ只中そこまでするのは時間も無さ過ぎるので自主規制。(笑)

1)キーボードをUS101レイアウトから日本語106レイアウトへ変更

/etc/X11/XF86Config
Section "Keyboard"
  Protocol    "Standard"
  XkbRules    "xfree86"
  XkbModel    "jp106" (もとはpc101)
  XkbLayout    "jp" (もとはus)
EndSection

2)日本語化に必要な基本パッケージ

http://www.jp.debian.org/
・libwcsmbs_0.0.5.deb
・wcsmbs-locale-ja_0.4.11.deb
・kterm_6.2.0-14.deb
・rpm_2.5.1-6.deb

 依存性があるのでこの順番で "dpkg -i 「パッケージ名」" とする。ただし、rpm_2.5.1-6.deb はRedHat系のrpmパッケージをDebianで扱えるよにするものなので順番には無関係。

3)X用日本語フォントと日本語化したNetscape

http://vinelinux.org/
・XFree86-jpfonts-2.0-1.noarch.rpm (VineSeedから)
・netscape-4.08_jp-17.i386.rpm (VineLinux1.1から)

 "rpm -ivh --nodeps 「パッケージ名」"とする。フォントパッケージに関しては途中のスクリプト実行時にエラーとなるがフォント本体は入っているので、/etc/X11/XF86Config のフォントセクションへ FontPath "/usr/X11R6/lib/X11/fonts/japanese/" を加えるだけで機能する。また、デスクトップのNetscapeアイコンは /usr/bin/X11/netscape へリンクしている。そのまま起動するとリソースは英語になってしまい、リンク先を /usr/bin/netscape へ書き換える。

4)WindowsユーザーとしてはCannaよりVJE!!(笑)

CorelLinuxのCD-ROMからCorel Updateを使いインストール
・xlib6
http://www.vacs.co.jp/images/news.htm#index08
・vje-delta-3.0b-0.1.deb

6)~/.profileの作成

export LANG=ja_JP.ujis
export XMODIFIERS="@im=vje"
export XFONTSIZE=small

 通常では~/.bash_rcを参照するが、kdmのシーケンスが少し違い、~/.profileへ書き込む必要がある。最後の環境変数XFONTSIZEは、日本語化したNetscapeのシステムリソースを10ドットにするもの。特に指定が無ければ14ドットとなる。詳細は/usr/lib/netscape/ja/README.Vineを参照。

6)ついでにAcrobatReader

http://www.adobe.com/products/acrobat/readstep.html
・jpnfont.tar
・linux-ar-40.tar



■ 日本語版のアナウンスもあり!!

筆者のデスクトップ
ってなわけで、筆者が今使っているデスクトップ。なにやら日本語Windowsのようだ。Windowsが嫌いでLinuxを使っている人には向かないかも!?(爆) 残念ながらMobileに必要なNTT DoCoMo PALDIO 611Sはスロットへ入れた瞬間固まってしまった。(^^;

 このように無理無理に半日本語化したCorelLinux。今のところかなり安定して動いているのでご機嫌だ。また期待の日本語版も日程は未定であるが先日アナウンスされたばかり。来年のお楽しみかな!? さらにCorelはWordPerfectやQuattro Proなどを含むCorel WordPerfect Office2000 for Linuxも発表済み(http://www.ascii.co.jp/linux/news/today/article/article329312-000.html)。日本語化はいつになるかわからないが、こちらも頑張って欲しい。いずれにしても新しいマシンを組んでもOSはWindowsばかりではそろそろ飽きてきた。そういった意味からも、Linux陣営にはぜひともWindowsユーザーが違和感なく操作できるデスクトップ環境“も”目指して頂きたい。



◎関連URL
■CorelLinux 1.0製品情報(英文)
http://linux.corel.com/

西川和久
1999/12/15


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