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POCKET・Eってどんな感じ?

■ メール端末にカメラが付いた

pocket e
九州松下電器 POCKET・E
オープン価格、約163×約93×約29(mm)、280g

 ポケットボードをはじめ、各社の携帯電話やPHSに対応したメール端末が次々と発売されているが、DDIポケットのPHSで利用できるメール端末『POCKET・E』が九州松下電器から発売された。既存の多くのメール端末がメールやWebページ閲覧に特化しているのに対し、POCKET・Eはカメラを内蔵することにより、今までとはひと味違ったメール端末によるコミュニケーションを実現しようとしている。早速、本体を購入したので、使用感などを踏まえたレポートをお送りしよう。

 POCKET・Eはコミュニケーションパル MT-300とほぼ同等のサイズのボディを採用し、重量も約280gに抑えられている。本体右側面に180度回転可能なカメラを搭載し、PHSと接続するためのケーブルは本体底面に格納する構造となっている。液晶ディスプレイは320×240ドット/モノクロ8階調を表示可能な3.8インチのものを採用し、最大26文字×19行の表示が可能だ。画面サイズは大きくないが、メール端末としては比較的、精細な画面表示ができる。

POCKET・Eとコミュニケーションパル MT-300。ほぼ同サイズで、重量もほとんど変わらない POCKET・Eのメニュー画面。イラストなどを利用し、全体的にかわいい印象でまとめている。メニュー構成も比較的わかりやすい

 対応PHSはDDIポケットのH"(エッジ)及びαDATA32対応PHSで、通信速度は最大32kbpsまでとなっている。本体右側面には独自方式による赤外線通信ポート、スマートメディアスロットを備えている。赤外線通信ポートは独自方式によるもので、同社のパーソナルファクスや携帯ハンドスキャナーとの送受信することができる。スマートメディアは3.3Vの2/4/8/16/32MBが利用でき、内蔵カメラで撮影した画像の保存などに使う。電源は単三乾電池2本で、約40時間の連続表示、約10時間の連続キー入力が可能だ。

底面に格納されたPHS接続ケーブルは、DDIポケットのPHSに接続が可能。通信速度はαDATA32による最大32kbpsまで 本体側面にはスマートメディアスロットを装備。その上の黒い部分が赤外線ポート。ただし、独自方式なので、PCとは接続できない

 メールはPOP3/SMTPによるインターネットメールに対応しており、DIONや他のプロバイダのメールを送受信可能だ。内蔵カメラで撮影した画像の添付(MIME)、送信メールのCC及びBCCにも対応している。添付ファイルを含めたメールサイズは最大100KBまで(テキストのみは最大64KB)、添付ファイルはJPEG、BMP、GIF、HTML形式のものに限られている。

 メールアドレスなどを登録しておくアドレス帳は、最大500件まで登録でき、画像を添付することも可能。ただし、画像を添付した場合は若干、登録件数が少なくなる。アドレス帳はPOCKET・E本体だけでなく、ケーブルで接続したH"端末のものも編集することができる。

 WebブラウザはNECのモバイルギアIIなどにも搭載されている『NetFront Ver2.0』を採用している。HTML3.2に準拠しており、フレーム表示、SSLにも対応している。液晶ディスプレイが8階調表示をサポートしているため、画像もモノクロながら、十分判別できるレベルのブラウズが可能だ。

 キーボードはやや配列にクセがあるものの、比較的広いキーピッチを確保しており、キータッチも既存のメール端末ほど、貧弱ではない。ポインティングデバイスは「ジャイロ」と呼ばれるゲーム機の十字キーのようなものをキーボード左上に配する。ボタンは右上の「OK」「戻る」を利用し、その他に「カメラ」「電源」「受信」「ズーム」「メニュー」などのキーが用意されている。

ブラウザでモバイルセントラルを表示してみた。320×240ドット表示のため、やや見づらい。スタパ齋藤氏の顔が……(笑) メール端末としては比較的キーピッチの広いキーボードを採用。ただし、配列には若干クセがある


■ DIONサインアップ必須!?

室内でPHSを撮影。やや暗い印象
屋外を撮影。雲の様子もわかる
室内で顔を撮影。厳しい締切に顔が歪む(笑)

 これだけのスペックを持ちながら、実売価格で1万9800円というのは、なかなか意欲的な価格設定だ。特に、カメラを利用したビジュアルコミュニケーションは、利用シーンが明確であり、初心者にも受け入れやすい。

 カメラは120×120ドット/モノクロ8階調に対応したもので、PメールDX添付時のみモノクロ2階調という仕様になっている。実際の撮影画像は以下の通りだが、2万円クラスのメール端末についているカメラとしては満足のできるレベルと言えるだろう。もちろん、カラー化や高解像度化を望みたいのは山々だが、32kbpsで快適に送ることができるということも考え合わせると、現時点では十分だ。ちなみに、撮影した画像を1枚のみ添付したメールは、POCKET・Eから約12秒で送ることができた(端末上の通信時間表示による)。

 ただ、POCKET・Eには充実したハードウェア面以外に、大きな落し穴が待っていた。それは10月xx日のニュースでもお伝えした「DIONへのオンラインサインアップが必須」という点だ。POCKET・Eを購入したユーザーは、いかなる理由があろうとも必ず1度はDIONのベツベツコースにサインアップしなければならない。DIONのベツベツコースは500円の加入料を必要とする月額基本料金なしの完全従量制コースで、DIONの利用料金とPHSの通信料金はそれぞれDION、DDIポケットから個別に請求されるシステムだ。

 POCKET・EはDION以外のプロバイダでも利用できる仕様になっているが、DIONベツベツコースへのサインアップが終わらなければ、他のプロバイダの設定をすることができない。また、すでにDIONのアカウントを持つユーザーも必ずPOCKET・Eを使い、新たにアカウントを作成する必要がある。つまり、どんな理由があろうとも、加入料500円を支払い、一度はPOCKET・EでDIONベツベツコースへのサインアップしなければならないのだ。万が一、設定などが消えてしまった場合は、サービスセンターなどで再設定の対処をするとのことだが、マニュアルにはその表記もない。

 九州松下電器によれば、POCKET・Eは「インターネット初心者の若い女性ユーザーをターゲットにしているため、できるだけ面倒な設定の手間を省きたかった」というのがDIONオンラインサインアップ必須という条件を採用した理由だそうだ。確かに、NTTドコモのポケットボードやポケットボード ピュアもマスターネットと共同運営する10円メールへのオンラインサインアップを必須としている。ただ、ポケットボードの場合、10円メール専用機として開発されたものであり、他のプロバイダも利用できるPOCKET・Eは若干、性質が異なる。他のプロバイダにも利用できるようにしながら、最初の段階のみDIONオンラインサインアップ必須となっているのは何か他の理由があるように捉えてしまいそうだ。両社によれば、インセンティブなどの取引はないそうだが、そう捉えられても仕方ない仕様と言えるだろう。

 また、面倒な設定の手間を省くために、決め打ちにしたかったというメーカーの配慮は理解できるが、そうであるならば、DIONのオンラインサインアップのメニューを専用のものにできなかったのだろうか。筆者は実際にオンラインサインアップをしてみたが、POCKET・Eの画面に表示されたのは通常のWebページからのオンラインサインアップと同じ画面であり、320×240ドット表示の画面ではかなり見づらかった。原稿を執筆するために、さまざまなメモを取りながらの作業だったが、オンラインサインアップだけで疲れてしまったのも事実だ。これを初心者に強いるのは、かなり酷と言わざるを得ない。

 DIONは全国統一アクセスポイントを設置したり、H"端末で利用できるPIAFS2.1にいち早く対応するなど、便利で魅力的なプロバイダのひとつと認識している。しかし、こうした強制的なオンラインサインアップを強いる製品の存在は、ともすれば、DIONにとってもマイナスイメージにつながってしまいかねない。

 POCKET・Eは、オンラインサインアップに関する制約があるものの、ハードウェアのスペックやメニュー回りのわかりやすさ、実売2万円という価格設定、ビジュアルコミュニケーションを手軽に実現できるなど、魅力的なメール端末として仕上げられている。その魅力を十二分に活かすためにも、プロバイダへのオンラインサインアップの部分はぜひとも見直しをお願いしたい。「DIONなら非常にカンタン。でも、他のプロバイダも使えるよ」というのが正しいアプローチであるはずだ。また、今後、見直しをするのであれば、すでに出荷した製品に対しても、何らかの措置が必要になるだろう。通信サービスとハードウェアが密接に結びついた製品が各社から発売されているが、使いやすさだけでなく、フレキシビリティの部分も求められることになるかもしれない。


◎関連URL
■「POCKET・E」ニュースリリース
http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn991007-2/jn991007-2.html
■「POCKET・E」ホームページ
http://www.wondersquare.dion.ne.jp/kme/
■九州松下電器ホームページ
http://www.kme.panasonic.co.jp/index-j.html
■DIONホームページ
http://www.dion.ne.jp/
■DDIポケットホームページ
http://www.ddipocket.co.jp/

法林岳之
1999/11/24


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