Office クラウド塾
クラウドって高い?面倒?導入にまつわるアレコレ~無償トライアルのススメ
前回までは、Microsoft Online Servicesの機能やライセンスに関して解説をしてきました。今回は、実際にMicrosoft Online Servicesを利用しているアクセンチュア社の経営コンサルティング本部CRMグループの小粥 真也氏(以下小粥氏)に話をうかがい、導入のきっかけや実際の活用方法などについて聞いてみました。
Microsoft Online Servicesは高い? 安い?

■アクセンチュア社の経営コンサルティング本部CRMグループの小粥 真也氏。現在取り組んでいるプロジェクトにおいてSharePoint Onlineを導入している

 アクセンチュア社といえば、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業です。多くのビジネスパーソンが、一度は社名を聞いたことがあるでしょう。アクセンチュア社では、単なる経営コンサルティングから更に一歩踏み出し、顧客企業のIT戦略の立案からシステム構築まで、一貫したテクノロジーサービスを提供しています。


「アクセンチュア社では、基本的にプロジェクト単位で仕事を進めています。現在、私自身は、あるグローバル企業のCRMシステム開発プロジェクトを行っています。プロジェクトとしては非常に大規模なもので、関わっている企業や個人も、国内外含め多数の人数になっています。このプロジェクトに関連する企業は、アクセンチュア社内でいえば、システム開発を行っている中国・大連デリバリーセンターなど、国境を跨いだものとなっています」(小粥氏)


 このような、国境を越えたグローバルなシステム開発のプロジェクトでは、コミュニケーションが重要になってきます。
 
 国内企業同士がシステム開発を行う場合は、顧客企業やシステム開発を受け持つ企業などと頻繁に、フェイスツーフェイスでのミーティングを行い、お互いのコミュニケーションギャップを埋めていくことになるでしょう。


 しかし、アクセンチュア社が行うようなシステム開発は、規模も大きく、参加している企業も日本国内だけとは限らない。こういった、企業や国境を越えたプロジェクトにおいては、Microsoft Online ServicesのコラボレーションツールであるSharePoint Onlineが強力なツールとなります。


「アクセンチュア社では、グローバルな情報共有インフラとして、Office SharePoint Serverを利用しています。社内のOffice SharePoint Serverは、社員だけでなく、協力会社などにもアカウントを発行することで、社外からもアクセスできるエクストラネットを構築しています。
 ただ、社内アカウントの発行は、グローバルに管理されているITインフラのルールに基づいています。そのため、社内アカウントの発行に時間がかかったり、ストレージ容量に制限があったり、いろいろと面倒なことがありました。そこで今回のプロジェクトでは、Microsoft Online ServicesのSharePoint Onlineを使ってみました」(小粥氏)


 小粥氏によれば、ユーザーとしての立場に加えて、Microsoft Online Servicesを企業向けに提案をするシステムインテグレーターでもあるアクセンチュア社のノウハウとして、今後ITシステムの重要な位置を占めると思われるクラウドサービスがどこまで活用できるのかといった検証も含めて使ってみることにしたとのこと。


 こうして、アクセンチュア社における厳しいセキュリティポリシーにも合致したMicrosoft Online Servicesは、小粥氏のプロジェクトで採用されることになりました。

オンラインサービス、信頼性はあるのか

「SharePoint Onlineを使う上では、ほとんどつまづきはありませんでした。これは、今までオンプレミスでSharePoint Serverを利用していたということもあるでしょうし、私のプロジェクトにおけるSharePointの使い方が、比較的シンプルだということもあります。」(小粥氏)


 例えば、代表的な使用法として小粥氏が挙げたのは、リスト機能を利用したリスク/課題管理です。リストはプロジェクトに参加している誰もが編集できるようになっており、現時点でプロジェクトにどのようなリスクや、課題、ToDoが存在しているのか、何が作業中で何が未解決なのか、一目でわかるようになっています。もちろん、誰が、どのようにリストを編集したのか、きっちりと履歴が残る点もメリットです。

■SharePoint Onlineのリストはプロジェクト管理に絶大な威力を発揮する。小粥氏のプロジェクトでは、これをプロジェクト参加者全員が編集可能な状態にし、タスク管理に利用しているという

 小粥氏によれば、ほかにも会議の議事録 (文書、音声、映像)、現在編集中の文書をファイルサーバーのような共有スペースとして利用したり、勤怠管理、メンバーへのアンケート、Q&A対応、課題管理などを行っているとのことです。


「便利だったのは、ファイルを共有するためのコンテンツ管理機能でした。今取り組んでいるシステム構築プロジェクトは、世界各国の顧客企業の拠点で使用するITインフラであるため、日本国内だけでなく、海外でのミーティングも数多く行っています。こういったときに、最新の資料を現地で引き出して、ミーティングに利用したり、ミーティングの内容を資料にアップデートすることができました。それも、社内システムにアクセスするために使用するVPNなどの特別なネットワークが無くても、簡単に利用できます。システムを利用する場所を選ばないということは、様々な地域や国、都市で仕事をする私達にとっては強力なツールといます」(小粥氏)


そうした資料ファイルのやりとりをメールで行なった場合、ファイルをいちいち過去のメールボックスを検索して確認しなければならず、しかも、そのファイルが本当に最新であるのか、確かめる方法はありません。その点、SharePoint Onlineを使えば、「決まった場所に最新のファイルがある」「過去のファイルも整然と並んでいる」といったメリットを享受することができます。また、削除したファイルは一度「ごみ箱」に送られ、いざとなったら復旧可能なのも、安心感があります。

■もちろん、ファイル共有はSharePoint Onlineの十八番だ。WindowsのExplorerのほか、OutllookやWebブラウザーからのアクセスをサポートしている。アクセンチュア社では独自のナンバリングメソッドにより規則正しくフォルダが整理されているという

Microsoft Online Servicesを使うならBusiness Productivity Online Suite(BPOS)を

 現在、小粥氏のプロジェクトでは、SharePoint Onlineを約160名のユーザーで使用しています。


「BPOSには、電子メールのExchange Onlineやインスタントメッセージング(IM)機能や在席情報(プレゼンス)を提供するのがOffice Communications Onlineなどの機能もありますが、今回のプロジェクトではSharePoint Onlineを中心にして利用しています。

 電子メールは、すでにアクセンチュアとしてExchange Serverがオンプレミス(社内)で運用されているため、今回のプロジェクトでBPOS上にアカウントを作る必要はありませんでした。また、Office Communications Onlineの在席情報やインスタントメッセージング(IM)機能のメリットは判っていますが、今回のプロジェクトでは積極的に使っていません。これも、すでにアクセンチュアではOffice Communications Server がオンプレミスで使われているため、独自システムをこのプロジェクトで提供する必要がないと考えたからです。(小粥氏)

■ユーザーの追加・削除・管理もろもろはWebの管理画面から行える

「Microsoft Online Servicesの管理は、難しいものではありませんでした。当初は私がアカウント発行をしていたのですが、現在ではアシスタントがアカウント発行や削除を行っています。

 技術担当というわけではないアシスタントでも、私が行う作業を横で見てもらっただけで、以降アカウント管理を担当できるようになりました。これほど、アカウントの管理は簡単なんです。

 Microsoft Online Servicesの場合、アカウント数がそのまま月間の使用料になるため、アカウント管理をできるだけこまめに行う必要が出てきます。そうしないと、使っていないアカウントに不要なコストを支払うことになるからです。ただ、アカウント管理自体は、簡単にできるため、システムのIT管理者にいちいち依頼しなくてもいいので、こまめに管理することができます。

 現状では、SharePoint Onlineのストレージ容量としては25GBのスペースを使っています。今後、プロジェクトが進めば、ストレージ容量の不足という事態もあるかもしれませんが、そういったときでも、簡単にオプションコストを支払えば、簡単にストレージ容量を増やすことができるのは、メリットですね。オンプレミスのシステムでは、ストレージ容量を増やすのに、いろいろなハードルがありますが、Microsoft Online Servicesなら簡単に増やすことが出来ます」(小粥氏)

Microsoft Online Servicesには、2種類のサービスオプションがある

 小粥氏自身は、Microsoft Online Servicesというクラウドサービスに大きな可能性を感じているようです。たとえば例として挙げられたのは、顧客企業とアクセンチュア社のあいだで合弁会社を設立するような大きなプロジェクト。いままでは、その合弁会社で利用するメールサーバー等のインフラをどうするか、という問題にぶつかったわけですが、申し込めばすぐにでもメールやファイル共有等の情報インフラを用意できるMicrosoft Online Servicesなら、その問題をいともたやすく解決できるのです。

■プロジェクトを進める中でMicrosoft Online Servicesの便利な点に気がついたという

「今後クラウドサービスは、、アクセンチュア社が行う様々なプロジェクトで数多く使われていくと思います。ITシステムの多くがクラウドのプラットフォーム上に構築されたり、クラウドのサービスを利用することになるでしょう。
 確かに、オンプレミスで運用すべきITシステムも存在します。しかし、Microsoft Online Servicesのようにマイクロソフト社が責任を持ってシステムの運用を行ってくれるなら、企業としては積極的に利用すべきでしょう。国内企業では、社外にデータが存在することに、あまり良い印象を持っていませんが、セキュリティやシステムの信頼性がキチンと保たれるなら、クラウドという選択肢も大いにあると思います。
 クラウドサービスなら、必要なときに、必要なだけ利用料金を支払う課金モデルとなっているため、コストも把握しやすいです。また、変化の激しいビジネスにおいて、クラウドサービスなら、今スグ必要という場合でも、すぐにサービスの用意が出来るというメリットがあります。また、必要なくなれば、すぐにシステムを止めることもできます。もちろん、ビジネスが急拡大して、規模を大きくしたり、逆にビジネスが縮小して、システムを小さくすることもできるのです。」(小粥氏)


 即応性とスケーラビリティ、これがクラウドの、そしてMicrosoft Online Servicesにおける2つの大きな長所と言えそうです。その2つの長所を最大限に活かすためには、今後、会社がどのように成長していくのか、あるいは成長させていきたいのか、その成長曲線のビジョンを持つことが大切です。その成長曲線の描かれ方によって、クラウドか、それともオンプレミスか、適したサービスの形態が決まってくるからです。


 もちろん、そうしたサービスの選択については、今回取材したアクセンチュア社をはじめ、多くのMicrosoftパートナー企業に相談することができます。アクセンチュア社自身も顧客へのMicrosoft Online Servicesの導入支援も行っています。Microsoft Online Servicesの導入に関して迷っているならば、今回の小粥氏のように、クラウドにもオンプレミスにも精通した企業のプロフェッショナルたちに聞いてみるのが、一番の早道といえそうです。


(山本雅史)

「Business Productivity Online Suite(BPOS)」は、今回紹介したExchange Onlineのほか、SharePoint Online、Office Communications Online、Office Live Meetingの4 サービスを包含する統合コミュニケーション & コラボレーション サービスです。

Microsoft Online ServicesのWebページから、実際にサービスを無料トライアルすることができます。無料トライアルサービスには、手続きなしですぐに体験できる「体験サイト」と、専用の管理サイトと記憶域を利用できる「30 日間無料トライアル」の 2 つの方法があります。

体験サイトの利点

30日間無料トライアルの利点

トライアルの詳しい手順などはリンク先の手順書などをご覧ください。

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