結論から言うと、社内でサーバーを運用するのと比べれば、概ねMicrosoft Online Servicesの方が安くなります。
例えば、電子メールサーバーを例にとって考えれば、サーバーのハードウェア代、サーバーOS、メールサーバーソフトウェアなどの費用が初期投資としてかかります。これ以外に、サーバールームやデータセンターの運用費、ハードウェア/ソフトウェアのメンテナンス費用などもかかるでしょう。
最も重要なのは、社内運用の場合、会社としてハードウェアやソフトウェアを購入すると、これらのシステムが企業において「資産」となってしまうことです。しかし、ハードウェアやソフトウェアの進化は速いもので、5年経てば、性能的/機能的にもはや別物。10年経てば、古くなりすぎて、ビジネスに必要な機能がカバーされていないシステムとなってしまいます。このようなことを考えると、ハードウェアとソフトウェアは、いずれも5年ぐらいのサイクルで更新をしていく必要があります。
だとすれば、5年ごとにサーバーやソフトを購入するため、ある程度の初期費用がかかってしまいます。また、システムの移行作業も発生するでしょうから、コスト的には初期導入時以上の金額がかかることになります。
一方、Microsoft Online Servicesを利用すれば、ユーザー数に応じて課金が行われるため、ハードウェアやソフトウェアを購入するのではなく、サービスを利用するということになります。このため、企業においては、必要経費として予算計上することができます。
サーバーのハードウェアは、サービス事業者が購入、メンテナンスを行うため、サービス利用企業がそれに対して初期投資・運用コストを支払う必要はありません。ソフトウェアに関しても、必要に応じてセキュリティパッチやバグフィックスなどの対応も行ってくれます。また、新しいバージョンのソフトウェアがリリースされれば、移行作業を含めて、アップデートしてくれます。
また、自社でサーバーを運用する場合は、将来の会社規模拡大にも備えてハードウェア/ソフトウェアにある程度の余裕を持たせたシステムを構築することが多いでしょう。たとえば100人の企業でも、150人、200人といった人数で動作するためのハードウェアやソフトウェア ライセンスを購入することになります。
確かに将来利用人数が増えていくなら、システムにも余裕が必要になります。しかしもし、予想ほど利用人数が増えなかったら、余裕を持って作成したシステムは、コストの無駄になってしまいます。
逆に、ビジネスが急速に拡大したときには、すぐにシステムに余裕が無くなり、新たにサーバーを増強したり、ソフトウェア ライセンスを追加購入したりしなければなりません。
Microsoft Online Servicesは、こういった利用人数の増減に対しても、ユーザーを追加登録/削除するだけですぐに対応できます。このため、不確実な将来を見越してシステムを構築するのではなく、必要なときに、必要なサービスを購入できます。これなら、予定よりも利用人数が増えなかったり、急速に利用人数が増えたりしても、簡単に拡張できます。
■社内設置型とオンラインサービス型の相違点
ただしMicrosoft Online Servicesにも、デメリットがあります。複数の企業で1つのシステムを共有するため、コストは抑えられますが、カスタマイズに限界があるということです。
社内でシステムを運用している場合は、自社用に様々なカスタマイズを加えることができます。しかし、Microsoft Online Servicesでは、プログラム開発を伴うようなカスタマイズを標準では行なうことができません。
とはいえ、Microsoft Online Servicesは、多くの企業が標準的に利用するテンプレートを用意することで、多くの企業が必要とする機能をサポートしています。また、デザインに関しては、テンプレートから利用する事も出来ますが、自社専用のデザインを無償のSharePoint designerを利用して作成することも可能です。
■※1 一部のメソッドは利用不可
詳細はこちらを参照
このようなことを考えれば、電子メールなどの標準的なITシステムは、よほど特殊なニーズが無い限りMicrosoft Online Servicesなどのオンラインサービスを利用した方が、将来のコストやビジネスの変化にキチンと対応していけるものとなるでしょう。
オンラインサービスを利用する上で重要になるのが、信頼性です。オンラインサービスを利用することでコストが下がっても、いざというときにサーバーの不具合でアクセスできなくなったりしては、ビジネスの現場では使用できません。
Microsoft Online Servicesでは、99.9% の月間稼働率を保証するサービス レベル契約(SLA)を提供しています。これにより、月間の稼働率が95%を下回るようなら、利用料金を全額返金するとしています。
SLAでの稼働率保証対象 |
|
Exchange Online |
電子メール稼働率 99.9% |
SharePoint Online |
サイト稼働率 99.9% |
Office Communications Online |
IM/プレゼンス稼働率 99.9% |
Office Live Meeting |
会議センターへの接続 99.9% |
SLAでの稼働率による返金割合 |
|
月間稼働率 | 返金される割合 |
<99.9% |
25% |
<99% |
50% |
<95% |
100% |
稼働率のほかにも、サービスのレスポンスの問題があります。オンラインサービスにおいては、利用者が過度に多くなると、システムのレスポンスが徐々に落ちてくる場合があります。当然、運営側としてはそうなったときにはサーバーの増強を行う必要が出てきますが、オンラインサービスを提供している会社によっては、サーバー増強のコストに耐えきれず、できるだけハードウェアリソースを抑え気味にするところもあるようです。
Microsoft Online Servicesの場合は、マイクロソフト社が運用している様々なオンラインサービスの一部として運用されているため、膨大な数のサーバーから適切なハードウェアリソースが配分されることで、Microsoft Online Servicesを利用している企業にとって、快適なパフォーマンスで動作するように運用されています。
こういった部分は、さすがに長年Windows Liveを始め様々なオンラインサービスを提供する実績を持ち、膨大なデータセンターやサーバーを運用している、マイクロソフト社ならではといえるでしょう。
Microsoft Online Servicesは、電子メールサーバーのExchange Online standard(1ユーザーあたり522円)、コラボレーション・ツールのSharePoint Online standard(1ユーザーあたり548円)、リアルタイムコミュニケーション機能のOffice Communications Online(1ユーザーあたり209円)、オンライン会議システムのOffice Live Meeting(1ユーザーあたり800円※)などが用意されています。もしすべてのサービスを1つずつ購入して利用すると、1ユーザーあたり月額2079円となります。 ※オープンバリューの価格です
しかし、マイクロソフト社では、Microsoft Online Servicesで提供しているすべてのサービスをスイートパッケージ「Business Productivity Online Suite (BPOS)」として1ユーザーあたり月額1044円から提供しています。これなら、1つずつサービスを購入するのに比べ約50%オフでMicrosoft Online Servicesのすべてのサービスを利用することができます。
さらに、250ユーザー以上使用する企業においては、段階的なディスカウント価格が適用されます。このため、利用人数が増えれば増えるほど、一人当たりのコストが安くなっていきます。だからこそ、本格導入する場合は、1部門だけでなく、会社全体で、できればグループ企業全体で導入すれば、ボリュームディスカウントの恩恵を最大限に受けることが出来るでしょう。
Microsoft Online Servicesは、マイクロソフト社の認定パートナーを経由して購入することができるため、認定パートナーが持つ様々なノウハウや知識により、適切なコンサルティングをしてくれます。さらに、Microsoft Online Servicesのカスタマイズ作業や移行作業、新しいシステムを従業員に教える講習なども行ってくれます。
もちろん、数人の個人事務所などが利用する場合、オンラインでマイクロソフト社から直接Microsoft Online Servicesを購入することもできます。5ライセンス以上であれば、必要なユーザー数分だけ購入できます。
また、すでにマイクロソフト社のサーバー製品のライセンスをソフトウェア アシュアランス (製品アップグレード権) 付きで契約している企業は、ステップアップ ライセンスを使って、通常よりもお得な金額でMicrosoft Online Servicesを利用することができます。さらに、Microsoft Online Servicesのライセンス(USL)は、自社で運用しているExchange Server、Office SharePoint Server、Office Communications ServerなどのCAL(クライアント アクセス ライセンス)と同等のアクセス権を持つことができます※。
※自社運用のサーバーライセンスは別途必要Microsoft Online Servicesを導入するには、1ユーザーあたりの月額使用料金を支払うだけです。これ以外に初期費用や管理費用などをマイクロソフト社に支払う必要はありません。
■BPOSのライセンスは「User Subscription Licence(USL)」として提供される。
USLはMicrosoft Online Servicesと社内サーバー(たとえばExchange Serverなど)の両方に利用できる
■Microsoft Online Servicesには上述の「USL」と「Step Up USL」の2種類のライセンスが存在する。
Step Up USLは、たとえばすでに社内でExchange Serverを使っており、
そのためのCAL(クライアント アクセス ライセンス)を所有している場合、Microsoft Online Servicesを安く利用できるライセンスだ
Microsoft Online Servicesの各種設定やユーザーの追加・削除などはWebの管理画面から簡単に行うことができ、サーバー側のソフトウェアの複雑な設定などは、一切気にすることはありません。このため、専門的な知識が無い管理担当者でも、簡単にMicrosoft Online Servicesの運用を行うことができます。
また、社内のIT部門にとっては、ハードウェアやソフトウェアの管理・運用といったことを考えなくて良くなります。日々のサーバー監視やメンテナンスなどの雑務に追われることがなくなれば、次世代の基幹業務システムの構築など、IT部門が本来考えるべき戦略的なITシステムの構築を行うことができるでしょう。
Microsoft Online Servicesには、「インフォメーション ワーカー」と「デスクレス ワーカー」の2つのサービスオプションが用意されています。
インフォメーション ワーカーは、Microsoft Online Servicesのすべての機能が利用できるサービスオプションです。一方、デスクレス ワーカーは、1ユーザーあたりの価格は、Exchange Online deskless/SharePoint Online desklessともに月額209円からと、格段に安いかわりに、利用できる機能に制限があります。
例えば、Exchange Onlineを利用する場合、デスクレス ワーカーは、ブラウザーでのアクセスしか利用できません。メールボックスのサイズも500MBとなっています。さらに、SharePoint Onlineでは、共有されているドキュメントにアクセスすることはできますが、自分でドキュメントを作成・アップロードすることはできません。Office Communications OnlineやOffice Live Meetingなどは、そもそも利用できません。
一般の社員は、Microsoft Online Servicesのフル機能が利用できるインフォメーション ワーカーを使い、アルバイトや派遣など、Microsoft Online Servicesを限定的にしか使用しないユーザーは、コストの安いデスクレス ワーカーを選択するなどの使い分けもOKです。必要のないユーザーにまで、フル機能のサービスオプションを用意しなくてもいいでしょう。また、セキュリティ面からも、Microsoft Online Servicesへの限定的なアクセスで十分なユーザーには、限定的なアカウントを使用した方が安心できます。
■Exchange OnlineとSharePoint Onlineにおけるサービスオプションの違い
Microsoft Online Servicesの便利さや管理の簡単さは、使ってみないとわかりにくいでしょう。そこで、マイクロソフト社では、ユーザーが登録無しに利用できるExchange OnlineとSharePoint Onlineの体験サイトを用意しています。
体験サイトでは、すでに用意されている体験用のアカウントを使って、実際にExchange OnlineやSharePoint Onlineの機能を試すことができます。ユーザーや会社情報の登録が必要ないので、すぐに使用することが可能です。
Exchange OnlineであればOutlookを使ったメールの送受信やスケジュールの共有、メールへのWebブラウザーからのアクセスなどが体験できます。SharePoint Onlineでは、多種多様なコラボレーションツールの使い勝手を確かめるなど、ひととおりの機能や各種インターフェースを体験できるようになっています。
体験サイトは、あらかじめ用意されたアカウントで機能やインターフェースを試せるだけですが、実際のMicrosoft Online Servicesとまったく同様のサービスを試すことができるのがスイートパッケージ「BPOS」の「30日間無料トライアル」です。
1ユーザーとしてMicrosoft Online Servicesを使う体験サイトに対し、こちらはドメインの登録、ユーザーの管理など、実際にサービスを管理・運用するフェーズを存分に試せるのがメリットです。
ユーザーアカウントは20個まで設定できるようになっているので、社内での導入を検討するための実地テストとして利用することもできます。また、トライアルからそのまま有償版に移行することもできるので、テスト時のデータをそのまま活かしたまま実運用を行うことができるのも便利です。
■30日間無料トライアル申し込みの流れ。導入の手順については導入手順解説PDFがわかりやすい
30日間トライアルは申し込み後数十分でフル機能が使用可能 | |
ドメイン登録も可能。本番同様の運用ができる | |
20のユーザーアカウントを発行可能 | |
ユーザーの追加作業は数クリック | |
便利なサインインアプリケーションで利用しやすい | |
Microsoft Online Servicesの導入を検討する場合は、体験サイトやトライアルを使用して自身で試す以外に、Microsoft Online Servicesの導入サービスを提供しているパートナー企業に相談をすることもできます。
パートナー企業はMicrosoft Online Servicesに関する様々なノウハウや知識を持っているため、適切なコンサルティングが行えます。また、導入企業が既に持っているマイクロソフト製品のライセンスを考慮して、最適な方法でMicrosoft Online Servicesを導入することも可能です。
Microsoft Online Servicesの導入パートナー企業は、数千人規模だけでなく、数百人、数十人規模の会社や事務所でも、きちんと導入の相談に乗ってくれます。Microsoft Online Servicesに関心があるなら、賢い導入をするためにも、一度はパートナー企業と連絡を取った方がいいでしょう。
次回連載では、実際にMicrosoft Online Servicesを導入している企業に、Microsoft Online Servicesのメリットや使い勝手などのお話をお伺いします。きっと、実際にMicrosoft Online Servicesを導入されている企業の実例を聞けば、いろいろと参考になることが多いと思います。
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「Business Productivity Online Suite(BPOS)」は、今回紹介したExchange Onlineのほか、SharePoint Online、Office Communications Online、Office Live Meetingの4 サービスを包含する統合コミュニケーション & コラボレーション サービスです。 Microsoft Online ServicesのWebページから、実際にサービスを無料トライアルすることができます。無料トライアルサービスには、手続きなしですぐに体験できる「体験サイト」と、専用の管理サイトと記憶域を利用できる「30 日間無料トライアル」の 2 つの方法があります。 |
トライアルの詳しい手順などはリンク先の手順書などをご覧ください。