Impress Watchとgooリサーチが共同で実施する「Impress Watch Opinion」、今回のお題は通算2度目となる「デジタル一眼レフカメラ」である。前回の調査は2006年8月に行われており、実に2年3ヶ月ぶりとなる。
昨今、デジタル一眼レフカメラは、価格帯や性能・機能面で多様化が進み、より幅広いユーザー層にアピールする商品となっている。市場の成熟が進む一方で、各社はさらなる高性能化やラインアップの拡充をはかり、新規ユーザー獲得に向けてしのぎを削っている。
今回の調査は2008年10月29日から11月5日まで、コンシューマー・エレクトロニクス分野に感度の高いImpress Watch読者(以下、Watch読者)と、より一般消費者層に近いgooリサーチ消費者モニター(以下、gooリサーチモニター)の2 つの層に対して、全32項目のWebアンケート形式でおこなわれた。本記事では、アンケート結果の中からいくつかのトピックをピックアップし掲載しており、一部、前回調査結果との比較もおこなっている。
ちなみに、本記事に掲載された結果以外のデータも、単純集計分がgooリサーチにて無料でダウンロード可能だ。
デジタル一眼レフカメラの所有率、および関心の有無を調査した。Watch読者の所有率は38.56%と、前回調査の26.67%から着実に伸びた。今やWatch読者の3分の1以上がデジタル一眼レフカメラを所有していることになる。「興味はない」と回答したのは1割程度にとどまり、全体としてデジタル一眼レフカメラに対して関心を持っていることがうかがえる。
一方、gooリサーチモニターの所有率は2006年時の7.52%から10.06%へと伸びた。伸び率としてはWatch読者を上回るものの、全体の割合から見れば微増といえる。ただし、「所有していないが購入を検討」と「興味はある」は合わせると6割以上にのぼる。市場的には開拓の余地がまだまだ残されているといえるだろう。
では、メーカー別の所有率を見てみよう。Watch読者とgooリサーチモニターともに、1位のキヤノンと2位のニコンが他社に差をつけた。2006年調査と比較すると、2強体制自体に変化はないが、両者の差は確実に縮まっていることがわかる。ペンタックス、オリンパス、ソニー(コニカミノルタ)なども着実に所有率を伸ばしている。
機種別に見ると、もっとも所有率が高かったのは「EOS 40D」(8.6%)で、以降「D70」(7.6%)、「EOS Kiss デジタルX」(6.2%)、「D300」(6.1%)、「EOS Kiss デジタルN」(5.4%)、「K10D」(5.3%)と続く(いずれもWatch読者の割合)。古めの機種が名を連ねるなか、昨年後半に発売された「EOS 40D」と「D300」が健闘しており、人気の高さがうかがえる。
デジタル一眼レフカメラを所有している層が、購入の際に重視する点を調査した。
全体としては前回調査と同傾向だが、「ライブビュー」「ゴミ取り機能」「手ぶれ軽減機能」が躍進をとげた。
既にデジタル一眼レフカメラを所有しているユーザーが「次に狙う」機種を調査した。ここ最近の新製品発売状況も踏まえつつ、結果を見ていきたい。 まずWatch読者の調査結果をメーカー別に見てみると、キヤノンとニコンがほぼ互角で、そのあとを追うのがソニーとなっている。この3者は、直近でミドルエンド~ハイアマチュア向け新機種を相次いでリリースしているのが共通点だ。
そこで機種別のWatch読者調査結果に目を移すと、やはり各社のミドルエンド~ハイアマチュア向けカメラが人気を集めていることがわかる。特に「EOS 5D Mark II」、「D700」、「α900」など、ここ最近で相次いで登場したハイアマチュア向けの35mmフルサイズ機に人気が集中しており、「フルサイズ」が今後のトレンドとなることが予想される。今年9月に発売されたミドルエンド機「EOS 50D」と「D90」の人気も高い。
gooリサーチモニターの結果を見ると、メーカー別ではキヤノンとニコン、機種別では「EOS 50D」と「D700」に票が多く集まった。ただ、次機種購入を考えているユーザーはWatch読者の半分以下となっている。
現在デジタル一眼レフカメラを所有していない層が購入を検討している機種を調査した。デジタル一眼レフカメラ所有者に対する調査とは大きく違う結果が出ている。
メーカー別に見ると、Watch読者とgooリサーチモニターともに、エントリー向け機種でトップシェアを誇るキヤノンが強さを見せ、ニコンにやや差をつけた。ここではソニーの人気が高いのも特徴的だ。
機種別に見ると、Watch読者とgooリサーチモニターともに、エントリー向けの「EOS Kiss X2」に最も人気が集中した。Watch読者においては、2位・3位にミドルレンジ向けの「D90」と「EOS 50D」、4位に11月下旬発売予定のハイアマチュア向けフルサイズ機「EOS 5D Mark II」、5位にマイクロフォーサーズ採用の小型機「DMC-G1」と、バリエーションに富んだ結果となっている。
現在デジタル一眼レフカメラを所有していない層が、これから購入する際に重視する点を調査した。
グラフ3に比べると、全体的に数字が高くなっているが、それを差し引いても、デジタル一眼レフカメラ所有者に比べて、「ライブビュー機能」を重視する割合が多くなっていることがわかる。
その他、全体の傾向は「3.デジタル一眼レフカメラを選ぶ際に重視する点」の結果と似通っている。
デジタル一眼レフカメラは、ここ数年でめざましい勢いで高性能化が進んだ。また、低価格化によって多くのユーザーにとって敷居が低くなりつつあるのも、歓迎すべきことだ。
一方で、製品に対するユーザーの要求は、留まるところを知らない。本アンケートの自由記述枠にて「今後のデジタル一眼レフカメラに対する要望」を聞いたところ、様々な回答が寄せられた。さらなる低価格化、高性能化、小型軽量化、高画質化、レンズの充実といったところをはじめ、乱立する規格への苦言や、レンズマウントの統一を望む声も多く聞こえた。あるいは、デジタルならではの機能を積極的に実装してほしいという意見と、あくまでカメラとしての高性能化を追求してほしいという意見が分かれていたのも印象的だった。
この先、デジタル一眼レフカメラがどのような方向性の進化を遂げるのか、動向を見守っていきたい。
2008/11/26
Impress Watch編集部