スマートフォンはパソコン用メールの送受信やウェブの閲覧、ビジネスデータの編集・閲覧など多彩な機能を持ち、ノートパソコンよりも持ち運びが楽といったメリットもある。タッチパネル・フルキーボードが搭載された端末や一般的な携帯電話・PHSと変わらないサイズ、デザイン性の高い端末も発売され、徐々にその裾野を広げつつある。
そんなスマートフォンの利用状況について、インプレスR&DとImpress Watch、gooリサーチで共同調査を行った。日ごろからインターネットに触れ最新動向に感度の高いImpress Watch読者(以下Watch読者)と、Watch読者に比べると一般消費者層に近いgooリサーチ消費者モニター(以下gooリサーチモニター)の2つの層に対する比較内容を掲載している。
なお今回の調査では、スマートフォンを通話機能だけではなく、パソコンとしての機能を持つ携帯電話と定義し、例として以下のような機能を持っている端末とした。
- タッチパネルやキーボードでの入力が可能
- パソコン向けのウェブサイトの閲覧が可能
- 会社や自宅のメールを受信可能
- パソコンデータの編集・閲覧が可能
- スケジュール同期などパソコンとの連動が可能
また調査対象は携帯電話・PHSを1台以上契約している人に限定している。
【認知度】スマートフォンの認知度は7割強、Watch読者では9割以上
スマートフォンの認知度(「他人に説明できるくらい詳しく知っている」から「聞いたことはあるがよく知らない」と回答した比率)は、gooリサーチモニターで75.1%と、4人に3人がスマートフォンという言葉を聞いたことがあると回答しており、Watch読者ではその比率は95.7%にのぼる。
もともとスマートフォンはビジネスマンや先進性の高いユーザー向けであったが、一般ユーザーにも「スマートフォン」の認知が広がってきていると言える。またWatch読者では認知者のうち3割が詳しく知っていると回答しており、関心の高さがうかがえる。
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あなたは「スマートフォン」を知っていますか |
【所有率】スマートフォンの所有率は2.7%、Watch読者では19.9%
スマートフォンの所有率はgooリサーチモニターで2.7%と低いが、Watch読者では19.9%と、ITの先進性の高いユーザーでは実に5人に1人がスマートフォンを所有している。ただし、昨年同時期に行ったgooリサーチモニターへの調査では、所有率は1.4%であったため、一般ユーザーの所有率も増加しているといえる。
またgooリサーチモニターでは「わからない」が11.3%とWatch読者に比べて高く、自分が使用している機種がスマートフォンかどうかわからない人が1割以上存在することになる(なお調査時にはスマートフォンの一覧から所有している機種を選択しており、主に利用している携帯電話・PHSの他に2台目として利用している人も含んでいる)。
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あなたは「スマートフォン」を利用していますか |
【所有機種ランキング】人気の高いW-ZEROシリーズ
次に、実際にスマートフォン利用者がどの端末を使用しているかをランキングにしてみた。
ランキングでは、gooリサーチモニター・Watch読者ともにウィルコム端末が1位を獲得している。特にWatch読者ではトップ3をウィルコムのW-ZERO3シリーズが独占しており、3機種で所有者の7割を占めている。一方、gooリサーチモニターではW-ZERO3シリーズの間にSoftBank X01HTやBlackBerry、FOMA NM850iGなどの機種がランクインしている。
なお、スマートフォンを複数台所有している人は主に利用している端末1台を答えている。
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利用している「スマートフォン」をお選び下さい |
【利用のきっかけ】利用のきっかけは機能の魅力と便利さ
スマートフォン利用者が利用するようになったきっかけは、「スマートフォンの機能に魅力を感じたから」がgooリサーチモニターで56.7%、Watch読者で63.4%と最も高く、「一般的な携帯電話・PHSよりも便利だと思うから」が同43.3%、50.7%で続く。
両者とも業務的な利用よりも、端末や機能に魅力を感じて購入している利用者が多いことがわかる。
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「スマートフォン」を利用するようになったきっかけは何ですか(複数回答) |
【魅力的な機能】魅力的な機能は「パソコン用のウェブサイトの閲覧」がトップ
次に、実際にどんな機能に魅力を感じて購入したかをみると、gooリサーチモニターでは「パソコンウェブサイトの閲覧」と「スケジュールの管理」が53.3%と最も高く、無線LANが46.7%で続く。 一方Watch読者では「パソコン用ウェブサイトの閲覧」が76.3%と突出して高く、「キーボード」が61.7%、「無線LAN」が58.4%で続いている。
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「スマートフォン」を購入する際どのような機能に魅力を感じていましたか(複数回答) |
【よく使う機能】よく使う機能は「パソコン用ウェブサイトの閲覧」、「ソフトやプログラムのインストール」も高い
購入してどのような機能を良く使うかを尋ねてみると、gooリサーチモニターでは「パソコン用ウェブサイトの閲覧」と「スケジュールの管理」が46.7%と最も高く、購入時に感じていた魅力的な機能と実際によく使う機能が一致している。 一方、Watch読者では「パソコン用ウェブサイトの閲覧」が66.5%と最も高く、「スケジュールの管理」が51.0%で続く。また「ソフトやプログラムのインストール」も42.5%と高く、一般的な携帯電話・PHSと異なり、自分の用途に合わせたカスタマイズもよく行われている。
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実際に購入して、どのような機能をよく使いますか(複数回答) |
【改善点】データ通信料金やバッテリーのもちに不満
実際に利用してみての改善点は、gooリサーチモニターでは「データ通信料金が高い」が43.3%と最も高く、「端末価格が高い」が33.3%で続き、料金面での不満が多い。 一方、Watch読者では「バッテリーがすぐ切れる」が44.5%で最も高く、「端末価格が高い」が32.4%、「一般の携帯電話より大きい」が31.9%で続き、端末の仕様に対する不満もうかがえる。
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「スマートフォン」のどのような点が不便で、改善してほしいと思いますか(複数回答) |
【利用意向】非利用者の今後の利用意向は2割、Watch読者では4割
スマートフォン非利用者を対象に今後の利用意向を尋ねたところ、gooリサーチモニター・Watch読者ともに「使ってみたいが、一般的な携帯電話・PHSで良い」が37%前後で最も高い。 しかし、買い換えや追加購入を検討したいユーザーを合計すると、gooリサーチモニターで22.9%、Watch読者では40.6%となる。一般ユーザーにおいても、5人に1人がスマートフォンを購入する端末の候補と考えており、利用意向は高いと言える。またIT先進ユーザーの多いWatch読者では、利用意向はgooリサーチモニターの倍となり、スマートフォンのような新しいデバイスに対する興味が高い。
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「スマートフォン」を使ってみたいですか(複数回答) |
【使いたくない理由】非利用意向者の使いたくない理由は「パソコンを利用するから」が半数
一方、非利用意向者を対象に使いたくない理由を尋ねてみると、gooリサーチモニター・Watch読者ともに「パソコンを利用するから」が最も高く、「一般の携帯電話で十分」が続く。 「パソコンを利用するから」といった人にはスマートフォンの機能では物足りなく、「一般の携帯電話で十分」という人にはそもそも不要だと思われる。
その他、使いやすさ、大きさ、重さ、端末価格といった面が理由にあげられている。
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「スマートフォン」を使いたくない理由は何ですか(複数回答) |
【おわりに】
今回の調査結果をまとめると、「スマートフォン」という言葉自体は先進ユーザーのみならず、広く一般ユーザーにも知られている。所有率は一般ユーザーではわずかであるが、Watch読者ではすでに2割の人が利用しており、ITに関して先進性の高いユーザーの中ではスマートフォンの利用が進んでいると言える。 しかし、一般ユーザー全体においても今後の利用意向は2割と低い数値ではなく、今後携帯電話の購入や買い換えの際に、一般的な携帯電話に加えてスマートフォンを購入候補として検討するユーザーは増えると考えられる。
本記事では全設問33問中、基礎的な設問9問の単純集計のみ掲載している。
クロス集計や違った切り口からの設問・解説、本調査のデータ販売やその他の調査報告などはAll in One INTERNET magazine リサーチForumをぜひご覧頂きたい。
【調査対象】
ITニュース媒体であるImpress Watchの読者
gooリサーチの保有する消費者モニター
【有効回答数】
Impress Watch読者:10,045サンプル
gooリサーチ消費者モニター:1,116サンプル
【調査期間】
2007年10月15日(月)~10月22日(月)の1週間
【主な属性】
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年齢 |
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職種 |
本コーナーへのお問い合わせ:imri-research@impress.co.jp
2007/11/14
インターネットメディア総合研究所
■Impress R&D リサーチForum
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All in One INTERNET magazine 2.0の調査・分析に関する専門メディア
「インターネット白書」などの大規模な定量調査、国際的な取材に基づき
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