家庭でプログラミング教育にトライ

トヨタ×チームラボが作った「モビルモ」で新型移動体プログラミング体験!

文部科学省により、2020年以降に施行される新学習指導要領において小学校でのプログラミング教育必修化が決定しました。この連載では、元小学校教員でITジャーナリストの高橋暁子氏が、プログラミングに詳しくない保護者でも家庭で子どもにトライさせられるかどうかを確認しながら、実際にご自身のお子さん(算数好きの小学2年生・男児)と使ってみた際の反応や学習効果を交えながら、様々な教材を紹介していきます。

「Mobilmo(モビルモ)」は、トヨタ自動車がチームラボと共同で開発した、3Dパーツをつなげて新型移動体「モビルモ」を発明し、惑星を自由に探索する、というスマホ・タブレット向けシミュレーションゲームアプリだ。

モビルモには、「未来のモノづくり体験を子供たちに」というコンセプトが掲げられている。世界の誰かが作り、公開したプログラムを流用してアップデートを繰り返すことで、社会が少しづつ進化していく。そんなソフトウェア開発では当たり前に行われていることが、将来自動車のようなハードウェア開発でも起こりうるかもしれない。そんな未来のモノづくり体験を子ども達に提供するために開発したのだという。

100種類以上ある3Dパーツを組み合わせて、車のようにタイヤで移動するだけでなく、転がったり、地面を這って進んだり、エナジーを噴出して空高く飛んだり、踊ったりなど、様々な動きをするモビルモを発明できる。

モビルモは、あらかじめ用意されているノーマルパーツと、動きを登録したアクションパーツを組み合わせて作成する。他のプレイヤーが同じ場所に足あとを残していたら、そのモビルモが出現し、使われているアクションパーツをもらうこともできる。

プログラミングができるのは、アクションパーツを作成する部分。ノーマルパーツに回転・傾き・エナジーなどの数字を登録して、自ら新しい動きのアクションパーツを作成し、モビルモを自由に動かすことができるのだ。今回は、このモビルモでどのようなプログラミング体験ができるかをレポートする。

トヨタとチームラボが共同開発した「Mobilmo(モビルモ)」でプログラミング体験

ヒカキン、セイキンのモビルモ動画で盛り上がる

モビルモはかなりエンターテイメント色が強いので、子どもの引きは強い。動機づけの部分は特に問題なく、いきなりスタートしても「面白そう!」と言われるだろう。ただし、テキストには漢字が多くルビもふっていないので、高学年程度を対象としたゲームであることがうかがえる。それより低い学年の子どもが利用する場合は、保護者がテキストを読むなどの手助けが要るかもしれない。

モビルモは子どもうけも抜群によい

モビルモは、「コア」と呼ばれるメインパーツに「アクションパーツ」と「ノーマルパーツ」を組み合わせて作る。コアは車体に当たる部分であり、アクションパーツは動きを持ったパーツ、ノーマルパーツは動かないパーツだ。「+」同士をつなげるとパーツがコアにジョイントされる。

パーツとコアを+部分でジョイントしよう

アクションパーツは「X」「Y」「A」「B」ボタンで動く。それぞれのボタンに「前進」などの動きを登録し、ボタンを「前に倒すと再生」、「後ろに倒すと逆再生」となる。試しに動かした後、自分のモビルモに名前を付ける場面となる。作ったモビルモは「コスモビ」と呼ばれる惑星で動かせる。モビルモができたら、惑星ボタンを押そう。

ボタンに「前進」などの動きを入力する

コスモビでは、「足あと」マークをタップすると自分のモビルモの足あとを残すことができる。足あとを残したモビルモは自動で動きをたどる。この足あとは世界中のクリエイターのコスモビにも現れるようになるため、交流にとても重要な要素だ。

コスモビに現れた他のモビルモをタップすると、そのモビルモに使われているアクションパーツをゲットすることができる。ゲットしたアクションパーツは、モビルモを作る時に利用できる。

マスコットキャラクター「アクセル」によるチュートリアルがわかりやすいので、子どもと一緒にチュートリアルを見て登録するところからスタートしてもいい。保護者が一度確認してからスタートする場合でも、右下の「CREATE」の隣の三本線をタップすれば、再度チュートリアルを確認できるので問題はないだろう。

チュートリアル以外の遊び方の部分は、ゲームに慣れている人ならまず問題なく自分で見つけ出すだろう。しかし、ゲームに慣れていない人は、ヒカキン・セイキン両氏によるPR動画「ヒカキンVSセイキンの大ジャンプ対決!」を見ると分かりやすい。チュートリアル部分を丁寧に再現しており、コースごとに用意されたミニゲームにもチャレンジするなど、楽しみ方がコンパクトに理解できる。ヒカキン・セイキン動画好きな子どもなら、さらにモチベーションが上がること間違いない。

コスモビにはヒカキン・セイキン両氏のモビルモの足あとが残っているので、まず両者のモビルモと出会い、アクションパーツをゲットすることで盛り上がるはずだ。

アクションパーツをプログラミングしてみよう

プログラミング的要素はアクションパーツ作成部分にある。しかし、その前にモビルモ自体を楽しむ時間が必要だ。

小学2年生の息子(7歳7ヶ月)はチュートリアルの後、コスモビを探検していた。コスモビには「ペンギン山脈」「フルーツ氷山」「キャンディー砂漠」など、ユニークな名前のエリアが多数ある。それぞれに違う特徴を持つエリアなので、探索するだけでも楽しめる。息子は、「わ、ハナミズ海だって!ハナミズっぽい!」と、ハナミズ海にうけて何度も訪れていた。このあたり、小学生男児心をくすぐるネーミングなのかもしれない。

様々なエリアを探検しよう

次に息子が気に入ったのは、足あとからの他のモビルモとの出会いとパーツゲット部分だ。おかしな形のモビルモを発見すると突進していく。出会ったモビルモをタップするとパーツがゲットでき、「やったー!」と大喜びしている。自分でも足あとを残すと自分の動きを見ることもできる上、他のユーザーにも楽しんでもらえるのでお勧めだ。

他のモビルモを見つけたらタップしてみよう
アクションパーツがゲットできた

ただし、オリジナルのアクションパーツしかゲットできず、元からあるノーマルパーツなどはゲットできないので、出会いの数に比べるとゲットできるパーツは少ない。息子も、「あれ?これしかゲットできていない」と不審がっていた。

コスモビを回るうち、様々な形のモビルモがあることに気づいていく。次の段階としてモビルモを作成してみることにしたが、息子は「自由に作っていい」と言われても困っていた。そのようなときは、下部の左から2つ目のマークをタップすると、モビルモレーダーによって新着モビルモと人気モビルモが見られる。特に人気モビルモを見ると、ユニークな形や動きのものが見つかるので、参考になるだろう。息子も「こんな形のものもあるんだ」と感心していた。

モビルモレーダーで他のモビルモを参考にしよう

息子は当初、明らかに動かない形や、バランスの悪い形のモビルモを作ってしまっていた。モビルモはうまく作らないとそもそも動かなかったり、動かすうちに壊れてしまったりするのでなかなか難しい。なお、壊れたモビルモはダブルタップで直すことができる。

バランスが悪いモビルモはうまく動かない

息子にもヒカキン・セイキン両氏の動画を見せてみたところ、フルーツ氷山での大ジャンプ部分に興味を示した。エリアごとにこのようなミニゲームがあるので、子どもが気になったものにトライさせてみるといいだろう。

アクションパーツは動きをプログラミングして作る必要があるが、かなり難しい。アクション名を決めた後、回転や傾き、エナジーの数値などを決定していく。4コマ分用意されているので、それぞれに作ったモビルモを入れて、数値を入力していくことで動きがプログラミングできるようだ。

アクションパーツ作成モードで作成してみよう
回転や傾き、エナジーなどを入力していく

試しに私が作ったアクションパーツを見せると、息子はパーツに動きをプログラミングすることにハマったようだ。なかなかうまく動かず、寝転がったままエナジーを噴出するだけだったり、ごろごろと転がって動くようなものができたり、吹き飛ぶ動きをするものができたりした。まだまだ思い通りには動かないが、数値を少しずつ変えて改良していったり、動きをイメージすることで、思った通りのプログラミングになっていきそうだ。

息子はモビルモが気に入り、「またやりたい」と催促してくる。モビルモをゲーム的に楽しみ、新しい形を創作したり、アクションパーツ作成にトライすることで、プログラミング体験が楽しいものとなるだろう。

教材名Mobilmo(モビルモ)
利用料無料
対象漢字が多用されているため小学校高学年以上が対象となるが、それより低い年齢でもやる気があれば可能
環境タブレット、スマートフォン(iOS 9.0以降、Android 4.0以降)
保護者に求められる知識とスキルチュートリアルを見て使い方をマスターし子どもにアドバイスできる、基本操作ができる
学習効果創造力・表現力の向上、論理的思考力の向上、プログラミングに親しむ
学習時間のめやす数時間以上

※学習効果や学習時間は個人差があります

高橋暁子

ITジャーナリスト。 LINE・Twitter・Facebook・InstagramをはじめとしたSNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。「ソーシャルメディア中毒 つな がりに溺れる人たち」(幻冬舎エデュケーション新書)ほか著書多数。書籍、雑誌、ウェブメディアなどの記事の執筆、監修、講演、セミナーなどを手がける。http://akiakatsuki.com/