三脚を悪者にしないで!?
突然ですが、みなさん、三脚は持っていますか? カメラやレンズの新製品情報には敏感でも三脚はよくわからな〜い!そんな方も多いのではないでしょうか?
まあ、無理もありません。今はカメラは色々なデザインやカラーがあるし、お手頃価格で目が覚めるような描写のレンズが手に入ってしまうのに、三脚はいつまでも黒とシルバーの2色しかないし、重いし、かさばるし、そもそも風景とか夜景とか撮るわけじゃないから使わないし!……わかります、私も昔はそう思っていました。
でもでも、三脚って使ってみると本当に便利なんですよ!
たとえば、ピントがシビアな大口径のレンズで花の接写をするとき。ブレないように右手でカメラボディを固定しながら左手でピントを合わせると、もう2本しかない手は余っていないので被写体の花は揺れるがまま。
そんなときに三脚があれば、カメラボディの固定は三脚に任せて、空いた右手で被写体の花にそっと触れて(折れるほどつまむのはもちろんNGですよ!)揺れを抑えることができます。
たとえば室内でのテーブルフォト撮影の場合。カメラボディとレンズで両手を使ってしまうと、被写体をスタイリングするたびにいちいちカメラを置いて、スタイリングが終わったらまた構え直して構図を決めてと、とても作業効率が悪くなってしまいます。
そんなときに三脚があれば、アングルは固定したまま、ライブビューの画面を見ながら手を伸ばして被写体のスタイリングや微調整を行うことができます。
その他にも、中腰がベストアングルの場合の撮影の手助けとして、パンフォーカスの遠景作品をシャープに仕上げるために、スポーツなどの長時間撮影の補助としてなどなど、幅広い活躍を見せてくれるのが三脚なのです!
今回は3回に渡って、そんな便利な三脚の選び方、使い方についてお話していきたいと思います。
これから三脚を買おうと思っている方、もしくはミニサイズの三脚は持っているけどこれから長く使える三脚を買おうと思っている方。買ったはいいけど実は使い方がわからないという方、ぜひ参考にしてみてください!
おさらいしましょう 〜三脚の各部名称〜
それではまず、三脚の各部名称とその役割についておさらいをしてみましょう。
1.雲台
雲台には3WAY雲台と自由雲台の2種類があります。それぞれに特性がありますので、自分の撮影スタイルや被写体によって選択しましょう。
2.開脚ストッパー
三脚の開脚角度を調節します。これを操作することで階段や急な斜面などへの設置も容易になります。
3.脚ロック
脚の伸縮を固定します。ワンタッチで固定するレバー式と、回して固定するナット式の2種類があります。
4.脚
主に3段式と4段式があり、現在の主流は強度のある3段式ですが移動の多い方にはコンパクトになる4段式が人気です。素材はカーボンファイバー製とアルミニウム製が多く発売されています。
5.石突
一般的な素材はゴム製です。フィールドによっては地面に突き刺せる金属製のスパイク石突の方が安定性が増します。
6.パンハンドル
3WAY雲台の右横に出ているハンドルを操作すると雲台を左右に傾けることができます。「ティルトハンドル」「ティルトパン棒」のように呼ばれることもあります。
7.パンハンドル
3WAY雲台の後ろ方向に伸びているハンドルを操作すると雲台を上下に傾けることできます。「パン棒」と呼ばれることもあり、サイドのパン棒よりも長い形状になっている物が多いです。
8.エレベーター
雲台の高さを調節します。安定感が無くなってしまうので微調節程度で使用するようにして、あまり延ばしすぎないようにしましょう。
アナタにピッタリの一本を! 〜三脚の選び方〜
まず、どのくらいの高さの物を買えばいいのかなのですが、三脚の脚を全部伸ばしてエレベーターを半分程伸ばした状態にして、横に並んでみましょう。雲台が自分のアゴの高さまである物がベストです。
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自分のアゴまで伸びる高さの物を購入しましょう。この写真ではカメラが付いていますが、雲台の高さを目安にしてください。 |
次に素材ですが、三脚の素材として現在主流なのはカーボン製とアルミニウム製になります。カーボンはアルミニウムよりも軽くて持ち運びには便利なのですが、価格はアルミニウムの2倍くらい高くなります。室内での使用や車での移動が多ければアルミニウム、電車などで出歩く機会が多ければカーボンがオススメです。
今回マンフロットさんからお借りした三脚は、がっしりとした安定感のプロ仕様のカーボン三脚「055CXPRO3」(64,680円)と、3WAY雲台付きで大型ながら低価格のアルミニウム三脚の「MK294A3-D3RC2」(18,480円)です。
まずは最初の一台として買ってみるのなら後者のアルミニウム三脚でも十分な性能がありますが、ちゃんとメンテナンスをすればなが〜く何年も使えてしまうので、ちょっと頑張って買い替えを考えなくてもいいプロ仕様のカーボン三脚を買ってしまうのも手です。
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レバー式 |
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ナット式 |
最後に脚ロックの違いについて。ワンタッチで簡単に止められるレバー式は初心者向きですが、パイプに直接圧力を加えて固定する構造上、高圧力が上からかかると少々滑るように作られています。そうしないとパイプが凹んでしまうのですが、その為、固定力が低いともいえます。
回して固定をするナット式は、パイプ周囲から締め付ける構造なので固定力は強いのですが、締まったかどうかを見た目で確認できないので、締めたつもりが緩んでいた……なんてことがありますのでしっかり固定するには慣れが必要です。
脚ロックについてはどちらが優れているというようなものではないので、実際に触ってみて、自分が使いやすいと思う方にしましょう。
カメラもそうですが、購入の際はスペックの数字だけを見るのではなく、実際に触ったり持ったりして自分にしっくり来る物を選ぶようにしてください。そうして選んだ物は愛着も沸きますので、どこにでも連れて行きたくなっちゃいますよ!
さて次回は実践編として、できているようでできていない三脚の正しい立て方のお話をしたいと思います。
(モデル:安井真理子)