Lesson 9 赤と青を‘こってり’と撮る!

 今回はクリスマスシーズンに向けて‘こってりとした深い色味’で撮るレッスンをしましょう。被写体としてオススメの色は赤・青・緑などの濃い色になります。これらの色はクリスマスのイルミネーションやオブジェによく使われる色でもありますので、周りを見回せば狙える被写体がいっぱいです!

 それでは、狙う被写体が決まったところで撮り方のお話をしましょう。今回は赤と青を例として、それぞれの‘こってり’の撮り方を解説していきます。

 

Best Shot !
■PENTAX K-5/SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM/絞り優先AE(F2.8)/ISO800/WBオート/-1EV/画像仕上:鮮やか(コントラスト+1、シャープネス+1)/デジタルフィルター:ハイコントラスト
真紅のバラときらきらリボンのオブジェを下から見上げるように撮影。メリハリを出したいので画像仕上げを鮮やかにし、さらにデジタルフィルターのハイコントラストを掛けました。露出はバラの花びらの影がくっきり出るようにマイナス補正。

 

 

赤を‘こってり’とさせるにはマイナス露出補正!

 上のバラのオブジェは見た目はもっと明るい赤色でしたが、露出を下げて深い赤色を作り出しました。どこまでマイナス補正するかの目安は、もちろんバラの赤色が好みの深い赤色になるまででもいいのですが、あまりやり過ぎてしまうと単なる黒ツブレ写真になってしまいますので、花びらとその影がつぶれない程度と言うように下限を決めましょう。

 画像仕上げは「鮮やか」か「風景」モードが見た目よりも色を鮮やかに描き出すのでオススメです。パラメーターをいじる場合はコントラストとシャープネスをそれぞれプラス1にしましょう。もっとこってりムードが欲しい場合は、デジタルフィルターの「ハイコントラスト」や「トイカメラ」などを重ね掛けするのも面白いです。

 さて、マイナスの露出補正で‘こってり’を演出するメリットは単にムードのある写真を撮れることだけではなく、被写体の欠点を隠すのにも役に立つのです。次の紅葉の写真を見てみてください。

 

こってり写真は七難隠す!?
マイナス1.3露出補正

■PENTAX K-5/DA35mmF2.8 Macro Limited/絞り優先AE(F2.8)/ISO100/WB太陽光/-1.3EV/画像仕上:風景(コントラスト+1、シャープネス+1)
露出補正なし

■絞り優先AE(F2.8)/ISO100/WB太陽光/画像仕上:風景(コントラスト+1、シャープネス+1)

 

 紅葉も場所によってはもう終わりに近付き、虫食いや枯れた葉も目立ってきました。本来なら見た目に近い色合いでほんわかとした紅葉写真を撮りたくても汚い葉が目立ってしまうことがあります。そういう時は思い切って露出アンダーにしてみましょう。すると、日が当たって目立っていた葉っぱの汚い部分が闇にしっとりと溶けて目立たなくなります。特に紅葉はしっとりとしたムードが似合う被写体なので、露出アンダー目に撮る撮影法はオススメです!

 

 

青を‘こってり’とさせるには彩度アップ!

 次は青の‘こってり’度をアップさせる撮り方です。基本的に画像仕上げは「鮮やか」で撮りましょう。青い被写体単一の場合はこの設定だけでもこってりとしてきますが、反対色の被写体が画面内に入っている場合は、自分でパラメーターをいじってコントラストとシャープネスを高レベルまで上げるとパキッとした画像が描き出せます。

 露出補正については、主役の青い被写体に順光で強い日が当たっているときは露出アンダーで撮った方が‘こってり’感が出やすいです。ここは赤と同じで‘被写体の色が明る過ぎたら露出アンダーにしてみる’と覚えてください。

 

彩度アップで青空度もアップさせる!

■PENTAX Q/PENTAX-02 STANDARD ZOOM/絞り優先AE(F5.6)/ISO125/WB:CTE/画像仕上:雅(彩度4)
彩度を最高の4レベルまで上げることで飛行機のガラスを通した撮影で空の色が薄くなるのを防ぎ、見た目よりも濃い色で描くことで上空のアンリアルなムードを出してみました。
メリハリアップで全体を引き締める!

■PENTAX Q/PENTAX-02 STANDARD ZOOM/絞り優先AE(F4.5)/ISO200/WBオート/画像仕上:鮮やか(彩度4、コントラスト4、シャープネス4)
彩度だけでなく、空の青と船の屋根の青がさらに濃く出るように、白い船体とのコントラストがはっきりするようにコントラストとシャープネスのレベルも4まで上げてパキッとメリハリのある画像にしました。

 

 今回は簡単にできる‘こってり’写真の撮り方をご紹介しましたが、できれば自分好みの色をひとつ決めて、その色の被写体があったら通常撮影の他に深い色合いのこってり写真を撮ろうなどと決めて撮ると忘れ難く、意外な作品ができ上がってきて面白かったりします。私は赤が好きなので、気が付くとフォルダーに色々な赤い写真が増えています(笑)。

 今の季節、上空には冬のキレイな青空が広がっていますし、街中にはクリスマスツリーやポインセチアがあちこちに見られます。これらの被写体を見逃さないように、ぜひ‘こってり’写真にチャレンジしてみてください!

 

(2011/12/9)
(みさき なな) フォトライター 東京都生まれ。B型。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、その作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWEBでのカメラレビュー、写真講座のライターとして活動中。
Twitter:@cosaruru ブログ:http://misakinana.com