今回はデジタル一眼を持ったら誰もが挑戦したくなるボケと、ただボケさせるだけではなくそのボケを活かす方法を勉強しましょう。
まず使用するレンズですがなるべく明るいレンズ、つまり大口径のレンズを使いましょう。口径が大きいレンズほど光を多く取り入れることができ、より大きなボケを生み出すことができます。これはレンズのF値の数字で表されていて、数字が小さくなればなるほど明るいレンズと言えます。具体的にどのようなレンズが大口径レンズなのかですが、例えば35mm、50mm、100mmの単焦点レンズではF1.2〜F2.0くらい、17〜50mmや50〜200mmのようなズームレンズではF2.8くらいの明るさを目安にしてください。
ここで気を付けて欲しいのが「18-50mm F2.8-4.5」のように記載されているズームレンズ。このレンズは18mmの広角側はF2.8と明るいのですが、望遠側の50mmの明るさはF4.5と暗くなります。Lesson5の被写界深度の回で勉強したように、大きくボケさせるためには望遠側のF値が小さいことが重要なので、ズームレンズを使用するときは注意してくださいね。
そのような大口径レンズを使ってピントさえ合えば、優秀なカメラとレンズが綺麗にボケを作り出してくれちゃいます。なので、今回はどのようにボケさせるかを考えながら撮ってみましょう!
Best Shot !
photo by nana
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■Canon EOS 7D/SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM/絞り優先AE(F2.8)/ISO200/WBオート/ピクチャースタイル:風景
黄色いコスモスを撮っていたらタイミングよく蝶がとまってくれました! 周りが黄色と緑で賑やかなので、蝶のとまったコスモスの向こう側が青空になるようにしゃがんで撮影。 |
■OLYMPUS E-PL1/ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro/絞り優先AE(F2.0)/ISO200/WBオート
花のシベにピントが来るようにマニュアルで撮影。花びらの爽やかな青色に合わせて背景のボケも同じ花の白と青、葉っぱの緑の3つのの寒色系で構成しました。 |
コスモスにとまった蝶の作例はコスモスが咲き乱れている所で撮影。蝶の羽を綺麗に撮りたいので左右には動けない状態。でも黄色い蝶と黄色いコスモスだけだと背景がごちゃごちゃしすぎちゃうので、しゃがんで下から撮ることで蝶の上部に青空のボケを作りました。
青い花の作例の向こう側にボケているのは主役の被写体と同じ花です。綺麗に丸くボケてくれました。一番色の強いシベの黒い部分にマニュアルフォーカスでピントを合わせて、ぽやぽやした画像を引き締めました。
それではマリコちゃんにステキなボケ写真を撮ってもらいましょう。ボカすのはカメラとレンズがやってくれちゃうので‘何をどういう風にボカすか’を考えながら撮ってみてね!
NG Shot ! photo by mariko
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■PENTAX K-r/FA 77mmF1.8 Limited/絞り優先AE(F1.8)/ISO200/WBオート/画像仕上:風景 |
マリコちゃんコメント
何だかわからない写真になってるー!!
バックはなんとなくボケたけど、お花を主役にしたはずなのに何が主役かこれじゃ伝わらないなー
色も、実物はきれいなのに写真には全然写ってない。。。全体的に暗い印象になっちゃった!!
お花を主役に、本当の色の鮮やかさも伝えたい!!!!
でもなんかすごく難しい気がするよ・・・ナナさんっ私でも素敵なお花の写真とれますか?
どうしてもこのお花の鮮やかな感じを伝えたいんですっ
いっぱいある花の中からひとつの花を主役にしていますね。見る人の目をあちこちに浮気させないいい方法です。前回のレッスンを踏まえて主役を絞ったのはOKなのですが肝心のボケをもっと活用してみましょう。
主役の花とその左右にある緑色の葉が平行線上で同じ位置にあるのがわかるかな? そうすると、被写界深度の関係でレンズと被写体との距離が同じになってしまい、そのふたつにピントが合っているように見えてしまいます。つまり、主役じゃない左右の葉がボケなくなってしまいます。主役の被写体だけにピントを合わせて他の部分を大きくボカしたいときは、それ以外の脇役はレンズから見て前、または後ろに配置するようにしましょう。
GOOD! photo by mariko
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■絞り優先AE(F1.8)/ISO200/WBオート/画像仕上:風景 |
マリコちゃんコメント
なるほど!!!
コツをつかんだらうまく撮れた!!!
色あいもとってもキレイで、ちゃんと主役のお花を周りのボケ感が引き立ててくれてるっ☆
いつもお花を撮る時はお花しか見えてなかった、というより見てなかった。
バックによってここまで変わるとは本当に驚き!!!!
ピントを合わせた主役の被写体の後ろ側にボカしたいものを持ってくることで、主役の花を目立たせるボケを作ることができました! 左の隅には丸い光のボケも入れられて、花のイキイキした感じを表現することができましたね。
さてここでおさらいですが、背景をより大きくボカす要素は覚えていますか? 被写界深度を浅くするのですから大口径のレンズで、小さいF値で、被写体との距離を近くして撮るのですが、被写体とボカしたい背景との距離も実はとても大切な要素のひとつなのです。
(A)
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マリコちゃんも背景の木もボケていません。 |
被写体のマリコちゃんと背景の木がくっ付くほど近い状態で撮影。 |
(B)
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背景の木がまだ輪郭はわかるもののボケました。 |
マリコちゃんに木から離れて数歩カメラに近付いてもらいました。 |
(C)
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背景が木だとわからないくらいボケて‘色’となりました。 |
マリコちゃんが更にカメラに近付いた状態。ここまで背景の木とカメラの距離は変わっていません。 |
この作例はシグマの「85mm F1.4 EX DG HSM」と言う大口径の単焦点レンズで撮影しています。開放F値が小さいので大きなボケを作り出すことができるのですが、(A)のように被写体と背景が近い状態ではボケを作り出すことはできません。(C)はカメラと被写体の距離が、被写体と背景の距離よりも近い状態で撮影したので背景がまるで‘色’のようにボケました。
まずは初心者さんは上記のように‘どうすればボケるか’を考えて、中級者さんは一歩進んで‘どういう風にボカすか’を考えながら撮ってみてください。ボケを考えながら撮ることで、写真の引き算を覚えることができますよ!
そして、これから大口径レンズを購入しようと思っている方。大口径のレンズになるほど価格と重さも比例して上がってしまいます。最初はどれくらいの焦点距離が自分がよく撮る被写体に合っているかもわかりにくいでしょうから、まずは35mm判換算で50mmの単焦点レンズでF1.4〜2.0くらいの明るさのものが使いやすいのでオススメです。サイズもコンパクトですし価格もお手頃な物が純正でもサードパーティーでも色々と出ています。
2〜3本目の大口径レンズを狙っている方。ポートレートや花を撮る方は100mm前後の単焦点の大口径レンズを持つと、そのほんわりとした描写とピントの合ったシャープな部分とのコントラストに世界が一変するでしょう。テーブルフォトなど静物撮影が多い方は、室内という限られた中での撮影になりますので単焦点の60mmでなるべくF値の小さい明るいレンズで、できれば寄って撮れるマクロをオススメします。よく旅行に行く方や気軽にスナップを撮りたい方は17〜50mmくらいでF2.8通しの明るいズームレンズが一本あるとオールマイティーに使えて便利です。
これからクリスマスや年末年始で写真を撮る機会も多いでしょうから、ぜひお好みの大口径レンズをバッグに忍ばせて、みんなが感動しちゃうくらい綺麗にボケた素敵な写真をいっぱい撮ってくださいね!
(状況撮影=編集部)