第1回「レンズキャップをデコっちゃおう!!」

高宮葵さん(右)と、そのお友達である金子真冊(まなみ)さん(左)。本日はふたりでデジイチのレンズキャップをデコっていきます!

カメラの第一の楽しみは、もちろん「写真を撮る」ことですが、カメラの楽しさはそれだけじゃないはず! カメラをもっともっと楽しむための方法は、いろんなところに隠れています。

カメラの多彩な楽しみかたを、どんどんアピールしていきたい!と立ち上がったのは、自他共に認めるカメラ好き女子、高宮葵さん。この連載では毎回、ゲストといっしょにカメラを思いっきり楽しんじゃおう!というテーマのもと、ちょっと(かなり?)行き当たりばったりなトークを繰り広げます。

第1回となる今回は、葵さんのお友達、金子真冊さんといっしょに、カメラのレンズを保護する「レンズキャップ」をデコっちゃいます!

そもそもなんでキャップにデコ?

現在、カメラキャップデコの第一人者として活躍中の葵さん。そもそもキャップにデコりはじめたきっかけはなんだったのでしょう?

葵:初めてデジタル一眼レフカメラを買ったとき、あまりに嬉しくて、とりあえずイキオイで、ついてきたレンズのキャップにデコってしまったのが最初です。この赤いやつと、青いやつ。


メーカーロゴに沿ってデコられた標準レンズのキャップ。葵さんの最初に制作したデコキャップ

葵:そのあと、レンズを別に購入して。パンケーキレンズと呼ばれるレンズだったんですが、じゃあパンケーキって呼ばれてるくらいだし、お菓子っぽくデコレーションしてみたい、って思ったんですよね。

真冊:パンケーキレンズなんて可愛い名前! それは薄いからパンケーキってこと?

葵:そう、薄くて軽いレンズ。スイーツデコ(※お菓子を模して作るデコレーション)って流行ってるじゃない。そんな感じのイメージで、実際に作ってみたの。ただ、メーカーロゴが邪魔だな、って(笑)。仕事でメーカーの方に会う度に、何度も何度も、「ロゴが邪魔なんです!!」って言ったら、なんと本当にロゴがないのが発売されて、それがコレ!

そう言って葵さんが取り出したのは、メーカーのロゴが入っていないカメラのレンズキャップ。黒地のキャップで、確かにロゴがない。

葵:こういうキャップって、サードパーティから出てるけど、やっぱりキチンとメーカーから出てると嬉しくない? それに、ロゴが入ってると、デコレーションするときにパーツをびっしりと貼らないといけなくて。こういうのとか……。

ラインストーンがびっしり配置されたキャップ。メーカーロゴを完全に隠すためにはこうしてスキマなく配置しなければいけない。写真右手にあるのがロゴなしキャップ

葵:メーカーロゴが入ってると、デコしてもロゴ透けちゃうの。それにメーカーのロゴが入っていると、そこだけ少しでっぱっているので高低差が生まれてしまって。多少でしょ? と言われればそうだけど、やっぱりどうしても気になって。このデコキャップなんかは、デコをする前に一回革を貼ってるの。

ややロゴが透けてしまっているものの、ロゴの白文字にあわせて白い透かしパーツを使用しているため、目立ちにくくなっている こちらはロゴありレンズキャップに革を貼り付け、その上からデコっている

葵:そもそもレンズキャップのロゴは、何のためにあるのかよく分からない(笑)。 だって、カメラ持ってる人は、それがどこのレンズなのか知ってるわけだし。

真冊:確かに〜。しかも撮影中は外しちゃうから、他の人も見ないしねー

葵:今は、オリンパスが出している37mmのキャップ以外は、ロゴが入っているものしかないの。そうすると、ロゴを隠すためには一回、革とかを貼らなくちゃいけないという、一手間が発生しちゃう。だから私の希望としましては、ロゴ無しのレンズキャップをいろいろなサイズに広げていってほしいな、と思っています。

これまでの作品を披露! パーツはどこで買う?

葵さん、今日はいろいろなデコキャップを持ってきてくれたみたいですが…

葵:やっぱりデコレーションする側として、元のデザインで制約を受けたくないです!という話をオリンパスさんにしたら、ロゴの無い37mmのレンズキャップを作っていただけたわけです。ついでに、実際にデコったキャップを製品の発表会でも紹介していただけることになったんですね。というわけで、そのロゴ無しキャップでたくさん作ってみたのがこちらです。

葵:とにかく「ひとことでデコといっても、色々できますよ〜」というのをわかってほしくて、いろんなタイプを作ってみました。デコっていうと、みんなラインストーンぎっしりなのを想像するじゃないですか。 『デコはこういうキラキラしたものしかない』という認識しか持っていない人が、『いや俺はやらないよ』というふうにやっていないのは勿体ないと思います。だから、こんなやりかたもありますよ、というのを見せたくて、色々なパターンをまずは作ったんです。自分が良いと思ったデザインというよりは、『こんなのもあります』というような変わり種のデザインとして作りました。

真冊:あ、これ可愛い! これサンドウィッチでしょ?

葵:そうそう。もともとカメラマンの先生のためにお肉がテーマのデコをつくったことがあって。そのときに使った赤チェックの布が余ったので、『キッチン高宮』というシリーズにしようと思って、モーニングの食卓バージョンとして作ってみたものなの。

真冊:このテーブルクロスの布地は自分で裁断したの?

葵:うん、自分でレンズキャップのサイズにあわせて切り抜いたの。型紙を自分で作らなくちゃいけなかったんだけど。どうしたかというと、ロゴ付きのレンズキャップというのは、買ったときに表面保護用のシールが付いていて、みんなすぐに捨てちゃうと思うんですが、それを取っておいて、厚紙に貼って、型紙にして。

真冊:わあ、すごーい!

ロゴ入りレンズキャップを買ったときについている表面保護用のシール。これを捨てずに厚紙にペタッと貼ると型紙になる
型紙にあわせて布地やシール、前述の革などを切り抜いて貼り付ける

葵:レンズキャップは58mmとか37mmとか色々とサイズがあるけど、表面に溝があったりすると、実際にデコ用に使えるスペースのサイズはわかりづらいんだよね。

真冊:キャップの全体を使いたいのか、部分的に使いたいのかとか、色々あるよねー。

葵:そうそう。そういう時にも、型紙はあると便利。なので、オリンパスさんには、デコ用のメーカーロゴ無しキャップを発売したんだから、それ用の型紙も作ってください!とお願いして。で、作ってもらった(笑)。必要ならプリントアウトしてみてね。本当はシールとかあると便利なんだけど。

このオレンジジュースなどの小物はドールハウス用のミニチュアが狙い目らしい

真冊:かわいい。これいいねー。あ、すごい! これオレンジジュースまであるー!

葵:サンドイッチだけだと食卓っぽくならなかったので、オレンジジュースを探して付け加えた(笑)

真冊:このオレンジジュースは普通に売ってるの?

葵:これは、ポットのミニチュアとセットで売られてたの。これらは食玩で探しちゃうと高価で。そもそもこれくらい小さいサイズがないし、あっても携帯のストラップ用を想定しているのか、穴が空いていて。それは嫌じゃない? だからどうやって探したかと言うと……。ドールハウス用のミニチュアを売ってる所で見つけたの。

真冊:なるほど〜!

葵:「ドールハウス」で検索すれば、出てくるよー。それだと、意外と安くて。これは自分で作ると結構大変だし(笑)。だから色々自分で探してみるといいかも。パーツを探すときは、手芸屋さんにフラッと行くパターンと、ネットで探すパターンがあるんだけど、最初はネットで検索するのが楽。自分のイメージが固まってる場合には、手芸屋さんに行くよりはネットで検索して欲しいパーツを探したほうが早くて、逆にまだ作りたいもののイメージが固まっていないときは、実際に店頭に行って、そこで見つけたものからイメージをふくらませるのが良いと思う。使いやすいパーツとしては、ネイルアート用がサイズ的にちょうど良いと思う。あと、最近は家電量販店のデココーナーとかもオススメ!

真冊:あ、そうか! 携帯とかのデココーナー?

葵:そう! 手芸屋さんだと、品数が多いから、デコ向けのものにたどり着くまでが結構大変!だけど私が行った家電量販店は基本的にはコンパクトカメラとか、携帯電話とかにデコるためのコーナーだから、使いやすい。あとは手芸屋さんに無いものとかもあったりして、オススメ。あと見てもらえれば分かると思うんだけど、どのパーツも、結構小さいのね。なのでイメージを掴むためにも、ショップに行った時にはキャップを持って行って、実際に乗せてみて確かめた方がいいと思う。

真冊:ああ〜なるほど。必要な量が実際に分かるんだ!

葵さんオススメデコパーツ

葵さんはポーチから、今まで自分が使っていたパーツを取り出す。テーブルいっぱいに広がるパーツの数々に、真冊さんも驚きの様子。「どうしよう!」と様々なパーツを楽しそうに選んでいく。

葵さんが大量に持ち込んだデコパーツに真冊さんのテンションもあがる

葵:初心者にはこういう透かしパーツもオススメだよ。

真冊:透かしパーツ?

葵:アクセサリーとかに使うものなんだけど、これもネットで検索してもらえれば出てくると思う。『透かしパーツ』とかで検索してみて下さい。これなんかは、透かしパーツを使ってストーンを配置したもので。こっちはより立体的なパーツ。たぶんブローチ用なんだけど(笑)

スキマが空いた、大きめのパーツが「透かしパーツ」。まずは透かしパーツをドンと配置し、空いたスキマにストーンを敷き詰めるだけで簡単に見栄えが良くなるので、初心者にはおすすめらしい

葵:あとは転写シールで、便利かなーと思って使ってみたんだけど…キャップに貼ってみたものの、あまり見栄えがよくなくて。

実際に取り出してくれた転写シールを貼ったレンズキャップ。シール自体はきれいなのだが、土台となるキャップ自体が黒地なので、輪郭がぼやけてしまっている。これではいくらきれいなシールを貼ったとしても、色やデザインが映えないだろう。

真冊:これ違う色ないの? レンズキャップって黒しかないの?

葵:もっと言って!(笑) そう、黒しかないの!!

やはり黒地のみ、というのはデコレーションをする身としては辛いようだ。葵さんは、レンズキャップに黒しかないことに不満を持っている様子。

真冊:デコレーションのベースに使うなら、白が欲しいよね。他の色が映えやすい白! 私はピンクも好きだし……あとはパステルカラー系! 木目調とかも欲しい。

葵:柄物はいくつかあるかな。ただ、それはメーカーロゴが入ってて…。まあ、とにかく、色はほとんど黒しか売ってなくて。あ、こういうレース柄のシートなら黒に合うよ?

葵さんの涙ぐましい努力の結晶の一つなのか、すでに使った形跡が……。可愛らしいレース柄シートに、真冊さんも興味津々。色々な素材を出されて、困ったような嬉しい悲鳴を上げている。

葵:デコレーション用のパーツって、とにかくたくさんあるので、本当にどれが使えるか、使えそうか…それが分かるレベルにまでたどり着くのが大変なの。

実際に作ってみる!

葵:今回は真冊ちゃんにデコキャップを作ってもらおう!ということで、真冊ちゃんが好きそうなパーツを探してたんだけど…

そう言って取り出したのは、イルカのミニチュア。可愛らしいデザインに、真冊さんも思わず声を上げる。

真冊:わぁ、可愛い〜! イルカだー!

葵:真冊ちゃんはイルカのモチーフが好きだから、これで上手いこと作ってもらおうかな、と思って。あとは女の子が好きかな? と思うパーツをいくつか、大きめのを選んで買ってきたので、作ってみてね☆

真冊:これなら貼るだけだから不器用な私でもできそう!

葵:裏にシールがあって貼り付けられるものも多いけど、私は粘着力が心配なので、レンズキャップに貼り付けるには、いつもこの接着剤を使ってる。

葵さんはパッケージに入った接着剤を見せてくれる。それはデコ用の接着剤だ。ヘラもセットになっており、デコレーションをする時には必ず使うらしい。

高宮葵秘密道具のひとつ、デコレーション用接着剤〜

葵:では、まずはどのパーツを使うか決めていこうか。…って、イルカは使わないんだ(笑)

真冊:これはかわいいので、持って帰ります!!

葵さんは選んだパーツを、さっそく中央に配置! バン!と一発で決める姿は、さすがに手慣れている。レンズキャップの真ん中に置かれたのはトカゲのデコ。一方で真冊さんも配置するデコが決まった様子。真ん中に置いたのは、きれいなブルーが目を引く蝶の形をしたデコだ。

葵さんはトカゲのパーツをメインに。と思ったらいきなり接着! この思い切りの良さがベテランの風格
真冊さんは蝶のパーツをメインにセレクト。接着する前にじっくり仮置きして配置を練る

真冊:結構細かい作業だね!

葵:細かい作業だよ。私は夜にやるんだけど、テレビの映像を垂れ流しにしてBGMの代わりにしてます。お笑いとかだと気になっちゃうので、あまり興味がないものを流したりして(笑)

パーツを選んだ時の賑やかなムードのまま作業開始。それでも口数が少なくなってしまうのは、集中し始めてる証拠。葵さんはてきぱきと接着作業。

葵:接着するときは、このノズルを付けて、細かい箇所に接着剤をつけるの。 この接着剤は後から透明になってくれるので、ちょっと多めに付いちゃっても大丈夫。あとはパーツによっては「あ、折っちゃうかも」って細いものもあるので、不安になるくらいになら多めに付けちゃってもいいと思うけど、これは好みによるかな。

基本的に接着剤にノズルをつけて作業。このノズルはすぐに詰まってしまうのが困りもの

葵さんは慎重になりながらも、ガッツリと接着剤を塗っていく。細かい作業だが、葵さんは迷いなく付けていく。時々大胆に付けていく姿は、慣れたデコレーターそのもの!

真冊:私不器用だから大変……。

真冊さんは中央に配置した蝶デコに合うよう、接着剤を使わずに周囲にストーンを仮置きしている。

葵:真冊ちゃんはしっかり考えてからやるタイプだね。

真冊:そうかな? デコをやりなれてないからじゃない?

葵:私だって不器用だけど、けっこうおおざっぱなので(笑)フィーリングでやっちゃって。それでもなんとかなっちゃう。あとこの接着剤は、4分でくっついて、24時間で完全硬化。だから本当は、一気にやっちゃうのはあまりよくないかも。あとこれは大事なことなんだけど、例えばストーンを10個配置するとして、ノズルは絶対に途中で詰まっちゃうから。ボンドが硬化して、 穴が塞がっちゃうと、ボンドの「出」が悪くなったり、固まってカス状になったボンドが混じっちゃったりする。そうなったら、ケチらずにどんどん新しいノズルを使ってね!

葵さんの真面目な教えに、真冊さんも同じく真剣に頷く。ノズルいっぱい使っちゃって大丈夫なの? という疑問もあるが、そこは葵さん! 大量のノズルを懐から取り出す。

葵:それと汚れたノズルは、24時間以上経って、完全にボンドが硬化してから掃除した方がやりやすいよ。Uピンなどの細いものをノズルに差し込んで掃除すると楽。掃除すればまた使えるようになるので、ノズルは取っておいて、何度でも最利用するのがおすすめ。

真冊:分かりました! それにしても、キャップが黒だと青いパーツが目立たないね。これが白だったらなぁ……。もしくは本体は黒なんだけど、フチが白とかピンクとか、そういうのでも可愛いと思うんだけどね。

そうこう話しているうちに、真冊さんのキャップの上にはストーンが散りばめられていた。それを見た葵さんは、全体の色調を考えながらアドバイスを加えていく。

葵:あまり近くで見過ぎないのもポイントだよ。ネイルとかもそうだから。

青だけだと色調が暗くなるので、ピンクやシルバーなどを加えてみたり、淡い色も入れてみたりと、全体から見た構成も必要になってくる。可愛く仕上げるためには、少し『遠くの目線』も必要というわけだ。

葵さんのアドバイスを受けながら、配置を詰めていく真冊さん

真冊:こういうデコキャップって自分で作るから自分だけの『ただ一つの』キャップができるのはいいね。撮った写真っていうのも、個性が出ると思うんだけど、写真だけじゃなくキャップにも個性が出せるって良い!

写真は撮り方によって個性を発揮することができる。でもカメラ本体は量産されたものだから個性を出すのは難しい。そこでデコキャップを使って個性を出したい!というところは、カメラを好きなアーティスト気質の人にはたまらない要素だ!真冊さんの個性トークに火が付いたのか、教える側に回っていた葵さんも、自分のキャップに合うストーン選びを開始!トカゲに合う色を考えて、あえてキツいピンクを選ぶ。

葵:私は隙間とかにもキチンとストーンを置きたくて、隙間に潜りこませるように配置するの。ちなみに『潜りこませ』という技名で呼んでたり(笑)。

真冊:へぇ〜。

葵さんの講義を受けながらも、順調に作業を進めていた真冊さん。仮置きでひととおり配置を決めたようだ。

真冊さんのデコキャップ、ついに配置が確定! …でも接着はこれからです

真冊:これが実際に接着剤を使って配置していってみると、この通りにできるかっていうと……難しいよね。まずは蝶々から接着だよね?

葵:そうね。ちなみに、パーツそのものがレース柄とか、図案になっているようなパーツを最初に配置すると、それに沿ってストーンとかを並べられるので楽だよ。『拠点』って呼んでるんだけど。最初に『拠点』を配置すれば、それを手がかりにしてほかの細かいパーツを配置しやすくなるので。ちなみに『拠点』になりそうなパーツは、手芸屋さんの中でもアクセサリーを作る人向けの場所やコーナーに売ってるから。細かいストーンのコーナーばかりに目を向けていると、拠点には巡り合えないので、注意してね!

おっかなびっくりな様子で接着剤を塗ろうとする真冊さんに、葵さんが優しく手を伸ばす。

葵:慣れないうちは、接着剤を付けるのと、パーツを配置するの、一人で両方やると難しいので、誰かに手伝ってもらった方が上手く行くかも。接着剤使う人はボンド係、『ボンダー』だね(笑)

おっなびっくりで接着剤を扱う真冊さんを見かねた葵さん、「ボンダー」をかってでる

姉妹のような風景に場が和む(笑)真冊さんから蝶のパーツを受け取って、接着剤を塗って手本を見せる葵さん。真冊さんからヘラを受け取り、満遍なく接着剤を伸ばしていく。接着を塗り終わった蝶を受け取り、真冊さんが羽の部分をピンセットで掴もうとするも……あっ!ここでアクシデント! ピンセットに弾かれて蝶のパーツが吹っ飛び、テーブルの上を転がる!これは一同、驚きとともに爆笑!テーブルについた接着剤を、葵さんが甲斐甲斐しく拭きとってくれてます(笑)

葵:これはもう一気に行った方がいいね(笑)

笑いをこらえながらも葵さんがアドバイス。ただ、今回真冊さんが作っているデコキャップは、中央に蝶を配置して周りに余白を活かしてストーンを散りばめているため、おおざっぱな接着は難しい構成だ。結局、もう一度ピンセットで蝶のパーツを持ってチャレンジ!一同が見守る中、緊張の一瞬……。その中、葵さんの携帯のバイブレーションが鳴り響き、真冊さんの集中力を奪っていく(笑)

真冊:やっと配置できた…。でも、やっぱりこれ、たくさん配置するのは大変そう〜。あと、細かいパーツを配置していくと、少しずつズレて行って、最後にデザインと違うってなるのが怖いねー。

葵:やっぱり『拠点』をうまく使うと失敗が少ないかな。もしくはストーンを隙間なく埋め込んでいくと、配置で迷わないし、キレイにできて、粗も目立ちにくくなるよ。

真冊:なるほどー…。

ひたすら熱中する真冊さんと、温かい目(?)で見守る葵さん

だんだん作る楽しさを覚えてきたのか、真冊さんも真剣です。

真冊:ごめんね、黙っちゃう(笑)。でもすごく楽しいね。熱中しちゃう。一回始めたら止まらないね!

葵:そうなの! 一度始めたらずっとやっちゃうの。でも引き時も大切なんだよね。

真冊:もう、透明で目立たないんだったら、ボンドをビューっと一気に塗っていきたい。

葵:それはちょっと…(笑)。透明と言っても、やっぱり目立つ部分は出てくるから。……うーん、でも、自分が良ければそれもアリかな?(笑)

そうこうする中、ついに真冊さんのデコキャップが完成!

真冊:どうだ!

ついに出来上がったデコキャップを手に取り、自慢気な真冊さん。真剣に作業をした成果を指さし、興奮を隠せない様子だ。可愛く出来上がったデコを見て、満面の笑みを浮かべる真冊さん。それを見た葵さんも、ご満足。では、実際に付けてみよう!

真冊:あ、可愛い〜!

真冊さんがデコったキャップを、カメラに装着!ぴったりと合ったデコキャップは、カメラ本体をより個性的に見せてくれる。

とうとう完成、真冊デコキャップ! 花の上をひらひらと舞う蝶。空間を活かしたレイアウトが功を奏して、広い空を舞っているようにも見えます。こんなデコキャップもメーカーロゴが無いものだからこそ!

真冊:これで白だったらな〜。ボディと合うのに。

葵:私も一気に完成させちゃおう。今なら可愛いのが作れそう!

真冊さんのデコを見届けた葵さんは、創作意欲を刺激されたのか作りかけのキャップを手にとって作業開始。秘伝のワザ『潜りこませ』も出る。さすが今回の先生役、よどみなく作業を続け、あっという間に完成!これには真冊さんを含め、一同驚き。トカゲを中心にしてストーンのカラーをランダムに配置。少しキツい色で仕上がっているが、あえてトカゲに合わせてカラーリングをしている。

世間話をしながらもスイスイと作業を進める葵さん。トカゲのモチーフの陰にできたスキマにもストーンを埋め込んでいく「潜り込ませ」を駆使しながら、びっちりと配置していく

葵:できた! トカゲが薔薇のお風呂につかってるイメージかな。

実際にカメラに付けてみると、意外としっくり。センスの良さを見せてくれます。お互いに完成品のデコキャップをカメラに付けて、掲げてツーショット! 二人とも完成したデコには満足の様子。

ふたりのデコキャップが無事、完成!

作り終えて…

真冊:めっちゃ楽しかった!

葵:デコったりするの好きだよね。

真冊:アクセサリー感覚だよね。今日は何のピアスにしよう?っていう感じで。「今日は海に行くからマリンにしちゃおう」みたいに付け替えて!

葵:いいね。そういえば、真奈美ちゃんはスノボ好きみたいだけど、いつもボードを可愛くしてるじゃない。スノボのボードでも、お洒落じゃないものってないの?

真冊:あるよー。例えば板でも、欲しい板が必ずしも好きな柄、ってわけじゃなくて。それをステッカーとか貼って、自分流にアレンジするの。そうすると、やっぱり愛着湧くんだよね。

葵:それは、スノボ界では男性もやってるの?

真冊:やってるやってる! むしろ男の子の方がやってるんじゃないかな? 板に、こういうパーツを貼ってデコってる子も居て。

葵:ええっ!? そうなの!(驚)

これには葵さんも驚き!カメラのレンズキャップと違って、大きいスノーボードに細かいパーツでデコレーション…考えただけでも気が遠くなりそう。

真冊:私も「やって!」ってお願いしたんだけど、もう二度とやらない! って言われちゃって(笑)。あとは、自分の車のうしろにある会社のマークに、デコを敷き詰めている男の人もいた!

葵:男の人の方が、もしかしたら凝り性なのかな? でも、写真業界においては、男性はあまりやってくれなくて。

真冊:でもそれは、結局こういう可愛いもの向けっていうイメージがあるからじゃない? こういうお寿司キャップとか見れば、男性がやっても面白そうだと思う。

家紋やお寿司などのユニークな発想で勝負するのも、もちろんアリ。男性にもどんどんデコキャップの世界に入ってきてほしいと葵さんは語る

葵:たしかに、ここにある家紋キャップとかは男の人がつくったもの。デコキャップは、これ付けてたら絶対に話しかけられるし、モデルさんを撮っているときだったら、それだけでコミュニケーション取れるようになると思うんだけど。

真冊:いいよね、カメラ持ってるだけでも声をかけられるんですから(笑)

葵:プレゼントにもいいと思う。おたがいに作り合ったりして!

その時、スタッフのひとりから「お城シリーズなんか面白そうですね」という声が上がる。真冊さんも「面白い!」と好評だったが、葵さんがストップをかける。

葵:面白いですが、私の中でポリシーがありまして。『実用性の無さが前提のデザインは、採用してはいけない』というのがあるんです。キャップはあくまで主役ではなく、カメラに付随するものです。それをデコる事によって撮影時の気分を上げたいのに、実用性ゼロで撮影時に邪魔になってしまうようでは本末転倒なので。やっぱり写真を撮るのが好き! という大前提があって、それを無くしてしまった時、男性ユーザーからはそっぽを向かれてしまうと思ってるんです。…ただ、可愛さと実用性を天秤にかけた上で、「今回は可愛さを優先するから、多少使いにくくても私は我慢しちゃう☆」という考え方は人それぞれでアリだと思います!

真冊:これは本体にもデコいきたいねー。

葵:本体もいいね! でもキャップデコは本体にデコるよりも、お手軽にできるので、まずはオススメです!

大変惜しいことに第一回もこれで終了!最後に、キャップにデコっちゃおう! という企画に参加してくれた真冊さんと、先生を務めて下さった葵さん、一言ずつお願いします!

葵:まずは入門としてキャップデコに挑戦して欲しい。チャラチャラしたいわけではなく、「こういうのもあるんだよ」という写真を楽しむ一つの手法として見て下さい。写真に興味をもっていなかった女の子たちがデコをきっかけに振り向いてくれて、写真業界が活気づいたら、いま写真を趣味にしている男性たちにとっても、悪いことじゃないと思うんです。そのための一歩になってくれたらな、と思っています。

真冊:もしカメラを使う機会が来たら、ぜひとも今回作ったデコキャップを使いたいと思います。

ありがとうございました!

(2011/11/11)
高宮葵
イベントコンパニオン/フォトモデルを本業としつつも、フォトイメージングエキスポ、オリンパスブースでの仕事をきっかけにデジタル一眼レフカメラを購入。以来、女子が楽しむカメラ、「女子カメラ」の普及のため、あちらこちらで活躍している。現在、職業カメラマンの"親方"に連れられて様々な撮影現場に潜入し、勉強中。ブログは「高宮葵の夕霧亭」。トーク第2回に出演してくれた管香織さんのWebラジオ「管香織のなんでもとんちんかん」12月13日回にゲスト出演しているので、そちらもチェック!