有機ELディスプレイが注目を集めている。最近ではソニー(6758 東1、8,440円)、東芝(6502
東1、697円)が相次いで有機ELの開発成功をアナウンスし、2002年から2003年にかけての製品化を打ち出している。大手電機メーカーの代表格が名乗りを上げたことで、市場では有機ELがそれだけ「本物に近づいている証」と受けとめる度合いが高まりつつある。
有機ELディスプレイのロードマップは、2005年あたりまでは小画面サイズを中心とした展開で推移し、技術や量産プロセスの成熟化とともにいわゆるPCやモニター等の中画面サイズの分野へ進展(本格化)しながら、2005年から2010年の間に究極の大型壁かけTV等の領域へ進むという流れであろう。
一方軽量、薄型、形状の自由度が高いという特性から電子ブックやシートPC、フィルム・ディスプレイ、ウェアラブル端末の実現にこそ、その最大の可能性をみるような見方や照明市場での用途拡大を想定する見方もある。
有機ELディスプレイの市場規模は2005年時点で2,300億円相当の規模に達すると予想される。この間にほぼ70%増に近い形で売上拡大が図られていくことを意味し、一企業の業績推移という観点でみれば、やはりきわめて有望な市場だといって良い。市場草創期における成長企業への評価(市場性との相関)という観点では、PERとして見ると80倍あたりまでが一応の上限目安であるという見方もできよう。
市場はまだ黎明期であり、装置、材料の分野でもこれから多数メーカーの本格的な参入が続くものと予想される。その意味で勝負は始まったばかりであり、材料が出尽くしているわけではない。現段階では有機ELディスプレイ市場でほんとうの強者となるメーカーはまだ存在していないと言えよう。おそらく次の5年から10年の間に抜け出したメーカーが真の強者となるという見方も可能だろう。
しかし少なくとも今後2年から3年を想定したときの市場草創期という視点でみる限り、有機ELディスプレイの市場が倍近い伸びを示しながら、それが結果として先行メーカーの売上増加に対して、同様に倍近い拡大の機運を与えていくことは過去のLCD市場の例を見るまでもなく疑いないところであろう。
課題としては、フルカラー化との関連では駆動ICの開発と量産、色見と発光効率の改善が上げられる。また材料面では新しいリン光材料が見つかり着実な進展も見られるが、やはり量産装置の開発が最大の課題であろう。寿命の改善や携帯電話用途での消費電力の課題もクリアしていく必要がある。またパッシブ駆動とアクティブ駆動のすみわけ、低分子材料と高分子材料の攻防などの注目要因もある。
詳細はこちら
関連するリサーチレポートはこちら
2001年、TFT液晶(LCD)業界の再編は必至
(市場分析編・前編)
2001年、TFT液晶(LCD)業界
の再編は必至(市場分析編・後編)
急増するカラー携帯電話と
液晶ディスプレイの需要
ブイ・テクノロジー(7717)
後発ながら、トータルの検査システムを提供できる強みを武器に、売上拡大が可能
シャープ(6753)
液晶が成長商品でなくなりつつある時代の曲がり角に立つ難しさ
企業トップインタビュー:ブイ・テクノロジー
(7717)
|