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東証1部に上場した電通国際情報
の瀧浪壽太郎社長に聞く
[インタビュー一覧]
瀧浪壽太郎社長

 国内情報サービス業としては老舗(しにせ)ともいえる電通国際情報サービス(4812、ISID)が30日、東京証券取引所1部に上場した。相次いで設立された国内情報処理企業は、バブル崩壊以降、合併、撤退など合従連衡が続き姿を消したところも多い。今年創立25周年を迎えた同社もいくつかの波を乗り越えて、上場にこぎつけた。普及レベルでのe-ビジネスがいよいよ本格化を迎える今、競争が激しさを増すITという土俵でISIDはどんな技を選びどう生き抜いていくのか。「ウチの技術レベルは国内一だ」と語る瀧浪壽太郎社長に話を聞いた。
(聞き手 市川 徹)

――直接の1部上場を果たしましたね。

瀧浪:おかげさまで。最近の株市場をみるとやはり地合が良いとは言えず、とても緊張した。ここ数カ月間のデータをみても新規に上場を果たした会社のうち、およそ70%が上場後に公募価格割れとなってしまっている。不安と期待が入り混じる、というのはまさにこういうことを言うのだなと思った。しかし、一方ではこういうときこそ企業の地力が問われるのでは、とも思う。すべてを地合の悪さのせいにしては、何も始まらない

――電通の存在ばかりがクローズアップされるISIDにとって、そもそも
   上場のきっかけはなんだったのでしょうか。

瀧浪:確かに設立時点で資本金出資の構成比率は電通66%、米ゼネラルエレクトリック社34%、どんな場合でも電通子会社といったイメ-ジが先行してきた。しかも当初は米GE社のタイムシェアリングサービスというサービスを日本で行う会社だったので極めて地味な存在だったと思う。しかし、それから数年でコンシューマー向けのパソコンが登場し、価格もどんどん安価になっていった。同時に我々もひとつの事業だけでなくさまざまな情報サービス事業をやる必要に迫られた。結果的にこのときの模索が現在のベースになっているのだが、情報サービス企業として規模が大きくなるほど資金調達にもスピードや大きなスケールを要求されることもある。8年ほど前に1度、机上で上場を検討してさらに3年前本格的な計画立案に入り今回の実現に至った

――8年越しの目標成就というわけですね。

瀧浪:そんなに大げさ意味は無いが、情報サービス業というジャンルではなくひとつの企業という範囲ではやはり株式の公開、上場というのは大きな目標になる。実は親会社の電通もここ1、2年中の上場を計画しているところだ。当社の上場に向けた作業中も、親会社では“しっかり上場にこぎつけてくれ。ウチのモデルケースになってほしい”と叱咤激励されたよ

――そして東証1部への上場。企業としての勝負のしどころはどこに置い
   ていますか。

瀧浪:当社の事業は大きく分けて金融業と製造業に向けたシステムのコンサルテーションから開発やサポートまでと、e-ビジネス関連――の3つある。どれも隔たり無く展開していくことは当然だが、ウチの強みはどの事業にしてもすでに数多くの実績を持っていることだ。多くのソリューション企業が開発力を持っていてもなかなかビジネスとして形を作れないのは、この実績があるかないかが大きく関わっている。私は個人的にはウチの技術や開発力は日本では一番だと信じている。それがこれまでの実績やスムーズな上場に結び付いているはずとも思っている

――新分野への進出はどうでしょうか。

瀧浪:今までハードウェア関係の受注はほとんど言っていいほどやってこなかった。しかし、システムのソリューションをやっていると、当たり前のことだがパソコンやサーバーなどのハードウェアが関係してくる。これからはこういった販売やサポートにも何らかの形で関わっていければ、と思っている。ウチが自前でそのための社員を抱えて、ということではなくこれまでも協力関係を築いてきた企業と連携を強めたい。その方法はあらゆるケースが考えられるだろう。買収もあれば資本参加もあるかもしれない。じっくりと取り組んでいきたい

――社員900人に向けての言葉はありますか。

瀧浪:絶えず自己改革を、これに尽きる。そして個性的であってほしい。改善で済まないものは改革を実行してほしい

市川 徹
2000/11/30
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