先週のゲーム株は、ジャレコ(7954)や翔泳社(9478)などが上昇し、カプコン(9697)、KCEO(4729)などが下落した。なかでもジャレコが31%も上昇し、再び上昇率でトップに返り咲いたことは非常に驚きであり、市場参加者がこの株(企業)に対して期待と夢を膨らませていることを痛感した。また、カプコンが大きく下落したことは、「企業業績だけでは株価を判断・予想できないこと」を改めて認識させられた。
●気安く呼ばないで
再びトップとなったジャレコ。先月下旬に開催された「アミューズメントマシンショー」に出展した際には、大手ゲームソフトメーカーが非常に大きなスペース確保しているにも関わらず、ジャレコは本当に小さなスペース(セガやコナミなどの10分の1位)しか占有していなかった。それは、他にも参加していた非公開企業並みのスペースであり、「これが本当にジャレコなの?」というぐらい地味なものだった。しかし、実際に株価は上昇し続けている。今年の5月24日には245円だった株価が、現在では2250円にもなっている。約9倍になっているわけだ。上昇理由が多岐に渡るのは分かるが、こうなってくると色々なことを言う人が出てくる。「来年中に株価1万円」とか「2万円」とか・・・。
話は変わるが、先日ジャレコは気象情報会社「ウェザーニューズ」に出資した。そして、今回は映画関連情報会社「カミングスーン・ティービー(CSTV)」に出資することが発表された。CSTVは、CSデジタル放送のほか、インターネットや携帯電話などに映画関連のコンテンツを供給している会社であり、ジャレコが来年半ばにも開始するブロードバン・コンテンツ事業「NOW Japan」に資料映像を提供して協力するという。これでコンテンツ会社2社への出資が決まったわけだが、「天気、映画ときたら次は何だろう?」と考えるのが市場関係者である。もしかしたら「ある上場会社に出資!」なんていう話もでてくるかもしれないと予想したりする。
その時、もしその企業が“小さな会社”だったらその株は当然上昇するだろう。予想するのは本人の自由だから想像してみるのも面白いかもしれない。そしてジャレコは10月31日の臨時株主総会で社名を「パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン株式会社」に変更する。これからは「ジャ・レ・コ」なんて気安く呼べなくなるのである。
●もう食べられません!
カプコンが急落した。先週申し上げた「優秀なカプコン君」の「1学期の成績は悪かったけど、2学期・3学期はガンバリます。先生ゴメンなさい」という言葉を信じた人たちは早くも裏切られたようだ。先週一週間で約13%も下落し、期待した先生もガックシ肩を落としているところであろう。しかし、実はこの急落は少し「訳」があったのだ。それは「浮動株」の問題である。
「浮動株」とは「安定した投資層がもっている株ではなく市場を転々と流通している株のこと」である。その浮動株が急激に増えることになったのである。これを市場関係者は「需給悪化」という表現で株価下落の理由を説明する。今回その浮動株が増える理由となったのは「東証1部上場に際して、既存株主が株式の売出しを行う」からである。今回の売出株式数は合計470万株にも上り、この浮動株増加が株価を押し下げる原因となるのである。東証1部に上場するのはオメデタイことなのだが、われわれ庶民株主にとっては非常に迷惑な話である。ちなみにNTTも10月下旬に売り出しを予定している。しかも今回は公募増資も含めて総額1兆5000億円前後に達する予定である。現在、株式市場全体が軟調なのも、このNTTの売出し・公募増資の影響が大きいと言われている。「お腹いっぱいのところへ、わんこそばを流し込まれる気分」を市場参加者は今、味わっているのである。
●プレステ2が半分しか
王者ソニー(6758)に暗雲がたちこめてきた。株価の下落率は7%と大したことがないものの、ソニー・コンピュータエンターテインメント(SCE)の米国法人が「プレステ2」の出荷台数を当初予定していた100万台から50万台に引き下げると発表したのだ。その理由を会社側は、単に「部材不足」とだけ発表した。2001年3月期中の出荷台数については従来計画の300万台を確保する予定であるというが、一部のアナリストたちは「この計画には無理があるのでは」と懸念している。今後の株価動向が注目される。
●今週の展望
今週はバンダイ(7967)に注目してみたい。それは10月18日にバンダイの子会社のバンプレスト(7854)が東証2部に上場するからである。バンプレストはアミューズメント機器や景品の開発・販売、アミューズメント施設運営、家庭用ゲームソフトの企画・販売などを手掛けている。特にゲームソフトでは、PS用「スーパーロボット大戦シリーズ」やゲームボーイ用「名探偵コナン」などが有名であり、アミューズメント用機器では「コンビニキャッチャーDX」などが有名である。
バンダイはこのバンプレストの株式を51万2,000株保有しており、バンプレストの想定株価を3000円とすると、約15億円の資産評価になる。バンダイの会社規模からすると極端に大きな数字ではないが、12月に携帯ゲーム「ワンダースワンカラー」を投入することを考え合わせれば期待も膨らむ。株価チャート的にも上昇基調となっており、4000円くらいまでなら射程圏内であると考えられる。
と、今週は「バンダイに期待!」ということで締めさせていただくが、先週に引き続き株式市場が元気がないので呪文を唱えてから終了させていただきたい。・・・「ベホイミ!」
□関連表
・ゲーム各社騰落率
・ゲーム各社先週の動き
フィスコ アナリスト 黒岩 泰
2000/10/02
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